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王女

「お嬢様、また王宮から抜け出して!王女としての実感を持ってください!」


なんで私が王女なんだろう?毎回そう思う。生まれた時からずっと王宮で育ち、王女になるべく教育させられてきた。


王女なんて、やりたくない。私がやりたいことは、自由にすること。仕事は農業でも、店を持ってでもいい。王宮のように囲まれたところに閉じ込められたくない。そして、好きな人ができたら、その人と幸せな日々をおくりたい。そしておばあちゃんになるまでその人と一緒に平和に暮らしていきたい。それが私の願いだ。


でも、そんな夢は叶わない。


「1ヶ月後には、ポール皇子と結婚するのですから、しっかりしてください」


そう、私は1ヶ月後結婚する。隣の国の皇子と。何度かあったことがあるが、その皇子は結構乱暴で、親のいないところで犯してきそうになる。そんなやつと私は結婚しなければならない。何度も何度も親に話したが、「ポール皇子がそんなことする人ではない、いくら結婚したくないからといってそういうことは言うな!」と怒られた。


一人で逃げ出したいが外でモンスターに襲われて死ぬかもしれない。それでは逃げ出した意味がない。


「はぁーーー」


長いため息が出る。これからどうしよ。


ーー強いて言うなら、ノアのことを嫌ってないからかなーー


なぜかレンヤくんの言葉が反復する。


「また明日って言ったから、今日もいこうかな」







「げっ!結局来たのかよ」

「昨日約束したからね」


流石に方便かと思っていたのに。なんだ?王女って暇なのか?


「まあ、いいや」


深く考えてもしょうがないので昨日完成しなかった銃を作る作業に取り掛かった。



「ねえ、レンヤくんはなにをつくってるのかな?」

「企業秘密です」

「教えてくれてもいいんじゃないかな?」


んーどうしよっか。銃って言ってもいいんだが、俺だけがいい。だって強いから。みんなが使い出したら希少価値がなくなるじゃん。


「秘密にすんだったらいいぞ」

「いいよ、秘密するね」


「今作ってるのは銃だ」

「銃?」


ノアは首をかしげる。


「まあ、なんていうかここから弾を発射したり、魔力弾を発射したりするもんだ」

「へー、凄いね」


トントンカンカン


「「………………」」


んー、気まずい。俺ってこんなにコミュ障だっけ?


「ねえ」

「うん」


「私さ、来月結婚するんだ」


………何の話?というかなんでそんなにシリアスなの?


「嫌なのか?」

「うん……その相手は隣の国のポール皇子なんだけど、表の顔は優しく、真面目なんだけど、本当は乱暴なんだよね」

「ふーん」

「私ね、夢があるんだ。自由に生きたいの。旅人じゃなくてもいい。自分のやりたいことを赴くままにやりたいの」

「…………」


だから、毎回王宮を抜け出してたのか。やっぱ王女も大変なんだな。


「ごめん、今の忘れて」

「……………」


忘れられるわけねーだろ。でも、どうするか。なんのアイデアも浮かばん。


ノアはそれだけを言うと俺に背を向けた。


「なあ、結婚式っていつだ?」

「来月の頭よ。それじゃあ」






俺は銃を完成させた。


さて、どうするか。何を作ろうか。








宿にて


「さあ、ここでは俺がこの1ヶ月間何をつくったのか、お見せしましょう」

「なにが始まるのよ?」


宿に戻った俺は緊急企画をする。


「まずはこれ、カメラ!」

「ん?それってスマホにはいってなかったけ?」

「そうです、しかしこのカメラ一眼レンズとなっており、俺のぼろっちいスマホより鮮明に撮ることができます。また、夜暗い時でも光を集め昼間のように人の顔も写ります!さらに、ルシアの魔法を使ってチャージすれば飛ばすことができ、さらに自動で写真を撮ってくれます!」

「す、凄いわね。でもお高いんでしょう?」

「なんとお値段15万8200ベニー」

「そこをなんとか安くなりませんかね?」

「分かりました今回特別価格この話を聞いた30分以内に限り5万8200ベニー引いた10万ベニーでどうでしょう」

「まあ、安い!ってなるかー!何よこの企画!!」


結構ノリノリだった気がするんだが。まあ、ふざけすぎたか。


「まあ、そういうカメラだ。思い出を勝手に撮ってくれるんだ」

「それは凄いわね。他には?」

「その名も四次元ポ○ットの腕輪版」

「四次元ポケ○ト?それなに?」

「まあ、この腕輪の中に何でも入るってことだ」

「これまた、凄いわね」


「名前はアイテムリングな」

「さっきの四次元ポケ○トじゃあだめなの?」

「………著作権的に……というわけだ」


そして、俺は袋からあるものを取り出した。


「あと、これルシアのな」

「え?」


俺はナックルを渡した。


「これは魔力を手に集まりやすくする能力があってな、風の爪がもっと強化されると思うぞ」

「………ありがと」


ルシアの顔が赤い。なんかこっちまで恥ずかしくなってきたな。




あとは、俺がバトルで使いそうなものとか調理器具しか作っていない。まあ、十分凄いだろ。魔法って超便利!


「あ、そうだ。ルシア、俺バイト辞めてきたから明日から一緒にクエストいくぞ!」

「え?よかったの!?」

「ああ、作りたいものは作ったしな」

「そう、じゃあ明日はミノタウロスね!」

「それは却下で」






「ふぁーあ」

「レンヤ眠そうね。なんかあった?」


「なんかあったじゃねーよ、お前が蹴飛ばすからベッドから落ちたじゃねーか。おかげめっちゃ朝早くから目が覚めたんだよ」

「えっ?なんかいった?」

「いやだから……ひっ!な、何でもないです…」


何で俺が睨まれなくちゃならねーんだよ。まあ、起こされたおかげアレも作れたし結果オーライか。



クエストを終えた夜


「ねえ、ここにいつまで滞在するの?」

「んー、ルシアはどうしたいんだ?」


正直いつまででもいい。


「私は他の国もまわってみたいし、来月には出発したいかな」

「じゃあ、そうするか。別にやることもないし」



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