日常③
「どういう事だ?」
三人とも藤を見る
「新しい酒は複数人で呑むこと
って決まりがあるの知ってるか?」
藤がちょっともったいつけた様に言うと三人ともが首を横に
振る
「…あれは、酒に少量の毒を混ぜてるんだ。色分けは強さ。
新しい酒は新しい毒だ。複数人で順番に呑んで解毒が必要な
場合に備えている。」
「真実を知るためには真実に自ら近づかねばならない
貴族として働するなら全てに疑問をもち全てを疑え
ってお前たちの家では教えられていないのか?」
呆れた顔をする藤に
「お前んちはそんな教育なのか」
と静火が静かに返した
「俺んちは、いつも冷静に覚めていろ。しかし、芯は熱く燃
やしておけ」
って言われているよ
「そ、れってもしかして貴働する場…地位の違いじゃないの
か!?」
興奮して大声を出した俺に、二人が視線をなげかける
「なんだよ。うちはそんな大層な教義なんかないよ
他と同じで満足すんなよー。オリジナリティ大事〜くらいし
か言われてないぞ」
いや、まてまて。みんなこんな真面目な教育受けてんの?や
べー俺やべー
「逸は?」
藤め、俺を無視したな
「自身の判断に自信と責任を持ちなさい。かなぁ。
んー。あんまり改めて言われた事がないんだよなー。」
子犬みたいな顔で首を傾ける逸に、藤は嫌そうに顔をしかめ
てワザと頭を傾けて見下す様な目をした