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「迎えが来たようだ」
「死を悟った人みたいなこと言うなよ…ん?」
検問所の内側に軍用車が停まる。降りて来たのはライフルを持った二人の兵士と白衣を着た男だった。
男は基地の内側から手招きした。検問所に近付きたくなかった優達がフェンスの方へ近付くと、彼も二人に合わせて位置を移った。
「清瀬優だね。よく来てくれた。私はドクターノレン。君達に依頼したニューワの部下だ」
「初めまして。ドクターニューワからのご依頼を受けて参りました」
「…隣の少年はボディーガードではないな?ボーイフレンドだとしてもセンスがないな」
「彼は私の助手です」
「なるほど。しかし人選は真面目にやるべきだな。検問所まで移ってくれ」
優達はノレンによる指示の元、検問所での細かい手続きを終えてアメリカ軍の敷地へ足を踏み入れた。
「スマホやらパソコンは預かるのに魔法道具は持ち込んでも平気とはね…どうした礼木、顔色が悪いぞ。時差ボケか?」
「余計なお世話だ」
二人はノレンの軍用車に乗せられると、目を覆うように厚い布を巻かれた。
「アイマスクにしては肌触りが悪いですね」
「一応付けさせてもらうよ。エリア51の関係者は来客だろうと信用されないからね」
軍用車は30分ほど走った。荒い運転の中、信参は酔いを我慢するので精一杯だったが、優は揺れの感覚から自分達が地下へ運ばれたと判断した。
「到着だ。目隠しを外してやれ」
兵士に優達の目隠しを外させた後、ノレンは自分達がいる場所について案内を始めた。
「ようこそ。ここは宇宙の秘密を解き明かすスペースセンターだ」
ツアーガイドのような口調に切り替えたノルンに導かれ、二人は研究所と思わしき施設の中を歩かされた。案内といっても余計な場所を見せるつもりもなく、ただ目的地に向かってる途中に見えた物をベラベラと喋っているだけだった。
「あの干物みたいなやつはエジプトで発見された宇宙人の死体だ。上手い事やってアメリカへ持って来た。それでその干物に光線を当てる装置を操作してるのがドクターマンザイ。漫才と同じ呼び方の割にジョークのつまらないやつだ」
優は表面上は楽しそうに彼の話を聴いていたが、一方で信参は不機嫌そうな表情をしていた。
しばらく歩いて、彼らは大きな扉の前までやって来た。
「ここが君達に依頼したドクターニューワのいる所長室だ。詳細はあいつから話を聞いてくれ」
ノレンはノックだけすると、同行していた兵士達を置いてその場から去って行った。仕事の雑な男だ。
「入れ」
扉上のスピーカーから声がした後、扉が左右にスライドした。
「よく来てくれた」
所長室と呼ばれた部屋だが、その中は嫌悪感を覚える程に荒れ散らかっていた。そしてドクターニューワらしき男が、部屋の隅で頭から毛布を被っていた。




