修学旅行でダンジョン
「これからダンジョンに入ります。5班に分かれての行動ですから、くれぐれも油断はしないでね。一応、それぞれに先生はつくけど…」
セレナ先生を俺をチラリと見る。はい、俺は役に立たないということですか?
「自分の命は自分で守るように」
「「「はい!」」」
セレナ先生のときと俺の時で返事の仕方が違うような…
差別だ…
「で、俺の見るとこは…お〜カイト達か」
「はい…先生」
「何だよその嫌そうな目は」
「そりゃ、強い敵現れたら直ぐ逃げそうですし…」
「ま、否定はしないけど」
「して欲しかったです…」
カイトは涙目で訴えた。
「まぁ、行こうぜ」
俺は先陣をきって進む。と、急にルシアと、ノア、レナが呼び止めた。
「ん?」
「………気をつけて」
深刻そうな顔でルシアは小さな声で言った。ノアやレナも同じ表情だ。
「……お前らもな」
俺は小さく呟いた。
やっぱり俺だけじゃなかったか、
この異様な程の胸騒ぎは
「………何か変じゃないですか?」
イヴはセレナ先生に言った。
「ええ、こんなに魔物が出ないのはおかしいわ」
ダンジョンに入って20分程が経過しているが未だに一匹も魔物に出逢っていない。
しかし、それはここだけで起こっていることではなかった。
全ての班で未だに誰も魔物に遭っていない。まるで、元から魔物が存在していないかのように。
(退くべきかしら…)
セレナ先生は何か起きる前に行動すべきだと考えた。
1つ目の案はそのまま進んでボス部屋に行き、他のメンバーと合流する。しかし、何か遭ったときにはこの行動は全員の命を危険に晒すことになる。2つ目は来た道を引き返すこと。確実にこのメンバーを安全に導くことが出来るが、他がどうなるか分からない。1つ目の案なら私が戦えば良い話だ。それに戦闘の科目であるレナ先生もいる。でも、不安は残る。流石に全ての生徒を守れるかは分からない。レナ先生の実力も未知数なので正直どこまで、いけるかは分からない。となればやはりここは一旦退くべきでは?一度引き返して、生徒を安全なところにおいてまた、私が入れば……うん、いける。
「皆さん、戻りましょう」
「はあ?なんでだよ、セレナ先生」
「流石に妙ですからね。一旦引いて安全かどうかを確かめます」
「ま、先生が言うなら…」
レックスくんは悄気げているが納得したようだ。
「急ぎましょ」
私達は元来た道の方に走り出した。
(このまま何事もなかったら良いけど…)
「………止まって下さい」
走ること5分程、イヴは急に静止を促した。
「どうした…?」
レックスが息を整えながら尋ねた。
「やっぱり変じゃない…?」
「あ?魔物は出ねぇけど…」
「そこじゃなくて!」
イヴは少し声を震わすように言った。
「じゃ、じゃあどこがだよ」
「………私達さ、来たとき真っ直ぐじゃなかったよね、道」
「「っ!?」」
全員がはっと気付いた。確かにここまでの道のりはそこまで曲がるところは多くはなかったが、何回かはあった。しかし、今走って来た道のりはずっと真っ直ぐだった。
「ハハ、怖いこと言うなよ…ほら次に曲がり角あるだろ?」
レックスは進行方向にある角を指す。
「……」
「おい、どうしたんだよ黙って…」
イヴは一人黙って走り出した。
「お、おい!」
「イヴさん!」
イヴは静止も聞かずに角まで走った。そして、その先を見ると何故か立ち止まったまま動かなくなった。
「ねぇ、イヴ何かあったの」
真っ先にリディアがイヴに追いついた。そして、イヴ同様にその先を見るとそのまま立ち尽くしてしまった。
「なに……あれ…」
「んなっ…!」
追いついたレックスもその先にあるものを見つめて言葉を失った。
そこに合ったのは、ただひたすらに大きな門だった。ただ、戻ってきたはずがあるはずもない門と遭遇に不快な念言葉をつまらせるのだ。
ーーーここに、導かれたのでは?と
「先生、どうしますか」
「………入りましょう」
セレナ先生は静かに言った。生徒たちはこの決断に意義を申し立てることはなかった。この賭けはどう転ぶかは誰にも分からない。だから、ここは従うべきだ、と。
「……何かあったら私を置いて逃げなさい」
そう言ってセレナ先生は門に手をかけた。
そしてゆっくりとその門を押した




