表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第1章 集う仲間たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/261

第24話 墜ちた冒険者

「いや。急にコルツォーネの討伐に協力しろって言われてもな…… いくら妹が狙われてるとはいえ俺たちは逃げればいいんだし……」


 コルツォーネが姿を消して追ってきたとしても、逃げるだけならどうにでもなる。流浪の踊り子であるシャロは町を見捨てても問題はない。ロッソは戸惑って何も言えないでいた。頭を下げたカールの横にロドリゴがやってきて肩に手をおいた。


「カール。ロッソさんやシャロさんが驚いてますよ。話をちゃんとしましょう。ロッソさんシャロさん、店を閉めてきますのでそちらの席へ座ってください」


 ロッソはロドリゴに促され、近くの空いているテーブルへと向かう。

 リーシャを真ん中にしてロッソとシャロが並んで座った。ロドリゴは従業員に店を閉めるように命令を出していた。従業員たちは客席をまわって残った客に事情を説明していた。

 客が全員帰るとロドリゴとカールは、ロッソたちが座っている席へとやってきて向かい合うようにして席に着く。真剣な顔をしたカールが頭をさげてからゆっくりと口を開いた。


「私はこの町の冒険者ギルドのギルドマスター、カールと言います。よろしくお願いします」

「ロッソで…… あっ! 俺とリーシャのことは知ってますよね。妹で踊り子のシャロです」


 カールは改めて自己紹介をする。ロッソとリーシャとは冒険者ギルドで話しており、ロッソはシャロだけを紹介する。

 ロッソはカウンターに普通に座り、あくびとかしてたから全然偉そうに見えなかったカールがギルドマスターだったのに少し驚いた。また、コルツォーネはわざわざギルドマスターが、でてくるほどの人物であったことにも驚いたのだった。


「しょうがないか……」


 シャロがカールとロドリゴの顔を不審そうに見つめているのにロッソが気づいた。ロドリゴとカールとコルツォーネは顔見知りのようでシャロは疑っているのだ。ロッソはまずコルツォーネが何者で二人との関係に問いただそうと……


「カールさん、ロドリゴさんコルツォーネって人は二人の知り合いみたいですけど? どういうことですか?」

「えっ!? あっ…… シャロ……」


 ロッソが口を開く前に強い口調で、シャロがコルツォーネとの関係を問いただす。


「はい…… コルツォーネはこの町の冒険者だったんです。そしてロドリゴの元相棒なんです」

「何ですって!? コルツォーネが元冒険者でロドリゴさんの相棒って!? 本当なんですか?」

「えぇ、本当です。彼は元A2級の冒険者で僕の相棒ですよ。山賊になる前までは腕のいい冒険者でした」


 ロドリゴが詳しく話をした。二人はコンビを組んで数々の依頼をこなし、ジブローでは有名な冒険者だったという。三年前にロドリゴが夢だった酒場を開き、冒険者を引退してコンビを解散した。

 解散後も、ロドリゴとコルツォーネは親しくして、彼が山賊になる前はよく店に来ていたという。ロッソはなぜ冒険者ギルドでもトップに近いA2ランクだった、コルツォーネが山賊に身を落としたのか気になり尋ねる。


「コルツォーネは町では凄腕の冒険者だったんだろ? どうして山賊なんかしているんだ?」

「二年前に彼が”闇のランタン”を手にしてから徐々に変わっていって……」

「闇のランタンって…… 俺と対峙した時にコルツォーネが左手に持っていたやつか?」

「はい。あのランタンに火を灯しもっていると姿を自在に消せる魔法道具なんです。最初は姿を消して魔物から旅人を守ったりしていたようですが…… いつからか盗みを働くようになり部下を集めこの町の街道で馬車を襲うようになりました」


 この町の酒場や街道がさみしかったのはコルツォーネが原因だった。話を聞いていたロッソは腕を組むんで考えこむ。


「姿を消せるランタンか…… 正体はわかったが厄介だな。でも、そんなものどうやって手に入れた……」


 難しい顔でつぶやくロッソだった。姿を消す魔法は上級魔法で姿を消せる道具なんて貴重で高価な品物だ。いくらコルツォーネが腕の良い冒険者といえ、簡単に入手できる物ではない。ロッソは疑問をロドリゴとカールにぶつける。


「闇のランタンはどうしてコルツォーネの手に?」

「人にもらったと言ってました……」

「貴重な魔法道具をもらえたのか!? 変なの…… えっ!? そういえば……」


 ロッソの表情がハッとした顔になった。彼は以前にキースと旅していた時に、そんな道具の話をキースから聞いていた。ロッソが勇者パーティに入る前に、手に入れた姿を消せる道具を、アンナがどこかに置き忘れてなくしたというのだ。キースは笑顔でその話をロッソにし、話を聞いて笑った彼をアンナが睨んでいた。

 ロッソはコルツォーネがアンナからランタンを盗んだのでは考えたが…… アンナは独占欲と執着が強く、宝を人に盗まれたりましてやコルツォーネに渡すことなんてない。ロッソはきっとキースたちの持っていた道具と違う物だろうと考えた。ロッソが黙って考え事をしているとシャロが口を開く。


「ねぇ、そんなにすごい道具を持ってるなら討伐を冒険者に依頼すれば人が集まるんじゃないの?」

「はぁ…… 実は冒険者ギルドでも何度かコルツォーネの討伐を行いましたが…… 彼はこの町で実力も上位なうえに姿が見えないコルツォーネに冒険者達は次々に殺されて…… もうこの町や周辺にコルツォーネ達に挑む冒険者はいません。だから私が自ら来てるんです」


 カールはしょんぼりとしながら話す。いくら高額な報酬であっても、さすがに殺される危険が高い、任務に挑む冒険者はやはり少ない。カールとシャロの会話を聞いていたロッソは首をかしげた、山賊が暴れまわっており冒険者ギルドで対応ができなければ軍隊が乗り込んでくるはずだった。


「王国軍は何してるんですか? 山賊が街道を荒らしてるならアクアーラ王国軍の出番ですよね?」

「アクアーラ王国軍は魔王討伐軍でかなりの負担を強いられてまだ完全に機能してません。我々のような冒険者ギルドがある町の問題は後に回され自分たちで解決するように言われてます」

「そっか……」


 アクアーラ王国軍はロッソがかつて所属していた軍隊で、キースの魔王討伐軍にも多くに兵を派遣し損害も多かった。戦後数ヶ月が経った現在でもまだ戦力が回復していないようだ。


「グルー将軍…… 大丈夫かな」


 寂しそうに王国軍を心配するロッソだった。冒険者たちではコルツォーネには手に負えず、軍隊も来ないためギルドマスターのカールが自ら対応しなければならない。


「ロッソさん! お願いします…… コルツォーネの討伐に力を貸してください」

「いや…… あなたギルドマスターでしょ? コルツォーネを自分で逮捕したら……」

「頼みます! 私は本来は事務方専門で…… 冒険者としては薬草摘みとか猫探し専門のC3ランクなんですよ」

「はぁ…… そんなこと堂々と言われてもな」


 必死に頭をさげるカールにロッソは困った表情をする。シャロはロドリゴの顔を見た。


「ならロドリゴさんは? 元相棒なんでしょ? だったらコルツォーネのこと知ってるし戦いやすいんじゃないですか?」

「ダメだよ。もし僕が何かすればコルツォーネはこの酒場の従業員を皆殺しにするだろう……」

「そうなんです。もうロッソさんにしか頼るしかないんです! 勇者パーティのロッソさんなら必ずやコルツォーネを……」


 カールはロッソの手を強くつかみお願いしますとまた頭を下げた。


「いやいや気持ちはわかるけど…… えっ!?」


 急にシャロが身を乗り出し、ロッソの手をつかむカールの手を上から優しく握りにっこりと微笑んだ。


「引き受けます。あたし達がコルツォーネを討伐します」

「はっ!? シャロ!? 何を言ってるんだ?」

「いいじゃん。おにいちゃんやろうよ。あっ!? あとこの人はもう勇者パーティのロッソじゃなくてあたしの護衛(ボディガード)なんです。だからタダなじゃなくて報酬が必要なんですね。あの冒険者ギルドの前にあった使ってない馬車をくれないかしら?」

「えっ!? はい! かまいません! どうぞ持って行ってください」

「おい! シャロ! 勝手にそんなこと……」

「いいのよ。何があったから知らないけどあのコルツォーネってやつは許せないし…… あたしがリーダーなんだから! 文句があるならトロッカ村に帰りなさい!」

「もう…… またそれかよ。わかったよ」

「へへへっ」


 こうしてロッソは再訪するといった一週間後に、この町でコルツォーネを迎え撃つことになった。カールは嬉しそうに席を立つとロッソとシャロとリーシャに礼を言って冒険者ギルドへと帰っていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ