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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第87話 オーナーは護衛の武器が気になる

 ロッソがワイバーンを追い払ってから少しして、セドニアとケビンが人を引き連れて来て舞台の修理を始める。

 設計から組み立てまで、セドニアが行った飛空艇の修理や改修は、もちろん全て彼の指揮で行われる。


「劇場のオーナーでも、のんびりとはしてられないものなんだな……」


 作業を指示するセドニアを見て感心するロッソだった。ケビンによるとワイバーンが劇場飛空艇に入ったのは、狩りをしていたワイバーンの群れが劇場飛空艇に気づかずに近づきすぎてしまったからだという。

 戦闘状態になったワイバーンの一頭が、マーロンの守備隊の包囲網を突破したのだった。群れの規模が大きく守備隊が一頭見逃してしまったようだ。


「でも…… 本来なら山に住むワイバーンが海にいるなんてな。それに…… 劇場飛空艇を見たらワイバーンだって逃げ出すはずだろ」


 難しい顔で考えるロッソだった。いくらワイバーンが獲物を必死に追っていたとしても、自分よりも何倍もある劇場飛空艇に気づかずに接近する可能性はまずない。よほど獲物に飢えていたのだろう。

 考え込むロッソの足元を小さな影が走って行った。


「あっ! こら! 邪魔しないようにするんだよ」

「大丈夫です! リーシャは大人しくしてます!」

「本当かな…… まぁミリアが一緒にいるから平気か」


 修理の様子が面白いのかわくわくした様子で、リーシャが修理の様子を見にセドニアたちへと駆けていく。リーシャの横にはミリアがよりそっている。


「ふぅ! 終わりました!」

「えっ!? はや!」


 あっという間に修理を終わらせて、セドニアが汗を拭きながら水を飲み始めた。セドニアがロッソを見つけると笑顔で右手をあげ近づいてくる。


「ロッソさん! ワイバーンを追い払ってくれたそうでありがとうございます」

「いえ…… 大したことはしてねない。それに…… 舞台を壊しちまったしな。悪かった」

「いいんですよ。旅なんかしてたら劇場飛空艇が壊れるなんて日常茶飯事ですから! 壊れたら僕がすぐに直しますよ!」


 拳を顔の前に握ってセドニアが力強く話す。同じように旅をするロッソは、セドニアその前向きさとバイタリティに驚くのだった。


「さて…… 今日の練習が終わりましたが、テルマが修理後の感触を確かめたいみたいですよ。僕も見学しようっと!」


 背伸びをしたセドニアがうきうきとした様子で、近くの観客席を見渡してどこに座るか悩んでいた。彼は劇場飛空艇を作るくらいなので、音楽も劇も踊りも大好きで音楽団の練習に頻繁に顔をだしているのだ。

 なお、練習の邪魔をすると、例えオーナーであってもテルマに叩き出される。


「うん!?」


 何かに気づいたセドニアが、ロッソの横へと駆けて来た。彼は小さい体を大きくそらし、ロッソの背中にある守護者大剣ガーディアンクレイモアを見て目を輝かせている。大剣を見つめられ少し気まずいロッソが声をかける。


「あの…… 俺の剣が気になるのか?」

「ロッソさん…… あなたのその剣をちょっと見せてもらっていいですか?」

「えっ!? 別にかまわないけど…… ほら」


 ロッソは手を伸ばして、背中の守護者大剣ガーディアンクレイモアを抜きセドニアに渡した。セドニアは彼の身長より大きい大剣を両手で抱えるようにもって眺めていた。


「いやぁ! 実に良い剣ですねぇ。以前にここに来られた時は持ってませんでしたよね? どこでこれを?」

「これは聖都アクアリンドに祀られた剣でアルティミシア様からキースの実力が認められた時にもらったんだ」

「なるほどアルティミシア様のご加護がついてるわけですね…… ただまだ全ての能力を出せているわけないようです」

「えっ!? 全ての能力って……」

「なるほど…… 聖鉄鋼(ホーリースティール)で出来ているのか…… 僕なら…… こうして……」


 真剣なセドニア剣を見ながらぶつぶつと独り言をつぶやいている。ロッソの声は彼に届いてないようだ。


「いやぁ! いいもの見れました! ありがとうございます。あっ! 練習が始まりますよ。早く席に着きましょう」

「えっ!? はい」


 セドニアはロッソに守護者大剣ガーディアンクレイモアを返すと、さっさと席について音楽団の練習風景を楽しそうに見つめるのだった。

 翌日から音楽団の練習をセドニアが見に来なくなった。代わりにケビンが顔をだすがなんかため息が多く。さらにケビンが大量の書類を持って急いで駆けまわるのを見るようになった。今日も音楽団が練習しているコンサートホールで、ケビンが一生懸命書類を書いている。

 ロッソを見かけたケビンが声をかけてくる。


「こんにちは。ロッソさん」

「こんにちは。なんか忙しいそうだな…… なっなんだよ?」


 笑顔だったケビンの顔がきつくなりロッソを冷たい目で見つめている。彼は小さくため息をつく。


「はぁ…… 忙しそうって他人事みたいに…… オーナーにロッソさんが余計なもの見せるからですよ」

「えぇ!? なんで俺?」


 首を横に振ってケビンはロッソの前から去って行った。なぜか、彼はその後に会ったテルマからも、ケビンと似たようなこと言われるのだった。それから数日の間テルマとケビンのロッソへの態度が少し冷たかった。

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