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心の箱舟
言の葉で笹舟をつくって
天の川に浮かべました
あの星灯りに
届けたくて
あの灯火は
あなたの夢か
それとも
誰かへの想いか
星は何も言わず
ただ輝いておりました
やがて舵も櫂も持たない
心の笹舟は
銀河の渦を廻って
星の海を彷徨うと
何処かへと消えてゆきました
他にゆくあてのない
心をのせて
星はただ黙って
それを見ておりました
とても静かな夜でした
言の葉で箱をつくって
心を仕舞っておきましょう
笹舟にのせきれない
心があふれてしまいそうだから
ひとつでは足りないなら
いくつも
いくつも
つくって入れておきましょう
そしていつか
心の箱舟で
あの星灯りに届いてみせたいと
やがて辿り着いた箱舟は
あなたに照らされる
月になりたいと願います
星は何も言いませんでした
ただ輝いて
それを導いでくれるのでした




