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大パニック



「失礼しますっ!魔族が、魔王が現れました!」


兵士が王女の間にドタバタと入って叫んだ。


「…何だ…とっ!?」


クメは驚きと戸惑いの表情を浮かべる。警備体制はこれまでより重点的に重きをおいていたので、例え攻めてきたとしてももっと事前に確認できるつもりでいたのだ。しかし、悔やんでばかりではいられない。


「至急、王女の護衛を!」


クメは部下達に指示を出す。丁度そこへ、美咲と琴音がやって来た。


「私達も護衛します!」

「ありがたい。ここより大宮殿の方が安全です。そこまで行きましょう。さぁ」


王女達一行は直ぐ様、その場を離れた。


「何が起こっているんだ!」

「分かりません。ただ、魔族が攻めて来たとだけ」

「くそっ!…結界はっ!?」


この王国には王国全体を覆う結界が張られている。そのため普通魔族が侵入は出来ないし、入られた時は結界が壊されたということだ。しかし、今回は結界が壊れた様子もない。いや…


「……結界が…ない……?」


空を見上げるが、多少見える結界の揺らぎがない。これはもしかすると…


「おい!結界省に確認を!裏切り者がいるかもしれん!」


「え…?結界あるじゃないですか…?」


一人の兵がポツリと呟いた。


「何!?」


クメはもう一度空を見上げた。揺らぎは……ない。


「何処にだ!」

「いや、有りますって!魔法放ってみてください!」

「本当だろうな!」


そう言ってクメは腰に掛けてある短剣を持ち、投げた。


短剣は一直線に真上に飛んでいき、あるところで何かに弾かれたように方向を変えて落ちてきた。


「ほら!」

「……むぅ、確かだな」


だが、何か妙だ。先程のは確かに結界が張ってあった。しかし、これは余りにも綺麗すぎる。普通はもっと揺らぎが見えて分かりやすい筈だ。


「まぁ良い、早く王宮へ!」


クメが叫んだ途端、空が暗くなった。いや、これは影だ。


「危ないっ!」


美咲が魔法を放つ。それは襲ってきた魔物を吹き飛ばすことに成功した。


「助かった!礼を言う」

「おっと、これこれは無駄話ですか?余裕ですね〜」

「誰だ!?」

「私は第五角魔王ザルツ様の幹部べーリッヒで御座います」


べーリッヒとなのる魔族はゆっくりとこちらへ歩み寄ってくる。長い帽子に紳士なスーツを纏い、不気味な笑みをしている。


「おい、俺も混ぜろ」


もう一つ大きな声がして、建物から何かが降りてきた。それは獣のようで、圧倒的な巨体と鋭い爪がある。


「俺様も幹部。パポン様だ!」


「……パポン…プッ!」


琴音が一人名前で吹き出してしまう。


「貴様…死にたいようだなぁ!」


パポンは地面を拳で殴りつけた。地面は抉れ、粉々になる。


「琴音ちゃん。私このパポンの相手するね」

「……パポンって名前気に入ったの?」

「アハハー、違うよ。多分こっちの相手の方が私の力発揮出来そうだからね」

「……じゃあ私あの死に体か」


「誰が死に体だ!べーリッヒだ!」

「……何処に言ってるの?」

「なっ、!」


いつの間にか琴音はべーリッヒの後ろにに周り込んでいた。そのまま琴音がべーリッヒを攻撃する………かと思われたが


「あれ〜?攻撃しないの〜?」


べーリッヒはゆっくりと顔だけを琴音の方に向ける。そこには、肩に短剣が刺さった琴音の姿があった。


「あ…ごっめ〜ん。さっき投げたんだった。痛いよね?」


わざとらしく、べーリッヒは言った。


スピードの速い琴音でさえも気づからないうちに短剣を投げていたのだ。


「……油断した」


琴音は肩に刺さった短剣を引っこ抜いて、その場に捨てた。


「……次は喰らわない」












「なんだよ俺様の相手はこんな女かよ」


パポンは腕を組んでイライラしながら言った。


「あはは…、お手柔らかに」


美咲は剣を構えた。美咲は魔剣士である。魔法と剣術を両方使いこなすことができる。


(にしても、あのパワーはヤバいな。)


先程地面を抉った地点を見る。あれを喰らったら多分一撃で終わりだろう。


「へっ、よく見たら可愛い顔してるじゃねぇか。俺の女にでもなるかぁ?」

「なるわけないっ!」


返事と同時に斬りかかる


「……ふんっ、その程度か?」


パポンは腕で剣を受けた。しかし、硬い皮膚いや筋肉は全く刃が通らなかった。


(やっぱり、魔法付与なしじゃこんなものか)


パポンがもう片方の腕を振り回すが、それを丁寧に避けて、距離をとった。


「『光の精霊よ集え』」


剣を地に突き刺して、呪言を唱えた。


「お?何する気だ?」


興味深そうにパポンは見つめた。


「『我に聖なる力、与えたまへ』」

「おっ?」


急に美咲の周りが光出した。いや、光を纏ったと言ったほうが正確かもしれない。


「ふんっ!でも今がら空きだぜ?」


パポンは正面から殴り掛かった。その威力は凄まじく、美咲のいた周辺は大きなクレーターとなる。


「私はここよ?」

「なっ!」


美咲は飛び退いていて、空中でくるりと一回転して、パポンに斬り掛かった。


そして、パポンの肩に刃が通って血が吹き出した。


「〜〜ッてなっ!」


かなり深く斬りつけたつもりだが、致命傷とはなっていないようだ。


「怒ったからな」


そう言って、パポンは突進してくるが、美咲はくるりと翻してまた、斬りつける。


それは何度も何度も繰り返された。


気が付けば、パポンはもうボロボロであった。


「ほんとに赦さねぇ…」

「無理よ。貴方の攻撃は私には当たらないから」


そして、もう一度パポンの攻撃を避けて斬りつけた。






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[気になる点] 琴音であろう人物の名前が雫になってる…
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