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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第69話 劇場飛空艇の支配人

 舞台の上に立つ二人の男女、男は背が低く、百五十センチを少し超える程度で顔つきが少しきつく、女性は男と同じくらいの背丈だが背中を丸め、どこかおどおどとして見え男よりも小さくなっていた。二人はどことなく演奏している三姉妹に似ていた。観客の反応に男はいやらしく笑い頷く。


「ねぇ!? おじさん、あの人たちは?」

「うん!? 三姉妹の両親でマナージャーのポンとその妻ソンだよ。お嬢ちゃん」


 男性はポンと言い、女性はソンと言う名でゴールドシスターズの両親でマネージャーだった。


「ポンにソンとか…… 姉妹も含めてなんかみんな同じような名前でややこしいな……」


 舞台に立つ五人を見渡すロッソだった。三姉妹と母親は観客から目をそらし、ポンだけが嬉しそうに拍手や歓声をあげる観客を見つめていた。少しして手をあげ、拍手をとめてもう一度ポンが観客に尋ねる。


「彼女たちの演奏はすばらしいですよね?」


 観客たちは一斉にポンに向かってオーっと返事をする。ロッソの肩の上にいたリーシャが、周りに釣られてオーっと声をあげると、シャロは腕を組んで不満そうに口を尖らせる。


「それで提案なんですがここはもう審査などやめて、ゴールドシスターズが劇場飛空艇の臨時メンバーになるってのはどうでしょう!」


 舞台の周りにいる人は頷いて拍手する人が、半分くらいで他の人は発言に冷めているようだった。ロッソはポンのふざけた発言に唖然とするのだった。


「なんですって! 行くわよ。みんな」

「そうですわね。行きましょう。シャロちゃん! リーシャちゃん!」

「いくです!」

「おっおい!? シャロ!? ちょっと待て! あんなの勝手に言わせておけば……」


 シャロが人を押しのけて舞台にむかっていく。ミリアとグアルディアもシャロに続く。ロッソはリーシャを肩から下して手をつなぎ、みんなから少し遅れてを追いかける。


「何だね君たちは勝手に舞台に上がるんじゃない!」

「あたしたちはマーチピン劇場飛空艇の審査に来た、アクアーラ王国の音楽パーティのブルーセイレーンよ」

「なんだ!? そんな音楽パーティは聞いたことないぞ! とにかく臨時メンバーは我々ゴールドシスターズだ!」

「はぁ!? あんたがなんで勝手に決めてるのよ。馬鹿じゃないの!」


 シャロたちが舞台に上がると、迷惑そうな顔してポンがシャロたちに向かって叫ぶ。妻のソンと三姉妹は舞台の中央で恥ずかしそうにうつむいて固まっていた。


「うるさい! 臨時メンバーはゴールドシスターズで決まりだ! お前たちはさっさと荷物をまとめて国に帰れ!」

「ふん! 何を言ってるの? あたしたちは負けないわ」

「チッ! ちょっと痛い目をみないとわからなみたいだな」


 眉間にシワをよせ怖い顔をして、ポンがシャロへと近づいてくる。近づくポンの腕を隣にいたソンが掴んだ。


「ちょっと! あなた! こんなとこで喧嘩はやめて」

「うるさい! 女のお前は黙っていろ!」

「オウエ!!!!」

「黙れ!!!! このこの!!」


 止めにはいったソンの腹を勢いよく蹴り上げた。不意をつかれたソンはよけることができず、彼女は苦しそうに声をあげ膝をついて腹を押さえている。さらにポンはうずくまったソンの背中を踏みつけるようにして何度も蹴っていた。


「ひでえな」


 ロッソはリーシャの目に手をあてて視界をふさぐ。


「はぁはぁ…… まったく…… 女のくせに…… 僕にたてつくんじゃない! だいたい役に立たないこの女どもを誰が金に換えてると思ってるんだ?」


 ブツブツいいながら、シャロにポンが近づいてくる。その目は血走って興奮しているようにみえる。


「グアルディア! リーシャを頼む!」


 ロッソはグアルディアにリーシャを預けるとシャロたちの前に飛び出した。

 シャロたちをかばうようにして立つロッソは、ポンがこれ以上近づいてこないように脅すため、背負っている守護者大剣ガーディアンクレイモアに手をかける。

 現れたロッソに驚き、ポンが立ち止まった。背が低いポンはロッソを見上げるようにして声を震わせて叫ぶ。


「はっ!? なんだ貴様は!」

「俺はこの子たちの護衛(ボディガード)だよ。それ以上近づいてみろ。お前の汚ねえ面が床に転がることになるぞ」

「チッ!」


 悔しそうな顔でポンがロッソを睨んできた。ロッソは剣に手をかけたままポンの顔ジッと見つめていた。

 しばらく舞台の上でロッソとポンがにらみ合っていた。背の高いロッソから、ポンの頭越しソンがゴールドシスターズの三姉妹に介抱されている光景が見えている。


「そこまでです。お二人ともお待ちいただけますかな」


 ロッソは静かに振り返ると、短い黒髪に立派なひげを携えた目の細い男が、にこやかに笑いながら立っていた。男は黒いズボンに、蝶ネクタイのついた白いシャツの上にベストを着て、その立ち姿はとても上品に見えた。

 

「誰だお前は? お前も邪魔するのか!!!」


 新たに舞台に乗った男にポンが叫ぶ。男はにこやかに笑って頭を下げた。


「僕はマーチピン劇場飛空艇の支配人のケビンです。ブルーセイレーン様とゴールドシスターズ様ですね。まずはご足労いただき感謝します」

「礼はいいんだよ。さぁ臨時メンバーにゴールドシスターズを加えてくれ!」

「何をおっしゃってるんです? これから臨時メンバーを決めるオーディションをするんですよ?」

「はぁ!? うちの三姉妹に勝てるやつなどいないだろうが!」


 ケビンと名乗った男にポンが顔を近づけてすごむ。ポンの言葉にケビンはあきれたようすでため息をついた。先ほどまでのにこやかだった表情が急に厳しくなっていく。


「ふぅ…… 残念ですが。あなたたちがマーチピン劇場飛空艇にふさわしいか決めるのはこちらですよ」

「でも、こいつらが私たちより素晴らしい音楽を演奏できるわけ」

「今回の審査の為に我がマーチピン劇場飛空艇のオーナーであるセドニアが身を隠して世界中を回り直接みなさんの演奏をみました。その中であなた達は甲乙つけがたいと言うことでオーディションを行うよう申しつかっております。これ以上審査の進行を妨げるならゴールドシスターズ様は失格としますよ?」

「ぐっ……」

「さぁ! 時間です。審査の説明をしますで皆さま舞台から下りていただけますか」


 悔しそうな顔してポンがゆっくりと下がり、ゴールドシスターズを連れて舞台から下りていくのだった。

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