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本日の天気は豪雨。学校に着いたばかりの信参はビショビショだった。
「へっくしょん!…あ~」
教室では濡れた靴下やシャツから着替えたり、熱を発生させる魔法で服を乾かしている生徒達がいた。
「な~俺のも乾かしてくんね~」
「靴下は一組で飲み物1本、それ以外は1着につき──」
「あぁ、可哀相な俺。今日一日濡れたまま授業を受けて体調を崩してしまうんだ」
「風邪引くって柄じゃないだろお前。それに魔法道具研究部なんだから、服を乾かす道具ぐらい用意できるだろ」
魔法道具研究部というワードで、忌まわしい部長の顔が浮かび上がる。どんな理由であれアイツには頼りたくないと信参は思った。
「…今日暑いし濡れててちょうどいいわ」
結局、信参は濡れたまま過ごすことになった。
しばらくすると明が教室に入ってきた。しかし他の生徒達が濡れているというのに、彼女はまるで雨の下を歩いて来なかったかのように綺麗な姿だった。
「えっなんでそんなに濡れてんのよ…」
「逆に聞くけど、そっちはなんで濡れてないのさ。雨止んでた?」
「これ、副部長に造ってもらったんだ」
明の手にはゴム紐が結ばれており、紐の先にはパンパンになった水風船が付いていた。
「魔法道具なのか?」
「そう、私にかかるはずだった雨は全部この中。凄くない?」
「へえ~副部長が…」
部長である優に対しては敵意剥き出しになる信参だが、副部長の風花にはそこまで警戒していなかった。しかし彼女と関わると優がそれはそれは鬼の様に恐ろしい形相でこちらを見てくるものなので、あまり関わりたくはなかった。
明は風船の中身を捨てに教室から出て行った。それと入れ違いで、手に紙を持った喜美子が入って来た。
「おはよう。それって宿題?」
「グッドモーニング。これは部長からの手紙だ。お前が部活のグルに入らないからわざわざ紙にしてくれたんだぞ」
「部員顎で使わないで自分で持って来いよ…」
信参よ、そしたらそれで顔を見て不機嫌になるだろう。
魔法道具研究部の親睦を深めるための日帰り旅行!横浜東動物園へ行こう!
明るめなフォントでデカデカと書かれていたタイトルである。紙に書かれていたことを要約すると、次の土曜日に研究部の部員で遠足にいくので、その予告だった。
「ふざけんな!なんで土曜日までお前と一緒に過ごさなきゃいけないんだ!つーかいきなり過ぎるだろ!せめて先週に予告しとけよ!」
「そこまで私が嫌なのか…!?」
「ご、ごめん!嫌いなのは古土じゃなくて部長だから!」
喜美子と明、副部長は行く気満々らしい。そしてカマルリングを嵌めている自分に拒否権はないのだろうと、信参は諦めて腹を括った。




