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@3

 入学式から一週間後、信参は新入部員になってくれる生徒を探していた。


「なあ上門って部活やるのか?」

「うん!友達と一緒に美術部に入ろうって話してたんだ!礼木君も一緒にどう?」

「いや~俺はな~…そっか~頑張れよ~」


 信参が左手の中指に付けているカマルリングは数あるルールを1つでも破った瞬間、そこから彼の身体を爆発させる。

 当然、部活を掛け持ちしてはいけないというルールもある。信参に選択する権利はないのだ。


「おはよう文音」

「あっ明ちゃんおはよー!」


 文音と明は鍵の一件から友達になっていた。

 一方で信参はあれ以来話す機会がなかったので、これが二度目の会話になった。


「礼木、どうかしたの?」

「魔法道具研究部入らない?人が足りなくてさ…」

「あーごめん無理。私、スカウト受けてるんだよね」

「えースカウト!?凄いじゃん!何部?」

「部活じゃなくて委員会。模範生として風紀委員に入って欲しいって頼まれたの。選挙せずにやらせてもらえるから、履歴書に書くことが楽に増やせてお得でしょ」

「それじゃあ委員会と部活、兼業するっていうのは──」

「し、つ、こ、い…他を当たってちょうだい」


 明からキッパリと断られてしまった信参だったが、諦めずに他のクラスメイトを勧誘。しかし部員になってくれる人物は一人も現れなかった。


 それもそのはず。魔法道具研究部は曲者揃いだと噂が立っているからだ。信参がそのことを知ったのは放課後になってからだった。


「おい清瀬!」

「コラ礼木、部室の扉を乱暴に開けるな。それに前から言っているが私は先輩だぞ」

「敬語を使って欲しかったらそれなりの態度を見せろ!そんなことよりも!この部活は悪評がありすぎる!こんなんじゃ何度勧誘したって誰も来るはずないだろ!」

「だったら君が何とかしたまえ。魔法道具研究部員として、悪評を塗り替えるような物を作ってみせろ」


「ハァァァァァ!?俺に魔法道具なんて作れるわけないだろ!」

 信参が叫び散らかしているのを見て喧しく感じた優は、細長い指をパチンと鳴らす。すると部室のロッカーから箒と掃除機が飛び出し、彼女の元までやって来た。


「これはどちらとも私が開発した魔法道具だ。複数の魔法式を掛け合わせた掃除機は無理でも、箒ぐらいなら君にでも作れるだろう」

「箒なんてどこの教室にもあるだろ!誰が欲しがるんだよ!?」

「別に箒じゃなくていい。必要としている人に必要な道具を提供するんだ。そうすればこの研究部の印象も良くなって、部活に入りたいという人が続々と現れるだろう」

「そんなトントン拍子に事が運ぶわけ…っていうかお前は何もしないのかよ!」

「私は学外への協力で忙しいんだ。学内は君に任せるよ」


 今度は棚からA4ノートを引き寄せて、それを信参に渡した。


「私が考えた魔法道具の基礎設計図だ。まずはそれを元に何か作ってみるといい」

「設計図なんて見せられても俺素人だし…」

 パラパラとめくるが、信参には難しい事ばかりが書かれていた。

「さあ!今日の部活内容は依頼者探しだ。礼木、こんな場所でボヤボヤしていないでさっさと行ってこい」

「そんないきなり!おいちょっと!」


 優の(しもべ)である魔法道具が動き出し、信参を廊下へ追い出した。


「はぁ…」


 ため息を吐いた信参は優に言われた通りに、魔法道具を必要としている人を探しに校舎を回り始めた。

 部活から同好会に格下げされた瞬間に彼は死ぬ。そんな最悪の未来を避けるためにも、今はこうして動かなければならないのだ。

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