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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第67話 ボディガードは空を飛ぶ

 翌日、アクアーラ王国で唯一定期飛空艇が乗り場がある、アクアーラ王国第二の都市サラマンドルへとロッソたちは向かうのだった。街道を馬車で移動し城壁のある都市サラマンドルへとやってきた。飛空艇の乗り場は城壁の中にはなくサラマンドルの外に広がる平原にある。


「リーシャ! 城門をくぐらないであの飛空艇の乗り場ってところに向かって」

「町に行かないですか?」

「うん! 早くオーラオーラ公国に行きたいから! この町はまた今度にしよう!」


 御者台で馬車を操作する、リーシャにシャロが指示をだす。シャロはサラマンドルに寄らず、そのままカネリア王国へと向かうつもりだ。


「サラマンドルの中には大きな店とかあって面白いんだけどな……まぁシャロがリーダーがだからしょうがないか」


 少し寂しそうに馬車の中からそびえ立つ、サラマンドルの城壁を見つめつぶやくロッソだった。

 リーシャが馬車を操作し、広大な草原へと出た。広く平らな草原に大きな木で出来た搭乗用のタラップが置かれて、その横には装飾された高級そうな馬車が何台も停車していた。

 タラップには車輪がついおり、階段の一番上は板で床が作られ、家ほどの広さがあり何人も同時に立てるようになっていた。


「そういや…… 軍にいた時に飛空艇に乗った人が俺に自慢げしてたっけな。その人は空に縁があるのか、魔王軍のドラゴンに空中にさらわれて引き裂かれて死んだけど……」


 ロッソはタラップを見つめながら軍にいた頃の思いだしていた。リーシャが馬車を進めていくと、鉄の鎧を身に着けた若い男性兵士が声をかけてくる。


「あの!? ここは飛空艇乗り場ですけど? 間違いないですか?」


 兵士が少し高圧的にロッソに声をかけてきた。どうやら彼はロッソたちが、間違ってここに入ったと思っているようだ。


「はっはい。これ……」


 シャロが慌ててチケットを兵士へと見せた。兵士はシャロが持つチケットに、怪訝な顔で視線を向けた。すぐに彼の表情が青ざめる。


「本物…… えっと…… 馬車でご利用ですか?」

「うん! あたしたちは馬車ごと乗ります!」

「でしたらここに停めて船員の指示に従ってくださいね。後十分くらいで飛空艇は到着しますから!」

「わかったです!」


 チケットをみた兵士は早口で、シャロに馬車の停車位置を説明して引き上げていいった。ロッソたちがこんな高いチケットを持ってるようには見えずに疑ってかかり気まずくなったのだろう。


「それにしても…… やっぱり金持ちとか貴族が多いんだな。馬車もあいつらのだろうし……」


 ロッソはタラップを見上げる。タラップで飛空艇を待っているのは、綺麗な服を着て団扇を持った貴族と派手な装飾品をいくつもつけたいかにも金持ちって感じの人ばかりだった。また、横には彼らの物であろう、派手で綺麗な装飾が施された、高そうな馬車が並んでいる。


「来たか」


 馬車の幌が風に揺れ、草原の草が倒され大きな影が地面に映る。空を見上げていたリーシャがおもわず声をあげる。


「おっきいです!」

「すごい…… 本当に船が空を飛んでる……」


 ロッソたちの目の前に現れたのは、帆船の形をした本体に甲板伸びた複数の柱の先に、いくつも回転するプロペラがついた飛空艇である。

 飛空艇はタラップの横に着陸すると甲板から板が伸びてタラップと橋がかかる。すぐに貴族や商人たちは慣れた様子で飛空艇へと渡っていた。


「えっ!? あたしたちは…… えっ!? すごい」


 飛空艇の船体の前が、城の跳ね橋のように開き、鎖でつながれ船体が地面におろされスロープになった。


「じゃあ、一台ずつ乗ってください」


 先ほどの若い兵士が、馬車の人たちに声をかける。リーシャは兵士の指示にしたがい、馬車を飛空艇の中に入れた。ゆっくりと馬車は降ろされたスロープを上り飛空艇の中へと進む。


「こっちです」


 中に入ると今度はセーラー服を来た船員がリーシャを誘導する。飛空艇の中は五メートルほどの高さの天井に、広さは、大きな邸宅くらいはありそうな広い空間となっていた。


「ここで止まってください」

「はい」


 船員の指示でリーシャは、馬車を停車させた。ロッソたちは馬車から下りて船室へと向かう。飛空艇は客室がチケットのランクによって、分かれ利用できる場所が決まっている。

 シャロがもらったチケットは、舌から二番目のCランクのチケットで船底に近い客室と、二級食堂と甲板のみ利用できる。飛空艇の中で動けるところは限られるが、オーラオーラ公国までは二日ほどで着くので、部屋で大人しく空の景色でも見てればいい。

 ロッソたちの部屋は最大六人用の部屋で、小さく狭い部屋に二段ベッドが三つ並んだ質素な物だった。


「これじゃあ景色もよく見えないじゃない……」


 壁にある窓も小さく景色がよく見えないとシャロがぼやく。部屋についた彼らはおもいおもいにくつろぐのだった。


「なんだ!?」


 ベッドに横になって考え事をしていたロッソ、シャロが不安そうにベッドに仰向けになっていた彼の顔を覗き込んできた。


「どうした? シャロ?」

「ねえ。リーシャは知らない?」

「えっ!? リーシャ!? 俺は知らないよ」


 シャロがリーシャの居場所を聞いてくるがロッソはわからなかった。すると向かいのベッドに座って本を読んでいたミリアが膝の上に本を置いて口を開く。


「あら!? リーシャちゃんなら、馬車のお馬さんが心配だからって一緒にいるって言ってましたよ。後で食事の時にわたくしが代わってきますね」

「もう…… リーシャったら…… いいわよ。ミリアはゆっくりしてて」

「はぁ。もう勝手に一人で行動しないでよ。飛空艇の中でも何があるかわからないんだから……」

「でも、馬と一緒にいてあげるなんてリーシャらしいじゃない」

「まぁな」


 ロッソはリーシャの元に向かおうと体を起こそうとした。しかし、ロッソの前に手をだしてシャロは彼を止める。


「お兄ちゃんは部屋に居なきゃダメよ! グアルディアちゃん! 一人じゃ危ないからリーシャのところに行って一緒にいてあげて!」

「わかった」


 二段ベッドの上にいたグアルディアにシャロが指示をだす。グアルディアは返事をするとすぐに下りてリーシャの元へと向かっていった。

 グアルディアもロッソたちとの行動に慣れてきたようで、最近は文句も言わずにすぐに行動するようになった。

 夕飯時に戻って来たリーシャにシャロは、勝手にどこかに行かないように優しく注意したのだった。

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