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放課後になると気分が悪くなるのはどうしてだろう。きっと好きでもない部活動をやらされるからだ。
原因が分かっていながらも、カマルリングという指輪によって命を握られている信参は魔法道具研究部の部室へと向かっていた。
「体調悪いの?今日はもう帰ったら?」
隣を歩いていた明が身を案じるが、信参は首を横に振る。
「どんな目に遭わされるか分かんないから…あいつ酷いんだぞ。休んだらその次の日には普段の倍酷い事してくるんだ」
「その指輪さえ外れればねぇ…」
信参ウンウンと頷いてくれる明を相手に愚痴を吐きながら部室の扉を開ける。
部室には部長の優、副部長の風花、部員の喜美子、さらに見覚えのない少女がいた。
「新入部員かな?」
「こんな胡散臭い部活に入りたがるやついないだろ」
「その通り、彼女は依頼人で入部希望者ではない。早く入りたまえ。通行人の迷惑だろう」
非常識な優に叱られるのはこれ以上ない屈辱だが迷惑なものは迷惑。信参達は部室へ入ると適当な席に座った。
「いなくなってしまった友達を捜して欲しいんです!」
今回、魔法道具研究部に依頼をしてきたのは1年C組の奈良井宮子。
依頼の内容は同じクラスの親友である姫森利子の捜索である。
「捜索ならここみたいな胡散臭い部活じゃなくて、ちゃんとした警察とかに相談した方がいいよ!」
信参の意見は真っ当だ。しかしわざわざ依頼をしてきた事については理由があった。
「利子はきっとアノレカディアに行ったんだと思います…それも桜木ポートから行けるアーモニカとは別の国へ」
「法律的に難しいということか」
「アノレカディアって無限の世界ですよ…見つけられるんですか?」
言いにくそうに明が尋ねると、優は顎に手を当てた。
いかにも考えているというポーズをする少女は、普段のようなマッドサイエンティストの気質を感じさせなかった。
「よし、やろう。まずは…姫森君はどういう状況なのか…犯罪に巻き込まれたとすれば、たとえ力及ばずとも警察が動くはずだ。家出じゃないのかい?」
「は、はい。これを見てください」
宮子はカバンから紙を取り出した。
無地の紙に書かれた長い文章。それは利己からの家出を告げる手紙だった。
「…なるほど。この手紙の魔力を辿れば姫守君を捜せそうだ」
「本当ですか!?良かった…」
「お礼をされる程でもない。捜索を仕事とする人間なら誰でも出来るような事だよ」
優は宮子からの依頼が自分達の手に負えるレベルだと判断すると、次の土日で見つけてみせると告げた。
それを聞いて安心した宮子は部室を出た。




