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…………ご飯は?

「………………………ご飯は?」

「………………………」

「………………………ご飯は?」

「………………………」


何度聞いても、ルシアは気まずそうに目を反らす。えっご飯ないの?


「風呂は?」

「川で水浴びしてきて」

「こんな寒いのに?」

「そこまで寒くないでしょ!さっきからご飯だの風呂だのうるさいわよ!ご飯は昼に食べたからもうないの!それに私お腹すいてないし!風呂なんて私も入ってないのに入れるわけないでしょ!わかっ「グゥーー」っ!」


突然ルシアのお腹がなり、トマト……茹でダコのように顔が真っ赤になった。お前も腹減ってんのかよ!って言いたかったが、言ったら食われそうなのでやめといた。


「そうだ!昼、あんた私の仲間になる言ってたわね!?」

「そんなこと言ったっけ?」

「言ってたわよ!」


(くそっ!覚えてたのかよ)


「てことで、取り敢えず~まああんたを召喚したときから考えてたんだけど、私の借金返済を手伝ってもらうわよ」

「……………しゃっ、きん?」

「そう借金」

「………いくらだ?」

「……ご、500万ベニー………」

「ご、500万!?な、なんでそんなに借りたんだよ!?」

「し、仕方なかったのよ。こうするしか……」


ルシアはさっきまでの威勢のいい感じではなくどこか泣きそうな表情で言った。こんな顔されたら手伝うしかないだろう。


「ったく、しゃーねーなー!手伝ってやるよ。だから理由くらい教えろよ?」

「………ありがとう」


ルシアはそのままうつむいたまま、壁にもたれ掛かる。


「……実は私……エウロスの魂が宿ってるの」

「えっ!?」

「驚くのも無理ないわね…軽蔑したでしょ?私のこと。私だって最初は驚いたわよ…他の人より魔力量も多く、センスも良かったのは才能だと思ってた…でも違った。他の人からは「邪神の力を借りてるだけ」とかさーー散々罵られてさ、いじめられて、そんな日々だったのよ」

「なあ、ちょっといいか?」

「なによ?」


ようやく一区切りついたとこで俺は最大の疑問を聞くことにした。ここまで聞いて言うのも違うかもしれないが、






「その話、長くなりそう?俺ねむいからさー、明日でいい?」


言われなくてもわかってるかもしれないが俺は吹き飛ばされた…





「それで、話す気にはなったか?」

「あんたなんか知らない!」


さっきからこの調子で30分くらい経つ。じゃあ寝ればいいじゃんって話だけど、俺が寝ようとするとつねってくる。ツンデレかよ!


「さっきは悪かったからさー、なっ?もういいだろ?」

「しょうがないわね、それで私はーー

「あ~ちょっと待ってくれ」

「次は何?また変なこといったら潰すからね?」


怖いな!潰すなんて女の子がいってはいけません!


「いや、さっきいってた"エウロス"ってなんだ?」

「は~~!?知らないの!?エウロスよ!?」

「いや、俺異世界人だし!こっちの常識なんて知らねーし!」

「そっから説明かー、仕方ないわね。じゃあ話すわよ」

「悪い、たのむ」

「今から遠い昔、ゼウスという名の神様がいました。」

(ゼウス?ゼウスってあれか?神様の一番えらいってやつの?)


(神様って、ギリシャ神話にでてくる神様なのか?そういえばエウロスって神様もいた気がする)


「それでそのゼウスに惚れた女神、エウロス、ルーナ、シヴァ、アポロ、フェニがゼウスを自身ものにしようと奪いあい、力を奮った。そのせいで世界が消えかけ、ゼウスが怒り全員の肉体を滅ぼし、魂を封じ込めた。それで世界を壊滅させようとした5人の女神が邪神とされたの。で、私がその一人、エウロスの魂が宿ってるわけ、わかった?」


(ギリシャ神話と関係ねーじゃん!フェニってなんだよ!てかこの話滅茶苦茶じゃん!)


「まあ、なんとなく…それで、続きは?」

「神話はここでおしまい。邪神の魂が宿った私は、いじめられて、お母さんは精神的に疲れて死んで……独りぼっちになったわけ。さっき言ったように天狗になっていた私に友達はいなくなったし、頼れる親戚も……いなかったの」


「父親は?」

「私が小さい頃に離婚して、姉と一緒にどこかへ消えたわ」

「………そうか…悪いこと聞いたな…母親いつ…亡くなったんだ?」

「5年前よ」

「ご、五年…」


(なんだよ、5年も独りぼっちだったのかよ。つらかっただろうな。それにお金もない、か)


「この辺に町とかある?明日、働くぞ?」

「えっ…私、邪神の魂を宿ってるのに?あなたは私を軽蔑しないの?」


ルシアは心配そうに俺を見つめてくる。

こいつは本当にバカだな


「そんなの関係ねーだろ、俺は異世界人だからよく分からんが、ルシアはルシアだろ?今さらって感じだな」


「…変なとこでかっこいいんだから…バカ…」


「ん?なんて?」

「なんにもないわよ!」


ルシアが顔を真っ赤にして、怒ってくる。そんなに俺の言葉よくなかったか?思い返すと……俺痛い人じゃん!あー黒歴史だー!


一人で頭を抱えていたら


「まあ、良かったわ。()()()()()で作った借金を返すのを手伝ってくれるから」

「当たり前………………ん?今ギャンブルって言ったか?」

「……あ!」


慌てて口元を押さえるルシア。


「はあ?さっきまでの話なんだったんだよ!?嘘なのかよ!眠たいなか頑張って聞いていたのによ!」


「う、嘘じゃないわよ!ただ、お金がないから…ギャンブルで稼ごうとして……」

「ダメ人間がすることじゃねーか!」


「ち、違うの!最初は勝ってたのよ!ただ、だんだん負けてきて…でもまだ逆転できると思って…」

「それで借金ができた、と」


「………うん」


神様どうかお願いです。平和な日本に帰らせて下さい。異世界初日(夜はふけてきたが)から借金とかいじめですか?


届かない願いを念じ、重い瞼をー「グゥーー」…腹へった。隣ではすやすやと寝てるルシアがいる。


「……はぁーー」


着ていたジャンパーをルシアに被せ俺も寝ることにした。

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