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龍生祭




「ル、ルシア、それ取ってくれない?」

「え、ええ、い、いいわよ、はい」


宿の朝食は流石高級だけあってこれまた滅茶苦茶豪華だ。


「先生、なんか変ですよ?何かあったんですか?」


イヴが俺達のたどたどしさを見て疑問を口にする。


「な、な、何もないぞ?あと、もう先生じゃないぞ俺は」

「そうですか…でも、先生は先生でいいです」


イヴは謎のことを言った。みんなは名前なのになんで俺だけ先生なんだ?


「そう言えばレンヤくん、龍生祭は見に行くの?」

「ん?今日なのか?」

「うん。まぁ正確に言えば今日から三日間なんだけどね」


龍生祭が今日って、結構時が経つのって早いんだな。ついこないだまでまだ六ヶ月先のことだと思ってたのに…


「せっかくだし、行くか」


ん?待てよ?龍生祭って生徒らも来るんじゃなかったけ?


「なぁ、あいつらも来るのか?」

「ん?………あ」


イヴも気が付いたのか、微妙な表情をする。


「ん〜、でもまぁ面白そうだし行くか」


流石にこの人の多さだとバレないだろう。せっかくのお祭りなので楽しまなきゃ損だ。


俺は早速外に出る準備を始めた。











「うげぇ人に酔いそう」


外に出たは良いものの余りの人の多さに気持ち悪くなってくる。


まさかの馬車がこの国に到着したのと同じ時間だったので滅茶苦茶混んでいる。もう、宿に戻りたくても戻れないくらい混んでいる。


そして、こんなにも人が多いと起こることと言えば…


「うん、はぐれたな」


どこを見ても人ばかりで人探しなんて絶対にできない。


「何、暢気なこと言ってるのよ」


因みにルシアはしれっと手を繋いでいたのではぐれていない。


なんか夏祭りで抜け出した感覚だ。


「取り敢えず広いところに行って探すか…」


俺は少しだけ背伸びをして、ちょっとでも混んでいないところを探す。


と、そう思っていたらルシアがそっと腕を腰に回してきた。


「……探すのは後でも良くない…?」


ルシアの顔は見えなかったが、絶対に顔を真っ赤にしている。


というのも俺も顔が火照っているのが分かるくらい顔が熱く、これでルシアが平然としてたらおかしいからだ。


「お、おう…いいぞ」


俺達は恋人繋ぎをしながら、露店を巡ることにした。











「あれ…?レンヤくんとルシアちゃんは?」


ノアが人混みを避けているといない二人に気が付いた。


「本当ね、はぐれたのね」


レナも周りを見渡すがそれらしい気配がない。


「二人きりなんてちょっとずるいです…それにやっぱり朝から二人変じゃなかったですか?」

「……そう、かな?」


ノアは少し曖昧な返事をした。


「でも、まぁ多分二人もコロッセオに向かってると思うから、そこで会えるんじゃない?」

「………そうだと良いですけど」


コロッセオ。毎年開催される龍生祭のメインイベントが開催される場所で周りには沢山の露店が並んでいる。


コロッセオ内での指定席にはチケットが必要で、既に完売されていると思われる。


ただし、無料で入れる場所もあるのでそこにいるかもしれないが、びっくりするほど人が多いので、そこで会えるかすら分からない。


でも、だからといって闇雲に探したところで絶対に見つからないのでそこにいることを望みにして目指すことにした。



「結構時間かかったね」


コロッセオには普通なら20分程でたどり着く場所にあったのだが、人混みのせいで3倍の1時間かかってしまった。


「そう言えばこの時間ってそろそろ…」


そう言って、イヴはコロッセオの正門の方向に向かった。


「ちょっと」


レナやノアもはぐれないように付いていくが、何があるのかはよくわからない。


「あ、やっぱり、そうですよね」


正門の方に行くと人だかりが出来ていてある一直線上だけには誰も人がいなかった。


「何でそこだけ人がいないの?」

「あぁ、あそこは王女様とか貴族が入る場所だからかな」

「ふーん、じゃあノアも?」

「まぁ、一応…何回かだけ…」


ノアは少し気まずそう答えた。


「王様が来られたぞ!」


誰かが叫んだ。それと同時に一斉に皆が注目した。


「ノアさん、レナさん行きましょう」


イヴは珍しく興奮していて、人と人の間に分け入って最前列まで行った。


(この国の王女ってどんなのなのかしら)


レナも興味本意でイヴに続いて進んだ。


やがて、豪華で綺羅びやかな馬車が到着した。そして、そこから王様と思われる男性と王妃と思われる女性が降りてきた。


歳は40くらいで、王妃はとても美しい。


着飾っているものも豪華で、住んでいる世界が違うとも感じる。


続いてまた豪華な馬車がやって来た。


そこからは若い美しい女性が降りてきた。


「アリア…」


私はその姿を見るとポツリと呟いた。


「知ってるの?」

「う、うん…まぁ」

「アリア王女はこの国の王女ですよ」


イヴが説明をしながらもずっと王女の方を見ている。


アリア王女はみんなに優美に手を振りながら、歩いていく。


そして、私の側を通った時、一瞬目が合った…気がする。


「ねぇ、見ました!?私、王女様と目が合いましたよ!」

「そうね、」


レナは全体を見てただけじゃないのとは言わず、そういった。








ーーーーー、ーーー







「ねぇ、クメ」


アリア王女は付き人かつ護衛のクメに尋ねた。


「なんでしょう、お嬢様」


クメは跪き、頭を下げた。


「レザリー王国の王女ってどうだったのかしら?」


「はっ、姉が賊に襲われて、攫われ現在は妹が王女となっております」


「………そう、じゃあ部下に命じて?」

「……何をでしょうか?」







「姉らしき人物がいた。見つけ次第、丁重に捕らえるように……」

「ッ!?………分かりました」


そう言うとクメは片手をあげる。すると何処からか現れた黒子に要点を伝えた。






「………ノア」


アリア王女は穴からコロッセオの中を覗きながら小さく呟いた。



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