第47話 中途半端
陽が傾き始めた、午後の季節ヶ丘。彼方とタマキ達が季節ヶ丘警察署にいる頃。
──その路地裏。L字型に入り組んだ陽の当たらぬ場に、その人物達はいた。カイ・ヴァルター。そして『ドグラマグラ』──丹羽 ネルのリンカーだ。
『陽モ当たらぬ陰険ナ場所カ……。こんな所ニわざわざリンカーデ来いとハ、どういう了見ダ?』
「君に一つ再学習させたいのさ心の弱った人間の扱い方というものを」
ヴァルターはさぞ面白いものが見れるぞとばかりに、早口で『ドグラマグラ』に話した。
そこへ待ち人が現れる。紫のカラータイツの上にデニムショートパンツを履き、肩にストールを巻いた人物。腰をツイストさせ、腕を流線的に伸ばした歩き方と、ワザとらしいと思ってしまうぐらい極端に女性的な服装と所作。
だが何よりの違和感は、ストールの間から覗く喉仏に頬骨。歳を経て誤魔化しきれない骨格の違いが、そこに表れていた。
「お待たせしましたぁ~ヴァルター様ぁ~」
その人物が喋る。低さを残した裏声だ。
ヴァルターはうんうん頷いて応える。
「いいや待っていないさサクラ。リンカーの調子はどうだい?」
「はァい! ヴァルター様がくれたァ、この『テクノ』のおかげで、ワタシめきめきっ! 調子良いですよォ~!」
「そうかそれは良かった」
ニッコリと微笑み返したヴァルター。対して『ドグラマグラ』は露骨にドン引きしていた。片目が隠れたリンカーのビジュアルでありながら、その表情が分かりやすく引いていたのだ。
ヴァルターが思いついたように、片手を挙げる。
「今回きみを呼んだのは実にシンプルだ聞きたまえ」
サクラと呼ばれた人物が、背伸びしてヴァルターに耳を近づける。内緒話だ。他にいるのは『ドグラマグラ』、それに聞かれたくない話という事になる。
だから『ドグラマグラ』──ネルは怪訝な顔をするのだ。途中、ヴァルターの口から聞こえてくる『男』という単語が、ワザと聞こえるように、強調して言っているのを察したから、尚の事。
サクラは聞きながら吹き出しそうになっていた。話が終わり、遠慮なくゲラゲラと嘲笑う。
「キャッハハッ! なんですかソイツ! 中途半端なオカマじゃないですか!」
「きみだから頼める事だできるね?」
「わァ! ヨユーですよォ! ワタシにおまかせくださァい! 必ず──」
一息。
「キモいヤツはボロッボロに──」
太い声でそう言った。のを、咳払いして誤魔化す。
「ご期待にお応えしますゥ!」
サクラは精一杯、取り繕って路地裏を後にした。
『ドグラマグラ』がヴァルターの横に並び、すぅ、と能力者であるネルと入れ替わる。いつものニッコリ糸目の間にはシワが寄っていた。
「何アレ? なんだっけ、今のヤツの本名。倉田 三郎? オッサンがオッサンに依存してんの? ヤバ」
「それはそれで都合がいいのさ彼を扱う上ではな」
「けどそう言ってヘラられたらメンドくさくね?」
「反応がわかりやすい、という点で都合がいいのさ。君もマネしてみるといい」
「ほ〜ん。なるほ、そかも」
返事をしながら、ネルはタバコを取り出し火を点け吹かす。興味がなさそうだった。
それを見つめるヴァルター。顔をしかめていた。
「吸う?」
「いやいらない私は吸わない」
「あれ、そだっけ」
「……私は彼の様子を見てくる君も指示役として行動したまえ」
ネルのタバコを見て怪訝な顔を浮かべながら、ヴァルターはさっさと去っていった。
「ヴァルおじヤニ吸わねぇっけか。顔に似合わね~」
*
季節ヶ丘警察署を出て、なんとなく空を仰ぐ。
やっぱ母さんは捜査一課長だけあって、再寧さん以上にオレたち子供がワケの分からない、しかも新興宗教だのを潰すような戦いに巻き込まれるのはイヤか。警察に任せときゃいい話だし。
それにオレが教団と戦う理由なんて大してない。ただムカついたヤツがいたらそいつを叩くだけだ。タマキ達と違って本当に大したことがない、もかが言ったように。
そのタマキは──真秀呂場がやられたから、誰かを守りたいから戦ってるんだもんな。
オレは、母さんもタマキもどっちも正しいし、おかしいのは教団だと思ってる。再寧さんもそんなタマキの気持ちを尊重してるのも、分かってる。
だから尚更、自分がふらふらしてるだけだって理解してる。オレが教団との戦いに身を投じてもジャマになるだけだろう。
ここはオレの居場所じゃない。
「あっ、彼方……」
「いたわね」
呼ばれて振り返ると、タマキとヒカリコンビだ。てっきりあのまま特能課で用事を済ますかと思ってたから、こうして追いかけてきたのは意外。
「どうかした? 再寧さんに用事あるって言ってたのに」
「あっ、いや……えと、再寧さんが、用事あるって呼んで、もう良いぞって言うから、どうしよっかな~って……」
「彼方と遊んだらって、私が提案したのよ。それで追いかけた次第。アナタが迷惑じゃなきゃね」
「なるほど?」
大方予想通りだった。とはいえどうしよっか、別に二人と趣味が合うワケじゃないし。とりあえず目的地は伝えてみるか。
「迷惑って事はないよ~。オレも夕方までヒマだったし、楽器屋に行こっかなって思ってたし」
「あっ、えと、そうなんだ~……」
「……」
「……」
さあ困ったぞ。さっき二人っきりになった時と同じ話題に困るやつになったぞ。
「あら、それなら私達も着いてっていいかしら?」
と思いきや、ヒカリがすぐに助け舟を出してくれた。オレが再寧さんに、今度はヒカリがタマキとオレに。
「ん、ん~。まあ、そかも。でも二人が来て楽しいような場所でもない気が……」
「そうでもないわよ。私は見てて楽しい」
「あっ、えと……大丈夫ですあっ、じゃなくて、えと……」
タマキは他の人に合わせがちだなぁ。対してヒカリは上手く導線を引いてるというか。なるほどベストパートナーなワケだ。いやリンカーだがそうじゃないんだがの関係らしいけど。
「分かった分かった。とりあえず着いてきていいからさ、いや許可も何もないけどさ」
「あっ、すみませんありがとうございます」
「やった」
な~んか無邪気だよなぁ。和むからいいけど。
「ほら着いてきな」
「あっ、ハイ」
「はぁい」
てくてく。3人縦に並んで歩く。本当にほのぼのしてる。
「なんていうか」
「えっ、ハイ」
「弟と妹思い出す」
「えっ、いるんですか。他にごきょうだい」
「うん。確かこないだお姉ちゃんいるって話したんだっけ? もかの話のついでに」
「あっ、ハイ。いやでも、別に詳しくは……」
「そだっけ? まあいるんだよ、双子の弟と妹。一卵性でソックリの、中三の」
「「へぇ〜」」
「まあ大した話じゃないよ」
「あっ、ハイ」
「……」
あ、このパターンまただ。またお互いだんまりになる。
「面白いじゃない、きょうだい多くて、下が双子ちゃんなのね。タマキもいるのよ、妹が」
「え、話が繋がった」
「うん? 当たり前じゃない」
「あ、いや、そうだったんだ。なんとなく姉って感じしないね」
「あっ、ハイ、いや、意外と初めて言われた、かも」
「へー」
一瞬沈黙。
「それでね、中三っていうと妹の輪と一緒ね」
またもヒカリが繋げる。
「そこまで同じなんだ。今度一緒に遊ぶとかどう? ウチの連中は喜ぶよ」
「あっ、えと、輪ちゃんは僕と一緒はちょっとアレかも……」
一瞬声を漏らしそうになったその時、ヒカリが首を傾げて疑問符を出す。
「いいじゃない、私も一緒なら喜ぶかも」
「えっ、僕の立場」
「ぷらなも会ってみたいって言ってたし、そうね、なんならもかのお姉さんもそろそろ会ってみたいわ」
「すっご、話ドンドン膨らむじゃん。でも来てくれるかな〜、ちのさん」
「それなら彼方、アナタが久々に会ってみたいって言ってみれば?」
「それイイかも」
「あっ、僕もさんせ〜い……なんちゃって」
ウフフアハハ……。
話がドンドン繋がる。
今のは本当に助かった。ヒカリがすかさず話題を繋げてくれて、全然気まずい空気にならなかった。それにタマキには適当な話題を振るだけでも全然いいし、オレもヒカリを見習って繋がりある話題を振ればいいって、そう習えた。もかは適当に話してるから困らなかったっけな、そういえば。
にしても──タマキも人をよく見てるけど、ヒカリも人をよく見てる。適切な言葉を選び出してくれる。オレの背中まで押してくれてるみたいだ。
オレも、もう少しだけタマキ達に心を許してもいいのかもしれない。タマキには秘密もバレてるし、な。
「あ、危ない」
「わっと……」
ふとハチが近づいているのに気づいた。タマキとヒカリを庇いつつ、刺激しないように退散するまで待つ──
「いっ……! はぁ……!?」
刺しやがった!
頭に血が上り『ジョニー・B・グッディーズ』の『一弦』を鉄棒に変え反撃。とはいえ相手はちっこいハチ。カンタンに避けられる。
「わわっ、大丈夫!? ヒカリ、まず傷口を絞って毒を抜いて、指当ててニンヒト! 彼方はちょっと痛いの我慢ね!」
「前にヘビにやられた時みたくね」
「そりゃ頼もしい応急処置。……ただちょっと、二人とも周囲を警戒して」
二人の表情が鋭いものに変わる。もうケンカ慣れしてるってところだ。それはともかく──今の『ハチ』、それに殺気。遅れてしまったけど理解できた。攻撃だ。
タマキが『ハチ』のカンタンな観察をしたらしい。気づけば日常のへにゃへにゃしたタマキじゃなくて、戦闘用のあの鋭いキャラになってる。
「あの『ハチ』……おかしい。胸部はスズメバチみたいに黒くて長いけど、腹部が極端に丸い。ミツバチよりも丸っこい腹部だ、ボールみたいでアンバランスだ。針は傷口に残ってないからミツバチのソレとも違う。日本に生息するオオスズメバチやヒメスズメバチとも違うぞ!」
「要するに『リンカー』ね」
ヒカリがビームを撃った。『ニンヒト』って技だ。狙いは正確、2本のビームは避けられるものの、残る1本が羽を掠め『ハチリンカー』がバランスを崩す。
それを見逃さず『グッディーズ・一弦』を今度は槍に変形、『ハチリンカー』を刺し穿つ。
「「おお〜……」」
「やばっ、リンカーって本体にもダメージ行くんだもんね」
「あっ……」
「ま、いっか。こんぐらいじゃ死なないっしょ──」
聞こえてきたのは不愉快な羽音だ、それも複数の。
タマキが『ニンヒト』と唱え、ヒカリがビームを乱射。オレも『グッディーズ』総出で使い、短剣にして両手足に装着、それと残る2体をジェット機に変形させて浮遊、両手足を駆使して『ハチリンカー』を迎え撃つ。
「元気じゃねーかクソ!」
悪態つきながらいくらか追っ払うと、その『ハチリンカー』が撤退していく。まるで川の流れのようなその乱れながらも統率の取れた動き、オレには返って気持ちの悪いものに見えた。
そうして波の行く先へ視線を移すと、そこには女物の服を着ているものの、パっと見ただけでどっちかイヤでも判る存在がいた。
「アンタが彼方?」
鼻でも詰まったみたいなムリヤリ高くした不愉快な裏声だ。首だって太い。違和感の塊、見ているだけで嫌悪感を感じる。
オレ自身の感想を捨て置くなら、コイツの右腕に野球ボールぐらいのサイズのハチの巣みたいなコロニーが見えていた。露骨にソレこそがリンカー本体だとわかった。
「気安く呼ぶな」
「はぁ? 生意気なクソガキ、大人に対してそういうクチの聞き方ないんじゃない?」
「大人じゃなくて通り魔の犯罪者だろ、クズや……」
野郎。そう言いかけて止めてしまった。イヤでも意識してしまう、性別を。
目の前のソイツが舌打ちで相槌を打ち、話を続ける。
「聞いてた通りのキモい野郎ね!」
「お前と一緒にするなよ、気持ち悪い」
「同族嫌悪でしょ?」
「もういいブッ飛ばす、さっさと」
「待って彼方! まずは能力の動きを……」
「もう見たろ!」
タマキが止めてくれてるのは分かってる。けど止める訳にはいかなかった。
一番の不愉快はやっぱり、コイツを認めるという事は、オレ自身の不自然も認めるという事。それが、本当に不愉快だった。だからさっさと消してやりたくなる。短絡的になる。分かってても、止められない。
「『ニンヒト』!」
ビームが3本、オレの背後から駆け抜け敵を打つ。タマキとヒカリだ。光の発光に思わず足を止める。抜け目なく真上にも1本撃っていた。警察署前、だから狼煙代わりに特能課にも知らせるためか。
「『ハニー』!」
防御しながら、敵は『ハチリンカー』──『ハニー』という名前らしい──を
何匹かけしかけてきた。『グッディーズ』をシールドにして展開し、それらを防ぐ。離れた位置から俯瞰して見れたから気づけた事だ、出来た事だ。
タマキが敵を挑発する。
「アンタの目当ては彼方でしょ。僕じゃなくって」
「だから?!」
「見え見えだ、底の浅さも含めて」
「ワタシの何を分かった気になってるの!?」
「知ったことじゃない、ただやり方が安直だってだけ」
返答はまたも舌打ちだった。
会話の間、オレは後退してタマキたちと並ぶ。すぐさま頭を下げた。
「悪かった、タマキ。ちょっとは頭が冷えた」
「それは良かった。じゃあ、クールに片付け……」
「タマキ?」
タマキの声が急に途切れる。反射的にタマキの方へ向いた。
向いた瞬間、オレの意識が一瞬持っていかれ──
「ふうぅっ!」
「彼方!?」
そうになるのを、踏み留まる。
「毒が回ってきたようね」
「毒だと……?」
『ウゲェ〜!』『グ、グルジイィ』
通り魔野郎がドヤ顔を決め込んでいた。見ると『グッディーズ』まで苦しんでいた。
「さっき彼方に打った『ハチリンカー』の針か?!」
「ウフフっ! いいオーディエンスじゃない! ワタシの『ハニー』にはリンカー毒が仕込まれてる。神経に作用して全身の力が段々と抜け……」
光線。
ヒカリだ。詠唱なしで撃てるとかいう光線だ。
「その話、長くなるかしら?」
「誰も説明なんか求めちゃいない。それだけ聞ければ充分」
返事は舌打ちだ。
「クソ女どもっ! ワタシの嫌いなタイプだわ!」
再びけしかけられる『ハニー』の大群。
オレもリンカーを動かすぐらいはできる。『グッディーズ』6体を防護服に変形させ、タマキたちにも着せてガードさせた。
が、タマキの反応は意外や意外。分厚い防護服が気に入らないとばかりに腕を上げる。
「違うよ彼方。もっと動きやすいように、そうだな、盾なんかが良い!」
「盾!? どうなっても知らないぞ!」
タマキたちに着せた『一〜四弦』を解除し、それぞれの左腕に『二弦』と『三弦』を変形した盾を装備させた。すると『ニンヒト』を唱えながら、ハチの大群も気にせず威勢よく本体に突っ込んでいくではないか。
「そこっ!」
「わかりやすいわね」
ヒカリが『盾グッディーズ』で敵本体を殴り飛ばす、容易にだ。
仰け反って後退した敵本体が仕返しにハチリンカーの大群を飛ばすも、タマキが『盾グッディーズ』を構えて遮る。その盾にヒカリが腕を乗せ固定したところに「ニンヒト」の詠唱。更なる追撃だ、見てて惚れ惚れする素早いコンビネーションだ。
「だから言ったろ、安直だって」
「コイツ……!」
「その憎々しげに歪めた表情も、僕らが『女』だからコンプレックスを感じてるからだろう?」
「知った気になるなぁ!!」
挑発までカンペキだ。ヤツの弱点を的確に解ってる。
「突き出してやる! ちょうど目の前の、警察に!」
タマキ達が全力を挙げて速攻を仕掛けている。いや、もしかしたら迂闊に毒針を喰らったオレを案じてのことかもしれない。
そう考えて、ふうぅ、と深く息を吸い、しゃがみ込む。オレの意識は朦朧とし、深い底へと沈みかけていく──
「警察署前で入院ごっこか?」
「え?」
蹴られた。誰だ? 成人男性の声だ。聞き慣れないが聞いたことのある声だ。
「彼方!? ……お前は、カイ・ヴァルター!」
「覚えて頂き光栄だ」
「ヴァルター様ァ!」
耳障りな声だ。いや、それはどうでもいいんだ。
タマキのおかげで思い出した。カイ・ヴァルター。以前に骨仮面のリンカーを纏って攻撃してきたヒゲヅラのオッサンだ。
そのカイ・ヴァルターが、倒れるオレを見下ろししゃがんで顔を近づける。当然、寝ぼけた頭を叩き起こして距離を取った。おかげでひどい立ち眩みがより頭を鈍らせる。
「彼のリンカー毒を受けてそれまで素早く動けるか感心だ」
「あぁ……? もっとゆっくり喋れや。こっちは病気して頭痛いんだわ」
「気にするなただの独り言だ喋る価値のない相手と話す気はない」
「ダル……!」
不意打ちに、利き手である左のストレートを喰らわせてやろうとした。しかしオレの弱体化は著しく、ヴァルターの右手で軽く受け流され、そのまま裏拳を顔面へモロに喰らってしまう。それもタダの裏拳じゃない。まるでゴムパッチンみたいに反動がついた衝撃だった。
「君の相手は私ではない」
再び、顔を近づける。
「半端モノ同士仲良くするがいい」
「っ……! テメ、どういう……!」
ジャブ、再び顔面に。
怯まされてる間に、ヴァルターが敵本体に呼びかける。
「サクラ。選手交代だコイツの相手をしてやりなさい」
「はァい! 邪魔だこのっ!」
サクラと呼ばれた敵本体は『ハニー』を動員してタマキ達を牽制した。そのままヴァルターがタマキ達へ向かっていく。手にはあの妙な機械、『テクノ』だ。
「精々いいサイエンティフィックスを残すがいいモルモット共。『テクノ・ビート』」
ヴァルターが『テクノ』をスライドさせると、シンセサイザーのような音が奏でられて骨仮面のリンカー──『大地讃頌』とか言ったか──に変身した。
初めて見たぞ『テクノ』を使うトコ。やたらと良いセンスしやがって……!
とか感想をボヤいてる場合じゃない。あの中途半端野郎が迫る。
「今度の相手はワタシよォ、中途半端野郎」
──サイアクだ。コイツ、オレとおんなじ煽りを使いやがった。完全な同族嫌悪。そりゃそうだ。
ヴァルターはオレの秘密を知ってる。このサクラってヤツと同じように。結局オレはコイツと同じだ。どう誤魔化そうが、その点で同じ──
ハチリンカー、『ハニー』がオレに襲いかかり──




