大将
「どうして私の名前が…」
「さぁ、」
どうする気なのか見ていたが本当に大将はイヴのようで一回戦は大将戦は不戦敗になったもののなんとか勝ち上がった。
「………行かなくていいの?」
試合中ずっとそわそわしていたイヴを見て尋ねた。
「なっ!?べ、別にもう辞めた身ですし……」
イヴはそうは言うものの実際は行きたそうだ。
(なんで、こっちに来ちゃったのかしら)
レナは悩むがイヴの気持ちは計り知れない。
(……?そう言えばノアはどこに行ったのかしら?)
イヴとばかり話していたのでノアがいなくなっていたことに気付かなかった。
(イヴを押し付けたのかしら?まぁ、ノアに限ってそれはないわね)
レナは半ばノアを探すことは諦めてぼーっと試合を眺めることにした。
試合は続いていくにつれてだんだん歓声も大きくなっていく。他の学校の実力も見ているが特にパッとしたものところはない。
結果、大将という立場がいないにも関わらず私達の学校は決勝に勝ち上がった。
「ふ〜ん、でも次は負けるわね」
「ちょっと厳しそうだね」
いつの間にか戻ってきていたノアが答えた。
「おわっ、ノア!レナ!」
急にうるさい声が聞こえた。振り返るとレンヤとルシアが驚いたようにこちらを見ていた。
「あ、レンヤくん、どこいってたの?」
「え?、あ、そのへんぶらぶらと…」
「ルシアさんとデートですか…?」
「うへっ!?」
「……なんですかその反応」
イヴは疑うようにこちらをじっと見つめてくる。
「あ、あれ?あいつらじゃん」
レンヤは目を泳がせていたが、会場に目をやったときにたまたま元生徒らを見つけた。
「そうです、次決勝ですよ」
イヴは不審に思いながらも、会場の方に目を向けた。
「ん?あんたなんでエントリーされてんのよ?」
ルシアが掲示板を見て尋ねた。
「それは……」
イヴは言い淀む。正直何故エントリーされているのかは分からない。が、間違いでそうなったとも言い切れない。
「ふ〜ん、まぁいいわ」
そう言って、ルシアはノアの隣の席に座った。
決勝戦が始まった。
先鋒カイトは長く粘ったものの、まけてしまい一敗
続く次鋒リディアは格上のように思われる相手に持ち前の根性と直感だけで、まさかの勝利を収めた。これで一勝一敗。
続いて中堅レックスは……
勝てる試合だったのだが、たまたま地面を抉った魔法により、破片がレックスのあそこにあたってしまい、それで気を失ってしまった…
不幸でしかない…
「いかなくていいのか?」
俺はイヴに言った。
「いや…私は辞めた身なので、」
イヴはうつむきながら震える声で言った。
試合はこれで二敗。どれだけ頑張っても不戦敗となるので負けが確定だ。
「はぁ?エントリーされてる時点で期待されてるんだろ?踏みにじるのか?その思い」
「でも…」
イヴの膝にポタポタ水滴が溢れた。
イヴはこの大会のために今まで努力してきた。本人は否定していたが、必ずそうに違いない。
「行ってこいよ」
俺は立ち上がって、イヴの頭をなでながら言った。
会場が歓声に包まれた。
ランガが一瞬で相手を倒したようだ。
「ほら、次の試合はお前だぞ」
俺はイヴの背中をポンッと叩く。
「……分かりました」
そう言ってイヴは決心したように立ち上がった。そして、急いで会場にかけていった。
「……やっぱりすごいね、レンヤくんは」
「え?なんで?」
「だって、イヴちゃん
ーーーずっと行きたい気持ちを我慢してたから
「見りゃあ分かるよ」
俺はそう言って会場に目を向けた。
(イヴは帰ってこないかもな…)
なんだかそんな気がした




