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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第96話 激突! ボディガード対勇者

「えっ!?」


 左を向いて駆け出したキースに驚くロッソ、キースはロッソに見向きもせずに魔法障壁を剣で斬りつけた。大きな音が響き魔法障壁にヒビが入る。キースはロッソを無視して障壁を破壊し劇場飛空艇へ攻撃を加えるつもりのようだ。


「そうはいくか!」


 ロッソは大剣を両手に持って、構えてキースに斬りかかった。走りながら振り上げた大剣をキースに向かって振り下ろした。

 近づくロッソの気配に即座に反応したキースは、振り向いて向いて剣を自分の顔の前で斜めにし、彼はロッソの大剣を受け止めた。


「防がれたか…… おわ!」


 キースは右足の裏を前に向けて、ロッソを蹴って来た。ロッソは剣を引き上げながら、体を斜めにひねり蹴りを

 そのまま回転するようにしてロッソは大剣を横にしてキースに斬りつけた。円を描くようにして鋭く伸びる大剣がキースの腹へと向かっていく。


「チッ!」


 迫る大剣をキースは上に飛んでかわした。飛び上がりすぐ背後にあった魔法障壁を蹴ったキースはロッソを飛び越えて彼の背後に飛んで距離を取った。


「逃がすか!」


 振りぬいた剣を戻してロッソは振り向いて、すぐに構え直してキースとの距離をつめて斬りかかる。甲高い金属音が響く。キースがロッソの大剣を受け止めた。


「うわ!」


 キースは刀身に左手をそえロッソの大剣を押し出した。押されたロッソは二歩ほど下がりバランスを崩した。キースは右腕を戻し、ロッソに切っ先を向け突き出した。


「おっと!!!」


 ロッソは地面を蹴って後ろに飛んだ。突き出されたキースの剣は胸当てをかすめ縦に数センチの傷がついた。ロッソは四メートルほど後方に着地しキースに視線を向けた。キースは剣を突き出したまま、悔しそうにロッソを睨みつけていた。


「まだまだ!」


 ロッソは大剣を構えて再度キースに斬りかかるのだった。その後、ロッソが何度もキースに斬りかかるが、彼の大剣はことごとくキースに防がれた。しかし、これがロッソの狙いだった。彼は攻め続けてキースが何もできずに時間が稼げればよかった。何度目かの打ち合いの後、二人は二メートルの距離で向き合って対峙していた。ロッソは肩で息をしキースは粘る彼を苦々しく見つめていた。


「はっ!?」


 周囲が急に薄暗くなり、キースの視線が一瞬だけロッソから離れた。飛び立った劇場飛空艇が、城の屋根の高さほどまできて黒い影が地面にいる二人を覆ったのだ。


「おい! 隙だらけだぜ!!」


 わずか一瞬だけ出来た隙を見逃すロッソではない、彼は素早く右腕を引くと地面を蹴って、キースとの距離をつめた。

 距離を詰めたロッソはキースの胸を狙って鋭く右腕を突き出した。何とか反応できたキースだったが、距離が詰められ反撃はできず、なんとか右肩を後ろに持って行き体をひねって大剣をかわそうとした。しかし、ロッソの大剣の方がわずかに速く、キースの右肩をとらえた。


「グっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 苦悶の表情を浮かべるキース、彼の右肩にロッソの大剣が突き刺さった。剣を通して通しにロッソの手に感触が伝わってくる。カランカランという音がしてキースの右手は力をなくダランと垂れ下がり、右手に持っていた剣が地面へと転がる

 右腕を伸ばしてロッソに守護者大剣ガーディアンクレイモアの白い刀身をつたって、キースの血が地面に点々と落ちていく光景が見える。


「ははっ。これで魔王城での借りは返したぜ…… えっ!?」


 笑うロッソにキースが顔をこちらに向けた。眉間にしわが寄り、目つきが鋭くかなり怒っているようだ。


「何を笑ってやがる!!!!! 舐めるなよ。のろまのロッソーー!!!!!!!!!!!!」

「あっ!? えっ!?  うわわあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 怒鳴ったキースの力なく垂れていた右腕が上がった。そのまま守護者大剣ガーディアンクレイモアを両手でつかむとロッソを剣ごと持ち上げた。肩から大剣を引き抜いたキースはロッソごと投げ飛ばした。

 ロッソの背中に衝撃が走る、彼はまた地面に叩きつけられたのだ。


「イテテ…… 右手は使えなくなったと思ったけど…… さすがキースだな。でも……」


 ロッソは守護者大剣ガーディアンクレイモアの切っ先を地面にさし、支えにして立ち上がった。彼は視線を上に向け満足そうに笑う。

 シャロたちが乗った劇場飛空艇は、ゆっくりと城から離れて行く。城壁や城の中庭にいる王都の人間の兵士たちが必死に矢を放っていた。左手で右肩を抑えながら、キース劇場飛空艇を悔しそうに見つめていた。


「もういい! 壊れてもかまわん! ハイグレードオークたちよ! 僕が魔法障壁を壊すから魔法で飛空艇を撃ち落とせ!」


 キースが叫びながらハイグレードオークに飛空艇の攻撃を命じた。ハイグレードオークたちが飛空艇に向けて魔法を唱え始めた。城の中庭にいる百人のハイグレードオークたちの手に赤い光が集約されていく。キースも左手を飛空艇に向けて集中を始めた。


「まずいな…… いくら劇場飛空艇が頑丈でも一斉に魔法攻撃を受けたら……」


 必死に考えを巡らせるロッソだった。何とかしないといけないが、片腕でもキースはロッソ互角の実力はあるだろう。たとえキースを倒せたとしても周囲にいるハイグレードオークたちも排除しなければならない。


「ダメだ!! 片方だけどうにかしてもダメだ両方一緒に…… 魔法障壁でハイグレードオークを吹き飛ばすか!? それは無理か数が多いし…… キースが障壁の中にいる状態でやったすぐに俺が殺されてしまう。あぁ! 俺はどうしたらいいんだ!?」


 必死に考えるロッソだがいいアイデアは出てこない。彼は右手で地面にさした大剣の柄を握り、左手は悔しそうに拳を握っている。


「うん!?」


 ロッソの目に光が目に入り動きを止めた。


「これは…… セドニアがくれたガントレット…… はっ! これを使えば何とかなるかもしれないぞ!」


 光りは左手につけたガントレットの宝石だった。ロッソはセドニアの言葉を思い出していた。


「えっと…… 確か…… 弾丸だったよな。よし! 障壁と同じように闘気を送り込んで……」


 目をつむりロッソは集中し、両手で地面に刺した守護者大剣ガーディアンクレイモアを握りしめ全力で闘気を送り込んでいく。

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