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宮子の退室後、優は部員達を席に着かせて自身は黒板の前に立った。
「部長、姫守はどうやって捜すんですか?」
「その前にまず、奈良井君が置いていった手紙を見て欲しい」
近くにいた喜美子が手紙を取る。指摘したという事は何か気になる点を見つけたのだろう。
「これが…何か?」
「その手紙は印刷で出した物だ。これでは誰が手紙を書いたのかまでは分からない」
「この手紙を書いたのは姫守ではない。そういう事ですか?」
「確証はないがな。私の考えてる通りなら、姫守君は事件に巻き込まれている可能性がある」
その一言で部室の空気が凍り付いた。
「だ、だったら警察に相談しないと──」
「してもどうにもならないというのはさっき奈良井君が話した通りだが…それにしても納得いかなくないか?もし私が姫守君の親だとして、娘の失踪を届け出ても対応してもらえなかったらタダじゃ済まさないぞ。その事実をネットで拡散したり署に攻撃したりするだろうな」
「それだけじゃない。私も明達もC組に友達がいるわけではないが、今に至るまで姫守という同学年の生徒がいなくなったという話を聞かなかったぞ」
優に続いて喜美子も思った事を口にした。
「姫守の親はそもそも通報してない。そうですよね」
「私もそう考えた。保護者は未だ通報せず、目標は事件に巻き込まれた可能性もある。今回の依頼は闇が深い事だけ理解してもらおうか」
その後の優はいつになく真剣な顔付きで姫守利子の安否は保障できず、発見時に残酷な真実を目撃する可能性もあると告げた。
「だから今回の捜索参加は任意とする。耐性のある人だけ来たまえ」
「じゃあ俺は不参加──」
「黙れ礼木。君は強制参加だ。爆発させるぞ?」
「任意じゃねえのかよ…」
危険な事には関わるべきではないと明と風花が不参加の意思を示す。
優は親友が来ないのが意外に思えたが、それを表面に出す事はしなかった。
「古土君はどうする?」
「私の魔法が役に立ちそうなのでご一緒しますよ」
こうして魔法道具研究部からは優と喜美子、そして信参の三名が今週の土日にアノレカディアへ渡る事が決定した。




