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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第3章 草原劇場にうごめく闇

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第111話 近づく魔物

 ロッソたちは町の門から外へと草原に出た。草原を一時間くらい歩いたところにかがり火がたかれ、木製の大きな台が設置されている。

 台は高さは数十センチで広さは縦横五メートルくらいだ。台の周りには、おそらくおびき出すようの餌だろうか、大量の肉や野菜が置かれている。餌の周りは金属製の鎧を着け、槍や剣を持った五十人ほどの兵士が待機していた。到着するとミーネが、兵士たちの指揮官と思われる人と何やら話している。


「みんなー! これから班を分けるから集合!」


 指揮官との話を終えたミーネがロッソたちに指示をだす。

 約百人の兵士と冒険者たちは、一つが二十五人くらいの四つの班に分かれて、台から少し離れた場所に待機するとのことだ。

 ミーネの判断で班が別れて行く。ロッソとリーシャとグアルディアの三人は、ミーネが指揮する班になった。


「知るか! 俺が決めたんじゃねえから睨むなよ」


 ラミレスがミーネと同じ班になったロッソを睨みつけていた。視線に気づいたロッソはラミレスを睨み返す、ラミレスはロッソに睨まれるとそそくさと下がっていく。


「それじゃあ。手分けして」


 班分けが終わると手分けして、おびき寄せる餌の肉と作物を台の上へと乗せた。


「よし! 完了! じゃあみんなこっちよ」


 ミーネに連れられて餌の置かれた台の東側から、三十メートルくらい離れた場所にやってきた。どうやらここで待機するようだ。


「じゃあ、見張りの人以外は身を低くして隠れてちょうだい」


 両手を上下に動かし、ミーネがみんなに身を隠すように指示をだす。

 岩も木もないだだっ広い平原には身を隠す場所はないが、草原の草はふくらはぎくらいまで長さがあるから寝転べば夜ということもあり見えにくくはなる。

 ロッソは地面に寝っ転がらないと無理だが、リーシャとグアルディアはしゃがむくらいで隠れられそうだ。

 草原の草の中にしゃがみロッソたちは魔物が来るのをまっていた。


「暇だな……」


 台の方角から吹く風で目の前の草が揺れている。眠気と戦いながらロッソは寝ころび魔物を待っている。餌が置かれてから一時間が経ったであろうか。まだ何も動きはない。

 ロッソの左側で並んで横になっているグアルディアは、暇そうにして草を指に巻き付けて遊んでいる。反対側ではリーシャがあくびを繰り返し目をこすっと眠そうにしていた。


「今日は来ないのかもなぁ。まぁ…… そう簡単に見つかるもんでもないか……」


 ロッソは眠気と戦うリーシャの頭を撫でながら魔物を待っている。


「うん!? 来たか……」


 視線を横に動かしロッソが静かにつぶやく。


「ロッソ!」

「あぁわかってる。何か大きなのがくるな」


 足音がせずに平原は静かだが、何か大きな物が近づいてくる気配をロッソとグアルディアが察知した。気配がする方角は餌の台の北西だ。


「なんか嫌な気配だな」


 ロッソは左手に装備したガントレットを気配がする方向へと動かす。解析魔法の力を持つガントレットだから、ガントレットを通して何が近づいてくるかわかるはずだ。


「あれ!? 反応がない……」


 まだ距離があるせいかガントレットは動かない。ロッソはずっと気配の方角へガントレットを向け続けた。しかし、気配はどんどん近づいてくるが、いくら待ってもガントレットは動かなかった。


「しょうがない」


 ロッソは立ち上がり台をジッと見張っているミーネの元へとむかう。


「ロッソさん? どうしました?」

「台の北西側から何かがきます」

「えっ!? わかりました。みんな戦闘準備をして」


 ミーネの指示でロッソたちの班は武器を構えた。気配はどんどんと近づいてくる。餌の置かれた台の近くまで気配が接近していた。


「ギャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

「魔物だ! うわぁぁぁー!」


 暗闇の中で悲鳴が平原に響き渡る。暗くて影しか見えずによくわからないが、餌の置かれた台の上に討伐隊が戦っているようだ。


「助けに行くぞ」

「はい。みんな! 行くわよ」


 ミーネを先頭にしロッソたちは、台の近くで戦っている討伐隊を救出へ向かう。ミーネの後ろにロッソがいて、リーシャとグアルディアと同じ班の冒険者と兵士が続く。

 他の班も異変に気付いたようで、ロッソたちとほぼ同じタイミングで飛び出してきた。餌の置かれた台の横にまで来ると、討伐隊の人間が横たわってるのが見える。


「魔物は!? どこだ?」


 周りを見渡しすロッソ、真っ暗で何も見えず魔物がどこにいるかわからない。


「松明を付けて!」


 ミーネさんの指示で台の周りの松明がつけられる。明るくなり徐々に状況が見えてくる。倒れている討伐隊は武器を持っていて、戦闘後のようだが怪我もなく気絶してるだけのようだった、だが近くに魔物の姿はない。


「これは…… ロッソさん!? どうしましょう?」

「とにかく何かがいる。互いに背中を向き合わせ周囲に警戒をしろ!」


 討伐隊は警戒しながら、餌の置かれた台の周りで警戒態勢を取るのだった。ロッソはミーネとグアルディアでリーシャを囲むように互いに背中を向ける。


「旦那しゃん! ピカピカが近づいてきます」

「えっ!?  あれは……」


 餌の置かれた台の周囲に青く光る何がどんどんと増えていき、ロッソたち討伐隊はあっという間に光に取り囲まれてしまった。


「この二つで一組の青い光は…… 目か」


 ロッソたちを取り囲む光は魔物の目だった。数十体の魔物がロッソたちの取り囲んだようだ。


「旦那しゃん…… おめめがいっぱいですよ」

「ロッソ!? どうする?」

「どうするって…… ミーネさん! 魔物って集団なのか?」

「わからない…… そんな情報聞いてない!」


 取り囲んだ青い光の目が、ゆっくりと討伐隊との距離を縮めてくる。グルルという喉を鳴らす音が響く。おびき出されたのは魔物でなくロッソたち討伐隊の方だった。


「リーシャ! グアルディア! 動かないで俺から離れるなよ」

「はいです」

「うん」


 リーシャとグアルディアが俺の背中にかくれる守護者大剣ガーディアンクレイモアに手をかけて闘気を送り込む。彼が背負った守護者大剣ガーディアンクレイモアを中心に直径一メートルの範囲に魔法障壁が展開された。

 魔法障壁がロッソたちの周囲に展開されると同時くらいで魔物たちが押し寄せてきた。


「なっなんだありゃ!? ピンク色の狼だ!」


 近くの冒険者たちから叫び声がした。


「ピンク色の狼って…… まさかリトルフェンリルか!? なんで魔大陸にしか生息しない魔物がここに? しかもこの数は……」


 声をやや震わせ周囲を囲む光を見つめるロッソだった。直後、彼らに巨大なピンク色の狼の集団が飛び出し襲いかかるのだった。

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