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勇者を守った男は成り下がり少女を守る ~護衛と踊り子の兄妹、歌って踊って傷ついた世界を癒せ!~  作者: ネコ軍団
第3章 草原劇場にうごめく闇

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第104話 護衛はお金を稼ぐ

 ロッソたちはベルグという町へやってきた。街道沿いにある大きな町で、気候もよく治安も良さそうで落ち着いた町のようだ。

 町ではカネリア王国の次期国王となったキースの噂が飛び交っていた。

 勇者の帰還を歓迎する声もあったが、ほとんどは王になったら勇者の圧倒的な能力を使って他国を侵略するのではといった話を、町の人は怯えた様子で絶えず話していた。

 すべてが憶測の噂ではあるが、海を隔てた別大陸とはいえジサイド帝国は、カネリア王国の隣にあるので心配なのだろう。


「でも…… 劇場飛空艇のオーナーのセドニアは世界をつくりかえるつもりとか言ってたしな…… ダメだ! 今はそんなこと考えてる場合じゃない。正直キースの噂は気になるけど…… 俺たちは俺たちで今大変なんだよ!」


 顔を上げたロッソ、ここはベルグの町にある食堂、テーブルの上には食べ終えた昼食が置かれている。彼の向かいには立ち上がって鼻息の洗いシャロが立って居た。


「よし! ミリアとあたしは町で仕事を探すわ。お兄ちゃんはリーシャとグアルディアちゃんと一緒に冒険者ギルドに行ってきて!」


 シャロが気合の入った声でロッソたちに指示を出す。


「わかった。じゃあ行くか。グアルディア、リーシャ!」

「いくです!」

「いっくぞー!」


 立ち上がり二人を連れてロッソは急いで食堂を出ていく。

 ミリアとシャロは町で仕事を探して、ロッソはリーシャとグアルディアを連れて、冒険者ギルドで手ごろな依頼をこなして金を稼ぐことになったのだ。

 なぜこんなことになっているかというと…… しばらくの間は音楽での収入がないことが確定したからだ。

 シャロがベルグの町の商業ギルドに仕事をもらおうと行ったのだが、アクアーラ王国の商業ギルドの演芸商売免状はジサイド帝国では使えないという。

 新たにジサイド帝国用の演芸商売免状を、発行してもらわないといけないのだが、それには一週間ほどかかるらしい。演芸商売免状が無ければ商業ギルドから仕事はもらないし、勝手に商売をした場合は罰金もあるし最悪投獄されてしまうのだ。

 つまりブルーセイレーンは演芸商売免状が更新されるまで、音楽でかせげなくなったしまったというわけだ。

 しかも劇場飛空艇がキースに襲われたせいで、出演料(ギャラ)の支払いは滞っており、現在ブルーセイレーンの残りの資金は五人の宿代で三日分にあたる150リロしかない。

 急いで宿代を稼がないと馬車で寝泊まりになる。ロッソはリーシャとグアルディアの三人で冒険者ギルドへと向かうのであった。

 二人を引き連れてロッソは町の中心部にある冒険者ギルドの建物に入った。


「へぇ…… 冒険者ギルドってだいたいどこも同じようなんだな」


 冒険者ギルドの中はロッソが冒険者になったジブローと似たような作りで、壁に大きな掲示板が置かれカウンターには三つの受付の窓口が並んでいた。


「そういえば…… 確か…… アクアーラ王国で冒険者になった時に、外国ではギルドカードを提示して確認しろって注意されたっけ。シャロみたいに使えないと言われてもこまるしな。クエストを受ける前に確認しとくか」


 ロッソは一番手前の暇そうにしてる、ふさふさの尻尾が生えた犬耳のかわいらしい、獣人の若そうな受付の女性に声をかける。


「すいませーん。このギルドカードは使えますか?」


 自分のギルドカードを受付の女性に渡すロッソだった。受け取ったロッソのギルドカードを女性はまじまじと見て考えている。ギルカードは薄い金属製のプレートにロッソの名前とランクと戦闘能力値が記載されている。


「あぁ。アクアーラ王国のギルドカードね。うん! 大丈夫よ。ちょっと待ってね」


 受付の女性は引き出しから水晶を出し、ロッソのギルドカードをかざす。かざされたギルドカードがうっすら赤く光った。光がおさまり受付の女性は、水晶を確認しほほ笑んでロッソのギルドカードを戻す。


「はい! これでジサイド帝国での冒険者登録が完了できたわ」

「早いですね?」

「えっ!? そう? だいたいどこいってもこんなもんだとおもうよ」

「いやぁ仲間が商業ギルドで、演芸商売免状を更新しようとしたら一週間かかるって言われたから……」

「そりゃあ商業ギルドは町の商人を守らなきゃいけないんだから、外国人が申請したら審査や手続きをするのに時間がかかるわよ。それに比べて冒険者は腕一本の実力世界だから保護はいらないからね。犯罪者や戦争中の国でもない限りはすぐに登録できるわよ」

「へぇ。そんなもんなのかねえ。確かに外国の商人に食料とか、買い占められた困るから審査に時間かけるか」


 ロッソは受付の女性の言葉に納得しギルドカードをしまう。


「ねぇ!? あなた…… 戦闘能力値100を超えてるのにB3ランクなの?」


 不思議そうな顔でロッソの顔を首をかしげる女性だった。

 冒険者にはB3、B2、B1、A3、A2、A1、S2、S1という八つのランクがあり、ロッソは一番下のB3ランクだ。戦闘能力値は個人の戦闘の能力を数値かしたもので、95以上あれば実力はランクトップのS1に相当するらしい。

 受付の女性はトップクラスの実力があるロッソが、一番下のランクなのに違和感を感じているのだろう。


「俺の本職は冒険者じゃなくて護衛(ボディガード)だからね。ちょっと金が必要になったから今日はクエストを受けに来ただけだ」

「そうなの。もったいないわね。今やってる護衛(ボディガード)をやめてここの専属になったら好待遇で迎えるわよ?」

「やめとくよ。今の仕事は好きでやってるんだ」

「残念…… じゃあ掲示板の右端に低ランク用の依頼が貼ってあるわよ。決まったら手続きをするから持ってきて!」

「ありがとう。リーシャ、グアルディア、行くよ」


 リーシャとグアルディアを連れてロッソは、壁一面くらいある大きな掲示板の前へと向かうのであった。

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