ぐったり
「あ〜!!もう、疲れた!!」
俺はボス部屋の中心で叫んだ。
ここに来るのはもう5回目だ。毎回スタートから違うルートで5回行ったり来たりしている。
しかもただ行ったり来たりしているだけじゃない。
この図体のデカいゴリラ先生を背負いながらなんだ!
こいつミノタウロスに吹き飛ばされて気絶してから一向に目を覚ます気配がない。あ〜もうどっかに放り捨てたい!
「はいはい、疲れたのはわかりましたから。さあ、後1ルートですよ」
「そうよ。私は全然疲れてないわ。ほら、男の子なんだから頑張りなさい」
セレナ先生は励ましてくれているのに対してカレン先生は上から物を言ってくる。
でも、俺はこれに納得がいかない。まだ、セレナ先生に言われるのは分かるんだ。でもカレン先生はーーー
「そりゃあ、あんたはセレナ先生におぶって貰えてるから疲れないでしょうね!!」
ミノタウロスの後カレン先生魔力切れとかおこして全く動けなくなった。ゴリラ先生といい、こんなんになるんだったらさっさとセレナ先生に任せてさっさと倒したら良かったのに…
と、ここでまた地響きがなる。
「あ〜〜〜もう、だっるっ!!」
そこに現れたのは……
ゴブリンの群れだった。
(あれ?弱そう?ボス部屋なんだよね?)
俺の疑問は何も覆ることもなくただただ雑魚いゴブリンだった。
あっという間にセレナ先生が片付けた。
「え……雑魚。なんだったんだ?」
「いえ、あれがおそらく本来のボスでしょう」
「はぁ?」
あんな雑魚がボス?じゃあさっきのミノタウロスは?
「さっきのは本当に稀なんですよ。なんせここはレベル4なんですから。それにあのゴブリンはホブゴブリンと言って普通のゴブリンよりは断然強いんですよ」
「へぇ〜そうなのか」
「さぁ、さっさともう1ルート行きましょう」
「ああ、そうだな」
ーーーー
「あ〜〜〜疲れた〜〜〜」
俺は飲み屋で酒を一気飲みする。
ゴリラ先生とカレン先生が動けないので打ち上げは今度となったわけで俺は一人で飲んでいた。やっぱり仕事終わりのビールは最高だな!
「お隣よろしいですか?」
「ん?ああ、どうぞ」
銀髪の女の子がお淑やかに俺の隣の席に座った。他の席も空いているのになんでここなんだ?まぁ、いっか。
「あ、焼き鳥一つ。タレで」
「あいよ〜」
俺は焼き鳥はタレ派だ。塩とか抜かすやつは何イキってるんだって話だと思う。
だいたいなんか凄そうな店は鳥の味を楽しむために塩でとか言うところもあるんだろうけど、秘伝のタレはどうなったんだって話だろ。結局タレが一番旨いんだ。
「ねぇ、ここのオススメってあります?」
隣に座っている銀髪の少女が不意に尋ねてきた。
「え?んーまぁ、昨日初めて来たけどあれが美味かったな。えーっと、これ馬刺し」
「そう。ありがと。馬刺し一つ下さい。あとワインを」
銀髪の少女は俺に少し微笑んでから俺が提案した馬刺しとワインを注文した。
なんかまだ子供っぽいのにワインて……
なんか久しぶりに異世界だな〜って感じだな。
「あのぉ、私のこと子供っぽいってお思いになったのでは?」
銀髪の子は横目で見ていたのか俺にニヤニヤしながら尋ねてくる。結構積極的に話しかけてくるんだな。
「すまん、ちょっと思った」
「ふふふっ、正直なんですね。面白いです」
「そうか?」
「はい」
正直で面白いって初めて言われたな…
「お名前とかって聞いてもよろしいですか?」
「ああ、俺はレンヤ。そっちは?」
「イリアです」
「イリア?いい名前だな」
イリアと名乗った少女は一瞬キョトンとしたがすぐにありがとうございますと礼を言った。
「失礼ですが御職業を聞いても?」
「一応教師だ。数学を教えているだけだけどな」
「いえ立派な仕事ですよ。今日は何をされていて?」
「今日は修学旅行の下見。あのなんかレベル4のダンジョンとかに行くんだよ」
「大変ですね」
「そうなんだよ!何通りものルートをいちいち確認していかなくちゃならなくてな!ってこんな話ししても面白くないか」
「いえ、面白いですよ。続きを聞かせてください」
「ああ、それでなーー」




