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「カリギュラ」
「羅刹女」
「尿素」
「そ…側撃雷」
聞き慣れない単語でしりとりをしている優と喜美子。騒がしい二人と比べ、スチームロックスの方を見ている信参は静かだった。
「因習村…どうした礼木。何か不審な点でも見つけたか?どんな些細な事でも報告は大事だぞ。世の中にはその一言さえあればこんな事にはならなかったという事例はいくらでもあるのだからな」
「いやさ…なんか霧の中で動いてね?」
「雷切…気のせいだろ。部長は何か見えますか?」
「竜生九子…何も見えんな。まあ余程生物を嫌った環境でない限りそこには何かがいる。霧の中で暮らしている魔物でも見えたんだろう」
「俺が見たのが魔物か幽霊かはどうでもいいんだよ。問題はそこから見てるやつが危なくないかってこと!」
「ハッハァー!礼木は臆病なんだな。そんな運悪く危険な魔物に──」
優が小馬鹿にしたその瞬間、霧の中から何かが飛び出した。
どんな笑い方だとツッコミを入れる前に、信参は優と共に喜美子に掴まれてソレを避けていた。
「ぎゃあぁぁぁ!出たぁぁぁ!」
「この国にこんな魔物が!?」
「礼木も部長も立って!あんなの私なんかじゃ倒せませんからね!」
喧嘩上手な喜美子でも、自分よりも大きな狼を前にしては身を震わせて戦意も湧かなかった。
食べられてしまうのはごめんだ。三人は我先にと逃走を開始した。




