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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第1章 集う仲間たち

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第26話 討伐作戦開始

 コルツォーネ討伐に向け、ロッソとシャロとリーシャの三人は冒険者ギルドへ向かった。冒険者ギルドでカールにシャロが考えた作戦を伝える。彼らが伝えた作戦の内容は、シャロが結婚を承諾し結婚式をしたいとコルツォーネに伝え町へ呼ぶ。コルツォーネはシャロとの結婚に浮かれ油断して、結婚式会場に入ったところを三人で捕まえるという簡単な作戦だ。

 冒険者ギルドのカールには、結婚式に冒険者たちを集めてくれるように依頼した。結婚式に誰も招待されていないと、さすがにコルツォーネは怪しまれるためだ。

 説明を受けたカールは静かに口を開く。


「油断させておびき寄せるって…… そんなにうまくいきますか? 今まで何人もの冒険者達が彼らに挑んだのに」

「大丈夫ですよ。お任せください! なら他にいい案はあるんですか? ないなら黙って従ってください」

「うっ…… わかりました。シャロさん達にお任せします」


 作戦がうまくいくのカールは半信半疑だったが、シャロに押されて渋々を受け入れたのだった。結婚式会場はロドリゴの協力で”馬の通り道”を使用することになった。

 カールを通してコルツォーネに、シャロが結婚を受け入れたことを伝える。すぐにコルツォーネから結婚承諾の礼にシャロに甘い言葉がたくさん書かれた手紙が届いた。


「シャロへ愛してるよって…… ふふ…… あたしもよ。馬車代さん」


 コルツォーネからの手紙を読み、シャロはほほ笑んで破り手紙はゴミ箱へと悲しく落ちていく。

 ロッソとリーシャはベッドに座り、シャロが嬉しそうにゴミ箱に手紙捨てるのを見つめていた。自信満々なしゃろだがロッソはうまくいくか不安があった。ロッソはカールに説明された作戦内容は把握しているが、詳細は彼にも伝えられておらずシャロとリーシャしか知らない。


「どうしたですか? 心配しなくてもコロロツォーネにシャロはあげないですよ。リーシャがやっつけるです!」

「ありがとうね。リーシャ!」

「そうだね。コルツォーネになんかにシャロは渡さないよな…… 後、コロロツォーネじゃなくてコルツォーネだけど……」

「コロコローネです!」

「まぁ…… どうでもいいや」


 ロッソが心配そうにしているのに、リーシャが気づき声をかけ慰めた。笑ったロッソはリーシャの頭を撫でた。リーシャは目を細くして嬉しそうにほほ笑んで撫でられるのだった。

 コルツォーネ討伐にむけてシャロとリーシャは、広場で歌の練習をしロッソは近くで剣の鍛錬をしていた。シャロとリーシャの二人は酒場の舞台にも立って、忙しく過ごしすぐに約束の一週間が過ぎていった。

 前日から準備をし、酒場の舞台は祭壇へと変わり、普段は酔っ払いが座るテーブルは取り払われて教会のように長椅子が並んでいいた。さらに壁や天井には結婚式用に装飾がほどこされ、酒場の雰囲気はなくなり本当にきれいな教会のようになっていた。

 これらの装飾はほとんどカールとロドリゴの二人が主体で行われた。特にカールの働きはすごく、人員の配置や手配を手際よく行い、自ら事務方が本職と言うのはうそではなかった。

 酒場には町の人たちが客として集められ、昼過ぎにはコルツォーネや部下たちも会場に到着し、結婚式の準備が整った。ロッソは一旦外に出て酒場の扉の前でシャロが来るのを待っていた。


「うーん…… 普段の格好と違って動きづらいな……」


 ロッソはシャロと一緒に入場し、中央の通路いわゆるバージンロードで花婿に花嫁を渡す父親役をする。父親役が鎧じゃダメだってことで、カールがどこからから借りてきた高そうな貴族が来てそうな服に彼は身を包んでいた。結婚式に武器は持ち込むわけにはいかないので、守護者大剣ガーディアンクレイモアは会場のとある場所にかくしてあった。


「おにいちゃん! お待たせ!」

「おぉ! シャロ……」


 目の前にあらわれたシャロは頭にベールと金色のティアラをつけ、白の長くふわっとしたスカートのウェイティングドレス姿だ。細い手にはブーケが握られていた。光沢があり光り輝く白い布に包まれた、シャロはすごく美しい。ロッソは薄いベールの奥からのぞく妹の笑顔に目を奪われてた。


「どうしたの? あっ!? あまりのあたしの美しさに言葉を失ったのね?」

「違う……」


 静かに首を横に振るロッソだった。シャロの言う通りだが、認めるのが悔しく彼は否定した。


「なっなんだよ!?」


 ロッソの気持ちを見透かしたように、笑いながらシャロが彼を顔を覗き込んだ。


「まぁ! いいわ。じゃあ行くわよ!」

「わっ!? こら! もうっちょっと静かに行こうぜ」


 いたずらにほほ笑んだシャロは、ロッソと腕を組んで引っ張るようにして、扉を開けて酒場へと入るのだった。

 扉が開く音に参列者たちが振り向く。ロッソたちから見て向かって右に、新郎のコルツォーネの部下である山賊が並び、左は新婦側の酒場の従業員や町の人々、さらにカールが手配した冒険者たちが参列者として並んでいた。


「おぉ! 親分ー! すげえ。べっぴんじゃねえですか! よかったですね!」


 シャロの姿にコルツォーネの部下たちから歓声が上がり、祭壇に向かってコルツォーネの名前を呼び冷やかしていた。部下たちもこぎれいな格好をし、武器などは携帯してないようにみえた。しかし、山賊たちは武器をどこかに隠しているのだろう。ロッソは表情を作りながらも慎重に山賊たちを見ながら前へと向かう。

 会場にコルツォーネの姿が見えない。おそらく警戒して姿を消しているのだろう。


「親分! 俺らにも分けてくだせえよ」

「さすがおれたちの親分!」


 ロッソは視線を前に向ける、山賊たちが前に向かって声をかけてるので、おそらくは祭壇の前にいるんだろう。


「行くぞ」

「うん」


 シャロが小さくうなずいた。二人は腕を組んで長椅子と長椅子の間の通路を歩いて前へ進む。


「おっと!」


 腕を組んで歩くのに慣れていないロッソは緊張もありつまずく。彼を睨んでシャロが怒った様子で小声で話しかけてくる。


「ちょっとおにいちゃん! しっかりしてよ!」

「だって人と腕を組んで歩くのも初めてだし……」

「もう…… しっかりしてよ!」

「しっかりしてなくて悪かったな! はぁ……」


 ため息をつくロッソ、彼はここで一緒に歩くのが、元勇者の仲間だったミリアだったら優しく歩調を合わせてくれるのにと思ったのだった。


「あっ…… でもそれだとミリアさんが結婚してしまう…… ダメだ!」


 口をわずかに動かして小声でつぶやくロッソだった。


「うわ!? なっなんだよ!?」


 シャロがムッとした顔で、ロッソの腕をいきおいよく引っ張ったのだ。


「おにいちゃん! 今変なこと考えてたでしょ?」

「なんだよ?」

「本当にー? 一緒に歩くのが他の女の人だったら良かったとか思ってない?」

「おっ思ってないよ」


 考えていたことと見透かされ、慌てて否定するロッソだった。怪しんで目を細めシャロはジッと隣を歩く彼を見つめていただった。

 

「ふーん。まぁいいわ」


 シャロは前を向き舞台が改造された祭壇のやや下に視線を向けた。

 並んだ長椅子の先頭にまで来ると、コルツォーネが姿を現す。綺麗な恰好の彼は腰のベルトに闇のランタンを装着され火が灯されていた。


「お兄さん。ご苦労様でした。後は僕に任せてください。では行きましょうか? シャロさん」


 パチーンという大きな音がし、シャロはコルツォーネの伸ばした手を叩いた。


「嫌よ! みんな!」


 シャロの合図で新婦側に座った冒険者達がブドウ酒の瓶を持った。


「どう? このブドウ酒が服にかかればあなたの居場所はわかって倒せるわ!」

「ははは! 良い作戦です! でも…… 残念でしたね。浅はかですよ! おい!」


 山賊たちが、武器を取り出して新婦側の観客に向けた構えた。彼らはやはり武器を隠し持っていた。山賊の一人が走って来て、剣をコルツォーネに渡した。鞘から剣をぬきコルツォーネが新婦側の客席に向けた。


「余計なことをするとこの人達を全員殺しますよ? シャロさん」

「そうね…… わかったわ。みんな! もういいわよ。瓶を置いてちょうだい」


 笑顔でシャロは新婦側の客席に両手をだし上下に動かし、みんなにブドウ酒の瓶を下ろすように指示をだす。冒険者達はシャロの指示通りに静かにブドウ酒の瓶を置いた。

 コルツォーネはシャロをジッと見つめている。彼は笑顔ではあったが、目の奥にはシャロに対しての怒りが見える。


「ごめんなさい。あなたがあたしを守れる強い人か試しちゃった!」


 シャロは舌を出して笑いながら、コルツォーネ手を両手でつかんだ。彼女の行動にコルツォーネの顔がにやける。すべて計算した上で屈託のない顔で、笑えるシャロをロッソは怖いと思うのだった。


「まったくいたずら好きな人ですね…… では参りましょう」


 シャロはコルツォーネと腕を組み、祭壇の前まで二人で歩いていく。

 老人の神父が二人の前で祝福の言葉を述べている。二人の宣誓が終わり、にっこりと笑った神父は二人に手を向けた。


「では、二人の誓いのキスを!」


 コルツォーネがシャロの肩に手をまわして口を近づけた。ほほ笑んだシャロは彼の口に指をおいてキスをとめた。


「なんだ!? どうしたんだいシャロ?」

「あのね…… コルツォーネ様。私ね。キスの時に祝福の歌を歌ってもらうようにしたの? ダメかな?」

「歌か…… キスの後でも?」

「とっても素敵な歌なの…… おねがーい! いいでしょう?」


 両手を体の前に握ってくねくねしながらシャロがおねだりをする。

 コルツォーネはその姿をみてほほを赤くして困った顔をしてる。なかなか許可をださないコルツォーネの腕をつかんでシャロは自分の胸をすりつけていた。コルツォーネの表情はどんどんにやけていく。


「はぁ…… いくらコルツォーネを捕まえるためとはいえ…… もう。シャロ!」


 妹の行動をやきもきしながら見詰めるロッソだった。


「いっいいよ…… 君の為だ」


 おねだりの効果はあったようで、コルツォーネはにんまりと笑いうなずいて歌を許可した。


「チョロいな」


 祭壇の下でコルツォーネに見えないように、拳を握りほくそ笑むロッソだった。これで作戦の半分は成功した。あとは……


「ありがとう! じゃあ! リーシャ! お願いね」


 舞台のそでに待機していたリーシャをシャロが呼んだ。舞台の袖からゆっくりと緊張した様子のリーシャが出てくるのだった。

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