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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第2章 空中劇場への招待

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第63話 名前をかけた勝負

 いくつかのランプの灯が消され、バーライトの岩窟の店内は薄暗くなっていった。店内で唯一カウンター近くにある、シャロたちのステージだけに灯りが煌々とともっている。


「時間か」


 ステージに視線を向けつぶやくロッソ、彼は護衛のためにカウンターの端に用意された舞台に一番近い場所に席に座っていた。

 今からシャロとリーシャとミリアの三人による、パーティ名をかけた勝負が始まろうとしている。演奏順はシャロ、リーシャ、ミリアの順で行われて一番盛り上げた者がパーティ名付けの権利を得ることになる。

 三人の演奏後にグアルディアが投票箱を持ち、客席をまわり名前を書いて投票してもうら。その投票数により勝敗が決まる。

 灯りの真ん中に静かにとシャロが立った。

 シャロは水色の下着のような格好をして、腰に透ける水色の布を巻いた踊り子の姿をしている。胸元にネックレスについた水色の宝石が光り、彼女はゆっくりとそれを握ってなにやらなにやらつぶやいていた。

 準備が出来たと舞台の奥のオルガンの前に座ったドワーフの女性にうなずく。今日は勝負なのでミリアによる演奏はない。彼女の代わりのシャロとリーシャの演奏を担当するのは、この店の店主ゴルベの妻ポルペだった。


「フゥ」


 薄いピンク色の口紅が塗られた艶やかで光沢のある唇から息が漏れた。前奏が始まりカウンターの端に座っているロッソにはシャロが少し息を吐くのが見える。

 スッと手を上にあげてシャロが踊り始める。オルガンのゆっくりと音色が店内に響き渡っていく。ランプの橙色の優しい光に照らされた、シャロはゆっくりとステップをふんで妖艶に動く。シャロの踊りの見た観客たちは、彼女に動きに見とれ視線を外すことができなくなっていく。徐々に曲調は変わり踊りが激しくなって汗が飛び散る。

 笑顔で楽しそうに踊るシャロに観客はみな魅了されていた。


「でも……」


 心配そうにロッソはシャロを見つめている。普段のミリアの演奏とは違うせいか、彼女は少しだけ踊りづらそうに見えるのdあ。さらにリーシャの歌もないから寂しそうにも思える。

 もちろんシャロの踊りだけで、充分に観客を満足させることはできるだろう。ただ、三人での演奏を何度も見たロッソには物足りなく感じるのだ。

 演奏が終わるのにぴったりと合わせてシャロの動きが止まった。姿勢を正してシャロが観客に手を振ると、すぐに観客から拍車が送られた。

 静かに頭を下げて拍手に送らながら、舞台からはけていくシャロと入れ替わりリーシャ出てくる。

 リーシャは袖にレースの刺繍がされ、胸元に青いリボンがついた、ポンチョのような白のマントに白のベレー帽の聖歌隊の服装に身を包んでいる。


「あれ!?」


 舞台から下りたシャロは、控え室には下がらずにロッソの横に座った。踊りが終わって少し興奮気味で、彼女の息は少しだけ乱れていた。


「おい。控え室に戻らないのか?」

「うん。今日は勝負だからね。二人の出来も気になるじゃない!」

「おっおう」

「ゴルベさーん。えっと…… デラックスフルーツミックスジュースください。支払いはおにいちゃんに頼みます」

「はぁ!?」


 笑顔でシャロは嬉しそうに、ゴルベにジュースを注文し飲む。疲れた体にしみるようでシャロは一気にジュースを飲み干していく。支払いは当然のようにロッソだった。首を横に振りロッソはシャロに口を開く。


「別にジュースくらいおごってやってもいいぞ。でも、わざわざ一番高いジュースを選んで頼むのはやめろ」

「へへへっ! おかわり」

「おい! はぁ……」

 

 空になったグラスをかかげおかわりを要求するシャロ、ロッソはあきれてため息をつくのだった。


「いくです」


 シャロと同じようにリーシャが、ポルペに頭を下げ合図を送る。笑顔で頷いたポルペが演奏を開始する。スローで優しくどこか悲し気な音が店内を包み込む。


「これは輝ける夜空の星か……」

「いい歌だよねぇ」


 グラスを傾けうっとりとし、リーシャの歌に浸るシャロだった。 

 輝ける夜空の星は惹かれあった貴族の男女が、政略結婚の為に別れさせる時に最後に女が男に送った言葉を歌にしたものと言われている。

 歌が出来た理由は悲しいが、曲調は明るく歌詞の内容も将来に向け、希望を見出そうというものになっている。


"velnbo ameruisu inuvalt, mohini carlmean susanrabit"

(寄り添う私にささやく愛の言葉)


"me ovolivion slcaris eraem bii eitirm coulost maltes ammers"

(何年たってもどこに居たって忘れない)


"Meseaicurderm valu cledrea quai curoee mearu"

(つないだの手のぬくもりと優しさを信じていたい)


"alnu ratle dicuitul fralili hacire bemte foriola etinera"

(道に咲く一輪の花びらが風に揺れている)


"qaria noon scentirrent raset eas enster"

(瞬く星のように私が輝くのはあなたがいるから)


"runen irruminations eit irruminaturm eit tlanas hearin"

(あなたに照らされて私は夜空のむこうまで光輝く)


 透明感の綺麗な歌声で、リーシャが歌を紡いでいく。リーシャの歌は観客の耳を楽しませ、観客の顔には笑顔があふれていく。


「でも…… やっぱり……」

 

 ロッソはまた不満げにつぶやく。リーシャもシャロと同様に、ミリアの演奏に慣れてしまったのか、少し歌い辛らそうだ。また、シャロの踊りがなく、華やかにかけどうしても地味に映ってしまう。

 歌い終わったリーシャは笑顔で観客とポルペさんに頭を下げた。観客は頭を下げた彼女に拍手が送る。演奏を終えリーシャが舞台を下りる。

 次はミリアの番だ。彼女は舞台の上に椅子に座り演奏するので、シャロやリーシャのようにすぐに入れ替わるではなくリーシャがはけてから、従業員が椅子を設置した後に出てくる。


「うん!? どうした?」


 舞台を下りたリーシャもロッソのところまで歩いてきた。


「リーシャもここに座るです! ミリアの演奏を見るです」

「はいはい、じゃあおにいちゃんの膝の上にね。大人しくするのよ」

「なんで? 俺の膝の上に?」

「えっ!? いいじゃん! おにいちゃんならリーシャ乗せられるでしょ? あたしは重いからやだよ!」

「リーシャは軽いです! ブゥ!」

「あぁ。ほらいいから! 乗りな」


 両手を伸ばしロッソは、リーシャを抱きかかえて膝の上に乗せた。


「ゴルベさん! リンゴジュースです。旦那しゃんが払います!」

「ちょっと!? リーシャもジュース飲むの?」

「はいです」


 嬉しそうにゴルベにジュースを頼んだ。隣でジュースを飲むシャロがいればリーシャが頼みたがるのは当然だった。そして当たり前のようにジュース代はロッソからゴルベさんに払われた。


「はぁ!? ちょっと!? 何よその格好!? ずるい!」


 ロッソがシャロの声に振り返る、ちょうど舞台に用意された椅子にミリアが座るところだった。


「ミリア! 綺麗です!」

「やられたわ…… こんなの隠してるなんて! ミリアめ……」

「えっ!? 本当だ…… ミリア…… 綺麗だな……」


 舞台からミリアが出てくるとロッソたちは驚きの声をあげるのだった。

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