決闘
「うーっす、」
俺は教室に入る。今日は遅刻してない。偉すぎる!誰か誉めてー。え?当たり前?うるさい黙れ。
「ファイアボール!」
「おわっ!何すんだよ」
いきなり生徒の一人が魔法を放ってきた。
「ちっ、はずしたか」
「おい、なにすんだ!ツンツン頭!」
「誰がツンツン頭だ!俺はレックスだ!昨日教えただろ!」
えー、誰だよレックスって昨日で覚えているのは……いないな。誰も知らん。だいたい昨日はテストしかしてないから顔も名前も覚えてねーよ。
「まあ、名前覚えるのは次の数学の時間でと、じゃあ、出欠は……だいたい全員だな」
多分全員いるだろう。何人いるか知らんし、あってるか間違ってるかはわからん。
「なあ、レンヤ先生ってちょっとヤバい奴じゃね?」
レックスが休み時間中、ふと呟いた。
「だよね~、だってランガくんいないのに全員いるとか、昨日だって、窓ガラス割って入ってきてるし」
「でも、あの不意打ちをかわしたのは凄かったね」
「いや、それにしてもあの距離で外すのはねー」
「あ?なんだよ、やんのか?」
「いいよー、じゃあ後でぼこぼこにー
「はいはーい、そこまでー。ケンカは良くないよ?」
「あ?うるせーぞイヴ!こいつがケンカ吹っ掛けてきたんだぞ!」
「レックスが弱いからでしょ!」
バンッ!
「やるんだったら私に勝ってからね?」
イヴは笑顔のまま机を叩き、ニコニコしながらいった。
「「……っ!」」
イヴ・クライネス。この学園の四天王の一人。まじめで、誰からも頼られる。こういったいさかいも彼女がいつも止めてくれる。
「おっしっ!、授業始めるぞーってみんな集まってなんかあったのか?」
丁度レンヤ先生が入ってきて、みんな一人一人席についた。
「じゃあ、今日の授業は面倒くさいし、自己紹介とかでー
ガラガラガラ
一人の金髪の生徒が入ってきた。鞄を持っていることから遅刻だろう。
「おい、遅刻は良くないぞ?」
「あぁん!?」
俺のかけた言葉に腹を立てたのか、俺のところに歩み寄ってくる。
土下座が必要なのか!?ならすぐに……
ガシッ!
そんなことを考えていると、胸ぐらを掴まれた。
「なめてんのか!?お前新任だろ?俺のこと知ってるだろ?四天王の一人のランガだぞ!お前ら教師勢が意気がんなよ」
「(いや、知らねーよ。なんだよ四天王って。中二病かよ)」
教室中がピキーンと凍りつく。
あれ?もしかして俺の心の声、聞こえちゃった?………まずいな。
「わかった。決闘だ。それで白黒つけてやる」
「……はぁ、仕方ないな。ルールは俺が決めるぞ?しっかり公平にだけどな。念のために怪我しないように」
「ああ、いいぞ。今から中庭な」
うわー!イヤだー!行きたくなあい。よし、お腹いたいとかいって帰ろう。うん、そうしよう。
「途中で逃げ出すとかなしだからな」
「お、おう」
うわーん、逃げ道を塞がれたー!
「ルールはまあ分かってると思うけど殺さないこと」
「精神までズタボロにしてやる」
いやだよ。怖いよ。ルシア連れてこよっかな?
俺と……誰だっけ?ラン‥ドセル?は面と向かっている。
「さあ、いつでもいいぞ」
「破壊拳」
ランドセルはなにやら呪文を唱える。そして、一瞬のうちに視界から姿が消えた。
「え?っ!」
気付いた時には懐に入られており。
「ふん!!」
溝に重い一撃を食らった。が、
「へっ、そんなものか?」
「あ!?」
ランドセルは決まったと思っていたのか、急にもう一度戦闘態勢に入った。
「おいおい、ランガのもろの一撃を耐えやがったぞあいつ!」
「す、凄い!もしかしてめっちゃ強いんじゃ」
「あれ?でも、様子が
「ちょっとたんま」
レンヤ先生は足早にその場から去って、木の陰に隠れた。
「ぎぁぁぁぁぁぁぁあああーーーーーー!!!!!!!!いったぁーーーーーーーーーー!!!!あいつバカだろ!本気で殴りやがった!!!死ぬー!!見えないし、なんだよ!ああー痛い!」
学園中に響き渡るほどの絶叫が聞こえた。
(((全然強くなかった!)))
「何をしてるんだ!!うるさいぞ!」
と、先程の絶叫が聞こえたのか、教頭が怒ってやって来た。
「……っ!また、レンヤ先生か!!」
「ち、違うんですよ!」
レンヤ先生はすぐに木の陰から出てきて、言い訳を始める。
「このランドセルが、決闘しろってうるさくてー、それでまあ、仕方ないか。どうせかるくだしとか思ってたら。あいつガチで殴りやがったんですよ!酷くないですか?」
「お、お前は!なに、教師と生徒が決闘などやっているんだ!それに、彼は四天王だぞ!お前ごときが勝てるわけないだろ!」
「教頭まで、中二病を」
「何を言ってるんだ!反省しろ!」
「だってよ、ランドセル」
「お前、俺はランガだぞ?やっぱりなめてやがんな。もう一発
「さ、授業授業、じゃあ」
レンヤ先生はさっそうと教室に戻った。
「あんな教師に習うなんてごめんだな」
「そうよねー。しかも数学とかどうでもいいし」
「じゃあ、みんなで遊びに行かない?」
「いいね!」
……………………
誰も帰ってこない。よし、定時だなではサヨナラー
ガラガラ
「しっかりやってますよ!ただ生徒がって……君か」
入ってきたのは一人の女子生徒だった。名前は……知らないから君って呼んだんだよ。
「レンヤ先生」
「は、はい」
「教師辞めてくれませんか?」
「はい?」
やだ何この子。可愛い顔してなんてこと言うの?もう、最近の若い子達は親の苦労も知らないで。もう。
「聞いてますか?」
「え、あ、聞いてる聞いてる」
「で、どうですか?」
「いや、無理にきまってるだろ。こっちは生活かかってんだよ」
「そうですか。まあ、そりゃそうですよね」
良かったー、聞き分けのいいこで。まあ、いきなり辞めてくれはおかしいけど。
「じゃあ、先生さようなら」
その生徒は急に雰囲気が変わって、さっきのような静かで冷徹な様子から明るく元気な様子になった。
「え?おい」
「あー、先生。これはヒミツですよー。あと私の名前はイブですからね。じゃあサヨナラ」
女子生徒、イブは教室を出ていった。
「おい、授業は?」
誰もいなくなった教室、まだ一時間目だぞ?
「……………帰えるか」
「帰らせるわけないだろ」
「いやいや、この状況じゃ……え?」
ゆっくり後ろに振り返る。
顔を真っ赤にした教頭が腕をくんで立っていた。
「先生さようなら」
ガシッ!
俺は襟を掴まれて強制的に理事長室に連れていかれた。
その後5時間にも及ぶ説教。暇人なの?教頭って




