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第8話 遺跡と襲撃


馬車は、南へと向かう。

平原をしばらく進むと、森が見えてきた。

足元には野草と露が踊り、木漏れ日が遺跡の入り口を優しく照らしていた。

森の中には、古代の遺跡が点在していて、かつて王族が住んでいた王宮の後もあるらしい。

石造りの柱や壁には苔とつる草がしっかりと絡みついている。

すると、ひときわ巨大な遺跡が現れた。

ゴラムは、馬車を止めて、周りをぐるっと見回す。

「この辺りから調べてみよう。」

そう言って馬車を降りた。アンヌたちも続く。


その様子を物陰から伺っている黒いヴェールの一団がいることに

ゴラムたちは、まだ気づいていない。





ゴラムたちは遺跡に刻まれている文字を詳しく調べることにした。

ケンタから翻訳スキルの使い方を伝授されたアンヌが、遺跡の文字の翻訳を試みる。どうやら石板にはエルドランドの歴史が刻まれているようだ。





ーーーエルドランドは長き戦乱の世にあった、やがて、人間の王が率いる勢力とゴブリンの王が率いる勢力の2つの勢力が現れ、互いに和平を結んだ。エルドランドの地を2人の王が協力して治めることとしたのである。これを「双王制」という。ーーー


ーーーエルドランド王国には2人の王により、平和な時代が訪れた。しかし、その平和も長くは続かなかった。王族の転覆を目論む謎の軍団が暗躍し、ゴブリン王の一族を皆殺しにしたのである。「双王制」は崩れ、エルドランド王国は、人間の王が治める国となったーーー


ーーーゴブリン王一族を滅ぼした一団は「ヴェールの影」という。人間の王の一族も滅ぼそうと画策したが、内部分裂を起こし組織は弱体化した。それ以降、「ヴェールの影」は表舞台から消えたのである。ーーー





「これは、、、」

ゴラムたちは、絶句した。

「エルドランドはもともと2人の王が治めていたのか。」

「ゴラム!これ、みて!」

アンヌが何かを見つけた。

そこには、2人の人物が向き合っているような紋章が刻まれていた。

「これって。」

ゴラムは自分の左腕の痣とその紋章を見比べながらつぶやく。

「この痣と一緒だ・・・俺は、王族なのか?」


「それにしても、これは古代遺跡というには新しすぎるな。」

ミカが不思議そうに言う。

「そうね。せいぜい100年、いえ、数十年前くらいって感じがする。」

アンヌも疑問を感じているようだ。


その時、物陰を黒い影が横切った。

「何かいるぞ。みんな気を付けろ。」

ゴラムが小声で言った。


木の陰から突然、黒い人影が襲ってきた!

「防御せよ!バリア!」

ミカが咄嗟に防御魔法を唱える。

ガキン!

ゴラムが素早く剣を抜き、相手の攻撃を防いだ。

「うおー!」

ドン!

襲ってきた敵を弾き飛ばす。

すると間髪入れずに別の人影が襲ってきた。

「やーっ!!」

キャスの飛び蹴りが炸裂する。

敵は、もろに蹴りを受けて吹っ飛んだ。

さらに数人の男たちに囲まれてしまった。男たちは、頭に黒いヴェールを着け、胸には赤い花を挿している。

ゴラムとキャスが次々と相手をなぎ倒していく。


すると物陰から一人の男が姿を現した。

パチ、パチ、パチ。

と手を叩きながら歩いてくる。

ゴラムとキャスは身構える。

男が話し出した。

「いやー、お見事です。さすがは王家の血筋を引くお方だ。」

「申し遅れました。私は、ザハークという者です。ヴェールの影のリーダーをしております。」

そう言って、ザハークはお辞儀をした。

「お前たちの目的は何だ?なぜ俺たちを襲う?」

ゴラムは剣を構えたままザハークに問いかけた。

「私たちにとって王族は邪魔なのですよ。この国は血筋ではなく真の強者が治めるべきだ。そうは思いませんか?」

「だから、ゴブリン王を殺したのか?」

「はははっ!そうですよ!まさか子供を逃がしているとは思いませんでしたけどね。」

「この野郎!!」

ゴラムが切り掛かる!

バシッ!

バリアのようなもので弾かれてしまった。

「くそっ!」

「ゴラムさん、また会いましょう!」

ザハークがそういうと、一陣の風が起き、他の仲間と共に一瞬で消えてしまった。


「ゴラム!大丈夫?」

キャスとアンヌが駆け寄る。

「大丈夫だ。ザハーク、あいつは強い。完敗だ。」

ゴラムは苦笑いしながらも、表情は険しい。


「それにしても、あいつら「ヴェールの影」とは何者なんだ?」

ミカが言う。

「とりあえず、この遺跡をもう少し調べてみよう。」

ゴラムはそういうと立ち上がった。


白い石が積まれた遺跡の中を隅々まで丹念に探索していると、

文字が書かれた石板を見つけた。アンヌがスキルを使って訳すと、

【封印されし王の血族は生きている。新たな時代が訪れし時、王国は選択を迫られるだろう】

と書かれていた。

「どういう意味だろう?」

ゴラムは、考え込みながら言った。

「わからんな。これだけでは。」

ミカにも分からないようだ。

「これ以上、ここを調べても何もなさそうね。」

キャスが言った。

「よし、ここは引き上げて、南のサウザー国を目指そう。」

そうゴラムが言うと、他の3人も頷いた。


ゴラムたちは馬車に戻り、南を目指して出発した。





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