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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第98話 飛んできた踊り子

 うつむくロッソを見ながらキースは、ゆっくりと歩き左手に持った剣を強く握りしめる。しかし、急に地面が薄暗くなった。異変に気付いたキースが上を向いた。


「これは!? クソ!!!!」


 上を向いたキースの目の前に大きな火の玉が迫っていた。身構えるキースの横に火の玉は落下し爆発した。大きな爆発音が響く。さらに火の玉は一つではなく次々にキースが居た場所へと落ち爆発する。

 激しい爆発音でロッソは目を開いた顔をあげる。


「なんだこれ…… あれは」


 目の前で燃え上がる地面を見て驚くロッソだった。


「お兄ちゃーーーん!!!!!!!!!!!」

「シャロ…… あの飛竜はドランか!? どうして……」


 声がして顔を上げたロッソ、空を見ると十メートルくらいの高さに、大きな飛竜の足が現れその上にはシャロが乗っていた。手を振りながらシャロがロッソを呼んでいた。

 低空で近づく飛竜の足からシャロが飛び下りた叫びながらロッソに抱き着いた。


「えっ!? わっわっ!」


 ロッソはシャロの抱き着かれると、そのまま空高く舞い上がっていった。ロッソは何が起きたかわからないが、抱き着いたシャロが彼の顔を覗き込んで笑っていた。シャロの腰には紐が結ばれ飛竜の足とつながっていた。ドランが上昇すると、同時にシャロに抱き着かれたロッソも一緒に引っ張られ上がっていく。


「助かった…… シャロ…… ありがとう!


 遠く離れていくクーリアンの町を見ながら、しがみつくシャロをロッソはきつく抱きしめ頭を撫でるのだった。

 クーリアンから少し離れた空。悠然と空を飛ぶ飛竜ドランの背中の上でシャロはロッソに抱き着いて泣いている。


「ばか! お兄ちゃん! なんで一人で…… 勝手に残って…… 嫌い嫌い!」

「シャロ……」

 

 ロッソの胸に額を置いて、何度も何度もシャロは拳で彼の胸を叩く。彼女に叩かれたロッソは、痛いわけじゃないが叩かれた一発一発が心に響く。

 叩き終わると抱き着いたシャロは、頭をロッソの胸につけてずっと小刻みに震えていた。


「旅を始める時に約束したでしょ? お兄ちゃんはあたしを守るって! だから勝手に離れちゃダメ!」

「うん…… ごめんな。でも…… 誰かが残ってキースの相手をしないとみんなが……」

「ダメ! もし戦わなきゃいけない時はあたしも残るから! もう一人で勝手にあたしから離れたらダメ! 約束よ!」


 シャロはロッソの顔を覗き込み涙目でジッと見つめている。


「はぁ…… そうだな。護衛(ボディガード)が勝手に離れたのはよくなかった。約束する。もう勝手にどこにも行かねえよ」

「よし! 約束! じゃああたしは疲れたから寝る! 後マーロンにもお礼言いなさいねお兄ちゃん」

「おっおい!?」


 ロッソの答えに満足し、シャロは笑って頷いた。彼女は手を伸ばしロッソの頭を三回ほど撫で、自分の頭をロッソの肩に置いて目をつむった。気持ちよさそうに笑顔で目をつむるシャロ、ロッソは肩に置かれた彼女の頭に迷惑そうに顔をしかめる。


「シャロ…… 重いよ……」

「うるさい! 大人しくしなさい」

「もう…… あっ!? 本当に寝やがった!」

 

 シャロがロッソにもたれかかったまま静かに寝息をたてはじめた。ドランの首の付け根で操縦しているマーロンが振り返り二人を見ていた。


「マーロン! 危険なのに来てくれてありがとうな。助かったよ」

「いえ! ロッソお兄さんを助けられてよかったです」


 マーロンは背筋を伸ばしてロッソに敬礼をした。


「だから…… 気持ち悪いからお兄さんはやめろ……」

「はい。ロッソお兄さん!」

「いやだから!!!」

 

 嬉しそうに笑ったドランは前を向く。ロッソは顔を不機嫌そうに横に振るのだった。

 飛竜ドランは十分ほどで劇場飛空艇に追いついた。キースの戦っていた際に、ロッソは気づかなかったが、壁の一部が崩れていたりして結構ダメージがあった。

 ロッソたちが最初にこの劇場飛空艇に来た時と同じように、マーロンは船尾に開いた入り口から船内へと向かう。

 格納庫に着きドランから降りたロッソに、笑顔のミリアとリーシャとグアルディアの三人が駆け寄って来た。シャロは三人に向かって手を振り少し得意げに笑う。


「ミリア! リーシャ! 馬鹿お兄ちゃんを連れて戻ってきたよ」

「はっ!? シャロ! 馬鹿とはひどいじゃないか!」

「ロッソ! 何言ってるんですか! シャロちゃんの言う通りあなたは馬鹿です…… 馬鹿よ…… 本当に馬鹿です!」

「うわ!? ミッミリア……」


 ミリア泣きながらロッソに抱き着き、さらにリーシャが彼の足にしがみつく。


「そうですよ。旦那しゃんはメーです! 今日はいっぱいリーシャがメーするです!」

「ごめん…… 二人とも……」


 ロッソにしがみついたミリアとリーシャは泣いていた。二人の手はギュッと力強く締められ外れない。


「もう勝手に行っちゃだめですよ! リーシャにちゃんと言ってから行くです」

「わかった。もうしねえよ」


 リーシャが顔をあげてロッソに必死に叫んでいた。ロッソはリーシャの頭を撫でて謝っていた。ロッソが攻められるの見たグアルディアは両手を頭に置いて笑顔だった。


「グラルディア…… リーシャとミリアを守ってくれてありがとうな」

「気にするな。僕も一応彼女たちの護衛だらね」


 満足そうにグアルディアがロッソに向けて答えていた。


「でも…… なんでシャロを戻らせたんだ! 俺はお前にシャロを……」

「そんなの知らないよ。キースと戦うために君が残ってるっていったら、僕を突き飛ばしてドランに乗り込んで勝手に一人で行っちゃったんだから…… 慌ててマーロンがドランに飛び乗ってついて行ったけどね」

「シャロ!? そんなことしたのか?」


 グアルディアの発言にロッソがシャロの方をみると、口をとがらせて視線を外して気まずそうにしていた。


「もう…… 無茶して…… やっぱりお転婆じゃないか。でも、シャロありがとうな。来てくれてうれしかったよ」

「えへへ」


 呆れながらロッソは妹の気持ちが嬉しく感謝を伝える。彼女は恥ずかしそうに笑うのだった。

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