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魔王ベリアナ




「な……」


レックスは恐怖からか声がまともに出せなかった。


それはイヴやランガも例外ではなかった。


さっき殺したはずのベリアナが無傷で立っていて、さらには最強と言われたセレナ先生がボロボロになっているのだ。


「な、なんで…」

「アハハッ!なんでって!」


ベリアナは少しの間、笑いが止まらなかった。


イヴは出来る限り強い魔法を放った。


一直線にそれはベリアナの元に届くが、


ベリアナは急に真顔になって、それを指で弾いた。


「はぁ…こんなのにも勝てなかったんだ…」


ベリアナは落胆して、頭を抑えた。


「あぁ、さっきのは私の部下よ…ほら幻影魔法を使ったのよ」



「これで分かった?」


ベリアナはいつの間にかイヴの後ろに周っていて、後ろから抱き締めた。


「「……っ!!」」



誰も動くどころか、視覚すら出来なかった。


「さーてと」


ベリアナはイヴに抱きつくのをやめて、ゆっくりと歩き出した。


「まぁ、もう面白くないし、死ぬ?」


ベリアナは小さな魔法を5つ作り出して言った。


もう、誰も振り返ることも、言葉を発することも出来なかった。


ただただ、恐怖というものに支配され呼吸の仕方でさえ分からなくもなっていた。


全員理解していたのだ。どんなことをしたって死ぬってことが。



「ん〜、やっぱり全員一気に殺すのは趣がないのよね〜」


ベリアナは独り言を呟くと、魔法をキャンセルし、「どれにしようかな~」と訳のわからないことを言い出した。


「うん、決めたわ。あなたね、さっき大活躍の子」


ベリアナは後ろからイヴのクビを摑んで持ち上げた。


そして、皆が見えるように持ち上げながら歩いていった。


途中、セレナ先生が転がっていたが、お構いなしに踏んで進んだ。


「は〜い、注目〜」


ベリアナは手をぱっと離して、イヴを落とす。


「ねぇ、何か言い残すことある?」


ベリアナはまた小さな魔法と共に聞いた。


「………なんで、私だけ残したんですか?」

「はぁ〜?何の話?」


「10年前の話ですよ」

「知らないわよ、そんなの」


ベリアナは一瞥する。イヴは暗い顔をして、地に頭をつく。


「………?あなた、何して、?」


急に魔法陣が展開される。そして、イヴの元に魔力が収縮されていく。


「私はあなたを許さない」


収縮された魔力は精錬され、逆に膨張していく。


「な、何よこれ…」

「死ねぇ!『ギガ・ジ・アルテマ』!」


私の最強魔法。10年前前に使ったアルテマに改良を重ねて威力を上げた。


ただ、これはまだ未完成だ。


体への負担が半端なく。放てても一発。


でも、これなら一発でもイケル!


酷い断末魔が聞こえた。魔法が収まると丸焦げになったベリアナの姿が顕になった。


「うん、流石にあれだと私でも死ぬかもね」


背後からまたもや先程聞いた声が聞こえる。


「またまたざんね〜ん。本物は私でした〜」


え…?じゃあさっきのは偽者…?


偽者がセレナ先生を倒したの…?


「あぁ〜ちなみにあの先生をボコボコにしたのは私よ?貴方達が振り返る前に代わったけど」


ベリアナはウフフと笑いながら言った。私は膝から崩れ落ちた。


「顔を上げなさい?絶望した顔が見れないじゃない」


ベリアナはイヴの前髪を引っ張って顔を無理やり上げる。イヴの目にはもう光は灯っていなかった。


ベリアナは好物を見るような目で舌舐めずりをした。


「じゃあ一人目」


小さな魔法がゆっくりと近づいてきた。











(あ…もう何やってたんだろ…)


どんなに激昂しても、結局相手に対しては蚊でも潰した感覚だったのだろう。


何の為の復讐だったのか、もう分からなくなってしまった。


あぁ…もうあの時に逃げておけばよかった。


後悔の念が押し寄せる。

 





(もっといっぱい笑えてたらな)







(もっと楽しく過ごせてたらな)









(レンヤ先生に告白出来ていればな)





「じゃあ一人目」



ベリアナの小さな魔法が近づいてくる。


小さいと言っても肌で感じるこの威圧感はこの小さな空間に入っている魔力の密度を思い知らされる。



(サヨナラ…レンヤ先生)


私は目を閉じた。






「何やってんだよバーカ」


大爆音と共に、聞き慣れた、大好きな声が聴こえた。












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