どうしてこうなった?
「それで、どういうこと!」
俺は朝っぱらから怒られていた。夜通しで歩いていた俺はめっちゃ眠い。
「一回寝させて」
「駄目に決まっているでしょ!ここどこなのよ!」
「知らねーよ、異世界人の俺が知るわけねーだろ!」
どういうことかというと、道に迷った。帰っていると思ってたらどうやら違う方向に行ってたみたいだ。だいたい、方向音痴の俺に歩かせるのが悪い。
「ねえ、どうするのよ」
「…………」
「ねえ、聞いてる?」
「………zzz」
モフモフモフモフ
あーこのさわり心地最高。何触ってんだろ?目を開けるとルシアの顔があった。つまり、俺が触っているのは……猫耳だよ?なんか勘違いしてないよね?ヤバい、最高。やっぱり猫はいいな。
「私、触るなって言ったわよね?」
なんでこいつはいつもタイミングよく起きるだよ。こういう時は
「そこに猫耳があったから」
「なにいってるのよーーー!!」
起きて早々、ルシアに吹き飛ばされた。
「で、レンヤこれからどうするのよ」
「名前で呼んでくれた」
「う、うるさいわねーいちいち」
恥ずかしいのか顔を真っ赤にしている。
「それで街の方向はどこ?」
「知らん!」
「どうすんのよ!これかどうすんの!?お金はあっても食糧がないのよ!」
「それはーーというかなんでお金はあんの?」
「バーダクの預金通帳盗んで10万ほど抜いてきた」
犯罪じゃん!何普通にしていられるの!?バレたら殺されるよバーダクさんに。でもまあいいか
「それは悪いことだ。しかーし、盗んでしまったのはしょうがない。……山分けにしよう」
「レンヤがお金欲しいだけじゃない!いやよ!」
「ぐっ!……じゃあこれでどうだ、街?の方向を教える。その情報代としてーー」
「何いってるの?これは私達のお金よ。だから、山分けはしないっていってるの。で街の方向はどっちよ?分かってたならさっさといいなさいよ」
私らのお金ってことは自由に使っていいのか?ルシアって優しい!これなら俺が無駄遣いしても……無理だな。殺される未来しか見えない。
「ブルガリヤの街かどうか分からないが、街はあったぞ。(さっき飛ばされたときに見つけた)」
「じゃあ行くわよ!レンヤ」
「おう」
「フェアリーメ王国…ではなそうね」
「そこに門番がいるから聞いてみようぜ」
「あのーすみません、ここってどこの国ですか?」
「ここは、レザリー王国だ。なんだ?旅人か?」
どうやらここは俺がいたフェアリーメ王国ではなく、レザリー王国だそうだ。
「えっと俺達は旅人?というよりは冒険者?なのか?」
「しらんわ!取り敢えずパスポートを見せろ!」
「冒険者カードでいい?」
「ダメに決まってるだろ?あんなの細工し放題だからな。とういくお前らは今までどうやって国に入っていた?」
「今回、クエストで初めて国の外にでて、道に迷ったのよ」
おお、ルシアって案外嘘うまいんだな。本当は、検査官に捕まらないように入っていただけなのに。
「そうか、それは災難だったな。通行料を払えば、入れるぞ?」
「いくらですか?」
「一人5000ベニー」
「じゃあ二人分で」
王国に入った俺達はミノタウロスの角を売りにいった。
「こ、これは………角ウサギの角じゃねーか。1000ベニーだな」
「はあ?冗談言うんじゃないわよ!そ·れ·はミノタウロスよ!」
「あんたこそ冗談いうな、これは正真正銘角ウサギの角だ。まあ、ちょいとレアちゃあ、レアだから1000ベニーが妥当だろう。だが、これ以上嘘をつくならな」
(ちょっとどういうことよ?)
(知らねーよ、だいたい角ウサギなんて………)
思い出される俺の記憶。ミノタウロスを倒したあと、角の生えたウサギが襲ってくるのを。確か角を採取したのは………俺だ。
「……………角ウサギの角です」
「そうだろ!次嘘ついたら容赦しねからな!」
「……はい」
「ちょっと!どういうことよ」
「まあ、1000ベニー貰えたからいいだろ?」
ルシアは納得してなさそうだが、それでいい。俺が間違えてミノタウロスの角じゃなくて角ウサギの角を持って来ましたとか言ったら、俺今度こそ殺される。
俺達は店を出た。
「これからどうする?」
「取り敢えず、ご飯食べましょ」
「ぐぅ~」
俺のお腹がなった。
そういえば朝から何も食べてない。
「お、ちょうどそこにでっかい焼き鳥あるじゃねーか」
「いいわね、あれ食べましょ」
一本1000ベニー、二本買って食べる。
「う、うまい!」
肉はジューシーでタレの味が利いている。一本食べただけでお腹が一杯になった。
「次どっか「ちょっとどいて~」」
何処からか女の子の声がする。声の主は向こう側からこちら側に走ってきている。その後ろには、警官らしき人物とジジイが追いかけている。なんだ、ひったくりか?
「どいてどいて~!」
ついに俺の近くまで走ってきた。
(捕まえたら報酬貰えるかな?)
そう思って俺は……少女に道を譲るため後ろにさがった。ん?なんだって?捕まえるんじゃなかったのかだって?嫌だよめんどくさい。こういうのは後々、大変なことに巻き込まれるっていう定番なの!
「どんっ!」(ムニッ!)
いやなんで!?俺避けたじゃん!なんでぶつかってくるの?
どうやらその少女は俺を避けようとして左に避けたようだ。
「いたたた」
「あーもう、」
それだけを言うとその少女はまた走っていった。
(なんだよ、あの野郎。ぶつかってきておいてあやまりもしねえ)
「何してるのよ、レンヤ」
「ったく、最近の若い子は」
「何をいってるの?」
そんなことを言う親に一回会ってみたい。
(でも、あの柔らかかった感触はあれだな。ルシアにないけど)
「なんか変なこと考えてたでしょ!」
「え、い、いや、別に」
「じーー」
ルシアがじっと俺を見つめてくる。
「角」
「角?あー悪かったって、ミノタウロスの角と間違えて角ウサギのーーん!」
嵌められた!?まずい!
「へー、やっぱりレンヤだったのね!」
「ち、違う。違うこともないんだけど。これには訳があって」
「言い訳無用よ!」
俺はまたまたルシアに吹き飛ばされた。視界の端でルシアが警官に注意を受けているのが見えたが、問題ないだろう。
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