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転’

 皆様ごきげんよう。みんなのお姉さまこと一番年下の公爵令嬢ですわ。今日は王国を離れ蹴球部の皆様と共に東方王国に来ていますの。いえ王国内で訓練が困難になっておりまして・・・。というのもゴブリンやオークを玉砕殺法の練習台にしていたのですが、あらかた狩り尽くしてしまったようで残りの上位種たちも令嬢を見ると一目散に逃げるようになってしまったものですから、まだ魔物ネットワークに情報が流れていないであろう隣国まで相手を探して遠征に来ておりますの。あくまで護身術ですから襲ってきてもらわないと困るのです。というか令嬢を見て逃げ出すゴブリンとオークってどうなのでしょう?魔物としての誇りはないのかしら。なんとなく魔物に淑女扱いをされていないようでせつない気持ちになりますわ。


「お姉さま。何やら浮かない様子ですがどうされましたかぁ?」


 モブ子さんが心配そうに私の顔を覗き込んできます。


「大したことではないのですが、女性を見ると襲いかかってくるゴブリンたちに一目散に逃げられるのは女として魅力がないのかと妙な気分にさせられると言うか・・・。」


「何じゃそんなことか。近場で訓練相手が見つからないのは問題じゃが、そもそも襲われないように鍛えておるのじゃから何よりではないか?」


 会長ちゃんにも心配されました。


「そうですよぉ。お姉さまは同性から見ても十分美しいですし、そんな事を言っていると襲われるフラグになりますよぉ。それよりせっかく温泉で有名な東方王国王都まで来たのですからたまにはゆっくりしましょうよぉ。あっお姉さまのお背中は私が流しますねぇ。今回は読者お待ちかねの温泉回なのですぅ。」


 この温泉宿は東方王国の好意でお借りしている施設です。巨大な天然温泉は蹴球部員全員がいっぺんに入れる広さがあり、今の時間は貸し切りにしていただいております。魔物被害が頻発しているということで、私達の訓練と東方王国の魔物駆除の手伝いという双方にメリットのある話で、色々と便宜を図っていただいておりますの。狩った魔物の素材を提供する代わりに食事なども全部用意していただいて至れり尽くせりの状態です。宿自体は貸し切りではありませんが、仮の後の汚れを落とすタイミングは蹴球部で女湯は貸し切りにしていただいております。


 脱衣所に服を置いて浴場に向かいます。


「やっぱり温泉回は湯気ですぅ。謎の光とかは邪道なんですぅ。」


 妙なところでモブ子さんが盛り上がっています。なにか妙なこだわりがあるようで温泉にバスタオルの持ち込みは禁止ですと釘を刺されました。温泉宿側も同意見なのか張り紙もしてありましたし仕方ありません。たまには裸の付き合いも必要かもしれませんしね。


「モブ子がお姉さまの背中を洗うなら儂は前を洗うとするのじゃ。良いではないか。良いではないか。」


 会長ちゃんの手つきが怪しくなっています。私は無事温泉から出ることが出来るのでしょうか?なんとなく不安になってきますが、他の部員もいますし滅多なことにはならないでしょう。覚悟を決めて進むことにしたのでした。




 *




「例の件はうまく行ったようだな。」


 無駄に豪華な衣装を着たデブが報告に来た女に声をかけている。


「もちろんです。私にかかれば造作も無いことですわ。報酬の方はよろしくおねがいしますね。」


「これで令嬢たちは風呂から出てくることもできぬであろう。あとはゆっくり交渉すればよいだけだな。武闘派などとは言っても所詮は女。人前に出ることもできなかろうて。」


「本当にお殿下―様(おでんかーさま)は恐ろしい方ですわね。ではこちらをどうぞ。」


 女がデブに向かって桐の箱を差し出す。


「付け届けか・・・。」


「こちらはお殿下―様(おでんかーさま)が目をつけられた公爵令嬢のシマシマのモナカでございます。」


 そう言って箱を開けると脱ぎたてのシマシマモナカが!(中身は入っていないけどほんのり温かい)


「うむこれは良いものだ。兄上にもおすそ分けせねばな。これで東方王国は10年は戦える。しかし同性である令嬢たちの衣服を盗んでくるとはそちもなかなか悪よのぅ。」


「いえいえお殿下―様(おでんかーさま)ほどではございませんわ。」


「わーはっはっはっは(おーほっほっほっほ)!」


 こうして東方王国の夜に悪人たちの笑い声が鳴り響くのであった。




 *




「お姉さま大変ですぅ!」


「どうしたんですモブ子さん。」


 先に温泉から上がったモブ子さんが戻ってきました。


「脱衣所にあった私達の衣服が全てなくなっていますぅ。しかも着替えも使用済みも全部ですぅ。変質者です!変質者に違いありませんぅ!」


「落ち着きなさい。番台には当宿のスタッフが詰めていたはずでしょう。現地の確認とそのものに尋ねることから始めましょう。」


 番台には女性が二名受付として待機していたはずです。ふたり同時にお花摘みということもありえないですから何らかの事情を知っているはずです。温泉側を除けば入り口は一つしかありませんからね。そう思って脱衣所まで行くとたしかに何もかもがなくなっていました。


「番台さん。我々の服がなくなっているようですが、何があったかご存知ですわよね。」


「うふふふふ。次期女王だ。公爵令嬢だといっても所詮は小娘よね。この状況になっても平気な顔をしているのは大したものだけれど・・・・。あなた達の服はすべて運び出させてもらったわ。ここから出れば見ず知らずの男たちの目に裸体を晒すことになるわ。淑女であるあなた達に耐えられるかしら?あなた達はおとなしくここに閉じ込められていればいいのよ。そのうち交渉人が来るだろうから傷つけることもないわ。せいぜいまともな新しい婚約者を見繕ってもらえることを祈っているといいわ。」


 そう言って番台さんは勝ち誇った顔をしています。


「そういう事情を知っているということはあなたはただの番台さんではありませんね。」


「そうよ番台とは仮の姿本当の姿はプロモデル!」


「ああバンダイのプロモデル・・・・東方王国驚異のメカニズム。」


「じゃなくて東方王国王弟付きの暗部要員よ!」


「暗部が自らの所属を明かすとは、三流過ぎて話になりませんね。モブ子さん、剣姫!」


 ため息を付きながら指示を出すとプロモ二人に腹パンをさせ確保します。流石に女だけの花園に剣聖は連れてこれませんからね。モブ子さんに代役を頼みます。


「お姉さま。とりあえずふたりとも確保しましたけどどうしますか?」


「とりあえずそのプロモ二人を剥いてあなた達がその服を着てください。その後正面玄関と裏口を確保。一人たりとも外に出さないように。そして我々は打って出ます。」


「お姉さま。打って出るとは言っても外には男だらけじゃ。裸を晒すと慣れば貞淑さを疑われることになりそうじゃが。」


 会長ちゃんが心配そうな顔をしています。


「そうよ。我々にこんな事をしてただで済むとは思わないことね。あなた達の交渉はより過酷なものになるわ。せいぜいクズメンに貰われることね。」


 意識を取り戻したプロモがうずくまりながらの上から目線という高度なギャグを見せてくれますわ。いいでしょう。ここからは私のターンですわ。


「諸君我々は何だ?」


 部員たちに語りかけます。


「王国蹴球部であります!」


「諸君我々の任務は何だ?」


「自らの、そして淑女の貞操を守ることであります!!」


「諸君そのためにすることは何だ?」


「潰すことであります!!!」


「そうだ!我々は花も恥じらう乙女である!すなわち我々淑女の裸体を男どもの目に晒してはならない。であるならば相手が男でなければいいということだ。すべての男は叩いて潰せ。奴らが男だったことは歴史の彼方に追放せよ。そして奴らは元男という性別に生まれ変わるであろう!!!」


「「「「おおおおお!」」」」


「我々は現在部活の演習中である。東方王国はご丁寧にも実玉演習の標的を用意してくださった。正にある種の男刈り(マンハント)。宿泊施設内の人間はすべてが演習の標的だ。ご老人からショタっ子まですべてを潰せ。コックなどは重点的に。一人でも残せば逆襲される恐れもある。見男(サーチアンド)玉砕(デストロイ)見男(サーチアンド)玉砕(デストロイ)!勝利条件は一匹残らずの殲滅だ!すべての男は叩いて潰せ!あらゆる棒はもぎりとれ!女を見たら全て剥き、玉の有無を確認せよ!そして我々に文化(衣服)を取り戻すのだ!出撃!」


「「「「Ураааааааа!!!!!!!」」」」


 こうして47名の裸乙女の蹂躙が始まり旅館内は阿鼻叫喚の渦に包まれたのでした。




「なっ!なっ!なぜこんな事を!この旅館には今回のことと関係ない者も宿泊しているのだぞ。正気か?」


 プロモさんがうろたえています。


「我々の正気を下着ドロのあなたが問うのですか?これはすでに王国に対する宣戦布告です。よって東方王国の玉がいくら潰れようと我々の知ったことではありませんわ。これも全ては戦場の掟。闘争の契約です。そして引き金を引いたあなた達の正気は誰が保証してくれるのかしら?」


「そうじゃな。未婚の王国淑女(風呂とカルチャー)貞節(文化)を失うわけには参らぬのじゃ。」


 会長ちゃんも頷いています。


「私の演説を聞くすべてのものに告げる。敵の首魁はただ一人。東方王国王弟を倒し再び文化(衣服)を取り戻すのだ!」


「だからって無実のしかも関わりなき者達まで・・・。そこにイケメンがいたらどうするの?」


 プロモさんが絶望に満ちた顔を浮かべています。館内に知り合いのイケメンでもいたのかしら?


「そこは哀れで必要な犠牲と思って諦めるわ。物事には優先順位というものがありますからね。イケメンはまた探せば済みますから。」





 しばらくすると喧騒が止み一人のデブが引っ立てられてきました。その頃には私も確保した服を着て隠すところは隠せています。


お殿下―様(おでんかーさま)!」


「貴様らこの儂にこんな事をしてただで済むと思っているのか?」


「見覚えのある顔ですが一応名前を伺ってもよろしいですか?」


「儂はこの国の王弟じゃ!貴様ら不敬であるぞ。今すぐ儂を開放し跪くのだ!」


 あたまがお亡くなりになってしまっていますね。これからたまたまもお亡くなりになるのに生き残れる部分はあるのでしょうか?


「あなたの行為によって、我が国と貴国は戦争状態に突入しました。すなわちあなたの立場は捕虜です。そして身代金の額も確定していない状態ですから生命、身体の保証もされていない状況ですがなにか申し開きはありますか?」


「知らん。儂はただの宿泊客だ。そこの女が何を言ったかは知らんが冤罪である。それよりも早く儂を開放しなければ全面戦争じゃぞ!無事に自国に帰れると思うなよ。今なら多少の慰謝料で済ませてやる。わかったらさっさと開放せよ。」


 要人警護もホスト国の義務だと思うのですが、まあ言いたい放題ですわね。


「蹴球部への招待状は正式な外交ルートを通してのもの。こちらに東方王国の署名もありますがこれだけの事件を起こして知らないとおっしゃる?」


「儂は外交担当ではないしそんなことは知らん。貴様らは最高でも公爵家の人間でしかも当主でもないのであろう。儂は王族じゃ。不敬であるぞ!」


 会長ちゃんは次期女王ですし、モブ子さんは令嬢、私も当主ではありますが未成年のため正式な爵位はありません。ませんがこの状況にそんな事を言っても意味なんてありませんよね。


「おうおうおう黙って聞いてりゃいい気になりやがってぇ、いい加減にしろってもんだ、私の目は節穴ではございませんよぉ。」


 いい加減面倒くさくなったのかモブ子さんが王弟のの頭から髪を取ると禿頭の上に縞パンが・・・


「この姉さまの縞々パンツぅ。見忘れたとは言わせませんよぉ!」


 モブ子さんがパンツを私に返してきて、それに手を伸ばす王弟。


「返せ!それは儂の縞パンじゃあ!」


 自分のヅラではなく私のパンツに手を伸ばすとはいっそ見下げ果てた変態です。パンツの方も返してもらっても気持ち悪くて履けませんけどね。頭の脂がついている感じですし・・・・。


「裁きを申し渡す!下着ドロの上に婦女監禁の罪は明らか。東方王国王弟。お玉取り潰しの上肛門十蹴!その他実行犯や関与のあったものも肛門十蹴の刑に処す。引っ立てい!」


 王弟以外のタマタマはすでに潰れていますしね。会長ちゃんのお白州が終わりました。


「これにて一件落着!」


 ということで現場の処理は終わりました。私の方はスッキリしませんけどね。今回の件は3公女と47士愛と勇気の誅枕ヅラとしてメインイベントの前座として世に語り継がれることになるのでした。

モブ子「遠○の金さん・・・・」


会長「今日も男の玉が~と~ぶ~」


モブ子「それ銭形ですぅ」


会長「やつはとんでもないものを潰していきました。跡取り息子のたまたまです。」


剣姫「だから水に濡らした手ぬぐいにしておけと・・・・」

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