ルシアの過去
少しシリアスかもしれません
「クエストには行きたくない」
「駄目よ!明日は行くのよ!」
宿の部屋に行った俺達は明日どうするか喧嘩していた。
「俺はもうあんな死ぬような目にあいたくない」
「お金はどうするのよ!」
「そ、それはーバイトでもして」
「嫌よ、私働きたくないの!」
「うるさいぞ!!」
「「す、すみません」」
「じゃあこうしよう、俺はバイト、ルシアはクエスト。これでいいだろ」
「……私が死んでもいいの?」
ダメでしょ、普通。だいたいルシアが死ぬクエストは俺が行っても死ぬし。
「死んだら許さないからな!難易度はd以下にしろよ!」
「ふん、ツンデレなんだから」
それお前がいう!?まあ、俺も自覚あったけど。よし、この流れでしれっと
「風呂入ってくるか」
さっさと逃げよう!
…………風呂ってあるのか?
ーーpartルシアーー
「いい湯だったわ」
久しぶりに入った風呂。気持ち良かった。
今までの私はーー
私は五年前に母親を亡くした。父親や姉もいたらしいのだが、小さい頃に離婚していたため顔も名前も知らない。
私は小さい頃、ウィザードに憧れていた。
ウィザードになるために魔法を覚え、自分が風魔法の使い手だと気付いた。魔法センス、魔力量も多く学校で一番の魔法使いだった。みんなに尊敬され、頼られるそんな楽しい日々だった。
ある時までは。
「やあ」
「あ、アイク。どうしの?」
アイク。この国での大富豪。しかも周りをメロメロにさせるほどの甘いマスクだ。
「明日一緒に食事でもどうかな、って」
「ごめんなさい、明日は用事があって。違う日なら空いてるけど」
「そうか」
アイクの顔が曇った。
「え?どうしたのアイク?なんでそんなに怖い顔をしてるの?」
「僕の誘いを断るのかい?」
「え、でも本当に用事が……違う日なら……っ!」
急に後ろから頭部に強い衝撃を食らった。
「なんでアイク様の誘いを断ってるの?」
「さいてーだね」
「え?どうし、て」
見ると他の女子達だった。
「どうしてって?そんなのアイク様の機嫌を損ねるあんたが悪いのよ」
ガンガンと踏みつけられる。
「それに、いつもうざいのよ。ちょっと魔法が出来るからって調子にのり上がって」
「本当、うざいですよね」
「え、なんで」
次にうざいと言ってきたのは仲良しの女子。
「いつも、私天才みたいな感じだして私を助けてくれるけど正直いらないから。邪魔なの」
「え…………」
今まで一緒にいた人に言われた一言は私の心を大きく削った。
「てなわけで、みんなやっちゃえ!」
こうして私はずっと殴られて、蹴られてさんざんな目にあった。
「……ただいま」
私はようやく家に帰った。全身が痛い。でもすぐに母親の元にいって
「お母さん、学校に行きたくない」
ボロボロになった私を見て母親は
「はぁ、なんのために私が働いて学費をはらってあげていると思ってるの?休むなんてもっての他よ」
「そ、そんな」
「何?」
母親の眼光が鋭く光る。
「……なんでもないです」
私は今の態度がいけないと思った、というよりは思おうとした。自分を変えて接しても、関わらずに一人でいても、叩かれる、殴られる。キモイなどの罵倒。
そんな中、私は邪神エウロスの魂が宿っていると診断を受けた。そうと分かると苛めもエスカレートしていった。
「キャー、邪神がいるー殺されるー、その前に殺っちゃおうよ」といった感じで殴られる。
男子達にも犯されそうになった。
ついに母親までも私のことを殴った。どうやら、私のせいで職場で苛められているらしい。
「あんたさえいなければ!!」
私を殴っているとき、母が大声で言った。
私はまた何か崩れるような感覚に陥った。
え?私はいらない子なの?じゃあ私は何のために生きているの?
何もかもが分からなくなった。
突然、母親が死んだ。死んだというよりは………多分…。
その後、私は学校をやめ、街の外にでて生活した。誰にも見つからないように。街に行っては親戚で家のもってないバーダクのお金を使って食糧を買い、逃げる。そんな毎日だった。
そんなある日、本が落ちていた。拾ってよむと召喚術のことがかかれていた。どうやら悪魔を眷属にできるらしい。
(悪魔を眷属にしたら、自由に生きられるかしら)
分からない、でもやってみるだけやった。材料を盗み、逃げてなんとか実験の準備を整えた。
呪文を唱える。
すると、魔方陣ができた。
(やった!成功した!)
結果はー変な格好をした男が召喚された。悪魔がどのようなものか知らなかったのでそれが悪魔だと思った。
しかし、彼は悪魔ではなくただの人間(それも異世界の)だった。正直がっかりした。
異世界とは驚いたが、気は弱いし、なにかとつっかかってくるし。……勝手に耳さわってくるし。
ーーでも私の話を聞いて「ルシアはルシアだろ」って言ってたくれた。離れていこうともしなかった。あの時だけでどんなに嬉しかったか。
しかも、涙を堪えながら見た、レンヤの顔はカッコ良かった。
「あんな奴に助けられるとはね」
今までたくさんの苦労をしてきた。辛かった。
でも、レンヤが全てを変えてくれた。毎日がとっても楽しい。ミノタウロスの時だって、私は助けられてばったかりだ。
それにーールシアを信じているからなーー
顔が熱くなる。風呂に入りすぎたんだろうか、いや違う……。
部屋に戻ると、顔を真っ赤にしてのぼせているレンヤがいた。なんかさっきまでカッコいいと思っていた私が馬鹿らしく感じた。
はあー、なんでこんな奴を好きになったんだろ
ルシアが可愛いっと思ったら好評価お願いします。
また、感想ありがとうございます。