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理事長の娘になったら、5人の兄たちに溺愛されました!?  作者: ぴよこ


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6/12

ダンスレッスン

特別棟・第一サロン。


白いテーブルクロスの上に、五客のティーカップ。


桐生院美琴は静かに口を開いた。


「来月のダンスパーティーは、学園の象徴ですわ」


その声だけで、部屋の空気が整う。


一ノ瀬麗華が頷く。


「理事長、西園寺家の名も、当然注目されます」


高宮彩葉が柔らかく笑う。


「急な変化は、話題になるものよね」


白石詩織が静かに言う。


「話題は噂になりますから」


東雲莉子が淡々と続ける。


「噂は、立場を揺らす…」


サロンの端には、下級生たちが控えている。


桐生院は微笑んだ。


「排除をしたいわけではないのよ?」


やわらかな声。


「ただ、立場を教えて“距離感”を整えて差し上げなくてはいけないわ…」


桐生院は紅茶を口に含む。


命令ではない。


けれど、意味は明確だった。



(西園寺の名は、軽くないわ…)


桐生院の内心は静かだ。


理事長家は象徴。

象徴が乱れれば、学園全体が揺れる。


(未完成な姿を、舞台に上げるわけにはいかない)


それは嫉妬ではなく、責任だと彼女は思っている。



(急に現れた“妹”)


一ノ瀬は視線を伏せる。


努力で積み上げる世界に、突然割り込む存在。


(評価は平等であるべき。あの子だけ特別扱いなのは許せないわ)


だからこそ、甘くしない。



高宮は内心で小さく笑う。


(私たちがいつも中心なのに。急にあの子が現れて、日向様もあの子にべったり…)


羨ましさと苛立ち。


自分でも子どもっぽいと分かっている。


でも、中心に立つのはいつも自分たちだった。



白石は理で考える。


(目立てば噂が立つわ)


噂は波紋を広げる。


(蒼様に知られる訳にはいかない…)


それが最優先。



東雲は冷静だ。


(同級生の立場は海里くんに近づくのに強い)


感情で動けば、全てが大事になる。


(彼から離れる訳にはいかない…)


だから、今のうちに立場を弁えてもらわなきゃ。



数日後。


女子・ダンス特別授業。


男子は別日。


大ホールの空気は張りつめている。


私は最後列に立つ。


(ほんとに、踊れない……)


姿勢も分からない。


足の出し方も怪しい。


「基礎ステップから」


右、左、寄せる。


……遅れる。


隣の子とタイミングが合わない。


「あ、ごめん」


謝ると、小さく笑いが起きる。


「大丈夫?」


優しい声。


でも視線は冷たい。


前列中央では、五人が滑らかに動いている。


明らかに違う。


講師が言う。


「代表候補は前へ」


名前を呼ばれ桐生院をはじめとした五人が出る。


音楽が続く。


ターン。


私は回れない。


足がもつれて、半歩遅れる。


くすくす。


小さな笑い。


誰かがわざと半拍ずらして動き、私のリズムを乱す。


「きゃっ」


軽くよろける。


転びはしない。


でも完全に乱れた。


「あんなので本番大丈夫なのかしら?」


周りからの視線が痛い。


私は顔を上げる。


桐生院が近づく。


「焦らなくてよろしいのよ」


やさしい口調。


「西園寺の名は、自然と比べられてしまいますわ」


逃げ場のない言葉。


一ノ瀬が静かに


「西園寺家の名は注目されますもの…。完成度が問われます」


高宮が微笑みながら


「ふふっ、パーティーでは些細な乱れも西園寺家にとって恥になること忘れてはだめよ?」


白石が低く


「噂を立てられれば西園寺家である蒼様たちが恥をかくわ」


東雲が静かに言う。


「立場を弁えて」


誰かが小さく言う。


「名字だけ一流ね」


くすくすと笑いながら。


私は唇を噛む。


(踊れないのも場違いなのも事実)


「……負けない」


思わず声に出た。


ホールが一瞬静まる。


桐生院の目が細くなる。


(強情ね)


一ノ瀬は内心で思う。


(これだけしてもまだ意地を張るというの?)


高宮は少しだけ楽しそうだ。


(本番、どうなるかしら)


白石は冷静。


(彼女が本番でどこまでやるのか見ものね)


東雲は計算する。


(本番で恥をかくのは彼女よ)


桐生院が微笑む。


「本番で差は明確になりますわ」


宣告をする。


シャンデリアの光が揺れる。


ダンスパーティー当日は兄たちもいる。


全校生徒の前で恥をかかないように…。


私は最後列で、震える足を見つめる。


(今はできなくても、本番は必ず…)


舞台は、もう決まっている。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


ついに始まったダンスレッスン。


ひよりは本当に初心者です。

才能も経験もありません。


あるのは、負けず嫌いな気持ちだけ。


令嬢たちも、ただの“悪役”ではありません。

それぞれに守りたい立場や誇りがあります。


だからこそ、ぶつかり合う。


まだ兄たちは何も知りません。


本番は来月――ダンスパーティー当日。


舞台は整いました。


誰が笑い、誰が悔しさを飲み込むのか。


次回、少しずつ波が大きくなっていきます。


お楽しみに。


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