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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第1章 集う仲間たち

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第22話 招かれざる客

 ロドリゴがリーシャの歌を聞いた翌日から、彼女は酒場の舞台に立って歌っていた。

 小さく可愛いリーシャの透き通り、聞く耳を喜ばす綺麗な歌声は、酒場の観客たちを瞬時に虜にしていた。人前で歌う経験のなかった、リーシャだったが緊張することもなく堂々と普段通りに歌っていた。

 リーシャに緊張しないかロッソが尋ねたところ過去に、サーカスで助手として舞台に出たことがあったという。なお、話音途中で失敗しても殴られないから緊張しないと、リーシャに言われロッソは思わず抱きしめてシャロに怒られた。


「おぉ。今日もリーシャはすげえな」


 ロッソが陣取る舞台のそでから見える観客たちはいつも、目をつむりリーシャの歌に聞き入っていた。カウンターで酒を作るロドリゴも観客達の様子に満足げに笑みを浮かべる。


「よーし! あたしも負けてられないわ」


 気合の入った声でシャロが舞台に飛び出していく。リーシャの歌に合わせて彼女が踊りだした。

 リーシャの活躍がいい刺激になったのかシャロの踊りも冴えわたっていた。観客たちはリーシャの歌で耳を、シャロの踊りで目を、楽しませられ夜は更けていった。二人の活躍により、町の人間しかいなかった酒場の客は旅人や観光客も徐々に増えていっていた。

 リーシャが舞台に立つようになって一週間もすると、シャロの踊りとリーシャの歌が評判になり、店は連日混雑するようになっていた。ロッソたちはジブローの町での生活にも慣れてきた。


 しかし、ある日のこと……


 いつものように店が開店し、すぐにシャロの出番がやってきた。ロッソは舞台の脇で、シャロの様子を見つめるロッソの足元には出番を待つリーシャが待機していた。店内を見渡すと開店してまもなくのため、客席はまばらにしか埋まっているなかった。もう少し時間が経てば席は埋まり、グラスを片手にシャロたちのショーだけを見て帰る立ち見の客もいるほどに盛況になる。


「でも…… 今日はやけに雰囲気が暗いな……」


 ロッソがつぶやき視線をカウンターへと向けた。心なしかロドリゴも暗い顔して顔色が悪いように彼には見えた。


「わかった」


 小さくうなずくロッソだった。シャロが踊りだしてすぐに彼女から目で合図をロッソへと送る。客席の一人が立ち上がり、舞台に上がろうとしているのが見える。立ち上がった客は体が大きく動物の毛皮を着て頬に泥がついた小汚い男だった。


「ふぅ…… はいはいダメだよ。まったくもう酔っぱらってるのかよ」


 シャロの踊りに魅了されて舞台に上がって来てしまう客は多い。男が舞台に上がりシャロに近づく。シャロは踊りながら相手に気づかれないように自然に、ロッソが待機している舞台の脇へと移動していく。


「おい。待てよ。姉ちゃんかわいいじゃねえか。噂通りだぜ。俺の隣に来て一緒に飲もうぜ。あんたに話がある人がいるんだよ」

「ごめんなさーい。あたしは踊りの途中でお酒は飲めないのよ」

「いいじゃねえか! 来い!」

「おっと! そこまでだよ」


 男がシャロに手を伸ばそうとした。飛び出したロッソは、男の右手を掴みシャロと男の間に入った。手首を掴まれた男は、ロッソを睨みつける。彼は頭髪が薄く目の周りに黒く尖った化粧をし、口の周りには無精ひげが生えていた。毛皮の上下に肩には動物の羽根みたいので着飾って腰に剣をさしていた。見た目からして男は山賊のようだった。男は手首をはなそうとするが、がっちりと握られビクともせず少し焦った様子でロッソを怒鳴りつける。


「なんだぁ!? お前は!?」

「俺はこの子の護衛(ボディガード)だよ」

護衛(ボディガード)だと!? それがどうした! 俺たちはなぁ。コルツォーネ様の部下だぞ」


 顔をロッソに近づけた男は、彼を脅すように自分はコルツォーネの部下だと言い放った。男の言葉に客席はざわつき店の従業員たちは静かにうつむき、男と同じテーブルにいた四人はニヤニヤと笑っている。

 しかし、この町に来て間もないロッソは、当たり前にコルツォーネのことを知らない。彼は名前を言い放ったお男に向かってポカーンとした表情で首をかしげるのだった。


「なっなんだ!? てめえ知らねえのか!?」


 ロッソがビビると思っていたのか、反応が薄いのに慌てて知らないのか聞く男だった。


「あぁ、知らないね。誰だいそりゃ?」

「なら教えてやる。コルツォーネ様はな。ここら一帯をしめる山賊の頭領だぞ? どうだ!? こええだろ?」

「だから? 何だよ!? もったいぶっといてただの山賊じゃねえか!」

「ウギャっ!!!」


 ロッソは男の手を力いっぱいひねり上げる。男は肩を押さえ、苦痛の表情を浮かべる。


「いてーな! 離せ!」

「てめえが誰の部下だが知らねえがな。シャロに手を出そうするやつは許さねえんだよ」

「おっおい! お前ら何してるささっと助けろ!」


 ガタタという椅子が動く音がし、男と一緒に座っていた男四人が立ち上がった。男たちの手には手斧や剣が握られている。周りにいた客や従業員から悲鳴が聞こえる。


「しょうがない…… ちょっとだけ本気をだしてやる」

「えっ!? おい! てめえ! はなせ!!」


 俺は男の首ねっこを掴んで持ち上げた。店にいた人たちがから歓声があがった。チラッと舞台に上がろうとする四人を見て、ほほ笑んだロッソは持ち上げた男を四人に向かってを投げた。男は猛スピードで四人の元へと飛んでいった。


「ほらよ! 」

「「「ひいいい! 」」」

「ギャっ! 」


 四人は飛んでくる男に反応できなかった。ロッソが投げた男は四人の横を通り抜け、彼らが座っていた席にたたきつけられ声をあげていた。席に置かれていたビンが割れて床に酒が飛び散る。


「おいおい。仲間だろ。受け止めてやれよ」


 舞台の中央へゆっくりと歩きながらつぶやいたロッソは背負っている守護者大剣ガーディアンクレイモアに手をかけて闘気を送り込む。


不可侵領域!ノーネグレイションフィールド


 大剣を中心にドーム型の魔法の障壁が展開されていく。男たちは障壁にぶつかり吹き飛ばされ、店の壁に叩きつけられると背後から拡張された障壁が迫って来た。五人の男たちは壁と障壁に挟まれるようになった。

 魔法障壁は男たちだけにぶつかり他の観客や店の物は壁は通過した。ロッソが作る魔法障壁は、彼が敵と認識したものだけがはじかれるのだ。従業員や客たちは吹き飛んた、男たちに驚いていた。ロッソは闘気を送り込み続けドンドンと魔法所壁を大きくしていく。


「なんだこりゃ…… うぅ…… 苦しい」


 挟まれた男たちは魔法障壁が拡張すると圧迫され、息が出来なくなっていった。ロッソが闘気を送り続ける限り魔法障壁の膨張は止まない。膨張した魔法障壁は奴らの体をどんどん圧迫していく。


「ギャーー、やめろ! やめてくれぇい!」

「おい! 降参するか? 」

「わかった…… 降参する! だから助けてくれ!」


 泣き喚く男たちを見たロッソは静かに剣から手をはなした。膨張していた魔法障壁が徐々に小さくなっていく。体を圧迫してい障壁が小さくなった男たちがホッとした顔をした。


「おにいちゃん! やったね」


 駆け寄って来たシャロがロッソに声をかけた。


「うん!?」


 ロッソの目が鋭くなった。何者かの気配を感じたようだ。男たちの席の近くにこぼれたブドウ酒の水たまりがある。その水面がわずかに波打ったのだ。

 ブドウ酒の波の先に布に飛び散った、赤い液体のシミのようなものが浮かんでいる。その空中に浮かんだシミがまっすぐシャロに向かってきていた。目には見えないが何者かいることは明白だ。


「シャロ! 伏せろ!」

「えっ!?」


 頭をかかえてシャロがしゃがむ。何者かがシャロに近づいてきてると感じたロッソは素早く守護者大剣セイクリッドガーディアンクレイモアを抜いた。彼は酒の染みの上をめがけて剣で斬りつけた。

 金属がぶつかり合う甲高い音が酒場に響いた。ロッソの剣の軌道がずらされ、酒の染みが飛び上がって離れていく。


「チッ! 軽打しただけか……」


 酒の染みはロッソから五メートルほど離れた場所へと着地した。何も見えなかったが手に残る感触からやはり何かいるのは確信したロッソは右腕を伸ばし酒の染みに剣先を向けた。


「そこにいるのはわかってる! でてこい!」


 ロッソの叫び声が酒場にこだました。


「ふふふ…… はははっはーーーーーーーーー!!!」


 笑い声がして人間がゆっくりと姿を現した。現れたのは緑のバンダナを頭に巻いた、目が細く顔のちいさい男だ。男は右手に二十センチくらいのダガーを持ち、左手には白くて四角い形で、綺麗な装飾が施されたランタンを持っていた。体は革の鎧をつけて腰から、足首くらいまでの長さの腰巻をつけていた。腰巻には先ほど引きずったブドウ酒の紫の染みがわずかについていた。

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