知りたい②ー静火ー
ただいま
帰宅すると奥から賑やかな声が聞こえてきた。
どうやら今日は我が家に父と仲の良い二人が集まって酒
盛りをしている様だ
今までは、また酒盛りか。とか
いっつも呑んだくれてる三人組。
なんでわざわざ家で呑むんだよって思っていた
けど、藤の話を聞いたら、あの楽しそうな声に今までと
は違う怖さを感じる
「じゃあ!あったらしーの出しまぁあーっす!」
「いよっ!高ちゃんかっこいい!」
「何色手に入れたのよ?」
「黄色」
「黄色かぁ。まぁ大体は見つかってるだろーしなぁ。」
「つまんねぇ」
「あーもーうるさいな。えっちゃんは一人で新黒でも
呑んでなよ」
「あんのかよ?新黒」
「あるわけないだろ。えっちゃんの知らない新黒なん
て」
「まぁ赤でもそうそうでないもんなぁ」
「ほらほら、ちゃんと小瓶からやらないと駆さんちが
事故物件になるよ」
ワイワイガヤガヤ
スラ!引き戸の扉を開けて中を見ると、全員がこっちを見た
「お。シズシズおかえりかぁ!ちゃんと勉強してんのか
ぁ?」
逸の父親である高道さんが早速絡んでくる
「おっちゃんらと酒でも呑むかぁ!?」
保海の父親の悦郎さんは出来上がってる
「どうした。珍しいな」
父親の駆は顔に出ないタイプのウワバミ
俺は、突然の土下座をしてから捲し立てた。
「今日、参謀長と陛下のご指示で地位の発表が1年遅れる
と知りました
でも、俺は知りたい。知って誰よりも学んでしっかりや
りたい。何かヒントを下さい」
しんとした後、父の声が降る
「知っていたよ。私の書斎をひっくり返す勢いで調べ
てパソコンまでロック解除して色々調べていたね。
やめてほしかったよ。
で、何か見つかったのかな?」
にやりと冷たく笑う
「何も。何も見つからないまま、あなたが多岐に渡って
学びただ身体を鍛えている事に更に焦っています。
どうか。」
頭を下げつづける俺に、逸の父親が優しく近づいて
「俺ねーえ。かっこいい仕事ぉおお」
黙れ酔っ払い
続けて保海の父親が
「俺もおっれもー」
シネくそ酔っ払い
我が父親が薄く笑いながら
「私もだ」
と言ったあたりでスパーァアン!と扉を閉めた
後ろから笑い声が響く。
全く教える気はない様だ
怒りながら自室に向かうと母が
「今が本当に貴重だと、後からよくわかるものよ」
と優しく話かけてくる
「わかっています。それでも早く大人になりたいのが
子供と言うものでしょう」
そう文句を言いつつ部屋に入った