バイト
癖が強いのがきますよー!
「あ~~いい湯だー」
俺は異世界で初の風呂に感動していた。この風呂付きで一泊約800ベニー、安い!(この世界の金銭感覚は知らんけど)多分1ベニー=1円だと思う。
「明日、どこのバイト探そう」
お金を貯めるためにバイトを探さなければならない。どうせ異世界なら異世界でしかできないようなところで働きたい。
酒場?
………いや、荒くれ者の対処ができない。
冒険者ーはない。
鍛冶?
…………修行して自分の刀でも打ってみるか。
うん、鍛冶職人になろう。バイトの面接…ってあんのか?
取り敢えず俺は明日鍛冶場に行くことにした。
「ふぁーあ、今日は疲れたな」
「ふんふふんふーん、ふふんふーーん、ふーー……ふーん………………………zzZ」
(っは!寝てた!?早く上がろう)
結構疲れていたのかすぐに寝てしまっていた。
「うーー、完全にのぼせたな」
のぼせたせいで、体がだるく、疲れもあってしんどい。部屋までの道のりが永遠にも感じられるほど遠い。
やっとの思いで部屋に着いた俺は、ベッドに倒れこんだ。
「ふっかふかや~」
石畳のようにかたくない。品質は中の下くらいだが、何もしかずに寝ていた俺にとっては最高だった。俺の意識はすぐに刈り取られていった。
目が覚めると隣にルシアはいなかった。いなかったというよりは、俺がベッドから落ちていた。
(今何時だ?)
そう思い見渡すが、時計らしきものがない。そういえば時間はどうやって分かるんだ?
「ルシアー、起きろルシア」
「うーん、あと、3年」
「三年寝太郎か!いいから、起きろ!」
ルシアが眠そうに起き上がる。
「眠そうだな、ビンタしようか?」
冗談で言ってみる。どう返事するかな?「レンヤに叩かれるわけないでしょ!」とかーーー
「バッッチーーーン!!」
「っっ!!」
俺はいきなりビンタされた。こいつ朝から何してくれてんだよ!めっちゃ痛かったよ!!絶対顔に赤い手形がついてるよ!!
「なに、朝からおっきな音だしてんのよ!」
………………は?
いや、いやいやいやおかしいでしょ!自分でビンタしといてそりゃないでしょ。
「ルシアが俺をビンタしたくせに何いってんだよ」
「は?私がいつビンタしたっていうのよ」
「は?今さっきしただろ」
「知らないわよ」
え?無自覚?なおさら怖いんですけど。頭がボケてる状態であんな強いビンタされるってどういこと!?
「取り敢えず朝食食べるわよ!」
「………はい」
納得はできなかったが、本人に意識がないため何もいうことができなかった。
朝食を食べ終えた俺達は別れ、ルシアはクエストに俺はバイト探しにいった。(どうでもいいけど桃太郎の冒頭に似てるな)
「すみませーん」
「おう、なんだ?」
「あのー弟子になりたいんですけど」
ダメ元で一度頼んでみることにした。断られたら断られたでただ店番とかすればいい。取り敢えず一度でいいから武器を作ってみたい。
「…………」
店主っぽい人は腕をくんで静かにだまっている。
「やっぱりダメですか?」
「アンナーーー!遂に俺時代がやってきたぞ!!」
店主は腕をくんだまま大声を上げた。
は?どういうテンション!?
「うるさいわよ親父!そんなんだから武器がうれないのよ。で、何?」
「俺に、俺に俺に俺に、弟子ができたーー!」
よし逃げよう!まさかのハズレを引いてしまったようだ。最初の店は混んでたので、空いていたこちらに来たがそれはまちがいだった。
「えぇーー!弟子!?どこの誰?そんな物好きな人」
「ここだーー!」
俺は逃げる前にガッチリと掴まれた。全然抜けられない。
(こいつ力強すぎだろ!)
冒険者をやってたくらいの筋肉をしている。
「ねえあんた本当に親父の弟子になりたいのか」
「おう」
「親父に聞いてないわよ。で、どうなの?」
俺はすぐに首を横に振ろうとした。しかし、後ろから押さえつけられる手によって縦に振ってしまう。
「ええー!?本当に弟子!す、すごいわよ親父!やっと一人前の店と同じように弟子ができたわ」
「おう!じゃあさっそく師匠として鍛冶をおしえなくては」
ずるずるおと俺は引きずられていく。この親父さては気付いてやってるな!そんなに弟子が欲しいかよ!
「俺の修行は厳しい!覚悟を持ってしないと死ぬぞ!覚悟はできてるか!!」
この親父はとてもノリノリになって言ってくる。だいたい鍛冶で死ぬってなんだよ。
「そんな覚悟ないので失礼ーー
「流石だな。では心構えを言おう」
帰らす気ないな。あーもう、こんなんだったら普通に人気の店行けば良かった。
「俺の店では普通のものはつくらない。こだわりぬいた一品しかつくらない」
「?どういうことだ?」
「師匠と呼べ!師匠と」
さっきからチラチラとみてくるのはこれだったか。だいの大人が何欲しがってんだよ。
「……師匠どういうことですか?」
すると満面の笑みを浮かべる。子供か!
「よくぞ聞いた一番弟子よ。普通の武器ならどこでも売っている。だからここでは特別な武器を作る」
ん?なんか凄そうだぞ。特別ってどんなだ?持つと力が上がるとかかな?
「師匠、特別とは具体にどのようなものですか?」
「例えば、普通の槍より3倍長い槍」
「おぉ!」
「ただ、長すぎて持ち運びに不便」
ゴミじゃねーか。普通の三倍って逆に振りにくいだろ!
「ほ、他には?」
「この剣はどうだ?この剣は剣先を飛ばすことごできる!」
「ほう!」
「ただ、飛ばした後は回収しなきゃならん」
使えねー!一回発射するごとにとってつけなきゃならんの!戦闘中にそんなことしてたら死ぬわすぐに。
「も、もうないんですか?」
「最後にとっておきのがある。これだ!」
それほ、見るからに普通な盾だ
「これに仕掛けがあるんですか?」
「その通りだ。これは」
「これは」
「これはーーー皿にもなる」
「ゴミじゃなーか!!」
使えない。全く使えない。返り血を浴びた盾で飯食うとか頭おかしいだろ!なんかないのかよ使えそうな武器は!
辺りを見回すと、一際輝いている剣があった。キレイな刀身でいかにも切れ味が良さそうだ。
「師匠、あれはー?」
「ん?あーあれはアンナが打ったものだ」
よし俺、アンナさんに弟子入りしよう