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龍ゐ寅ゑ!いけいけ奇才シンサくんD@YNA  作者: 仲居雅人


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@11

 今まで姿を見せていなかった魔法道具研究部の副部長が今日、久しぶりに部活動に参加することになった。


「副部長って今まで資格の勉強をしてたんですよね?原付ですか?」

「いや、魔法石取扱免許だ」


 その言葉に反応した明は優と喜美子の会話に割り込んだ。


「魔法石取扱って難しいやつじゃないですか!それに挑戦するなんて立派な人なんですね!」

「どこがだい。私なんて中学二年生の頃とっくに取ってた。なのに勉強は面倒だからと今の今まで資格を取ろうとせず…あいつが魔法石で発明品が造りたいと言った時、苦労したのはいつも私だ。知識ある私が失敗すると注意してもあいつは造りたいの一点張り!おかげで散々だった!」

「た、大変だったんですね」

「こいつの知り合いとかどーせロクなやつじゃねえよ…」

「聞こえてるぞ。だがその通りだ。ロクなやつじゃないから覚悟するんだな」


 優の話だけではあまりいい印象は持てなかった。しかしその悪印象な人物と会うというのに、彼女は楽しそうにしていた。


 部室の前に人が集まっていた。


「なんだいあれは?入部希望者か?」

「え、部長知らないんですか?今の魔法道具研究部は、審査会で部費を減らされたり同好会に格下げされた人達に物凄く憎まれてるんですよ」

「知らないよそんなの…ほら退いた退いた。風紀委員、君も何か言ってくれ」

「皆さん!ここに集まっても魔法道具研究部部員の方々に迷惑が掛かるだけです!審査会の結果に納得いかない気持ちはお察しします。ですがこんなことをしても何の解決にもならないでしょう?!」


 風紀委員と言っても一人だけでは大した影響力はなく、他部活の部員は詰め寄った。


「女子生徒ばっかりだから依怙贔屓されたんだ!」

「ズルいぞ!」


 先頭に立っていた明を突き飛ばそうとする手が迫る。すると信参は彼女の腕を引っ張って身体を退かせた。


「俺達もう高校生なんだから!こんなデモみたいなやり方じゃなくて話し合いで解決しましょうよ!ね?…ってどっちも似たようなもんか」

「ほら、他でもない一年生に言われてしまったぞ。部活が不評だったのは君達の実力不足だと認めたらどうだ」


 ここでそんな火に油を注ぐような発言をするのか。信参は優の神経を疑った。


「道を開けてもらえないかしら?」


 騒ぐ生徒達に比べると小さく、信参達にも聞こえたかどうか怪しい声だった。しかしその存在感は恐ろしく、部室前で騒いでいた生徒達は静まり返って、その人のために道を開けた。

 人が退いて出来上がった道を、刀を持った少女が歩いて来た。


「またくだらない物を作ったねぇ…」

「教室で目線は合っていたはずなのだけど…こうして会話するのが久しぶりだから、あなたと会うことすら久しぶりに感じるわ。あら?そちらの一年生達はもしかして…」

「君が猛勉強中に入部してくれたんだ。紹介しよう。彼女が副部長の明壁(あすかべ)風花(ふうか)だ」


 抗議のために集まっていた生徒を追い払い、ようやく部室へ入ることができた信参達。

 すると副部長である風花は黒板の前に立ち、早速発明品を紹介した。


「観光地とかで売ってる安いオモチャのようだけど…」


 一見するとただの刀だ。しかし鞘に収まった模造刀はいくら引っ張っても抜けなかった。


「この刃は魔法石を加工して作った物よ。喜美子さん、どんな魔法石を使ってるか分かる?」

「え、私?…魔法石…魔法石は…多分生物(りき)に分類するやつっていうのは…」


 魔法石とは力を宿した物体である。生物の力を宿した生物力と現象の力を宿した現象力の2種類が存在する…が、コメディであるこの作品でこういう設定は意味を成さないので、覚える必要はない。


「そうだ。この刃にはクレインオーガの魔法石を使っている。あいつの声には群れで生活する動物に強く影響するからな。怒りを込めて声を出せば、それだけで敵軍に恐怖を与えられるので戦時中の国には高く売れるんだ…あ、私はそんな阿漕な商売してないからな」

「私が解説してたのに…そう、これは私の発明品で初めて魔法石を使った代物なのよ」

「初めて…かい。じゃあどうして、私の中学の頃の思い出が爆発まみれなんだろうねえ」

「そもそも学生が持っていい代物じゃないですよね…」

「…はぁ」


 四人が親しげに会話している蚊帳の外、信参は早く部活動が終わらないかと時計を睨んでいた。


 風花は刀を優に渡して二人への解説を任せると、カバンを持って信参の元へ出向いた。


「あ…」

「あなた、もしかして優に無理矢理入部させられた?」

「そ──」


 地獄耳の優は会話を聞き逃さずに信参を睨んで抜刀した。


「言ったら殺す」


「部長、何か言いました?」

「いやぁ~?それにしても便利な刀だねえ」


 小声ではあったが確かに殺意が伝わって来た。もしも入部した経緯を話したら、指に嵌っているカマルリングが起動するかもしれない。そう思うと、信参の血の気が引いていった。


「そんなことありませんよ!ただ、会話のレベルが高過ぎてついていけなくって!俺、馬鹿ですから!」

「おバカさんが入学できるほど簡単な入試じゃないと思うのだけど…」


 風花は信参の腕を取った。


「…ってなんで触ってるんですか?」

「脈を測ってるの…緊張しているにしてもやけに早いわね。先輩だからってそう怖がらなくていいのよ」


 怖いのは副部長ではなく部長だ。風花と親しげにしているのがよほど気に入らないのか、凄い目でこちらを見ているのだ。


「…こ、高血糖ですかね。俺、甘い物大好きだから」

「この歳で高血糖って大変じゃない!夏休みは魔法道具でダイエットするわよ」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

「部長!あんまり乱暴にやると──」

「本番を表すジェスチャーみたいでエロいです!」

喜美子(あんた)何言ってんの!?」


 副部長という人物の人柄はよく分からなかったが、親しくすると部長の怒りを買う。信参はこれからの部活動が怖くなり、あまりこの人とは関わらない様にしようと思った。

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