ゆいこのトライアングルレッスンM【ゆいこ×ひろしの両片思い】〜 勝負の遊園地、ラスト観覧車!〜
『ゆいこのトライアングルレッスンM』に投稿したものです!
毎日レッスン!3日目\\\\٩( 'ω' )و ////
「ねえ、ひろしって好きな人いるの?」
「はっ? なっ、何だよ急に!」
「別に、急じゃないし!」
「い、いるよ。そりゃ……」
「いっ、いるの!?」
「なんだよ! 悪いかよ!」
「わ、悪いわよ!」
「えっ!?」
「あ、いや、その……その子に! ほら、わたし達とずっと一緒にいるのも……ねえ?」
ゆいこが、俺に助けを求めた顔をする。
ひろしとの会話に困ると、いつもこの顔だ。
一体いつまで、俺はこんなものを見せられてんだ。
「そういうお前はどうなんだ? 好きな男でもいるのか? ほら、たくみとか?」
「バッ、バカ! そんなわけないでしょ!」
アイツらは互いを意識しすぎている。
ミステリー小説の話では、盛り上がっているというのに、この手の話は、どうもぎこちない。
俺は知っている。ひろしが、ゆいこの読んでいるミステリー小説を、後を追うように読んでいることを。
ゆいこの視線は、いつもひろしに向けられていて、ひろしもゆいこの言動を常に気にしていることを。
謎解きは得意だが、恋の謎解きは、2人揃って苦手らしい。
もし、ミステリー小説を読んでいたのが俺だったら、今ゆいこの瞳に映っていたのは、俺だったのだろうか?
× × ×
「あーー。ひろし好きな人いるじゃん! たくみ、大丈夫だから聞けって言ったくせに!」
「だから、それ、ゆいこのことだって!」
「そんなの分かんないじゃない!」
「ったく、いい加減、腹くくれって。今度の遊園地でキメんだろ?」
「うう……。たくみ、なんとかして」
ったく、そんな顔で俺を見つめるなよ。
俺が勘違いするだろ?
俺らは週末、3人で遊園地に遊びに行くことになっていた。俺らが3人でいられるのは、きっとこの日が最後だ。
ゆいこを塾に迎えに行ってたあの頃は、こんな未来が来るなんて想像していなかった。
なんとなく、このままの関係がずっと続くもんだと思っていた。
時は、前にしか進まない。
週末はすぐにやってくる。
「よし! ラストは観覧車だ!」
俺は、ひろしの肩をポンと叩く。
ホント頼むぜ?
俺らが乗り込むゴンドラが、目の前に来た。
「わりぃ、ちょっと俺、腹痛い!」
「えっ!?」
「2人で乗ってきて!」
「ちょっと、たくみ!!」
俺は、ゆいこの助けを求める顔を見ずに、観覧車の前から走り去った。
あの観覧車が一周回るのに約15分。
次ここに2人が戻ってきた時には、アイツらは恋人同士になっている。
今頃、観覧車のてっぺんか。
ったく、世話のやける奴らだぜ。
柄にもないことをしちまった。
でも、こうでもしなきゃ、アイツらいつまでもくっつかなかったろ。
俺がいるから、3人のままでいようとする。
俺は、最強の恋のキューピットさ!!
でも、なんだ、この気持ち……。
俺の手には、1人分の観覧車のチケットが握られていた。
明日は、ゆいこ×たくみの両片思い!
『水族館で、恋のドラムロール!編』をお届けしますっ!!・:*+.\(( °ω° ))/.:+