表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/261

第78話 審査を続けてください

「うわぁ……」


 顔をしかめロッソが思わず声をあげる。ポンから離れたシャロは、ソンの服の裾をまくった。彼女の腹は紫色で縁が赤黒くなったあざがいくつも出来ていた。これは彼女が日常的に暴力を受けていたことを物語っていた。


「このあざはポンにやらたんでしょ? 言うことを聞けって?」

「本当ですか? ソンさん?」

「あっあの…… 私は……」


 ケビンとシャロから顔を背けるソン。シャロはソンの肩をがっしりとつかんでまっすぐに彼女の顔を見つめる。


「ねぇ!? ソンさん!? あいつの言いなりになってたらいつか殺されてしまうわよ? ゴールドシスターズにもいつかポンは暴力をふるうわよ? いいの?」


 シャロの問いかけにソンの目には徐々に涙がたまっていく。何かが吹き出すようにソンは静かに口を開く。


「ごめんなさい…… 私が…… ポンの命令で私が彼をこの控室にいれました…… シャロさん達の衣装を汚したのも私です……」


 泣きながらゆっくりとソンが全てを白状した。ポンはソンが話し出すと力が抜けて顔を下にむけるのだった。

 ソンはポンの命令で共有控え室に侵入し、シャロたちの衣装に泥をかけたという。ブルーセイレーンがそれでもあきらめなかったので、今日は武器で襲って怪我をさせてやろうとしたポンが計画したとのことだった。

 ポンは襲うことを思いついた時から俺がいるとかなわないので、女性しか入れない共有控え室内で襲うと言っていたらしい。

 今朝、ソンが商業ギルトから女性用の控え室の鍵を、借りてポンを控え室に招きいれた。ポンはシャロたちが来るまで身を隠し、彼女たちが控え室に入ったところを襲ったという。

 隠れて襲撃したのはいいが、あっさりグラルディアによって防がれてポンはソンを置いて逃げ出したという。


「はぁ…… 本当にこいつは……」


 話を聞いたロッソは、目の前でうなだれるポンの姑息さにあきれるのだった。

 ケビンもロッソと同様に、ソンの話を聞いて心底あきれた様子でポンを見た。


「ふむ。あなたは…… 本当になさけない人ですね。ゴールドシスターズ様の演奏者と関係者を全員呼んでください」


 ケビンは部下にゴールドシスターズの三姉妹を呼びにいかせる。すぐにゴールドシスターズの全員が集められてケビンの前に並ばされる。


「残念ですが…… ゴールドシスターズは失格です。それと商業ギルドでの演芸商売免状も更新もできなくなると思ってください」

「まっ待ってください!!! この子たちは何も知らないんです!!! だから…… お願いします。失格だけは……」


 失格を聞いてソンは、急に顔をあげケビンに懇願する。ケビンは静かに首を横にゆっくりと振った。


「ダメですよ。どんな事情があろうとも、違法な妨害するような人たちを我が劇場飛空艇は受け入れません」


 ケビンの宣告に三姉妹はうつむいて泣いていた。母親のソンは手で顔を覆い泣いていた。事情を知らない三姉妹はかわいそうだが、ポンがやったことは許されることではなく、失格は当然の処置だろう。


「待ってください! ケビンさん!」


 シャロが急にケビンの前に飛び出していった。


「何ですか? シャロさん」

「ゴールドシスターズに審査を続けさせてあげて!」

「シャロ……」


 必死に頭を下げシャロは、ケビンにゴールドシスターズが審査を続けられるようにと懇願する。ケビンは頭をさげるシャロを見ても表情を変えずに冷静に首を横に振って答える。


「ダメです。相手を襲うような人を臨時といえ新演奏者には迎え入れられません」

「でも、彼女たちはポンのこと知らなかったんですよね? だったら…… ポンを追放したら審査を続けさせて……」

「うーん…… ですが……」

「お願いします。彼女たちの演奏は素晴らしいんです。だから…… あたしはちゃんと勝負をしたい! このまま終わらせてほしくないんです」


 何度もシャロは頭をさげる。必死に食い下ががるシャロに、冷静だったケビンが困惑し始める。


「わたくしからもお願いします」

「リーシャもお願いです!」


 シャロに続きミリアにリーシャもケビンに頭を下げた。


「えっ!? わかったよ」


 グラルディアがロッソの袖を引っ張る。正直に言うと彼はゴールドシスターズの失格になろうがどっちでもよかった。ただ、シャロたちが頭をさげるなら仲間として一緒に頭を下げるだけだった。


「俺からもお願いします」

「僕も!?」


 ロッソとグラルディアもケビンさんに頭をさげて、ゴールドシスターズの審査を続けるようにと懇願した。


「わかりました。ソンさん…… ポンさんをゴールドシスターズから追放すれば審査を続けるのを認めましょう!」

「えっ…… でも…… わたし」


 ソンは怯えた様子でポンと三姉妹を交互に見ていた。今まで黙っていた三姉妹が目に涙をためて口を開く。


「お母さん! もういいよ…… 今までありがとう…… 私たちのせいでお父さんに…… 私たちもっと頑張るから! ねぇ? ミン、モン」

「うん! お姉ちゃんの言う通り頑張る! だからお願い…… わたしもお母さんが殴られたりするところ見たくない……」

「お姉ちゃん達の言う通りだよ。お父さんが怒鳴ったりするの怖いよ! もう怖くて泣くの嫌だよ…… お母さん」


 三姉妹がソンを抱きしめて泣いていた。シャロとミリアとリーシャの目にも涙が浮かぶ。グラルディアはとっくに泣いていた。


「わかった…… みんな…… ごめんね」


 ソンは三姉妹を抱きしめると、立ち上がりゆっくりとケビンさんの前に立った。その顔は先ほどまでの怯えた様子とちがい晴れやかで明るく見えた。


「ケビンさん! 私たちはポンをゴールドシスターズから追放します…… これからは四人で頑張ります」

「わかりました。では審査を認めましょう。ただしソンさん…… シャロさんたちへの襲撃はオーラオーラ公国の法に委ねます。いいですね?」

「はい! 罪は償います……」


 振り返りソンは三姉妹へと、駆けだして四人は抱き合って喜んでいた。ゴールドシスターズは三姉妹と、マネージャーの母親ソンの四人で活動していくことになった。

 ポンはケビンが呼んだオーラオーラ公国の兵隊に連れて行かれた。三チームによる審査は継続になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ