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理事長の娘になったら、5人の兄たちに溺愛されました!?  作者: ぴよこ


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2/12

送迎は誰の役目?

西園寺家で迎える、はじめての朝。


目が覚めた瞬間、天井の高さに一瞬だけどきっとする。


(あ、そうだった……ここ、豪邸だった)


制服に着替えてダイニングへ向かうと、すでに全員揃っていた。


……早い。


「ひより、よく眠れたか?」


「うん、玲央お兄ちゃん」


玲央お兄ちゃんは静かに頷く。


「初日は緊張で疲れやすい。無理はするな」


伊織お兄ちゃんが淡々と付け加える。


「固いって。ひより〜、楽しもうよ」


日向お兄ちゃんがにこっと笑う。


「トースト、もう一枚いる?」


蒼お兄ちゃんが優しく聞いてくれる。


「……牛乳」


海里お兄ちゃんが無言でコップを差し出した。


朝から過保護が渋滞している。


朝食を終えて玄関へ向かった瞬間、私は固まった。


黒塗りの車が三台、並んでいる。


しかも全部エンジンがかかっている。


「えっと……?」


「ひより、こっちだ」


玲央お兄ちゃんが当然のように一台のドアを開ける。


「待って。今日は俺が送るって言ったよね?」


日向お兄ちゃんがすぐに割り込む。


「合理的に考えれば僕が適任だ」


伊織お兄ちゃんが冷静に言う。


「初日は緊張するよね?僕が隣にいるよ」


蒼お兄ちゃんが穏やかに参戦。


「……同じ学年なんだけど」


海里お兄ちゃんがぼそっと言った。


私は車と兄たちを見比べる。


「みんなで一緒に行けばよくない?」


ぴたり、と全員が止まる。


「それは却下だ」


玲央お兄ちゃんが即答する。


「どうして?」


「ひよりの送迎は重要な役目だからだ」


全員が頷く。


そんなに大事?


「じゃあ順番制にする?」


私が提案すると、一瞬だけ真剣な空気になる。


「……初日は俺だ」


玲央お兄ちゃんが静かに決める。


「帰りは俺ね〜」


陽気に日向お兄ちゃんが言う。


「迎えは僕が」


淡々と伊織お兄ちゃんは言った。


「放課後は僕が案内するね」


蒼お兄ちゃんは微笑む。


「……俺だって」


海里お兄ちゃんが小さく言った。


母は玄関でにこにこしながら手を振る。


「仲良く順番にしてあげてねぇ」


順番制、らしい。


結局、今日は玲央お兄ちゃんの車に乗ることになった。


門をくぐり、白く大きな校舎が見えてくる。


「ここが、西園寺学院」


車が止まる。


同時に、左右から他の車も滑り込んできた。


ドアが開く音が重なる。


そして――


ざわっ。


「玲央様……!」

「伊織様もいる!」

「日向くん!」

「蒼くん!」


黄色い声があちこちから上がる。


気づけば、校舎前に自然と人の列ができていた。


左右に分かれた女子生徒たち。


まるで花道。


「……なにこれ?」


私が小声で言うと、


「非公式だ」


伊織お兄ちゃんが静かに答える。


「ファンクラブ」


日向お兄ちゃんがあっさり言う。


「気にしなくていいよ」


蒼お兄ちゃんが微笑む。


「……無視しろ」


海里お兄ちゃんがぼそっと言った。


五人が自然と私を囲う位置に立つ。


ざわめきが一段強くなる。


「え、誰?」

「あの女何者?」

「囲われてる……」


囲われてる?


「行くぞ、ひより」


玲央お兄ちゃんが歩き出す。


花道の中を進む。


左右から視線が突き刺さる。


でも、不思議と怖くない。


前も横も後ろも、お兄ちゃんたちがいる。


職員室前に着くと、先生たちの視線まで集まる。


「西園寺ひよりです。今日からよろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げる。


「では、教室へ案内しますね」


担任の先生が言う。


その前に。


「ひより」


玲央お兄ちゃんが呼ぶ。


「緊張しなくていい」


伊織お兄ちゃんが小さく頷く。


「楽しんで」


日向お兄ちゃん。


「無理しないこと」


蒼お兄ちゃん。


「……」


海里お兄ちゃんは無言だ。だが表情は柔らかい。


胸が少しあたたかい。


「いってきます」


私が言うと、五人が同時に頷いた。


先生に案内され、教室の前に立つ。


深呼吸。


扉が開く。


「今日から入る西園寺ひよりさんです」


一歩前に出る。


視線が一斉に集まる。


「西園寺……?」

「理事長の?」

「じゃあ、怜央様たちの…?」


ひそひそ声。


「西園寺ひよりです。よろしくお願いします」


頭を下げる。


静まり返る教室。


西園寺学院での生活が、いよいよ始まる。


まだ知らない。


この名前が、どれだけ特別なのか。


この花道が、祝福だけではないことも。


ただ一つ言えるのは――


どうやら私は、思っていたよりもずっと守られているらしい、ということ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


ついに西園寺学院へ登校しました。


送迎問題は思った以上に大きな問題だったようです。


そして、非公式ファンクラブの存在も明らかに……。


ひよりはまだ状況をよく分かっていませんが、学園ではすでにかなり注目されているようです。


五人の兄に囲まれて歩く花道。


守られている安心感と、少しだけ混ざるざわつき。


この先、甘いだけでは済まない空気もあるかもしれません。


とはいえ、しばらくはほのぼの甘めで進む予定です。


推しのお兄ちゃんは決まりましたか?


引き続き、見守っていただけたら嬉しいです。


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