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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第65話 蒼き音の精霊が現れた

 グアルディアが立ち上がり、ドアを開けて店主のゴルベを控え室へと迎え入れた。部屋の様子を見ながらゴルベは部屋の中へと入って来た。彼はロッソたちと向かい合うようにして、テーブルの近くに立つとにこやかにシャロに話しかけた。


「お疲れ様。どうだった? 勝負はついたかな?」

「それが…… 引き分けで決着つかなかったんです」

「そうですか…… それは残念ですね」

「だから明日も今日と同じように三人別で演奏したいんですけど? いいですか?」


 明日も同じにしたいという、シャロの言葉にゴルベさんの眉間にシワがよりため息をついた。


「ふぅ…… 申し訳ないがそれはできないな。明日も一人ずつで演奏するならもうこの仕事をやめてくれ」


 シャロが驚いた表情をし、テーブルから身を乗り出してゴルベさんに叫ぶ。


「仕事をやめろって? どうしてですか!?」

「今日の客の反応を見たろ? 客は君たち一人じゃなくて三人そろっての演奏を望んでる」

「でもあたし一人だ充分に盛り上がっていたはず……」

「うん。それはわかってるよ。君たちの一人でも本来なら酒場は盛り上がるだろう。でも、客は三人の演奏の素晴らしを知っていてそれを求めてる。僕は店主として客の希望を叶える必要がある。君たち三人が演奏しないなら、これ以上は出演させるわけにはいかないよ」


 ゴルベは穏やかな表情だが、時折口調が強くなっている。強い口調は怒りに任せてというより、若いシャロに対して叱っているようだった。

 ロッソはゴルベに同意するようにうなずいた。シャロたちの演奏が終わり、席を立った時に彼は三人の演奏を望む観客たちの姿を見ていた。白紙の票は観客たちの三人での一人ずつではなく三人での演奏が見たいと言う意思だった。カウンターでロッソの近くで、同じ光景をみていたシャロも十分にわかっているはずだろう。

 シャロとリーシャとミリアの三人は黙ってうつむいて考え込んでいる。控え室は静かな沈黙に包まれ、ゴルベは三人を真剣な表情で見つめていた。

 黙ってシャロが立ち上がりゴルベに頭をさげた。


「すいませんでした。明日は三人で演奏します。いいわね? リーシャ、ミリア」

「はい」

「はいです…… 一緒にやるです」


 ミリアとリーシャは静かに返事をする。三人の返事を来いたゴルベはやさしく微笑んだ。


「そうか…… それならよかったよ。じゃあ、また明日!」


 明るく声をかけてゴルベさんは控え室からでていった。彼がいなくなった瞬間、シャロは椅子に座ってうなだれていた。


「はぁ…… 叱られちゃった…… あたしまだプロじゃないわね……」


 リーシャが悲しそうな顔をするシャロの頭を撫でていた。シャロはリーシャに笑顔を向けて彼女を軽く抱きしめた。


「しょうがないわよね…… だってリーシャの歌とミリアの演奏は世界一だもん…… あたしなんかまだまだ……」

「あらあら!? 何言ってるんですか? わたくしの音はシャロとリーシャちゃんによって引き上げられてるんです。今日それを痛感しましたわ……」

「違うです! リーシャのお歌はミリアの音とシャロの踊りで元気になってたです!」

「何言ってるの! 二人がいないとあたしなんか……」

「そんなことないです! シャロの踊りは世界一です」

「そうですよ!」


 三人はお互いをほめあっていて、謙遜しあってるの徐々に口調が激しくなっていく。グアルディアが横に来て心配そうにロッソの顔を見た。


「また喧嘩してるけど大丈夫かな?」

「うん? 今度は喧嘩じゃないよ。大丈夫だよ」


 少しの間、シャロとリーシャとミリアの三人は、ずっと互いのすばらしさを語っていた。


「ありがとう二人とも…… あたし二人と一緒に舞台に立ててうれしいよ」

「リーシャもです」

「わたくしも光栄ですわ」


 最後にシャロが涙目になって、二人にお礼を伝えると三人は嬉しそうにだきあっていた。


「明日こそはリーシャとミリアと一緒にやって観客を虜にしてやるわ!」

「大丈夫です。シャロとミリアがいればできます」

「そうですわね。シャロちゃんとリーシャちゃんが居ればできますわ」

「うん! 三人なら観客はあたし達の魅力にイチコロよ!」


 シャロが拳を握って天井につきあげると、リーシャとミリアも同じように拳をつきあげた。

 その様子を見ていたグアルディアはホッとした様子である。


「ほらな。仲直りだ。まぁもともと喧嘩をしてたわけじゃねえけどな」

「ははっ…… でも、客を虜にするか。本当に君たちは音の精霊(セイレーン)だね」


 三人の様子を見て笑うロッソとグアルディアだった。


音の精霊(セイレーン)か…… そうだな。三人の音楽はまた何度も聞きたくなっちまうからな。うん!? どうした!?」


 シャロがグアルディアの顔をみて、目を大きく見開いていた。


音の精霊(セイレーン)…… 良い! 良いわ! あたし達の名前、蒼き音の精霊(ブルーセイレーン)ってのはどう?」

「おぉ! カッコいいです!」

「素敵ですわね」


 蒼き音の精霊(ブルーセイレーン)、どうやらグアルディアのつぶやきでシャロがパーティ名を思いついたらしい。彼女が考えた名前をリーシャもミリアも気に入ったみたいだ。ロッソは蒼き音の精霊(ブルーセイレーン)と聞いて首をかしげていた。


「シャロ! ところでなんで蒼なの?」

「あぁ…… アクアーラ王国の旗が確か青地に王家の紋章でしょ? それにあたしの衣装は水色、リーシャの衣装も青いリボンがついてミリアのドレスも深い青でしょ? みんな青系の色を衣装に使ってるからね」


 三人の衣装の色から思いついたというシャロ、ミリアやシャロはともかくリーシャはこじつけに近いが、シャロらしいとロッソは笑うのだった。

 シャロ、リーシャ、ミリアの三人はパーティ名を蒼き音の精霊(ブルーセイレーン)と決めた。これからシャロたちは音楽パーティ、蒼き音の精霊(ブルーセイレーン)と名乗り活動することになるのであった。

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