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詩集 心箱  作者: TiLA
20/100

今夜の月はレモン味

書きかけのメールもそこそこに

ぼくは会社を飛び出した

今夜は千載一遇の天体ショー

これを見逃す手はないよね


地下鉄の階段を急ぎ足で登り

高いビルとビルとの間から

今夜の主役を眺めれば

幕はすでに開いていた


コンビニで買ったおつまみと

缶チューハイをエコバッグに

急いで部屋に帰れば

窓ガラスの正面

ちょうど月が見えていた


やがて白い光が静かに消えていく

赤く薄く輝く月は

なんだか錆びているようで

そういえば

錆びると寂しいは同じ語源だったなと

ふと思い出した


そういえば

帰る途中で誰も空を見上げてなかったな

皆んな顔を下げて

上がるのは物価だけ?


やっぱり一人で

見るもんじゃないよね

きみにコメントしよう

今ちょうど見ているよって


月がまぶたを閉じている

今だったら

見て見ぬふりしてくれるかな

こんなときくらい


ちょっとだけ

ふしだらなことを

考えたとしても


例えばきみに

キスしたいとか


そんなことを考えて

もう一度月を見上げれば


ぽこっと浮かんだ月が

さっき買った唐揚げと

なんだか似た色をしていて

美味しそうに見えてきた


地球の影に食べられた

月を見ながら

がぶりと齧れば

口の中に

レモンの味が拡がった


今きみも

同じ月を見ているのかな


きみに食べられた月は

どんな味がしたんだろう




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― 新着の感想 ―
[一言] 赤錆びたような色をした月でした!
2022/11/08 23:07 退会済み
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