勇者パーティー3
更新遅れてごめんなさい
「ちっ」
私は薄暗い森の中で、舌打ちをする。
「くそっ!」
腹いせにCランク程度の魔物を一撃で仕留める。まだむしゃくしゃする。魔物に対してではない。自分自身にだ。私がもっと強ければ
「ーーあの、」
「ーーっ!」
急に後ろから声をかけられた。すぐに身を捻り、距離をおく。
「って確か、みさ、きだったか?」
「あ、はい」
よく見ると最近入った奴だった。まあ、かくいう私もパーティーに入ってそんなに経っていないが。
「なんのようだ?」
「えっと、その……ご飯です」
「は?」
美咲は木でできた箱を見せる。
「いらん」
「でもー」
「私は強くならねばならないのだ!」
強い口調で怒鳴ってしまう。こんなの八つ当たりだ。自分が一番わかってる。美咲は萎縮してしまっている。
「す、すまん。言い過ぎた。..でも、もう関わらないでくれ」
私は美咲に背を向ける。
「......無理ですよ」
「え?」
「無理に決まってるじゃないですか!私達同じパーティーなんですよね?背中合わせて戦っていく仲間なんですよね?そんな仲間を..辛い顔をしている仲間をほっとけるわけないですよ!」
美咲は大きな声で叫ぶ。
「辛い、顔?」
「ええ、そうですよ!最初会ったときから、移動している時までずっと辛そうな顔してましたよ!何かあったんですよね!?ずっと押さえ込んでるんじゃなくて、誰でもいいから話してみてくださいよ!私でもいいですから!」
「だがー」
それでもやっぱり断る。
「僕達でもいいよ」
アルマが木の陰からでてくる。他のメンバー達もきている。
「なんでも相談してくれていいんだよ」
「そうだ!」
私は暫く、沈黙する。正直なんて言っていいかわからない。けど、
「……ありがとう」
私は小さな声で呟いた。
時は少し遡って
「バーダクさん帰って来ないですね」
「……うん、そうだね」
私は冷めきったご飯を暖め直す。
「……あの、バーダクさんとはあまり仲良くないんですか?」
「………あんまり話したことないかな」
この友好的なマーナが話さないなんて
「あの人さ、以外と最近入ったばっかりでね。ソロ冒険者としてSランクだったんだ。で、リーダーが誘って。でも、なんかずっと思い詰めてるみたいで、しきりに修行とかしかしないんだよね」
(確かに、ずっと辛そうな顔していたな)
「本当は、話を聞いてみたいけど…聞く勇気がないんだよね。………私って弱いな」
「…………」
美咲は無言で立ち上がる。
「どうしたの?」
「……バーダクさんと話して来ます」
そういって美咲は森の奥へかけていった。
「あ………」
私はただ、見守ることしか出来なかった。何も言えず、ただ呆然と。行かなくちゃ、と思うが何故か手が震える。私は弱い。身体的にも精神的にも。いつも、取り繕って努力はしていいるけど……。
(あぁ、やっぱり無理だぁ)
私は諦めた。もう、美咲に託そうって。
ポンと、肩を叩かれた。
振り向くとアルマだった。彼はニコッと笑って「僕達も行こうか」と言った。それを聞いて、自分自身が情けなくなった。
(強くなりたい)
私はそう願い、その場を立ち上がって、アルマと共に美咲を追いかけた。
私達全員は取り敢えず野宿場所へと戻った。そして、火を囲んで座る。
火がパチパチと燃える音だけが響く。
「...私は元々パーティーを組んでいたんだ」
バーダクさんは静かに話し始めた。
無難な4人パーティーだった。全員幼なじみで仲も良かった。順調に冒険者ランクを上げっていっていた。
ある日私達のパーティーはCランクに上がった。Cランクになると新しいダンジョンの視察の依頼が受けられるようになる。ダンジョンは危険なものもあるが、大抵は簡単でお宝が手に入りやすくて、割にいい仕事なんだ。だから私達も受けた。それが失敗だった。
最初は簡単だった。途中苦戦したけれどなんとか最下層までたどり着くことができた。
ボスはただ普通のゴーレムだった。ランクで言えばdランク程度の。ただ、それを倒すと新しいゴーレムが出てくる。10体を倒したところで仲間の魔力がきれた。エーテルも使い果たしていて、回復はできなかった。それでも最後の宝という欲望を抑えきれなかった私達はそのまま戦った。
そのときからだった。異変が起こったのは。ほかの魔物がでてきたんだ。それもgランク程度。正直鬱陶しい程度だったけど、だんだん数も増えてきて対処できなくなってきた。
それでも私達は帰ることを渋った。もう少しでいける。そうおもったからだ。
でもそれが最悪の決断だった。
魔力がきれた魔法使いに敵が集中した。それを守ろうとした剣士の注意がそれた瞬間狙ってたかのようにゴーレムが攻撃を行い、剣が折れた。
そして、剣士のほうはそのまま。魔法使いのほうは、蹂躙されてメチャクチャに。もう一人は一人で逃げ出そうとして、ゴーレムに捕まった。私は助けようとしたが敵が多くてなかなか近づけなかった。
それでももがいて、やっとゴーレムのところまで行ったとき、待ってましたと言わんばかりに私の目の前で仲間を握り潰した。
そこからはよく覚えていない。必死になって逃げたのか、それとも全部殺し尽くしたのか。
気がつけば、宿にいた。
それからはずっとただ無心になって魔物を殺してきた。ロボットのように。
「......」
何も言葉が出ない。私には感じたことのない苦しみ、怒り、絶望があったんだろう。話を聞くと言ったのに何も声をかけてあげられない
そしてBランクになったある日、金を勝手に使われているという報告があったんだ。
バーダクさんはそのまま続けた。
犯人は親がいなくて、一人で生きていた獣人の子供だった。そいつはずっと私の金をつかってギャンブルだのいろいろメチャクチャな奴だった。でも、なんだかな、そのおかげで感情を取り戻せたきがするんだ。毎回怒ったりしていいる内にな。
そいつがな、ある日男を連れてきてな。冒険者をやるって。
バーダクさんは悲しそうな顔をした。
初心者だから簡単なクエストだろうと思ってた。でも、そいつらが受けたランクはB。一流の冒険者が受けるランクだ。
「え...それじゃ」
とっさに声が出てしまった。結果なんてきかなくても分かるのに。
多分死んだよ。帰ってこなかったから。私はすぐにその場にむかったけれどあいつらはいなかった。それでもさがしていたらいたんだよ。グレートミノタウロスが。
「グレートミノタウロス!?Aランクの!?」
アルマが驚いて声をあげる。バーダクさんはうなずいて話を続ける。
あきらかにギルドのミスだ。それであいつらは...。死体は見つかっていない、食い散らかされたか..。
だから私は怖いんだ。仲の良かった幼なじみも友達もうしなったから。お前らが死んでしまうじゃないかって。
バーダクさんは話し終えた。
また火がパチパチとする音だけになる。
「....悪かったな。こんな話を聞かせて」
バーダクさんは立ち上がる。なにか、なにか声をかけなきゃ。
でも、言葉が出ない。最適な答えが出ない。
「.....結局何が言いたいの?」
不意に、琴音ちゃんが口を開いた。え、聞いてなかったの?仲間を持つことが怖いって
「仲間を持って失うのが怖いんだ」
「?じゃあ失わなかったらいい」
「それができないからー」
「できるよ」
静かに、でもしっかりとした声で言う。
「だって二度あることは三度あるって」
「「「.......」」」
沈黙が流れる。それは一番言っちゃいけない言葉だ。私は訂正しようと声をかけようとするが琴音ちゃんはだからと続けた。
「だから、次守ればいい」
「....それができないから」
「やってもないのにできるかできないなんてわからない」
「でも今まで」
バーダクさんは否定し続ける。
「仲間の犠牲を無駄にする気?」
「はぁ!?」
琴音ちゃんはいつも見せないような、怒気を放った声で言った。
「だって、仲間が死んで守ることの大切さを気づいたのに力があってもそれを実行もしないなんて、正直いって仲間の無駄死に」
「でも」
「いい加減前見ろよ」
「.......」
その後眠いからと、琴音ちゃんはテントに入っていった。自由だなっと思ったけれど、琴音ちゃんらしいともおもった。
バーダクさんはずっと黙ったまま座っている。
次の日、バーダクさんは晴れた顔をしていた。どうやら踏ん切りがついたようだ。
今度は自分が守ると、言っていた。
良かった。
でも、あの琴音ちゃんの言葉
ーいい加減前見ろよー
なんか蓮夜くんが言いそうな言葉だな。
「そろそろいくよ」
「はーい」
私は駆け出した。




