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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第89話 バージョンアップ?

 劇場飛空艇は雲に覆われたカネリア王国の王都クーリアンの上空へと達した。雲よりも低く飛びながら王都を横断していく。劇場飛空艇の窓から見える町の人は、突如現れた巨大な飛空艇を見上げ驚いていた。

 ミリアとリーシャは舞台で忙しく準備をし、シャロは踊り子たちと舞台の袖で待機をしている。王都にある広場に着陸と同時に劇場は開かれて公演が開始されるのだ。ロッソは踊り子に紛れてシャロの近くに立って監視をしていた。彼の周囲は騒がしくシャロを含めた踊り子たちが踊りの最終確認を各自行っていた。

 ガーネット王女の誕生会初日の今日は、ブルーセイレーンはセドニア音楽団と一緒に演奏する。

 二日目からもセドニア音楽団と一緒に演奏をするが、午前と午後に二回十五分のブルーセイレーン単独演奏を行うのだ。

 

「ロッソさーん! ちょっといいですか?」

「セドニアさん!?」


 舞台の袖にいるロッソに、セドニアが笑顔で歩いて近づいてくる。彼は手に革製の薄い茶色い袋を持っていた。


「何か用でしょうか?」

「へへぇ。実はちょっとお渡ししたい物がありましてね」

「えっ!? ちょっちょっと!?」


 セドニアは手に持った袋を、ロッソに押し付けるように渡して来た。ロッソは目の前に突き出された袋をやや困惑しながらも受け取るのだった。


「早く! 中を開けてみてください」


 ロッソが渡されたのは革の袋は紐で口をしばられていた。軽いし中身は膨らんでいないので、小さい物が入ってるようだ。セドニアが危険な物をロッソに渡すことはないだろうが、彼がニコニコしているのが少し不安なロッソだった。彼は紐をといておそるおそる中に手を入れた。


「これは…… 小さい石に…… ガントレットか…… なんですかこれ?」


 袋から出てきたのは、剣の柄頭に装備できるように加工された小さな丸い赤い宝石と深い青色の革手袋に真っ黒な装甲ついたガントレットだった。ガントレット手の甲の装甲部分には水色の宝石が埋め込まれている。

 ロッソが出て来た石とガントレットについて、尋ねるとセドニアはニコニコ笑いながら楽しそうに話を始める。


「その石は魔石というものですよ。取りつければ魔法の力を武器や防具に付与できます。この飛空船の原動力にもなってるんですよ。ガントレットは僕が開発した魔法道具です。飛竜の革をつなげた手袋に黒精霊鋼の装甲をつけて装備しやすいうえに頑丈ですよ。さらに甲の魔石の力で敵の強さを測ったりできます」

「はぁ……」

「この間、ロッソさんの大剣はまだすべての能力を出していないって言いましたよね。それで作ったんです! でっ魔石は……」


 セドニアが熱く語りだす。魔石を守護者大剣ガーディアンクレイモアの柄頭に取り付ければ、今までは闘気を魔力に変換して障壁をはって攻撃を防ぐだけだったのが、闘気を魔法の弾にして相手を攻撃できるようにもなるという。


「ふーん。闘気を魔法の弾にするのか…… 確かにすごいけど……」

「えぇ。名付けて闘気弾丸(オーラバレット)です。でも、それだけじゃないですよ!!! ガントレットは……」


 説明を続けるセドニア、ガントレットは守護者大剣ガーディアンクレイモアと同じで闘気を魔力に変換できる。


「ガントレットには飛竜の素材を使っているんです。魔力と飛竜の素材を掛け合わることにより飛竜がもつ能力の一部が使えるようになるんですよ!」


 飛竜の頭部にはセンサーのような器官があり、高い索敵能力を持つまた視力は魔力を帯び敵がどの程度の戦闘能力を持っているかを把握できる。ガントレットは闘気を魔力に変換し使用者に飛竜の能力を付与するという。


「また魔力を帯びた飛竜の目は敵を拘束します。それにより闘気弾丸(オーラバレット)の補助してくれるんです」


 セドニアは全ての説明が終わり、少し興奮気味にロッソに顔を近づけて来た。


「どうですか? すごいでしょう? さっ! 早く大剣につけてみてください!」


 期待した目でロッソに魔石をつけるように促すセドニアだった。ロッソは少し困惑したようすで魔石をジッと見つめた。守護者大剣ガーディアンクレイモアは武器ではあるが魔法障壁を展開するなどどちらかと言えば防御に特化していた。セドニアが作ってくれた魔石と腕輪を使えば守護者大剣ガーディアンクレイモアあh攻守に優れた武器へと変わることができるだろう。しかし…… ロッソは手に持った魔石をジッと見つめ動かない。


「あれ? つけないんですか?」


 魔石を守護者大剣ガーディアンクレイモアに装着しないロッソに、残念そうにセドニアが話しかけてくる。


「はい。俺にはそんな力は必要ないかなと…… シャロたちを守るだけなら今の守護者大剣ガーディアンクレイモアの魔法障壁だけで充分ですよ」

「そうですか…… 無理にとはいいません。ただ…… あなたが守る者のために力を欲することは間違いじゃないですよ。それだけです。じゃあ!」


 セドニアはロッソに無理強いはせず、右手を顔の横にあげ爽やかに挨拶をすると立ち去ろうとした。ロッソは慌てて彼を止める。


「待て! これ! 返さなくて……」

「別に使わなくていいんでもらってください…… 僕が仕事さぼって作ってたのテルマとケビンにバレてるんで…… 突き返されたなんて言ったら…… お願いします」

「はっはぁ…… わかりました。まぁ…… つけるだけなら」


 しょうがないな。泣きそうな顔で、セドニアがロッソに頭を深く下げた。乗り気はしないロッソだったが、セドニアに頭を下げられしょうがなくガントレットと魔石を受け取った。

 まずは魔石を守護者大剣ガーディアンクレイモアに装着し次に左手にガントレットを装着する。


「えっと…… これは…… ここか! へえ簡単に取り付けられるもんだな。ガントレットも軽くて動かしやすい……」


 大剣をしまいガントレットを装備した、左手を握ったり開いたりして動かし感触を確かめるロッソだった。


「うん!?」


 ガントレットの動きを確認するロッソと柄頭に魔石を付けた守護者大剣ガーディアンクレイモアを見て、セドニアがニヤッと笑ったような気がした……


「いや気のせいだよな」


 首を横に小さく動かすロッソだった。


「着陸します! 少し揺れるから注意してください!」


 船員の声がしてすぐに船体が軽く揺れる。劇場飛空艇が目的地に着いたのだ。

 大きな音がしてゆっくりとコンサートホールの天井が二つに割れて開いていく。さらに舞台と反対側の壁がゆっくりと横に移動して開く外の光景がみえてきた。

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