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海外での依頼を終えた優達は数日掛けてサンフランシスコ国際空港に到着した。
「良かったねぇ、一番早い日本行きの席が2つ残ってて」
「お前の観光がなかったらもっと早くに帰れたんだが?」
「そんなに早く帰りたきゃ君の魔法で飛行機でも造ったらどうだい」
無理な提案だ。信参の魔法で作り出せるのは金属のみ。造れるのは部品程度なのだから。
「国外での依頼なんてこれっきりだからな。次からは無視しろよ」
「それは出来ないな。依頼を送って来るのは困った人なんだ。困ってる人を見過ごせないのが私という人間の性なんだ」
「んじゃあ俺もこの指輪で困ってるんだけどなんとかしてくれないかな」
「おやおや、それは私の力が及ばない代物だ。言っとくが高い金を払ってプロに解除を頼もうなんて考えない方がいいぞ。無理矢理外そうとすれば安全装置が作動して…」
「…作動して、なんだよ?」
「君の身体が爆発してしまうからね」
「結局そうなるのか…」
そんな物騒なカマルリングだが行きと同様、荷物検査で指摘される事はなかった。
「いや二度も通れちゃダメだろ…」
「なんでだろ~ね~」
飛行機が来るまで時間があった。信参は少しでもストレスの根源となる優から離れようとロビーの中を歩き回ったが、その後ろから優がついて回った。
「なんでついて来るんだよ」
「万が一トラブルを起こされても困るからな」
「お前にそんな心配されたくない!」
「私は部長だぞ?何かあったら私に責任が積もるんだからな」
「何かされたくなきゃ連れて来るな。大体、どうして俺が来なきゃならなかったんだ。副部長でも良かっただろ」
「いい経験になると思ったからだ。君は私の中で次期部長第一候補なのだからな」
「勝手に言ってろ。俺はそんなのにならないし、いつかこの部活だって辞めてやる」
「そうか。ところで部活を辞めた後の事は考えてるのか?」
「…」
考えてるわけがない。そもそも入る予定のなかった高校で信参が目指す物はなにもなかった。
「そういえば君、私が指輪を付けなければどこに入る予定だったんだ?」
「お前がそれ聞くか…海野高校だよ」
「末永さんと同じ?…いくらなんでも無理だろ」
「素の反応すんな…無理でも入るつもりだったんだよ!元カノがそこに行くって言ってたから!」
「は…はぁ………それで?元カノさんは受かったのかい?」
「あぁ………!そうだ、末永さんに協力してもらえば連絡取れるかも!」
「知り合い伝いで別れた女と接触しようなんて見苦しいぞ」
「誰のせいで別れる羽目になったと思ってんだ!お互い泣く泣くだったんだ!」
「ならもう涙も枯れる頃だろ。早く新しい恋人を探すんだな」
「……すぞ…」
そうして二人は険悪なムードを保ちつつ、飛行機が来るのを待つ事になるのだった。




