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スチームロックスは霧で充ちている。そこに生息している魔物はどれも生きるために水を重要視しているものばかりだ。
アオグソクムシは霧を出す岩に張り付いて生活する。中には産まれてから一歩も動かずに水分を摂るだけで生涯を終える個体もいる。
本来は高温の水を好むカンケツツキだが、スチームロックスの環境下で変異を起こして霧だけを食べるようになった結果、ブクブクに太って捕食種に狙われるようになった。ここでしか見れない太ったカンケツツキを食べた事で、クラスライムは合体していない個体でも危険視される程大きなサイズになった。
異常な魔物ばかりいるスチームロックス。だが信参達が近くを歩くというこの時期に限り、今後見れるかどうかも分からない魔物が潜んでいたのだった。
「グルバシャァ…」
霧の中を4本、いや3本の脚で歩く獣がいた。よほど激しい争いがあったのか右側の前足は関節の辺りから失われていた。
獣は視界の悪い霧の中でも、足元の鋭い石や肉食植物に捕らわれる事なく進んでいた。
進む先から匂いがする。野生の物とは思えない程に旨そうな匂いだ。
獣は決めた。ここから飛び出してこの旨そうな匂いを放つやつを喰ってやろうと。
そう、狙われているのはスチームロックスを避けて歩いてる信参達だった。




