魔王
「溶けてるよね!?」
「……雨漏りだろ?」
「いや、多分違うんじゃない?」
「おやおや、いいところにいるじゃない」
「とりあえず洗面器を」
「なんでよ!雨漏りじゃないでしょ!」
おお、こっちの世界でも雨漏りがしたら洗面器を置くのか
「そうだ!ノア、かまくらに水をかけてくれ」
「え?なんで?」
「あのー」
「この寒さならカッチコチになるだろ!」
「ちょっとー……」
「あんたバカなの!?今、溶けだしてるのに水なんかかけたって固まるわけないでしょ!」
「………あ!」
くそ!学力トップ3に入るくらいの実力だったのに!
あれ?そういえば、まえまえから思ってたけど本当に他の連中ってどうなったんだ?
まさか、やっぱり俺だけ転移なのか!?不平等だ!
「………不平等だ」
「何がよ」
「この世が」
「よく分からないこと言うね」
「ここに魔王がいるんですけど」
「やっぱり一回試してみよう、外にいって水をかければ濡れない」
「絶対失敗すると思うけどいいわよ」
「私がやるんだけどね……」
俺達は立ち上がる。
「あ、あのー」
「ちょっとすいません」
「えっ、ちょっと」
俺達はかまくらの外に出る。
「ノア、頼む」
「分かった、ちょっと待ってね」
ノアが魔力を練る。
それはどんどん大きくなる。
「「は?」」
「いくよ!」
「え?でかすぎない?」
「龍の滝!!!」
「「…………」」
龍が舞い降りたような水は一瞬でかまくらを潰す。
おいおい、戦うの初めてとかいってたよな!強すぎるだろ!王女だったんだろ!?もっとおしとやかにしとけよ!
でもまあ、魔王も倒せただろうしいいか。
本当はあのまま逃げるつもりだったんだけどね。
「あちゃー、かまくらも潰しちゃた。ごめんね」
「ああ、まあ、いいぞ……ん?おい!逃げるぞ!」
俺はルシアとノアをかかえてにげる。
「どこに行く気かしら?」
後ろから、声が聞こえる。無視したい。
「愛する奥さんと新婚旅行に」
相手に背を向けながらかっこよく言う。
「誰がレンヤの奥さんよ!」
痛い!嘘ってわかれよ!逃げるための口実だろ!
「二股は良くないよ、レンヤくん」
だから違うつーの!
「じゃあ新婚さんには、……二股?」
「なんで、お前もそう思うんだよ!!!」
魔王の方に向く。真紅の双眼がこちらを睨んでいる。
「ん?あ!あん時の中二病!」
「誰が中二病よ!」
「?、知り合い?」
「ん?ああ、お前らが信じてくれなかった温泉の中のミノタウロスを倒してくれた人だ」
ん?なんだ?ちょっと違和感があるな。
「へーいい人じゃない」
「そうなんだよ、じゃ頑張ってください」
俺は後ろを向く。
「なにしれっと逃げようとしているの?」
「ふっ、気のままに旅に出るだけさ」
「………さっき新婚旅行にいくとかいってたけど?」
「…………」
冷や汗が止まらない。考えろ!考えろ俺!
「いやー、あの時は助かったよ……魔王様」
「媚びたって何もないわよ」
くそ!
「じゃあ死んで」
魔法が構築されーされーされない。
「「「は?」」」
「あーもう!なんでこんなときに、呪いが発現するの!!」
「……呪い?」
呪いなんかがあんのか?えーと邪の魔法?でもあれってテイム用じゃなかったっけ?あれ?そういえば、魔王の目って片方青じゃなかったけ?それにしゃべり方が少し変わってるような...。そういえば風呂の時も最後殺気を感じたな。これらをまとめて俺は一つの仮説をたてる。
「なあ、ルシア。呪いとかあんのか?」
「知らないわよ」
やっぱり使えない。チラッとノアの方を見ると
「あるよー、でも儀式みたいなものだけどね」
「「儀式?」」
「大人数で聖の魔法使いが集まって、反転させるんだー。でも成功率は低いんだけどね」
「それの解除方法は?」
「んー、あーティファクトぐらいしかしらないかな」
アーティファクトね、そんなの簡単には見つからんし、あったとしても高そうだから魔王にわたることはないな。
「ちなみに私、呪いの解除のアーティファクト持ってるよ」
…………は?
「だいたい王国の重要な人物はもってるよ。呪いで殺される可能性があるからね」
まじか、そんなにあるのかよ。じゃなくてそれを言っちゃうと
「へーあなた、呪いの解除のやつをもってるのね」
ほらー、ほらほらー。厄介なことになるじゃん!
「なあ、ノア。それって触れたら発動するのか?」
「そうだけど」
「ちょっと貸せ」
「え?いいけど」
俺はのろい解除するアーティファクトを魔王に見せる
「欲しいか?」
「ちょ、ちょっとレンヤ」
「いいから」
「欲しいわね」
「じゃあ、どうぞ」
「え?」
俺は魔王に向かって放り投げる。
魔王は受け取ろうとするが、直前でよけた。え?なんで?
「えっ?なんで」
魔王の体がそれに触れようとしているのを拒んでいる。
「ど、どういうこと?」
ルシアが尋ねてくる。
「俺が前にあいつに会ったときは目が片方青で片方赤だったんだよ。つまり、半分呪いに支配されていた。でも、味方が呪いをかければ好機だと思って攻めるだろ?だが、それがないってことは敵が味方に呪いをかけたってことだろ?」
「凄いわね、根拠は?」
「ないに決まってるだろ、適当に思いつきでしゃべっただけだから」
なんだよ二人してそんな目を向けて。俺が分かるわけないじゃん。本当は呪いの解除のお礼として見逃してもらおうと思っただけだから!
「へー、気づいちゃったんだ」
魔王が声をあげる。何に気づいたんだ?
「そうさ、この子は魔王のくせに優しすぎるのよね」
え?俺の仮説あってたの?やったー景品は?ないの!?
「私はこの体を乗っ取って最強の魔王と「これ、おちてたわよ」あら、ありがとぁーーー!」
ルシアがしれっとアーティファクトを渡した。めっちゃこっちみてガッツポーズしてるし。
魔王は呪いが解除されたことによりその場に倒れた。
「…………連れて帰るか」
「体目当てかな?」
「ちげーよ!」
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