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もし書き物好きの統合失調症だったら

作者: まっちゃん

統合失調症とは?何かを伝えたいです!

「もし書き物好きの

    統合失調症だったら」

 

  はじめに…

 ほっとかれてる? そうある施設のスタッフが僕を見て言った気がしたがいつもの幻声だと聞き流したことがある。 僕は統合失調症でありよく理解できずに病気の本を買って勉強しました。 しかし結局のところ難しくて分からずじまいで終わりました。 当事者の意見などまともに聞けるなら苦労はしないし医者の言葉を理解できるほど頭も良くありませんでした。 昔に闘病生活の中で本を出版したいと必死になった時期がありますが思えば馬鹿な考えを持ったんだと笑ってしまいます。 そもそも僕は高校時代に兄が残して置いてあった村上春樹さんのノルウェイの森を最初にいくつかの村上さんの文庫本を読んだだけでそれ以降まともに本など読んではいません。 なのに書き物好きになったのは不思議でまた面白いことだと思います。 ここで言っておきたいのは統合失調症に限らずだと思いますが僕はよく一人で妄想にふけて楽しんでることが多いです。漫画の影響もありますが最近なら囲碁の十歳のプロ棋士が誕生したことでその十歳のプロと井山五冠が対局するのを見てそこに僕の子供がいる妄想が始まります。僕の子供は五歳ほどで対局中に叫び出し「僕はSAIだ。僕と打とう。」と言い出します。観衆前での突然に騒めく中で平謝りの父としての僕だが妄想の中ではSAIはネット碁では百戦錬磨の存在で誰もがビックリするのです。 そのSAIが僕の子供で五歳の子だと知りまた場内を圧倒させる実力にです。 違う妄想に高校女子サッカーの北海道代表が多才なシステムとフォーメーションで十点以上の大差で決勝に勝ち進めるとまた決勝戦も圧勝して僕は監督として気持ち抑え気味でインタビューを受けるシーンがあります。 ある時には僕は馬主なって馬を育てる中でなぜか馬の言葉がわかる自分がいます。 その馬を憧れの藤田菜七子騎手に頼むとG1の舞台で大逃げを切るように伝え見事に圧勝するのです。でも今なら分かる気がするのは子供は働いている夢を見ることはできないとの記述を読んだことがあるからです。 確かに経験したことのない夢は見ることができないのは納得しますし社会から遠ざかりかけて仕事の経験があったとしてた乏しい僕はこのような妄想を持ち子供に戻っていると感じます。 さて僕はいくつかの作文を書いたのを物語として書いていますが駄作だと思うし書いている根拠も知識もありません。 だが一年間のうちに書き物好きの統合失調症の描くストーリーに意味があるなら難しい著書とは別に何かを伝えられないかと思いました。 自分の見解も添えて掲載したいと思いますのでよろしくお願いします。

 

 「NASAからの手紙」

 

 今年の夏はやけに暑い日が続いた。 ジリジリと照りつける太陽の下で僕達はソフトボールをしていた。 芝の上を白球を追いかけ夢中に投げる。 それが当たり前でごく普通でTシャツが汗でベタベタになるまで走り回っていた。 誰かの合図で僕達は休憩を取ることにした。 日陰のベンチの下で給水をとり息が苦し中でタバコに火をつけた。 すると偶然にカバンの中でスマホの着信音が鳴り始めた。 僕は一度は手を伸ばしかけたが不意に戸惑って鳴り終わるのを待った。 今の自分にはたっぷりの時間があってそれを浪費するにも大変だった。 でも今日は暑いだけではなく誰しもが無口に思えた。グランドの地平線から蒸気が太陽の熱で吸い上げられるように喉がカラカラに渇いた。ポカリスエットを口に含み渇いた喉を潤したあと小さなため息を僕はついた。 この数分の休憩時間が今思えば長く感じられた。もう一本タバコを吸おうとしたときにまたスマホの着信音が鳴り始めた。 めったにスマホに着信がこの時間にある事は珍しかった。 少し気になった僕はカバンからスマホを取り出し画面を見た。 実家からの着信だ。 僕は電話に出てみるか迷ったが不安がよぎったので出ることにした。 「もしもし。」間髪入れずに返事が返ってきた。 「大変なの。」母親だった。「NASAから電話があって弟が生きているって。」動揺しているようではっきり話している母親の声が不思議だった。「NASA?」僕は訳が分からず聞き返した。 「そうよ。」僕は真っ先にいたずらの電話を想像したがあまりにも馬鹿げている。 後に説明するが僕の弟は八年前に病死している。 僕は落ち着こうと「ちょっと待って。」と母親をせいして考えた。 正直に母親の言葉に嘘はなさそうだ。 ただ理解に苦しむ話だ。 僕は母親に「誰から電話が来たの?」と聞いた。「男の人よ。NASAで弟が生きているから安心して欲しいって。」「その男の人はNASAの人なの?」「警察って言うのよ。」 僕はどうやら詐欺にしては滑稽すぎると思った。 それどころか少し興味が湧いてきたので母親にすぐ向かうと言い電話を切った。 頭の中で整理しながら荷物をしまい仲間に急な用事ができたと説明して帰ることにした。 NASA…警察…弟の病死…。 何かきっとあるはずもともと僕は弟の病死には納得していない節があった。 外の天気は相変わらず蒸し暑さが続いていたが僕の汗はひいていた。 グランドのあった遊歩道を通ると静けさだけがあり人の姿もまばらだった。 僕は実家へ向かう道を急いで自転車を走らせていた。 僕には二つ上の兄貴と八つ下の弟がいる。 兄はとても頭が良く真面目だったので今は会社の上司になっている。 弟は真面目なのと友達が多くて人に好かれる人望があってまた人と変わった一面があった。 弟には生まれつきの直感力を持っていると僕は思っていた。 僕は僕で精神障害者でもある。 一つだけ言えば危険察知能力にはたけていたと思うが敏感すぎて人と関わるうちに世間では働けなくなった。 今は共同住居に住んで本を読んだりたまに友達とスポーツをしている。 僕の両親は健在だがいたって普通の父母であると思っている。 とにかく実家が心配だ。 僕は夢中で自転車をこいでいた。 この日、七月八日の夏の日をきっかけに僕は僕自身の運命と弟の運命が交錯するとは考えもついていなかった。 八年前に病死した弟には助けられた借りがあった。 そのことで僕は弟のことを調べた経緯もあった。 逆に弟は僕のことを警戒して行動していた。 とにかく何かが動き始めていると僕は心の中で危険を察知しかけていた。 とりあえず実家にたどり着くまで頭を整理しながら人気のない道を自転車で走って行った。 

 八年前の夏、弟の病死の前夜…

 父親とお酒を飲み交わしながら夕食の時を過ごしていた。 「お前は一体これからどうすべきなんだ。」と父はあきれたように僕に言った。「僕は心配ないよ。それより弟の方が大変かもしれないよ。」と返した。「あいつには何か人を惹きつける部分があるからな。私はあいつの心配などしてないよ。ただ一人でもたもたしてるお前がほっとけない。」 ゆっくりとお酒を飲むと父は静かに目を閉じた。 親が我が子の心配をして普通の家庭の団欒に何も変わりはなかった。 無性にタバコが吸いたくなった僕が席を立ち自分の二階の部屋に戻った。 パソコンを立ち上げておもむろに天井を眺めてため息をひとつついた。 今日はやけに混沌としている気がして落ち着かなかった。 紙になんとなく自分の名前と弟の名前を書きお互いに不協和音する二人の中を疑った。 考え方が違いすぎるんだなぁ…。 何より人望が厚い弟と独りよがりの自分の生い立ちを比べてどっちが幸せなのかを考えていた。 そもそも人類にとって将来などくだらない運命の一つだと僕は思っている。 騙し騙され頭の良いものだけが得をする世の中だ。 この頃から人類は地球にとっての外来種でもあると考えていた。 ただその考えに関して僕も弟も特別に目立っては何も言ったり愚痴をこぼしたりはしなかった。 しばらくすると久しぶりに実家に弟が訪ねてきた。 無口な弟はジャージ姿で父親とビールを飲んで話し込んでいた。 僕は弟に声をかけた。 「今日は何をしにここに?」そう言うと「一人じゃ寂しいからね。」と返事がかえってきた。「お前は友達がいるじゃないか。たくさんいるよな。」と僕が言うと「友達にもわからないことが世の中にはあるからね。」と言いさらに「家族の意味が兄貴にはわかるかい?」と続けた。 「家族の意味?」僕は何気なく聞き返すと「家族が大切なんだよ。」って弟は強い口調で言い切った。 それは珍しい一面に思えたので僕は黙ったまま父親と弟の団欒を見守っていることにした。 今思えばこの日の弟は何かが不思議なオーラを出している位に落ち着いて冷静に悠長に話をしていた。 やがて夕食の団欒が終わった頃に僕が二階に上がる際に弟が僕に言った。「馬鹿げているよね人間て。僕は生まれてこなかった方が良かったかもしれないよ。」 黙っていた僕に対して弟はさらに続けた。 「兄貴は大丈夫だよ。心配は僕はしてないから。」と言い自分の部屋に戻った。 こういう弟の突発的な発言は僕には理解しにくかったし弟の考えは特別に何か不安さえ感じさせるものだった。 僕は部屋に戻るととてもやるせない気持ちになってベッドで横になると静かに目を閉じた。 目を閉じると隣の部屋から弟の独り言のような誰かと話してるような声が聞こえた。 ぼくは耳をすましてがはっきりとは聞き取れなかった。 ただ弟は何かに対して怒っているような声で話をしていた。 そのうちに僕はいつの間にか深い深い眠りに落ちていった。「あなたは間違っていますよ。」女の声だ。 「あなたは本当のことを知って隠していますよね。」また女の声だ。 僕は目を開けると真っ暗な部屋のベッドの上にいた。 夢だったのかなぁ…。 そう思って起き上がりタバコを吸って落ち着いて考えてみることにした。 なんだか体が冷たくなって血が頭に上がる感覚に襲われたので僕は大きな深呼吸を二回ほどした。 目の前には吸い殻だらけの灰皿と書きかけた弟と自分の名前があった。 でも少し弟の名前が薄くなっているようにも見えた。 そのまま部屋の中の静寂の中で僕は一人でタバコをふかしながら物思いにふけていた。 確かに夢の中で女の声は間違っていて僕が知っていると言っていたはず。 僕は本当の意味を理解するにはいささか記憶にズレがあって判断に迷ったかもしれない。 そのまままたベッドで眠るまで五分もかからないんで眠ってしまった。 次の日の朝は…。 僕はいつも通り起きるとパソコンを立ち上げていつものゲームをしようとしていた。 その時の僕の感覚は妙に危険な気持ちになり集中にかけていたが気にせずに過ごしていた。 母親がしたから「朝食ができたよ。」と声がして僕は居間に向かうと食パンとコーヒーが置かれていたが何故か弟の分は用意されていなかった。 「弟の分は?」と僕が言うと母親は「昨日の夜に帰ったじゃない。」って答えた。 おかしいなぁって思ったけど何も言わずに僕は朝食を済まし朝のドラマを観ていた。 その時に電話が鳴った。 母親が出ると急に真っ青になり僕に言った。「弟が死んでしまったって今友達から電話が入ったの。」 僕は慌ててテレビを消して母親を落ちつかせてすぐに行くようにと支度を急がせた。 それが弟が病死する八年前の明くる日の朝だったことを今でもはっきりと覚えている。 それからは何も覚えていなかった。 今はもう忘れてしまいそうになる位に平和ボケしてしまっている。 もしかしたら八年の月日がどこか心を癒してくれたかもしれない気がする。 八年前の病死する弟の前夜はまた特別な運命だったかもしれない。 それから月日が経ち…。

 八年前の弟の隠された秘密…

 僕は実家にたどり着くとすぐに自分の二階の部屋に行き何かないかと探した。 部屋には女性アナウンサーのカレンダーが飾られていてまたアニメのジグソーパズルが二つほど置かれていた。 僕はパソコンを立ち上げたところで体を休めてタバコを吸った。 タバコをふかしながら僕は弟の記憶をたどりながら何を今すべきかを考えてみた。 多分弟は病死したときにすべてのものを片付けていたはず。 弟の部屋に入ると冷たい空気に包まれているようながらんとした何もない部屋だった。 たくさんの本とCDがきれいに棚にしまってあり頑張っていたサッカーのユニホームが飾られていた。 それとたくさんの小さなフィギアが並べられていてそれ以外は何も変哲のない部屋だった。 古いパソコンが壊れている状態でテーブルの上に置かれている。 僕はその古いパソコンを見て動かせるか試してみることにした。 パソコンのほこりを払い僕は電源を入れてみたらパソコンは大きな音を立てながら起動の状態に入った。 しばらくして画面が出たが予想外にロックされていてパスワードが必要だった。 いくつかの数字を打ち込んだがロックは解除できず僕は一旦諦めることにした。 やることに困った僕は一枚一枚ずつCDを眺めて見ていた。 僕はそれを懐かしく思い部屋で聞いてみることにした。 もともと僕はCD自体あまり持っていなかったが長渕剛のCDだけは数枚持っていた。 それを弟は気に入っていたらしい。 僕は久しぶりに長渕剛の曲を聴きながら自分の世界へと入っていった。 僕はそもそも人間は人が好きとか嫌いとかじゃなく自分が誰であれ何をしたいのか?そういう考えを持つことが必要だと思っている。 今じゃぁ音楽を聞くと言う行為自体もずいぶん忘れていた気がする。 曲の中でよく夢って言葉が出るたびになんとなくやるせなくなって目を閉じて人生はなんだろうって考えていた。 僕は急に人が恋しくなって友達に電話をかけることにする。 僕は友達に今のいきさつを話すと友達は大変だろうけど自分を見失うなうなよと言ってくれた。 それが僕には嬉しかったし励みになった。 友達にありがとうと伝えると僕は電話を切りまた考えることにした。 よく僕の考えの中で人間は亡き人に生かされて成り立っていると思うことが多い。 それは仏教の教えであると同時に僕が弟が病死して感じ取った言葉でもある。 生前に弟よく言っていた言葉はなんだっけと考えたら僕とよくゲームをしながら幸せな家庭に生まれて良かったと言っていた。 そういえば弟は家族って大切だと言ってたことを思い出して改めて家族のことを考えて振り返ってみた。 父がいて母がいて兄がいて僕がいて弟がいる。 この中で一体何が大切なんだろう? 僕はもしや血統に何かあるかもと家系図を探して調べてみようと思った。 父親の書斎に入るとたくさんの新聞の切り抜きが散らばっていた。 その中から一つずつ僕は昔に見た自分の家の家系図を探した。 わりと早く見つけることができたがかなり古く痛んでいて黄色く変色している。 僕はそれを部屋に持っていくとゆっくりと目を通してみた。 僕の家系は富山からの移住して北海道に移り住んだみたいだ。 割と特別な家柄でもなく変哲もない家系だったがおかしいのではないかと一人ひとりの生誕の日を見てたら十月生まれが多いのに気づいた。 僕は不思議のようで偶然かもしれないが十月生まれの人数をかぞえてみると十六人の十月生まれがいることがわかった。 そういえば弟のサッカーのユニホームの番号も十六だったことを思い出した。 十月の十と十六人の十六を興味本位で僕は弟のパソコンのパスワードに打ち込んでみる。 するとパソコンのロックが解けてパソコンが使えるようになった。 少し驚いたがラッキーと思いパソコンの中を調べた。 パソコンの中には沢山の夜空の写真が何枚もあり中にはUFOらしきみたいな奇妙な写真もあった。 僕はいささか不安になったがそういえば弟はよく部屋の窓から誰かと話してるような声を聞いたことを思い出した。 整理すると弟はもしかするとUFOとの交信か未確認生命体との接触があったりできたのではないかと推測する。 しかし十と十六の数字は誰よりもそれは僕の誕生日だったの疑問に思いもしや僕に秘密があるのか?とそう思ったら自分のことを調べる必要があると考えた。 それが八年前に弟が隠していた秘密だったのかもしれないと理解することに至った。 僕はこのことを誰に話す事はしないと決めておくことにした。 

 僕の封じられていた能力…

 僕はまず自分のことを調べるにあたって父親にそれとなく話しを聞くことにした。 朝方に新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる父親に声をかけた。 「もしかしたら弟は何かを察知してたのかもしれないと思わないかい?」 「なんのことだ。」と父親は目を合わさないで夢中で新聞読んでいる。「僕のことで弟はかなり必要以上に力を使ったと思うよ。」僕は自分でも半ば強引に話を続けた。 父親はコーヒーを一口飲んだらこう言った。 「力ではない。お前を守るために使った能力だよ。それにお前も気づいたのか?」 僕は軽く頷くと父は紙に見知らぬ電話番号書いて僕に渡した。 僕はそれを受け取ると部屋に戻り考えた上でスマホから電話をかけてみることにした。 電話のコール音が一回、二回、三回と鳴り五回目で誰かが出た。「はい、もしもし」と女性の声だった。 僕は自分の名前と父親の名前を伝えると女性の声の人は「あなたの事はお父様から聞いていました。私のことをを知っていますよね。」と言った。 僕はとっさに昔に聞こえがある確か夢の中で会ってる気がすると伝えた。 女の声の人は「すべてはこれはあなたの夢ですよ。もうそろそろ目覚めてください。今あなたは何を察知していますか?」と言う問いに僕が言った。「誰かがこの世の中に存在している僕たち人間の危機を救おうとしているのでは無いのですか?」「それは誰だと思いますか?」間髪入れず女の声が返事をかえす。 「未来の子供たちです。」僕はとっさにそう答えた。 一瞬間が空いてから電話の声から「ありがとうお父さん。パパありがとう。」と聞こえたと思ったら電話は切れてしまった 。 僕は大きなため息をつくと感情の高ぶりを抑えるべく、天井を眺めながら弟に伝えるように話した。 「なぁ、僕たちが未来永劫世の中のために偽り生きていくしかないのかい? なぁ 、君なら答えを知っているよね。」 隣の弟の平で急に目覚まし時計が音を鳴らし始めた。  僕はそれを無視をして続けた。 「僕は恐れてはいない。ただ大切なお前がいとおしいんだ。」そういった瞬間に僕の目に涙があふれた。 もしかしたら今日の今まではすべては作り話だったかもしれない。 ただ一つだけ言えることがあるとしたら僕も弟もある意味未来の子供たちに守られていたのかもしれない。 それから僕はNASAに宛てた手紙を書いた。 「すべては僕の間違いや勘違いであって弟が生きているのなら伝えてください。僕は生きています。すべての任務を今しがた完了しました。そして力を失うと思います。」 その手紙をどうだしたかどう送ったかまでは記憶していない。 今、僕は公園のグランドでソフトボールをしている。 暑い太陽の下で汗でべとべとになりながら走り回っている。 それが普通でごく当たり前の日常生活だった。 それから数ヵ月後に実家に手紙が届いたらしいが宛名はなく中には一枚の僕たちの家族の集合写真が入ってたらしい。 あどけなく笑っている弟と僕はなぜか敬礼をして写っている子供の頃の写真だった。 それは大切に居間に飾られている…。

 

 この作文の見解としてはある程度の事実の僕の経験をもとに病気から発想される妄想を主体にタイトルを考えたときに必然的に弟が浮かび上がりました。僕の処女作ともいえる作品であります。割と素直にかけた作文と言えるでしょう。

 

 「恋愛ゲーム」

 

 男として恋に落ちたときその瞬間に守るべき力と切なさを持つが男としての大切な自信を失う運命にある…。 僕はずっとそう思っていた。 実際に僕は三十代半ばにある女性に恋心を抱いた。 僕はかっこよくなって強くなろうとするが現実はせつなく自分にとっての男としての魅力と自信がだんだんなくなっていく気がした。 もともと僕は普通の人よりも恋愛妄想が強い。 あまりにも女性のことを美化しすぎるために自分が入り込む隙を見失う悪循環に陥る。 だけど僕には駆け引きと言う恋愛ゲームに負けない自信があった。 それが後々恋する女性との人生を賭けた恋物語になろうとは知る由もなかった。 朝方、僕は目を覚ますと五分もたたないうちにタバコに火をつけ缶コーヒーを飲んでいた。 窓の外には雀が飛んでいて朝の起床を知らせている。 僕は眠い目をこすりながら部屋に飾られているアイドルのポスターを見てため息を一つついた。 今の僕には彼女とか彼氏とか恋愛には全く興味がなくただくだらない今の生活には飽き飽きとしていたところだった。 なんとなく鏡を見てぼさぼさの頭の自分の顔を眺めると僕は思わず笑ってしまった。 僕には好きな人などいないが近くのローソンのコンビニの店員の若い子に会うのが楽しみだった。 いつもタバコと缶コーヒーを買うときに一言だけ声をかけて帰ったりしている。 僕はお気に入りのジャージに着替えると髪型を整えてコンビニへ行く準備をした。 今日はなんとなく良いことがある気がして気持ちがワクワクしてきていた。 コンビニまでは歩いて十分もかからないところに僕の家はあったが引きこもりがちな僕にとっては割と遠くに感じる道のりだった。 外は天気も良く朝の日差しが気持ちよくて出かけるには最高な陽気だった。 実は僕には最近になってよく散歩道ですれ違う女性がいる。 その子はとても明るく僕に挨拶をしてくれていた。 僕はその子には何の感情も抱いていないが毎朝その子の服装を見るのが楽しみになっていた。 今日はあの子は赤い服か白い服かと考えながらコンビニまでの道のりをゆっくりと歩いて行った。 僕はこの朝の時間の人気のない道が好きで近所の人との挨拶も日課の一つになっている。 しばらくすると前の方から犬を連れて歩いているよくすれ違う女の子と出会った。 今日は彼女がグレーのTシャツにジーンズの服装で髪型を後ろに束ねて少し大人びた印象を受けた。 僕がおはようの挨拶をする前に彼女から笑顔で「おはようございます。」と元気な声でかけてくれたので僕は「今日は天気がいいですね。」と返事をかえした。 彼女がうなずくとそのまま僕とすれ違って歩いて行った。 しばらくしてコンビニにつくと僕はいつものように若い女の子の店員を探した。 コンビニは割と混んでいて若い店員が接客に追われている。 僕は今日はなぜか競馬新聞と缶コーヒーを買ってレジに並んだ。 いつもの女の子の店員が笑顔で対応してくれる際に僕は一言声をかけた。 「いつもありがとう。」と行ったら女の子は「今日はタバコは買わないのですか?」と聞いたので僕は「じゃぁいつもの二箱もらえますか?」と言った。 女の子が笑ってタバコ持ってきて「こちらこそいつもありがとうございます。」と頭を下げた。 女の子はまだ見習いで高校生位だと思うが僕は妙に大人っぽい彼女の笑顔が好きだった。 レジでお金を支払うと僕は何となく気分が良いので公園に向かってみることにした。 僕には接点のある女性は散歩している女の子とコンビニの女の子ぐらいだった。 でも好きとかじゃなくて彼女たちの笑顔と成長が気にいっていた。 僕は公園につくとベンチに腰を下ろして夢中でサッカーボールと遊んでる少年を見ていた。 少年を見ていたら少し昔のことを思い出してぼんやり空の雲を眺めながらタバコ一本吸った。 そういえば最近は特別何もしてないなって思ったら家に戻ったら昔のアルバムを整理してみようと考えた。 僕は今年で四十五を迎える。 ずいぶん歳をとったけど別に気にしてなかったしただ平和に過ごしている毎日が楽しかった。 二本目のタバコを吸い終えると僕は足早に家に戻った。 これがいつもの変わらない朝の日課だった。 家に戻ると僕は部屋のクローゼットからアルバムを探して整理することにした。 アルバムは数冊あって中には中学と高校の卒業アルバムを混じっていた。 僕には昔中学と高校に恋心を抱いて女の子がいたが今はもう顔すら忘れかけていた。 中学と高校のアルバムを僕は懐かしんで一枚一枚ずつ目を通す。 あどけない昔の友達と先生を思い出しながら記憶をたどった。 今思えばクラスにはかわいい女の子がいっぱいいたんだと思えるのは多分若い昔の姿に懐かしんでるのと僕はそれだけ歳をとったんだと実感できた。 僕は昔の初恋の女の子見つけて今ならうまく気持ちを伝えられたのにと思った。 初恋の女の子はショートカットで色黒で体育会系の女の子だった。 僕は昔と今じゃ好みのタイプの感じもずいぶん変わったもんだと振り返って観てた。 しばらくアルバムの女の子を見ていたら僕はどうして人は恋するのか考えた。 男として女として互いに意識しあう事はごく当たり前で当然と言える。 ただどこで恋におちてどこで決めるのかはいささか不思議に思った。 僕は恋をしたらその時点で何かを失い何かを求めるあまり男としての価値が損なわれると考えていた。 でも恋を否定はしないのは恋をしたときの女性は綺麗になることに共感できると思っていたからだ。 僕はやがてアルバムを閉じて深いため息をついた。 恋する事はもう無いのかなあと天井眺めながら二人の女の子のことを思い浮かべた。 どっちにすると僕にはまだ若い女の子だよなって思って少し寂しくなった。 それから僕は静かにジャズのCDを聴きながらベッドで横になりゆったりと時が過ぎるのを待った。 気づくと外は薄暗くなっていて時計は夕方の五時を過ぎていた。 僕が目を覚ますと缶コーヒーのブラックを飲みタバコをふかした。 なんとなく女の子に会いたくなっていつもの朝の散歩道を歩くことにした。 僕にとって夕方にこの道を歩く事は珍しかったが今日は特別に夕日を背にしてゆっくり歩きながらコンビニへの道を歩いた。 いつもの女の子が歩いている散歩道に出ると僕は女の子の姿を探した。 だけど彼女の姿は見えなく代わりに年配の老夫婦がゆっくりと歩いているだけだった。 そのままコンビニへ向かって歩いた。 コンビニに着くと夕方にしては人はまばらで子供を連れてる親子がいるだけで目立って変わりはなかった。 僕は本を立ち読みして時間を少しでも過ぎるのを待った。 すると僕の肩を軽く叩く感じがしたのでゆっくりと振り返ってみた。 そこには私服姿のあどけない少女が一人で笑顔で立っていた。 「こんにちは。」と少女がいた瞬間に僕はこの子が朝方にいるコンビニの女の子だと気づいた。 僕は驚いて「あれ?」と返事かえした。「珍しいね。この時間に会うなんて。」ハキハキと女の子が話しかけてきた。 僕はいつもの制服姿と違う彼女の私服姿に見とれていると彼女は笑って「私が珍しいの?」と解けたので僕は慌てて本を戻して頭を下げた。 「お兄さんは彼女とかいないの?」と彼女が言ったので僕は二回首を横に振った。「いるのね。」と彼女は予感が当たったような返事をしたので僕はまた二回首を横に振った。「どっちになのよ。」と彼女はふてくされたように尋ねたら表情がかわいかったので僕は笑って「子供みたいだね。」と言った。「何よそれ。」と彼女は少し怒ったように返事をしたが目が合うと笑ってしまった。 ここで普通ならキザなセリフの一つぐらい行って食事にでも誘うのだろう。 でも僕がもたもたしているうちに彼女は手を振って走って行った。 僕は唖然としたがちょっぴり恋をする感覚に襲われたので大きな深呼吸をして冷静に保とうとした。 彼女の後ろ姿を眺めながらも偶然の出会いにちょっとだけ神様に感謝した。 複雑な気持ちでコンビニから帰る道を歩いているとまた不思議な偶然が起きた。 僕の目の前を散歩道の女の子と出会った。 僕はまた「あれ?」と変な言葉を発してやばいと思ったが彼女を笑って「珍しいね。」と返してくれた。 僕は頭を下げると彼女は「今日は夕方に散歩ですか?」と大人びた口調で言った。 「偶然ですよ。」と答えた。 彼女は笑ながら「私も偶然ですよ。」と返事をかえしてくれた。 僕はさっきのコンビニの女の子と同じようにならないようにと話を続けた。「今日はよく偶然が多いです。」と言ったら「偶然も必然かもね。」と彼女が照れるように言った。 「彼氏はいないの?」と僕は思わず口にすると彼女は首を二回横に振った。 「いるのですね。」と僕が聞いたらまた彼女が首を二回横に振った。 「どっち?」僕は知らぬ間にコンビニの女の子みたいになっていたことに気づいていなかった。 「どっちだと思う?」と笑ながら彼女が答えたので僕は「どっちかだと思うけど?」と言うと彼女は笑って「当たり前でしょ。」と目を細くして子供のようにうけていた。 少し沈黙のうちに彼女が手を振りが歩いて行った。 僕は後ろ姿を眺めながらキョトンとしていた。 何故かこの時僕は女の子二人が似ている気がしていたがなぜなのかわからなかった。 この時にまた何か切ない気持ちになったか気にせぬよう歩いて家に戻った。 家に戻ると二人の女の子と二回の偶然の出会いに不思議に感じながら少しだけ嬉しく思った。 これが僕の新たな恋の始まりになるとまだ気づくには鈍感すぎた。 その日の夜は疲れたようにぐっすりと寝てしまって朝を迎えることになった。 朝方、僕はいつものように起きると缶コーヒーを飲んでタバコを吸っていた。 その時の僕は昨日の出会いすら忘れててしまって寝ぼけていたのでいつものようにコンビニの散歩道を歩きに出かけた。 その日はあいにくの雨の日で僕が傘をさして歩いていたら犬を散歩している彼女に出会った彼女は何も言わずすれ違っていった。 僕は気づかぬようにコンビニに着いたら女の子を探した。 だけど今日はあいにく姿が見えなかった。 なぜか一人ぼっちになったようで僕は肩を落としながら家に帰る道をとぼとぼ歩いていたら急に後ろから声をしたので振り返ってみると二人の女の子が傘をさしながら歩いていた。 「あれ?」と僕が思った時に笑いながら彼女たちは通り過ぎて行った。 なぜ二人が一緒にいたのか不思議に思いながら歩いて帰ると落ち着かなくなりまたコンビニ行くことにした。 コンビニまでの道を傘をささずに走って行くとなんだか胸騒ぎが走ってきたのでさらに急いで走ってコンビニに向かった。 コンビニに着いたら僕はなぜか二人の女の子を探していた。 でも今日は人気もなくコンビニには女の子らしき姿も見えず途方にくれた僕は喫煙所でタバコを吸っていた

。 僕にとってどっちの彼女が好きとかじゃなくてただ彼女たちを追いかけることが必死でそれが恋をしていることに気づけなかった。 僕はコンビニで傘を買ってなんとなく公園に向かって歩いて行った。 公園にたどり着くとベンチで腰を下ろしてタバコ一本吸ってみた。 しばらくすると公園に子供を連れた親子らしき母子が犬を散歩させながら歩いてきた。 僕はその親子を眺めているとよく女の子の二人のうちの一人に似ていると思った。 子供ははしゃぎながら公園を走りまわっていたが母親らしき女の子は黙ってこっちを見ている。 僕は目を逸して気づかないように空を眺めた。 すると後から声がかかった。 「君、君何してるの?」と振り返るとコンビニの女の子が傘をさして立っている。 

 僕は「なんでここに?」と言ったら彼女は笑って「私を探してたでしょう?」と言った。 キョトンとしている僕に彼女はこう言った。  「私とどっちが好きなの?」 僕にそう言うと子供を連れた母親の方を指で刺した。 すると母親の姿が散歩道の女の子と気づいた。 僕はびっくりしたが冷静になって彼女に行った。 「二人の関係は?」と聞くと彼女は「姉妹だよ。」って答えた。「子供は?」ってさらに聞くと「あの子は友達の子供よ。」と笑って答えた。 でも僕は動揺していて理解するのがやっとだった。 「で、どっちなの?」って彼女が言ったので僕は「どっちかだと思うよ。」と答えたらちょっと怒ったように「当たり前でしょ 。」と言ってさらに「今度ははっきりしないとダメだからね。」と真剣な顔をした。 「さぁ、どっちなの?」って彼女は続けた。 僕はとっさに「上にいる方だよ。」と答えた。 すると彼女はしばらく考えて「わかった。」と言ってお姉さんの方へ走って行った。 彼女たちはしばらく話し込んでいたが僕を見てから手を振った。 僕はわからずに困っていると犬がやってきて僕に二回吠えると彼女たちの途中に座り込んだ。 僕はなんだか急に心がドキドキしてきて真面目に決めなきゃいけないのかと考えた。 でも上の方だと答えた意味が自分でもわからない。 僕はなんとか考えてみたが真っ白になって頭を抱えた。 上って年上ならお姉さんだよなぁって考えたが違う気がして僕は本当の気持ちを考えた。 恋ってどこでどう決めるんだっけと一生懸命考えた。 「ハートだよ。」って声が聞こえて頭を上げたら二人の女の子が笑っている。 「ほら、上にいたでしょ?」って二人で笑っている。 僕は思わず「どっちなの?」と聞いたら彼女たちは二人で笑って「お揃いの傘だよ。」って僕は自分の傘を見るとハート模様の傘に変わっているのに気づいた。 ちょっとドキドキしたけど僕は二人の傘を見てみた。 二人共コンビニの傘をさしていた。 すると僕に頭を下げてお姉さんが「上には上がいるのよ。」って犬と去っていった。 残ったコンビニの彼女が笑って「傘をよく見てみて?」と言った。 僕は自分の傘を見てみた。 ハート模様の傘が普通のコンビニで売っている傘に戻っている。 僕はもう一回コンビニの彼女の傘を見上げてみるとハート模様の傘に変わっている。 そして「よろしくね。」って彼女は笑って手を差し出した。 僕は照れながら笑って「よろしく。」と頭を下げた…。

 

 この作文の見解としては病気で引きこもりの僕にとって女の子の接点はコンビニの店員だったし恋心を抱いたこともあります。それを思い出しての作品となりました。結末がうまくいったかが疑問です。

 

 「猫と彼女」

 

 「にゃーにゃー!」と僕にまとわりつくこの猫がうっとうしかったがどうすることもできない。 だって猫は僕のガールフレンドの飼い猫だからだ。 「チビ、静かにしなさい!」と彼女の叱る声にまた猫は「にゃーにゃー!」と鳴いていた。 そもそも僕は猫が嫌いだ。 といっても彼女もある意味人間の猫みたいな一面があるがそのギャップを僕は気にいっていた。 一見努力家で勤勉なイメージの上に眼鏡をかけている彼女は特別におかしなところはない。 でも彼女は時間を使うのが猫のように上手でいつでもどこでもスヤスヤ気持ちよさそうに寝ていた。 そんな彼女に僕はいつの間にか恋をして告白して付き合えることになった。 でもなんで彼氏になれたのかと聞くと彼女は僕がチビに似ているからだと言った。 その時はまだ僕はチビと言う猫に会ったことがなく存在すら知らなかった。 しばらく彼女の家で食事をしながら楽しい時間を過ごすと僕は支度をして帰ることにした。「ごちそうさま。またね。」と言って彼女に手を振り外に出る。 あいにく外は雪がひどくて前を見るのもやっとだった。 背中を丸めて急いで帰ろうとした僕は今日に限って点滅中の青信号を横切った。 「プープープー!」とその音を最後に僕の頭真っ白になっていった。 かすかに車にひかれたと考えることができたが動くことすらできなかった。 真っ白な世界で僕は「ごめん、ドジちゃったよ僕。」と彼女に謝ると「にゃーにゃー!」と猫の鳴き声が聞こえる。 「なんでチビなのか?僕を笑いに来たのか?」僕はそう思って言った。 そしたら「おい、君、君。だから僕は君が嫌いなんだよ。」って声がした。 「誰?」って聞き返すと「だから鈍いからこうなったんじゃないか!」と言われ「うるさいな!誰だよ!」と怒って言ったら「にゃーにゃー!」とまた猫の鳴き声が聞こえた。 そのまま僕は真っ白の世界から真っ暗な世界に落ちていった。 しばらく経った後に僕が目が覚めて周りを見るとガラス張りの部屋の中にいた。 その外には見知らぬ男性の姿と僕のガールフレンドが話をしている。 僕は彼女に声をかけようと話しかける口から「にゃーにゃー!」と発したのでびっくりして黙ってしまった。 すると男性と彼女が近寄ってきて僕を見ると「おきたのね。よかった。」とうれしそうに僕を見た。 何だか分からずに話しかけようと彼女に声をかける。 「にゃーにゃーにゃー!」とまた猫のような声が出た。 僕の彼女は頭を撫でてこういった。 「大丈夫よ。もう安心してね。猫ちゃん。」それを聞いて僕は自分が猫なんだと気づいてきた。 やがて僕の前にキャットフードが差し出されて僕は困惑した。 「あら、食べないの?」と彼女がガラス越しからメガネを近づけてずっと見ている。 僕は覚悟を決めて生まれて初めてキャットフードを食べてみた。 割と美味しくてお腹を空かせていた僕は一気にたいあげるとうれしそうに彼女は笑った。  すると男性と彼女が話を始めた。 「この猫がお前を助けたと言うのか?」「違うはチビが教えてくれたのよ。」「チビが?あの猫が何を教えたんだ。」「彼が死ぬことを教えてくれたのよ。」「それでこの猫はどうしたんだ?」「彼がきっと助けたのよ。」「だって倒れている彼のそばで鳴いていたのよ。」「お前は本気でそう思っているのか?」「はい、だってチビがそう言っているの。」「まあいいお前の好きにしていいさ。」「はい、わかったわありがとう。」と会話が終わると男性は姿を消した。 彼女は大きなため息を一つつくとそして寂しそうにこういった。 「あの人はあなたを守って死んだのよ。だからあなたを私の支えになってほしいの。」 目から涙があふれてくる彼女を見ているとやるせない気持ちになって僕は「にゃーにゃー!」と鳴いて見せた。 「慰めてくれるのね。」って彼女は僕を撫でると少し笑顔に戻った。 これからどうするわけもない。 複雑な気持ちだが僕は猫として生きていくしかないと腹をくくった。 しばらくしてから彼女は帰り支度を始め僕を小さな籠に移した。 そして僕と言う猫と彼女は家に帰ることになる。 彼女と一緒に家につくと僕は籠から出され自由になった。 部屋を片付けられて机の上に僕と彼女の写真が置かれている側には小さな花瓶が飾られていた。 すると後から「にゃー!」と猫の鳴き声がした。 だがそのにゃーの鳴き声が不思議と言葉に聞こえた。 「おかえり。どうだい猫になった気分は?」と後ろを見るとチビがコタツで丸くなってこっちを見ている。 僕はすかさず言葉を返した。 「君の仕業なのか?」と言うとチビは「君は鈍いからわからないんだよ。猫ほど賢い動物はいないからね。」と偉そうに話してきた。 その光景を見て彼女は「あら、二人共もう仲良くなったの。チビこの子をよろしくね。」と言って猫の僕の背中をポンと叩いた。 僕が今置かれている状況を打開するにはいささか情報と無理があると思いチビに話しかけた。「どうすればいいんだ。猫じゃ何もできやしないよ。」と言うと「君は君で役には立つんだよ。そうじゃなきゃここに来れてないよ。」とチビは答えた。 猫が二匹いて部屋に彼女がいる。 でももともとは彼女の彼氏で人間だった。 僕は頭を使って知恵を絞った。 猫の姿で一体何をすればいい…。 そうしている間にチビはいなくなり彼女と僕はコタツの前で二人きりになったので彼女に鳴き付いてみた。 「にゃーにゃー!」と言った。 「僕だよ。彼氏だよ。」って言ったつもりだが彼女は笑って「あなたは彼の生まれ変わりよ。」って頭を撫でて遠くを見ていた。 これじゃぁ彼女を助けるどころか僕が助けられたみたいだなぁって思ったらすごく腹が立ってきて僕はある考えを思いついた。 彼女にとって猫が特別な生き物ならきっと僕のことに気づくはずと考えて彼氏の時のようにタバコを吸っていた場所で二回「にゃーにゃー!」と鳴いて次に机の上の写真の僕の姿を足で触り「にゃーにゃー!」と鳴いた。 それを見た彼女は不思議がらずに「そうよあなたは彼と同じなんだから。」と言って僕がプレゼントをしたぬいぐるみを抱いて急に泣き崩れてしまった。 すると彼女の下にチビがやってきてこう鳴いた。 「僕からの恩返しだよ。わかって欲しかったんだ。僕は猫だけど君が好きだった。だから彼氏になつかなかったけど君が選んだ彼氏は猫をかぶっていたからちょっといたずらしたんだ。」と言った僕を見て手招きして呼んだ。 そばによるとこう言った。 「猫には猫の時を操る力があるのさ。さあ、君はもう一度あの場所に帰るがいいさ。」 僕は黙っていたがあの場所と考えたらあの時僕が倒れた信号を思い出した。 「そう鈍い君には上出来だよ。」ってチビが少し笑った気がしたが僕はすぐにドアの隙間からあの時の信号へと走っていった。 あの時あの瞬間に僕に何かが起きたはず。 きっとわかると確信して走った。 信号にたどり着くとそこにはなぜかうずくまって倒れている人間の僕がいる。 僕はその前で「にゃーにゃーにゃー!」と鳴いた。 これが猫の時の操る力なのか? すぐに彼女が駆けつけてきて僕を助けようと必死で声をかけ叫んでいる。 あの時僕のそばにいた猫は僕なのか? チビじゃないのか? いったいこれは? 猫の僕が僕を救ったんだって気づいた瞬間に目の前が真っ暗になった。 「お願い起きて!起きて!」と彼女の声に目を開けると泣き崩れている彼女がいて僕は起き上がると彼女にこう言った。 「君と猫にはかなわないよ。」そう言って見上げた視線の先にはチビがいたような気がしたがその猫はもしかしたらあの時の猫の僕だったかもしれない。 猫と彼女、猫と僕、僕と彼女。 全てが時の中でつながっていたんだね。

 

 この作文の見解としては一番評判が良かった作品でもあります。 僕の中で何か動物をエピソードにして書きたかった作品であり本当にうまく書けたと思います。 病気のことすら忘れてしまうほど集中して書いた物語です。

 

 「子供たちとの対話」

 

 スマートフォンを手に持ち歩く今の子供たちの姿にはいささか昭和生まれの僕たち世代には理解に苦しむ場合が多い。 でも元をたどればそのスマートフォンも開発したのは僕たち大人であり与えているのも僕らだ。 だからこそ僕にはそこに危険があると思っている。 そもそも今の時代と過去の時代には共通点がありそれは世の中が矛盾の上で成り立っている事は少なからず気づいてる人も多いだろう。 だからこそこの世の中には貧富の差があり成功する人と失敗する人とに分かれる。 今まで僕は何もすることなくただ時代に流され生きていたがあることをきっかけに子供たちに昔の話を聞かせる場面にたどり着くことになった。 僕はそこでこの矛盾について語ろうと思っていた。 僕はそもそも人に物事を教えるほどの頭はないし知識も持っていない。 ただ自信が僕にはあった。 根拠は無いが人に話を聞かせるには得意だと思っている。 でも相手は子供たちだ。 僕は朝食のトーストとコーヒーを飲みながら時計を気にしていた。 ラジオから今の流行の音楽が流れている。 僕は朝食を済ますとテレビの前のソファーに座り新聞に目を通した。新聞にはありとあらゆる情報と話題に溢れている。 しかし僕にとって必要な事は半分もないし無駄な情報が多いと思っている。 僕は新聞を読み終えると静かに目を閉じて今までの時代の流れの中での矛盾について考えていた。 だから大人も昔は子供だったんだよなってぼくは思った瞬間すごくおかしく思えて僕は一人で笑ってしまった。 それからしばらくたってから僕は支度を済ませてかけることにした。 外は天気が良くて僕は期待に胸を膨らませ歩いていた。 僕が歩いて向かった先には小さな学校があってそこにはまだランドセルを背中に子供たちがスマートフォンを手に持ち歩いている。 僕が頭を下げると子供たちは笑顔でおはようの挨拶をしてくれた。 やがて僕は学校に入ると教室の中へと向かった。 教室は子供には広く感じる部屋で机と椅子がきれいに並んでいた。 教室の前に立って僕は今から子供たちに教える矛盾の説明をイメージすると黒板に大きな字で夢って書いてみた。 夢って何?てって一人の子供が話しかけてきたので僕はこう言った。 夢は見ることができるものだけど最後には消えるものなんだよ。 そう言うと子供がどうして消えちゃうの?と返してきたので僕はまた新しく夢は作れちゃうから古い夢はいらなくなるんだよと言って子供に君は夢があるの?って聞いてみた。 すると子供は私は学校の先生になりたいと答えた。 なんで?と聞くと偉くなりたいからって答えたので僕はそうだねと言った。 いつの時代でも子供たちが冷静に大人の姿を見ている。 だから子供は世の中に不公平があることに少なからず気づき始めている。 僕は黙って黒板の前で子供たちが集まるのを待っていた。 しばらくすると次第に教室に子供たちが集まってきて賑やかな話し声で溢れていた。 僕は一つ咳払いをすると黒板に最強の盾と書くと子供たちに向かってこう言った。 今ここに最強の盾があります。 でもだいぶ古くて痛んでます。 これでは最強の盾が壊れてしまいます。 どうすれば元の状態に戻せますか? すると教室が一瞬の間に静かになりまたざわつき始めた時に一人の子供がこう言った。 修理に出せばいいんじゃないの? それとまた一人が新しいのを買えばいいんだよ。 そう言うと誰かが最強の盾は壊れたりしないよ。 だからそれは偽物の盾だったんだよ。 また教室がざわめき始めた。 先生はどう思いますか?と誰かが僕に話しかけてきた。 僕はゆっくりとこう話し始めた。 最強の盾は世の中で最も強い盾で一番に頑丈なものなんだよね。 でも古くなると痛んでしまうしまた新しい頑丈な盾が作られるかもしれないよね。 だから僕が言いたい事はたとえ一番になっても時が経てば一番じゃなくなるし一度この世の中に生まれたものは元には戻らないってことだと思うんだよ。 みんなはどう考えるかな? すると誰かがなら一番とか言わなきゃいいんじゃない? そうだそうだと一気に教室が盛り上がった。 僕はこうまた話した。 そうだね一番とか二番とかはその時の一瞬の評価かもしれない。 大切な事は何番目とかじゃない。自分が生まれて持った性質を知ることにあるんだ。 性質とは人間では性格に当たるけどこれも時を重ねて変化するものでもあるんだよね。 僕はここまで行った後大きな深呼吸をしてコップいっぱいの水を飲んで汗を拭いた。 子供たちが少しずつ静かになっていた。 それから僕はポケットから一つの石を出して見せてこれが何かわかるかい?と問いかけた。 みんながただの石だよって言うと一人が宝石かもよって言った。 ダイヤモンドかもよって言う子供もいた。 僕はその石をまたポケットにしまうとこう言った。 今のはただ学校の前に落ちてた石なんだよ。 でもいろいろな見方で変わるよね。 もしかしたらさっきの石は特別な力のある石かもしれないよ。 だって今日のためにみんなの前で見せるために僕が拾った選ばれた石だからね。 わかるかな?ただの石にもそれはそれで大切かどうかは皆や自分によって決められるんだよ。 だから僕にとって君たちは選ばれた子供であって大切な存在になっているんだ。 これから僕が世の中の矛盾について話をするけどいいかな?矛盾とはつじつまが合わないこと世の中の間違い探しだよと言って僕は一つ深呼吸をした。 僕は大きな声でこう子供たちに投げかけた。 人間は大人が先か子供が先か?どっちだと思う? その時に子供たちが考えを始めた。 実はこの質問に答えが出ない事は僕は初めからわかってたがあえて子供たちに考えさせることで頭の中をリセットさせる意図があった。 僕は黒板に大きな円を描いてみせた。 この円は何だと思う。 その問いに子供たちはすぐにたくさん答え始めた。 地球だよね、違うよ月だよ、ボールかもよ、日本の旗かも、メダルだ、お金だよね、果物。 いろいろ出たところで僕は円の絵をさらに大きく描いてみせた。 やっぱり地球だだって大きいもん、太陽かな? 実はこれにも正解はない。 僕はこうみんなに言った。 大きい小さいだけでもイメージするものが変わったよね。 人間は考える生き物だから正解は無限にあるよね。 どの答えもみんなはなまるだったよって少し笑ってみせた。 子供たちが少しずつリラックスしたように見えたので僕は次の考え方を考えていた。 多分知恵比べしてもキリがない。 どうやって子供たちに世の中の道理を伝えるべきか僕は悩んだ末ある結論に至った。 それは答えを求めるのではなく答えを待つことにしようと思って次に子供たちに自由に話をしていいと言って席を立ちしばらく教室を後にした。 子供たちがかすかに話をしていたがやがて世の中のあるなしの話を議論し始めていた。 今の大人は間違っているよ、だって子供が悪いって言ってるもん。 だったら生まなきゃいいんだ。でも子供にも権利はあるよね親を選ぶ権利があるよね。 僕はその声を聞いていて不思議と子供と大人の差について考え始めていた。 子供は多分大人の考えより発想が豊かで結論を急がない。 だが大人はすぐに結果と結論を求めるあまり考えを止めてしまうと思った。 無限にあるこの言葉のパスワードのピリオドをつけるべく僕は考えることに集中した。 そのうちに時間が過ぎるので僕は言葉を止めて心の中に答えを求めた。胸の内はと探すと僕は本当は子供たちと一緒になりたいだけなんだと思った。 僕たち大人も子供も一緒に考えて生きているんだと思った。 僕はいつの間にか気づかずに手をポケットに入れてみるとあの時の石が入っていた。 この石が使えないのか?僕はポケットからその石を取り出して眺めてみてみた。 石からなんとなく伝えようとしてくるような気がした時後ろから声がかかった。 先生は何をしているの?と一人の子供が立っていた。 僕が黙っていると子供はこ言った。 私たちは結論が出たのよって言って笑った。 僕はキョトンとしていると先生は夢を見ているのよ?と続けた。 そして夢が消えてなくなるものよと笑って去っていった。 夢って?僕は少し考えてみた。 夢なら覚めるはずだと思ったとすると誰かが肩を叩いて声をかけてきた。 僕は振り返ってみようとしたが動くことができないでいたら大きな声で起きてと言われびっくりして目を開くと僕の目の前にトーストとコーヒーが置かれて後ろ姿の彼女がいる。 彼女はまた遅くまで作文を考えているのねと笑いながら言った。 僕は時計を見ると朝の七時半だと気付いた。あれ?僕はいつの間にか夢を見ていたのかと思った。 彼女に子供たちはって言うと彼女はこれから会いに行くんでしょうって言った。 僕は不思議そうにしていると彼女はあなたは考えすぎなのよって笑った。 僕はほっとしてため息をつくとポケットに手を入れた。 そしたら石が入っていたのでそれを眺めてみてみた。 どこかで見た気がしたがなんでポケットに入っていたのかわからなかった。 あなたが子供の前で話すなんて矛盾してるわねだってあなたはまるで子供と一緒みたいなのにって彼女は笑った。 僕はキョトンとしているので彼女は結論は出たの?って聞いた。 僕は多分子供に会えばわかるよって答えた。 子供たちはまだ寝室で寝ているわ起こしてきてねと言われて寝室で眠っている娘を起こしに行くと娘が何かを握り締めていたので手を開くと僕と同じ石を握っていた。 僕は娘を起こしてこの石は?と聞いたら学校で拾ったのよと言った。 僕は娘の石とポケットの石を比べてみたら全く同じで形も大きさも一緒だった。 娘はパパもママも私も一緒だよって笑って起き上がった。 僕は不思議に思いながら今に戻ると彼女が僕の冷めたコーヒーを入れ直して笑って子供にはかなわないわねって言った。 そしてコーヒーを飲んで早く夢から覚めてちょうだいねって言うと娘と話し込んでしまった。 彼女に僕に子供がいたっけって言ったらあなたは夢の見すぎでしょとちょっと怒って娘と笑って僕の顔見た。 そして娘が僕に結論は?と聞いてきたのでびっくりした僕は夢だよねって言ったら笑ってパパで子供たちの夢は決して消えずに続く物語なのよ。 だからパパには結末がわからないのよ。 だってこの夢は永遠に終わらないからピリオドはないの。 私たち子供たちは未来と過去をつなぐ意志を持ってんだよ。 だからこれを書いてる人に教えてあげて? あなたの考える力は夢がないけどあなたのポケットにはたくさんの夢詰まってるってね。 きっとその人はパパと同じ子供のような人なんだねって笑って娘は消えた。 同時に僕も書いていた作文かペンを置きコーヒーを飲んだ…。

 

 この作文の見解としては病気してると考え方がおかしくなってるのかと思う時がある。でもこの物語によって僕の考えは駄目でもポケットに夢があると教えられた。この物語を機にしばらく創作活動を辞めた作品でもあります。

 

 「僕と彼女の恋愛観」

 

 「私には彼氏彼女の感覚が理解できないのよ?」彼女はタバコを吸いながら吐き出すように言った。 「付き合いが何かと多くなると彼氏彼女の必要性も薄れるからね。」僕はそう答えると続けて「好きとかで恋をするのは幼い頃だと思うよ。大人になると現実性を見るし価値観で変わってくるからね。」 彼女は小さくうなずくと「ドキドキすることもなくなるわよね。」と言ってタバコを灰皿に消した。 「僕の考えだけど苦労して恋を叶えた人はきれいになったりかっこよくなれたりすると思っている。楽した恋は努力をしなくなるからね。」 「あなたはどうなの?私に対して努力しているの?」彼女は僕の顔を覗き込んだ。「まだ三割程度かな。本当に大切に思っているから全てを知るには時間が必要だよ。」「ちょっとはかっこよくなったよね?」おどけて僕は彼女に言った。 「不満は無いわ。あなたにはでも時おり寂しかったりするの。」「多分、僕が怒らないせいだねきっと。」と答えた僕に彼女は「わかっているのね。私にはそこが物足りないしそこが良かったりするの。」 付き合っている僕と彼女にとって何も不思議でもない会話だがいつもこうやってお互い気持ちを語り合っていた。 彼女がまたタバコに火をつけたら「三本目だね。」と僕は言った。 「数えているの?」と彼女は呆れ顔で言ったので「君の平均は三本だからさぁ」と笑って返事をした。 何の変哲もない二人の関係は恋人であり友達でもあった。 「私の時おり夢に見るの?」「何の夢を見るの ?」「いつか世界中の子供たちが手をつないで一つになって世界の終わりを守る夢よ。」「うん、大人の僕たちができないことを子供たちがやってのけるんだね。」と僕が言うと彼女は少しうれしそうに「私たちの子供たちがいるから安心できるわ。」 時折、彼女は今のような未来の話をすることがある。 でも僕は否定はしなかった。 なぜならそれは自由であり誰かを傷つけたりしていないし僕も彼女の発想が好きだったからだ。 「そろそろ僕は仕事に行ってくるね。」と声をかけると「私も行かなきゃ。」って二人で座ってたベンチを後にした。 今こうして二人でいられる幸せをどれだけ大切に思っているんだろうか。 僕はいつもその時の会話の中で記憶に残った言葉をメモに残していた。 今日の場合なら恋愛感と夢の未来と言う感じになる。 ベンチにいた時間は十五分足らずだったがいつもより今日は長く思えた。 僕が仕事場に行くとおはようより早く元気なの?って言葉が返ってくる 。 「まだ引っ越しをしてから間もないので調子が出なくて。」と苦笑いをして僕は返事をした。「気合いだよ、気合い。」と背中をポンと叩いて先輩はカツを入れてくれた。 上着を脱いでデスクのパソコンの前に座ると昨日の続きのレポートの制作にかかった。 僕にとっては仕事は生活の上で当たり前のことで大変だけど不満はなかった。 今日はやけに社内は静かに感じ温かくも感じた。 しばらくしてから一人の女性社員が声をかけてきた。「頑張っているのね。」と言って僕の横の椅子に座った。「いろいろとね、やるべきことがあるからね。」僕はそう言うと仕事の手を休めることにした。 「私ね、あなたのことが気になっているのよ。」「なんで僕に?」と返事をすると「あなたには何かを感じるの?他の人にないオーラみたいなものをね。」「オーラですか?僕にはそんなものはないですよ。」「どちらかと言うと影にひそめていたい。そうやって生きていますから。」と僕は答えた。 彼女は笑って「私には人の後に付いているものが見えるのよ。生まれつきの私の力みたいなものよ。」と言った。「僕の後ろに幽霊でもいますか?僕は一度も感じたことはないですよ。」「大きな力、女性のね。あなたは守られているのよ。そして好かれている。ちょっと危なげなのよ。」と真剣な顔で彼女が答えた。「危なげ?」と僕が聞き返すと「今日はここまででおしまいね。」と席を立って行ってしまった。 そもそも彼女は社内でも人気はあるが気味悪がって避ける人もいる。 独特の彼女の話口調があまり評判を良くしていなかった。 彼女の話から僕はふっとあまり僕にまとわりつかない人たちが多いのはそのせいかなって考えたがすぐに仕事のパソコンに向かった。 合間合間で僕は今日の朝の彼女の恋愛感について考え出していた。 恋をすると女性は綺麗になっていく人がいる。 その考えは自分の経験の上でたくさん見てきたし知っている。 でもその根拠がわからない。 僕はそこに興味と関心があった。 そういえば以前に彼女に聞いたことがある。 その時は彼女は女性は恋をすると心が素直になるから顔の表情もその姿も素直になるのよって言ってたことを思い出した。 その時は納得したしでもなぜ女性に多いんだろうか?と僕は考えていた。 男性のかっこよさなんてあまり役には立たないとは自分でもわかっている。 むしろ男の人は姿よりその仕草と行動と知識とかが役に立つことが多いと思っていた。 でもなんで今頃こんなことを考えているんだろうって思ったら急にお腹が減ったので昼食を食べに食堂に向かった。 食堂では男性のグループと女性のグループに分かれることが多い。 たまに入り混じっているグループもあるがそのグループには大抵女性のターゲットか恋人がいることが多いと思った。 僕はいつものガラガラのテーブルに座って食事をしていたので今日も同じテーブルに座った。 そこにいる男性と女性はとにかく話もしないし目をあわせることもない。 なぜ人の輪の中に入らないのかいささか不思議だったがそういう僕も同じだった。 人との関わりは楽しくもあるがわずらわしくもある。 特に男女の関係は複雑になるし気疲れも多い。 でも今日に限って無口な男性が僕に話をかけてきた。「失礼ですがよくあの女と話ができますね。」「あの女? あ、さっきの彼女かい?」「そうです。あの女には気をつけたほうがいいですよ。お金が目的らしいし体を売りにいろいろな男を騙しているらしいですよ。」「彼女が騙している?騙される方が悪いよ。彼女が怖いからとかじゃなく色気に引っかかる方がいけない。」僕が言うと「そうですね。あなたはだいじょぶそうですね。 ただあまり深入りはしないほうがいいですよ。」と言って男の人は黙ってしまった。 僕は少なくとも気分は少し害した気がしたが気にせず食事を済まし食堂を後にした。 「君かね、彼女が言ってた人は?」と後ろから声がした。「僕が何か?」と返事をすると「そうか君か。彼女に好かれるとは珍しいことだよ。どうだい一緒に私と仕事をしないか?」偉そげだがどうやら社内の上の人らしき人だ。 僕は名刺を受け取って立ち止まってしまった。 「良い返事を期待しているよ。」と言い上司らしき人が行ってしまった。 仕方なしに手に持っている名刺に目をやると企画担当責任者と書かれた名前があった。 僕は企画か?と少し興味を持ったがあまりにも急な話で少し困惑もしていた。 そもそも何であの彼女に対してここまでつながりがあるのか? それが僕には疑問だった。 自分のデスクに戻るとパソコンに向かって仕事の続きを始める。 今日はやけに人と関わる日だったよなぁって思いながら帰宅の時間を待った。 「あなたにとってそれは悪い話では無いわね。仕事場ってそんなものよ。」「でも僕はそもそも会社に恋愛感情を持ち込む事はしたくないし静かなのが好きなんだよ。」「でもあなたにはこの企画のアイディアが浮かんでいるのよね。だっていつも考えて話をしているから。」「別にただ人としてどう考えてどう生きるかは自由だしパターン化された今の時代じゃあまり思想的な事は世間には受けないと思うよ。」「違うは子供たちに夢を見るしその夢のためにがんばっているのよ。ならあなたは子供と同じ目線で夢を見ているし持っているの。」「子供と同じね。」と僕は彼女の言葉に負けたような表情で返事をした。「あなたのことを私なりに理解しているわ。だから私はあなたを信じているから。」と彼女はそういうとタバコの箱を出して僕に渡した。「あなたはタバコを吸う私に対して寂しく思っていたよね。本来はタバコはあなたが吸っていたものよ。今度は私が我慢するからあなたは自分らしく生きて。」僕が彼女のタバコを受け取るとなぜか急に過去に忘れていた時の流れを思い出した気がした。「君にとって大切なものはまだしまってあるよね?」「もちろんよ。」と笑って彼女が返事をかえした。 大切なもの、大切なこと、この世にあるとしたら瞳には見えないかけがえのない心の中に眠っているだろう。 僕はしばらく彼女の顔を見つめながら変わらない彼女の彼氏なりに自分がかっこよくなっていけているのかまた思い直していた。 次の朝はあいにくの雨模様で傘をさして仕事場に向かった。 会社にたどり着くと一人の女性があの彼女が立って待ち伏せしていた。 「どうあれから何かあったんでしょう?私と付き合うなら今のうちよ。」 と彼女は自信満々の声で話しかけてくる。 僕は彼女の顔をちょっと見てから「恋愛はそんなに甘くないですよ。」と返事をした。「そんなことをわかっているわ。」と彼女は手を振って歩いて行った。 僕は大きなため息を二つほど着いたら会社の中に入れてデスクに向かった。 少し困った気はしたが頭を整理しようと仕事前のコーヒーを飲んで目を閉じて考えてみた。 これからの展開は僕の決断で決まりそうだと思ったら昨日の企画の名刺のことを思い出した。 最近はやることもなくなっていた頃だし悪い話とは思えなかったが彼女の出方が気にかかる。 コーヒーを飲み終えた時にあるアイディアのもとで行動を移すことにした。あの彼女の部署をまず尋ねると彼女のデスクに一通の手紙を僕は置いて残していった。 それがこれからの展開がわかる気がしたから。 昼食の時間にいつものガラガラのテーブルで食事をしているとあの彼女がちょっと照れるように僕に声をかけてきた。「ねえ、あなたはあの手紙は本気なの?」僕は「嘘は書いてないつもりだよ。迷惑だったかい?」「ううん、でも私は本当に私でいいの?」「君が決めることだよそれは。僕には無理には言えないからね。」と返事をすると彼女は顔を真っ赤にして立ち去ってしまった。 別にいやらしいことを手紙に書いたわけではない。 手紙にはよかったら結婚式を挙げる企画を二人で立てようと書いて残しておいただけだった。 彼女にはちょっと悪いが僕なりに考えたら彼女にとって自分が嫌われることには慣れているが必要とされることを苦手としていると思ったからだ。 僕の考えはある意味に成功といえたがそれからが大変なのかもしれない。 でも考えてはあるので食堂を後にしたら自分のデスクでコーヒーをゆっくり飲んで休んでいた。 その時に僕の携帯が鳴った。「もしもし。」「あ、あなたね。よかった声が聞けて。」安堵の声の僕の彼女からだった。「どうかしたの?」「ううん、ただちょっと怖い夢を見ただけ。」「怖い夢?」「うん、あなたが消えてなくなる夢よ。」と泣きそうな声で話した。僕が落ち着くように「大丈夫、怖い夢は子供も見るからでも必ず夢は冷めていくよ。」「ありがとう。少し落ち着いたわ。私にとってあなたは必要なの。だからまた話をしてね。」と言ってゆっくり電話を切った。 僕は少し彼女のことを不安に思ったがまだ気持ちが気が抜けないと切り替えた。 この後はしばらく仕事に打ち込んだが少し疲れ始めたので休憩室に行くことにした。 休憩室は三人ほどの若い社員が休日の時間の使い方について語り合っていた。 僕が入ると若い社員が頭をペコリと下げると僕に話しかけてきた。 「先輩は休日はどんな過ごし方をしているのですか?」不意の質問に戸惑ったが冷静に僕は「頭を休めるために天井を眺めながら数を数えているよ。」「先輩らしいですね。僕たちはゆっくりできないらしいです。」「若いうちは頭も回復が早いからそれだけ元気な証拠だよ。」「ありがとうございます。」と頭を下げ若い社員は三人でまた語り合いだした。 僕は自動販売機の紙コップのコーヒーを飲みながらしばらく目を閉じあくる日のことを思い出していた。「あなたは私に触れてくれないのね。」と彼女は寂しそうに言ったので「いつも触れたいと思っているさ。でも触れたら触れた分だけ気持ちは伝わるけど恋しさも増して寂しさも強くなるよ。」「今日は少し私に触れてくれる?寂しくて仕方ないのよ。」僕は彼女の手に手を重ね優しく握ってこう言った。「大切なのはそう感じることだよ。気持ち一つこの手のぬくもりも一つ一つ伝わって大切な心になるからね。」そして僕は彼女の唇にキスをして頭を撫でた。彼女は僕に寄りかかり目を閉じてスヤスヤと眠ってしまった。二人の距離は近くても遠くてもだめだと思っていた。大切なのはお互いに必要だと認識する心にあるし強くないと壊れてしまう。それが僕の一つの恋愛感だった。怖いのは愛の形を忘れてしまうことだ。 「おい君。」と声がして目を覚まして顔を上げると企画担当の上司の人がいた。「疲れてるんじゃないか?」僕は大きなため息を吐きだした。「それより君はすごいよ。彼女が結婚を決めたらしいよ。」と大喜びで言った。「結婚?誰とですか?」「それがわからんが彼女が決断したのは君のアドバイスのおかげだと言ってたからな。」いまいち飲み込めないのだが「よかったですね。」と僕は頭を下げて休憩室を出て行った。 しばらくは元のデスクで仕事をしていたが時間も立ち帰宅することにした。 帰り際支を済ますと上着のポケットに一枚のメモ用紙が入っていた。 そのメモには「私は自由、私は縛られない、ただ一人は辛かった。ごめんなさい。」と書かれていてすぐにあの彼女のメモだと理解した。 しかし上司は結婚を決めたと言っていたが…。 僕はメモしまうと会社を後にした。 帰り際いつもの公園で僕の彼女と会っていたベンチに座って休憩を取る。 そこに一人の女性がゆっくりと近づいてきた。あの彼女だ。 僕のそばにくると彼女は僕にこう言った。「いつもの彼女がいないのね? わかってるわあなたは私にとって届かない人だって。」「でもいつも彼女と一緒にいる二人があの子が羨ましかった。」「私ね、私、私決めたの。結婚するのよ。あなたが企画した通り にね。でもあなたとじゃないわ。」「私にもずっとずっと待っていてくれた人がいたの。私のことを見ててくれた人がいるの。」そのまま泣き崩れた彼女の後から一人の男性がやってきた。「やっぱりここにいたのか?」と優しい声をかけるこの男性はよく見ると食堂で僕に注意を呼びかけた無口な男の人だ。「すみません。僕が弱気なためにご迷惑をかけてしまいました。」と深々と頭を下げるこの男性いやこの青年はりりしくまるで会社にいる時とは別人のようだった。「彼女はずっと毎日あなたと二人で話をしている彼女との時間を眺めていました。」「寂しいかったんでしょうね。僕も見てましたから。」「あなたの結婚の企画はびっくりしましたが彼女の意外な一面に気づくことができました。」「私と彼女は幼馴染です。私は彼女にプロポーズをしてOKをもらいました。彼女の気持ちもずっと待ってたみたいです私の言葉を。」泣き崩れる彼女の肩を起こしながら頭を下げる青年の意思には僕は鳥肌が立つほどだったが全てが分かった気がした。僕は「頑張って。」と少し笑って手を差し出した。僕の手を強く握り握手を交わす青年の目にも涙が溢れる。数日の出来事がこんなにも熱く流れるとは僕も予想しなかった。そして二人はゆっくり何回も頭を下げながら公園を後にしていった。 その時に携帯が鳴った。 僕が出たら彼女の声「もしもし、あなた大変なの?」「どうしたのまた?」「私ね、お母さんになるの。」「私ね、ママになるの。あなたの子供のママになるのよ。」すごいハッピーな声の彼女の声が電話から聞こえてきた。僕はゆっくりと落ち着いた口調で彼女にこう言った。「おめでとうママ。これからもパパをよろしくね…。」

 

 この作文の見解としては彼女のいない僕にとっての空想での恋愛話。でも正直に気持ちが書けた作品だと思っています。最後が一番ハッピーな言葉で終われた事が良かったと思います。


「統合失調症の未来」


寝ぼけながら腕時計の時間を見ると朝の5時半を過ぎたところだ。就寝薬の効いてる僕は起きるのに時間がかかったがベットからやっと抜け出したらタオルと歯磨きのコップを持って1階の洗面所に向かった。顔を洗って歯を磨きながら鏡に映る自分を見たらやけに太った顔に見えて気持ちが悲しく思った。別にカッコいい訳でもないが多少なりには自分に自信を持っている。最近では鏡すら見ることもなくなり服装も気にすることもない。あの学生の頃に毎日必死に自分の姿に意識過剰に反応していた時代を懐かしくも思える。顔を洗い幾分か目が覚めた僕は部屋に戻り着替えをしてからコーヒーを買いにすぐ近くのコンビニに行くことにした。コンビニではいつものおばさんの店員がいて朝の数人の買い物客がタバコを買っている。僕も缶コーヒーを二本ほど選んでからノートを一冊とレジでタバコを一箱頼んだ。外は雪がちらつき足下には数センチほど積もっている。今日はやけに冷え込んで震えるほど寒く思えた。部屋に戻った僕は早速買ったノートに今後の予定について書き込みながらコーヒーを飲み訳の分からない人生について考え始めた。部屋には洗濯物は干されていて乱雑に洋服が散らばっている。飾られたホワイトボードに貼られた好きな子からもらったプリクラを見る度にため息がこぼれる。時間が過ぎるとパタパタと廊下を歩く足音が響き始めた。ここは下宿でもありお年寄りの共同住居みたいなところでもある。ここに入居してから一年は過ぎたところだがあまり良い暮らしができてるとは思えないし早く引っ越しをしたくてしょうがなかった。書き物に満足した頃に着替えと支度をすまし活動の場所の病院のデイケアに向かう準備をする。僕には患った精神疾患も日中活動も今じゃどうでもいい感じがして夢も希望も見えない人生と生活にうんざりもしている。でも頑張ることはやめたくもないしうっすらと感じるタイミングの良さや出会いに期待する気持ちはあった。支度終えたらベランダに行きタバコを吸って生活の違う真新しい一軒家を眺めながら煙を吐き出す度に遠く昔の好きな子の顔を浮かべてみたりしてタバコの余韻にひたった。そしてうれしくもなく期待すべくもなくデイケアの病院へと向かった。病院につくとデイケアのメンバーが数人来ていて軽い挨拶を交わした。それから僕はいつもの席に座るとまたノートを開いて書き物を始めた。僕には昔はやりたいこともあった気がするが今じゃそれすら思い出すこともない。ただ毎日の生活の繰り返しが退屈でそれが運命かとも思えた。だけど決して平凡な人生ではないのは理解しているし僕の経験からたくさんのおかしな間違えがあって今の状況下におかれてる。やがてデイケアが始まりラジオ体操が始まる。そんな一日が僕には当たり前で不可解な生活だったが不満はなかった。そんな繰り返しの中で僕はある日思い立ったように起きあがった日がある。それは夢の中で見たまやかしかもしれないが確かに僕にもやるべき事が残されていると知った。反射的にペンを取りノートに書いた言葉は「統合失調症の未来」だった。確かに夢では僕がいて家族がいて友達がいてみんながいて戦っている幻惑の固まりとそれはひもとく鍵がこの病気にある。僕はそれを信じたくてノートにこれまでの記憶の限り書くことにした。それが令和に入った2年目の冬の1月のなかばの頃だった。


記憶の中で友達のおかしさや職場のおかしさなどいくつもの矛盾の中で僕にはある考えが浮かんだ。仕組まれた人生に僕がいること。ただレールのように引かれた運命の転機はある川崎市の電気の職場での寮で先輩が僕のお尻をポンと叩いたときに一瞬の間僕は理性を失っている。まさに目の前の同期の女の子を襲いそうになったことがある。なんとかとりおさまったのだがその同期の女の子と友達の名前は一文字違いでそこに運命のいたずらがあったと感じるのだ。そもそも僕は知的に遅れていたことに若い頃は自覚してなかった。ただ悪さばかりする同学年の友達や先輩に不信感は持ち続けていた。友達があるバーで女のあそこの写真を見せなにも言わない僕に対してかバーのマスターらしき人に小声で友達でなってやることにしたと2回繰り返し言ってたのを僕は聞こえていた。それと浅草のクラブの女の子誘われてデートみたいなとき上野のクラブでマスターがどこ出身なの?と2回聞いてきたときがある。僕は北海道と2回それだけ答えていた。またその女の子と歩いていたときにかなり遠くの人がいっせいに振り返った気がして気持ちが悪かった経験もある。友達達が僕を珍しく誘ってバイクに乗って知らない女の子の家に行きなにもせず帰るとき見知らず女の子の家の窓からニヤニヤ笑っている男の子の姿を僕は確認していた。なんらかのやりとりがあったのかもしれないが僕はあまり深くは考えてはいなかった。僕が一番びっくりしたのが金沢の小松村田の工場で働いているときに僕を気にかける男が一人いたので見ているときにポケットに手を入れてお茶を飲んで見た。そしたら夜勤明けの朝方に来た女の子にその男は走りより僕を指さしポケットに手を入れてお茶を飲んでるカッコつけだよって叫びだした。僕はなにも言わないよりあまにもおかしくて黙って仕事をしていた。その後の工場に騒ぎ始めるのもとうぜんのことだろう。このとき初めて人生できちがいと言う言葉を耳にした。だが一行に収まらないこの騒ぎに嫌気がさし警察署にきちがいと言われているとのっとりと言いに行ったがこれが最悪のケースになるとは思わなかった。実家に帰りパチスロで遊ぶ毎日から豹変した人生の幕開けだった。遠隔ならかわいいが店員が逃げ回ったり明らかにおかしなことをやらかす意味が不明だった。パチスロをやめてボーリングにもカラオケボックスにもその異変さは続いた。あきらかにおかしいのだがおかしくなったのは僕の方でもある。友達の不自然さも重なり僕は周りの人間に不信となり限界も近くなった。ある時におかしな経験をするのだがこれは僕にとってどうでもいいことだったし誰かに助けてもらいたかった。天使、悪魔、宇宙人などわけのわからない存在など認めないが確かに僕にはそれなら関係するなんらかの要因に踏み込んでいってしまったのかもしれない。そこには友達にアルバイト先での可哀想に友達が僕に対し友達じゃないと言わされている光景などでたらめな間違い探しに僕は精神的に病んでいた。印象的なのことはあるとき敦賀に行くと僕は派遣会社の職員に泣きつくように言った僕は女の子を助けようとしただけだと。それが逆に利用されているとはいや利用されていたが僕もその状況を把握してあがいていたのは不思議だった。北陸のある町にある世界があると解釈している。ただそれは暗黙の了解のもと成り立っているとも理解できる。僕は見捨てられた子猫のように捨てられまたきちがいと低知能者扱いで終わることになる。もともと僕たち世代におかしな過ちがあったとしても僕には感心はないし知る由もない。ただある時川崎であった出張ヘルスの女の子に地元で会うと助けられた気がしたのはなんでだろうか。女の子が雑誌のジャンプをくれた人だと言う言葉で僕もその子だと気づくことができたが心の声が聞こえた時点でもう僕の頭の脳はいかれちゃったともいえる。あがきにあがいた僕はあくる日の夜に何者かに襲われる。目に見えない女性に犯されることで終わってしまう。だいたい適当にだがノートにこれらのことを記すると僕は深いため息をつきベットに横になった。こんな無駄な時間がむなしくなり泣きそうになったが涙はでなかった。それからしばらくはおとなしくしてようと思った。明日はデイナイトケアだったし早く寝たいとも思ったので就寝薬を飲んで目を閉じて眠ることにした。


次の朝の目覚めは良くて気持ちよく起きれた。僕は起きあがると顔を洗いに洗面所に行き歯を磨いて髭を剃ってベランダでいつもの一服をした。昨日の書き留めたノートのことも忘れていて僕はデイナイトケアに行く準備をしてテレビを入れた。テレビでは不可解な事件がいくつも流されていた。人は腐敗し僕たちの望みは子供達の未来にあると解釈している。いや、未来の子供達が地球の運命を握っていると雄解釈することで僕は長年にわたる生きている意味を理解しようとしていた。そのとき携帯の着信が鳴る。僕は誰からかと見たが知らない電話番号からだった。でようと思った時には着信が切れてしまった。僕はかけなおしたかったが嫌な気がしたのでそのまま放置することにした。朝食をすませ病院のデイケアに向かう。外は雪も降っていなく足下も歩きやすいほど暖かい朝の日ですれ違う人もいなかった。デイケアにもうそろそろつくという頃にまた電話が鳴った。同じ電話番号からの着信だったが僕は思わず反射的にでてしまった。「もしもし」しばらく間があり「君は不適切な存在です。でも君は合格しました。」そう言ったらプツリと電話は切れてしまった。僕はこう言うのは無視してきてきたから今日もまた知らない顔でデイケアに向かう。デイケアに着くと誰もいなかったので不思議に思いながらも誰かくるのを待ってみた。いつもなら職員が来る時間でも誰も来ないしそもそもこの病院に人の気配がしない。不安になり待合室に行きそこで人が来るのを待った。いくら待っても人が来ないので缶コーヒーを自販機で買ってそれを飲みながら外に出ることにする。だが外は真っ暗になっている。朝のはずが真っ暗な夜の景色だ。僕は出ようか出まいか迷っている時に後ろで音がした。振り返ると待合室のソファーにたくさんの人が座っていた。その座っている人が僕たちの同級生だと気づくにはいささか僕は鈍かった。みんな下を向いて死にそうな目をしている。悲しそうにうつむいて背中を丸めうずくまっている。女性もいるのだがもう随分も会ってないし年が15の記憶と46の姿じゃ判断が鈍る。声もかけれないしただ呆然と見つめる自分がいた。気づくと看護士がいて名前を呼んで血圧を測りに同級生が立ち上がっていく。それで誰が誰か記憶がよみがえってきて分かることができた。なぜこの病院に同級生がいて現れたのかは不思議だがその光景を見ることである意味気分が晴れていく自分が嫌な気がした。おおかたの名前が呼ばれて待合室にいる同級生が少なくなると僕はおそるおそる近くに寄ってみた。服装も髪型も乱れはなく今の年らしき同級生には間違いはない。でもなぜか不自然さが僕には消えなかった。僕は誰か一人に声をかけようと試みようとしたら看護婦が僕の名前を呼んだ。「血圧を測りますよ」そのときに僕はハッとした。看護士がどこかで見た気がしたが確かに間違いなく風俗であったことのある女の子だ。看護士は優しく笑って手を招いてる。そこらへんから僕の頭は混乱してきた。でもなんとなく従うしかないと思えずにはいられなかったし僕も同級生のように扱われている一人だと認識する事はすぐにできた。僕は仕方なく看護士の後を着いていくと看護士は笑って血圧計のイスに案内すると僕の腕をつかみ「久しぶりですね」と言った。僕は黙っていると看護士は耳元で囁いてこう言った。「あなたの好きにしたらいいのよ」「あなたには復讐のチャンスが与えられたの。望む事を話してごらん」僕は戸惑ったがいささか混乱がひどいので「みんな助かるのですか?」と聞いた。「助かる人などいないわ。ただあなたにとって望むことを叶えてあげる」看護士は少しだけ誘惑するように胸元をちらつけさせた。確かに僕には性的な障害と性に対する問題がある。しかしこういう展開では判断が冷静にできない。少し興奮しかけたがぐっとこらえて「適正な処置をお願いします」と言った。「わかりました。待合室で待ってて下さい」そう言われ冷や汗を拭いながらその場を逃れた。待合室に行くと今度は若返っている同級生がいる。僕見ると同級生はケラケラ笑い始めた。僕は少しカチンときて怒りそうになったがなぜか身体が動かず声も出なかった。ソファーは埋まっていたので僕は開いてる端のイスに腰をかけた。誰も話す訳でもないがかすかに香水のようなにおいが辺り一面に漂っていた。同級生はまた名前を呼ばれて診察室に入っていく。その後ろ姿に何となく恐怖感がよぎったし僕は逃げようとも考えた。でも身体が動かず足が震える。手も冷たく足先も冷たくなるのを感じざるにはいかなかった。しばらくしても診察室に入った同級生が戻ってこないこと気づく。そんな矢先に名前を呼ばれた。「診察ですよ」風俗で見た気がする看護士は一段とみだらに胸元を開いて呼んでいる。僕は最善の注意を払いながら後を着いて行くと診察室の前の席で待たされた。診察室の中の声で激しい怒濤と笑い声が繰り返し聞こえる。同級生に何があったのかわからないが僕には何もするすべはなかった。一瞬静まったかと思ったときに診察室のドアが開き看護士が僕を呼んだ。その看護士からきつい香水みたいなにおいが僕をむせさせるくらいにおった。中に入ると数人の看護士がいて真ん中に女性の先生らしき人がいる。その先生はいつかのクラブの女の子だとすぐ気づくことができた。イスに座らされ女の子の先生はいくつかの写真を僕に見せる。その写真は僕が関わった好きな子の顔写真で枚数は数枚に及んだ。「あなたは誰にするの?望むなら正直に言いなさいね」写真を見る度に懐かしく思える顔とみだらなことをしてきたことが頭をよぎって声が出ない。クラブの子の先生は笑ってテレビモニターをつけた。同級生が集まって話し込んでいる。中には知ってる子もいるが相手は同級生の男子のようで別人の男にも見えた。「あなたが助けないとこの子達は永遠に苦しむのよ」「この笑ってる男はあなたの幻影なんだから」と言って僕を見つめた。僕には何がなんだかわからないがただ助けたいと思って「僕が助けます」「あなたにできるの?」「運命なら変えれますから」そう強気で言った。その瞬間僕はたくさんの看護士に押さえ込まれベットに倒された。「あなたにとって一番大切なものは何?守るべきものそれは女の子?」一斉に看護士たちが言う。「僕は正しい恋の形を守りたいんだ。それが人間だろう」大きな声で叫んで僕は身を守ろうとしていた。「あなたにとって不可解なこともう忘れて。あなたに私たちがしたこと許して。あなたは間違っていないから」誰かがそう言って僕にキスをした瞬間に僕の頭は真っ白になっていく。「あなたに会えて良かった」そう聞こえたのが最後僕はもう何も覚えてない。

「・・さん・・さん」聞こえた声で起きると僕は病室のベットの上にいた。「あら、起きたのね。大丈夫ですか?覚えてる?」「あれ、僕はここは?」「病院の前で倒れてるのをみんなが見つけて運ばれてきたのよ」「倒れてた?そっか夢みてたのかな?」「そうね、随分うなされてたみたいだから悪い夢でもみたんでしょ」話してくれる看護士はいつも見る知ってる病院の看護士だ。僕は少し安堵の表情をしたかもしれない。少し起きあがり辺りを見てここは確かに病院の個室だと確認できた。「今、先生が来るからちょっと待ってね。」そう言って看護士は部屋から出ていった。わりと冷静になれてた僕はあの夢は僕の妄想と願望と妬み恨みがなした夢だと思うことにした。忘れることだとも思ったし早くこの病室から出て外の空気に触れたかった。しばらくして部屋をノックして先生が入ってくる。先生は変わらず髭のはやした先生だ。「君は考えすぎるから無理がかかるんだよ。もう過去にとらわれるのはよした方がいい」「先生は分かるんですか?僕が過去を振り返ったことを」「いや、君の持っていた鞄のノートを読ませてもらった。悪いと思ったが倒れている原因を調べなくてはね」「ああ、あのノートか。くだらない記憶ですよ」と笑って僕はやり過ごそうとした。「ただひとつ君には頑張ってもらわないと」「頑張る?ですか?」「ああ、大切なことを君には言ってなかったからね」「大切なこと?」「そう君はもう1年以上眠ってたんだよ。起きたのは不思議でもないがその間にこの世界に起きたことはあながち君の間違いではない」「世界の終わりですか?」いつになく多弁な僕がいる。「そうだとも君の関わった人や経験したこと助かったかもしれないが子供達がにわかに騒ぎ始めている」「未来の子供達でしょうね」「それが分かるなら問題ない。あとは君に託してみたい」「僕にできるならやってみますよ。未来の子供達には保護室で助けられた借りがあるからね」「お願いするよ」そう言って先生は部屋を後にする。僕は一年寝てたとはいえ身体に力あふれるものを感じる。外はいったいどんな景色なんだろう?僕は子供達に言わないといけない。守るべきものそれは恋や愛の形だけではない。人として生きる運命を受け入れる事も必要なんだ。いたずらに人生を変える運命を変えるものではないと」正直に僕は嘘をついていることを隠すこともできないとも思った。本当は誰かと仲良くなりたかったしでもいたずらに選ぶことができないほど僕は性にこだわりがありすぎている。純粋の裏に野心と欲望がある。僕にはそれが正しい答えなんだと思えてきた。僕は起き上がり部屋の外に出ると一瞬まばゆい後光が差した気がした。


部屋を出て看護士の誘導のもとで表に出る。久しぶりの外の景色はまぶしく一面真っ白な雪景色だった。僕はゆっくり歩きながら自分の共同の住居へと向かった。もう部屋はあるのだろか?ないのならどこに行けばいい?そう考えながら近くの公園でタバコをふかしまた歩き始めた。案の定、共同の住居はなくなっていて近くのコンビニだけが残っていた。コンビニで缶コーヒーを買ってレジの店員に聞くと共同の住居は火事で燃えてしまって新しく家が建つと言う。僕は実家に向かおうかとも思ったが何か実家に両親に会わせる勇気がなく途方に暮れたときに携帯の電話が鳴った。友達からだった。それも今のじゃなく昔の同級生だ。「もしもし」「あ、・・・か?お前のことで今話題になっているんだよ」「話題に僕が?何のことだい?」「お前が昔にそう一年前くらいに書いた文が本に載ってそれが問題になったんだよ」「僕が書いた文?」「今から会えないかい?そのことで何人か俺らの仲間集まっているから」僕は行き先を聞いてそこへ向かうことにした。行き先は近くの駅の西友の3階のカラオケボックスだった。僕はそこに少し急ぎ足で向かった。駅は変わらずにあり店も変わってない。場所も覚えていて間違えなくカラオケボックスについて名前を言うと店員が案内してくれた。15番の部屋がそうらしく中をみると数人の男女がいるのが分かった。部屋に入るとみんなが懐かしむように名前を呼んでくれた。僕はソファーの端に腰かけると友達が一冊の雑誌のあるページを見せてくれた。そこには友達の悪行と書かれていて僕の名前があった。読んだ感じにそんな悪いことは書いてないがいくつか実名が書かれていた。「この文はお前が書いたのか?そのせいで困ったことになっているんだ」確かに僕の書いた文みたいだが記憶にはない。「いや、僕じゃないよ。僕は実名は出さないし書いたりしないから」「そうか、なら良かった。疑いたくはなかったからね」「じゃあ、誰が書いたのこんな人の名前?」口を挟んだ女性は誰か分からなかったが確かに同級生だろう。「さあ、ただこの中途半端に書かれているからやっかいなんだ。悪行も今さらって気がするしね」「あいつら悪さはしてたけどこのせいでかなり怯えているらしね」「子供たちの復讐だからね」「子供たちの復讐?」僕がそう言うと「自分の子供が怖いらしの」そう言って一枚の写真を見せてくれた。写真には子供と写る同級生がいるが同級生の顔が消えかけていた。「ねえ、あなたに分かることはない?」メガネをかけてずいぶん老けて見える女の子が聞いてきた。「たぶん子供たちは僕に用事があると思うよ。だから僕を起こしてここに呼んだ。間違えを正したくて仕方ないんだよ」「どういうこと?」僕は自分の知っている経験と体験と保護室で見た世界の終わりのいきさつまでみんなにこと細かく話をした。最後に僕はこう言った。「信じるか信じないかは自由だけど僕に対して子供たちがした行為は間違っているからね。大切な気持ちは僕たちがまた一緒にやり直しをはかって本当の友達して一致団結する事だと思うよ」みんなが少し迷いながら首を縦に振る。「まあ、なんとかなるさ」と笑って答えたらみんなに笑顔が戻り始めた。僕がタバコを吸いたいと席を立つとメガネの老けた女性も行くと一緒に喫煙所に向かった。タバコに火をつけ気持ちよく煙を吐き出す。メガネの女性は僕に「かわったね。頼もしくなったね」と言った。「僕は変わったけど君も変わったよね。正直誰かいまだに思い出せない」と言うと「なにそれ。私は・・・。それでも思い出せない?」「いや、僕はあまり気にしないたちなんでね」そしてしばらくは昔の世間話をしてタバコを吸っていた。カラオケボックスに戻るとしばらくはみんなで最近の話題と近況のついて話をした。そして話がつきてきた頃に解散する流れになった。僕の帰り際にメガネの子がメモを渡してきたので後で見たら携帯の電話番号だった。年甲斐もなくドキドキわくわくするのはやっぱり僕は普通だと思うことができた。さて帰る場所がない僕は迷ったあげく実家に戻ることにする。実家に両親に電話をかけ帰ると伝えると喜んで待っているからと答えてくれた。実家に帰ると両親は何も言わずに部屋にストーブついているから休みなさいと言ってくれたので僕はそのまま部屋で寝ることにする。部屋のにおいと空間が僕をそのままぐっすりと深い眠りの中に誘ってくれた。それから目を覚ます朝まで僕は夢の中にいる。


朝起きたらトーストとコーヒーのにおいで目を覚ました。居間に行き食事をすませ支度をする。急いでたわけではないが長居は禁物な気がしたので両親にまた帰ってくると伝えたら足場やに玄関出て近くの駅に向かった。行く宛があるわけもなく駅に着くとふとメモの電話番号を思いだしかけてみることにする。コールが二回目で彼女が出てうれしそうにおはようと言った。それから会う約束をして僕は昨日のカラオケボックスに向かった。彼女は名前は知っていたが学生時代にあまり話はしてない。ただなんとなく懐かしく思えて僕もちょっとうれしかったのかもしれない。カラオケボックスに着くと彼女を来るのを待った。彼女は遅れずにきたがメガネは変わらないが無理した感の化粧と服装が思わず笑ってしまいそうだった。僕自身も女性とデート的なことは久しぶりだったし少しは緊張していた。カラオケボックスに入ると何となくドキドキしたりもする。しばらくは世間話をしながら歌をうたって時間をつぶしていた。少したった頃に彼女が隣に座り僕の顔をのぞき込んでこう言った。「私じゃだめ?」僕は笑いながら「昔のようには行かないよ。でもだめでもないよ」彼女は僕の手に手を重ねて「私でもいいの?」と言った。僕は悪くはなかったがこう言うときにブレーキがよくかかる。でも今回はブレーキがかかるどころか勢いが増した。僕は彼女の手を握り顔を見つめると軽く唇にキスをした。彼女も答えるかのように抱きついて僕にキスを返してきた。その中で僕は子供たちの間違え探しについて考えていたけどあまり進展なくそのまま彼女のことだけ考えるようになっていた。いくつかの恋の手ほどきをかわしたあとでカラオケボックスから出ると彼女は部屋に誘ってきた。僕は彼女の部屋に行くことにしたが少し怖さもあったのでできるだけ真面目な話をしては気持ちをごまかした。彼女の部屋はわりときれいで清潔な印象を受けた。彼女はお酒を出してきたが僕は飲めないと断り代わりにコーヒーを頼んだ。彼女はお酒を飲まないといられないみたいだった。僕は酔っぱらう彼女を心配したが止めれるわけもなく彼女は少しずつ服を脱ぎ始めた。こういうことがわりと単純で難しくもある。でも僕も求めていることは同じだったのかもしれない。彼女のぺースに合わせるように触れたり重なりあったりして愛の形を探した。彼女の身体に触れる度に僕は今までのことが嘘かのように周りはじめて彼女の身体をより強く感じた。気づいたらベットの上で重なり合っていたし僕も彼女に強く要求していた。お互いに愛を語り合いながらずっとそうししていたくもあったと思う。それから夕方遅くまで二人は一緒にいた。夕方過ぎた夜になる頃に寝す静まった彼女をおいて僕はなにかにせかされるように部屋出て夜中の街へと歩き始めた。



夜中の街は雪がきれいに見えるほどネオンがきれいで僕はゆっくり歩いている。店にはカップルらしき男女が行き来していた。僕は人気を避けて静かな公園を探した。しばらく歩くと大きな公園を見つけてそこのベンチで腰を下ろし考えてみる。もしかしたら過ちは正せないのかもしれない。子供たちは何故ゆえ僕にこんな人生を歩ませたのか?不思議なことさえどうでもよく思える。そのうちに携帯が鳴った。たぶん彼女かもと電話を出ると「もしもし」「あなたは不適格です。でも合格しました」過去に覚えのある声だ。「誰だ?」と言ったが電話は切れてしまっていた。あのとき病院に行く前にもこの電話がかかってきている。また不可解な事が起こるかもしれない。僕は慎重に次の行動を考えた。それなら病院に行けば分かるのかもしれない。僕はあえてあの時のように病院に向かうことにした。夜の病院はあいにく閉まっていて入り口の自動ドアも開かない。とりあえず倒れることはなかったとホッとして裏口に回った。そこに緊急の救急車がサイレンを鳴らしながら走ってきた。運ばれてきたのは誰かと思えば僕を偽る文に書かれた実名の同級生だと何故かすぐ分かった。死のレクレイムとか考えたりしたがふざけてると思ってすぐ頭を訂正した。同級生は一人ではなく書かれた名前の人物数人に及んでいる。なにかあったのか?と心配になったがこれは何かの合図だと認識してすぐに友達に電話をかけた。コール5回でも出ないがしつこく鳴らすと「はい」とつながった。「僕だけどお前何か知ってるのか?」「ああ、お前がきちがいにされてることくらいならね」「でも、ならあの文は誰が書いた?」「ああ、俺だよ」「俺がお前の名前で書いた文だよ」「何のために?」「復讐だよ、俺なりの復讐だよ」「お前が話してくれたことで全てが分かったからあいつらに教えてやったのさ」「あいつら気味悪がって不安になってるのうけたわ」「たださ、お前だけじゃないよ。奇妙な存在知ってるのは」「子供たちにいたずらしたのか?」「逆さ、子供たちにいたずらされたんだよ」「俺さ、悪魔の幻惑に抱かれたんだよ」「マジ気持ちよかったけど最悪な運命背負わせられたよね」「なにがしたいんだ?結局は?」「あいつら幸せ気取りやがって許せんし俺さ毎日犯され続けるのおかしくない?」「運命の操作できることあいつら利用したから俺も利用しただけさ」「お前も復讐したかっただろう?あの女抱けて満足したかい?」僕が黙っていると彼はこう言った。「これはゲームだよ。俺たち世代のゲームだよ。ゲームは終わらせないといけないよね」「お前が言っただろう?俺たちが強く仲間として友達としていかなきゃいけないって?」「僕も利用してるのか?」「いや、お前はこれから後の未来の希望だよ」そこでなぜか通話が途切れた。僕はなぜか無性に心配が走ってそこの病院を離れた。ただ必死遠くへと離れた。気づくと彼女の部屋の前で立ち尽くしてた。走り疲れた僕はそのまま座り込み大きなため息をついた。なにをしてるんだ、僕たちはって思ったら無性に腹が立ってきたのでありとあらいる破滅や猥褻な考えを持った。そのときに玄関のドアが開き彼女が出てきて僕を見て「おかえり」と笑顔で手を差し出した。彼女の手を握るとフラッシュバックのように記憶が読み返される。あのとき僕を犯した見えない女の子はかすかに見える。誰か誰だか何となく見える。まぎれもなく彼女だ。なぜ?今さらにいや記憶の操作?「あなたには無理よ。悪魔にはなれない」彼女はそう言うと「全ては私たち女子のゲームよ。主犯は誰でもないクラスの女子全員だもん」「あいつは?」「あの人はたぶん今頃きっとね」そう言って悲しそうに首を横に振った。「自殺か?」「復讐の後にはなにも残らないのよ」「ただ世の中で大切なことそれは子供たちを信じる気持ちよ」何故か僕の目から涙がこぼれ落ちる。利用とか復讐とかどうでもいい。ただ普通に生きて普通に死にたい。でも僕には選択肢は生きる生きながられることしかできない。「みんなが悪いの。でもあなたも悪いの。でもあなたは優しかった」彼女は僕を抱き起こすと耳元でこう言った。「まだ、始まったばかりよ。愛の形を結ぶにはね」僕はなにもできず彼女にもたれ身体を支えてもらうだけで精一杯だった。そして彼女の耳元で僕はこう言った。「このゲームはまだ終わらないよ。僕がいる限りね」そして彼女の手を握り部屋に入っていった。



未来の子供たちには悪い気がするけど僕にも生き方がある。ゆがんだ運命を歩ませたならどこかでゆがみは正さなければいけないと思う。僕は部屋の中で書き物をしている。そこには何人もの名前が連なれてる。怖いのは幻惑でも妄想でもない。ひとりひとり消すように罪を犯していく。言葉でもない悪口でもない。卑劣な手で操られるならいっそう身をゆだねてしまえばいい。駆け引きはしない。クラブの女の子の先生が誰かの写真を見せる。僕は迷わず首を縦に振る。差し出されるように写真の女の子が連れてこられる。もう面影もない年のままに悲しい目をして僕を見ている。僕は合図ともに過去の悪行について責め立てる。全ては僕がすること。僕が決めること。モニターに写された男が消えている。想像できることは無限に叶うと信じる事だと教えてくれた。彼女は僕の中で生きていることだろう。ただ悲しい目をして待っているのかもしれない。助けくれる救世主を求めて。これはゲームだよ。ただのつまらないらくがきさ。思わず笑みがこぼれる僕に誰かが呼ぶ声がする。「・・・くん・・・くん」目を開けるとメガネの彼女が心配そうに僕を見ている。「あれ、ここは?」「私の部屋よ」「すごくうなされているみたいで心配で起こしちゃった」「ゲームは?」「ゲーム?なにそれ?大丈夫なのさっきまで子供たちの夢の話をしてたじゃない」「また夢か」僕は彼女が用意してくれたインスタントコーヒーを飲みながら眠い目をこすり我に返った。「あなたが玄関でうずくまっててびっくりしたわ」「そういえばあいつはどうした?それに同級生は?」「そういえば、友達から電話があってあなたの様子がおかしいって言ってたわ」僕にはどこからが現実でどこからが夢なのか分からなくなってきた。しばらくはぼーっとしていたが彼女に僕は言った。「おかしいのは僕のほうなのかな?」彼女はタバコを吸いながら「誰もおかしくはないわ。ただ考えすぎなだけよ」時計は深夜の3時をすぎた辺りで僕は一度目を閉じ頭をリセットしてみる。なんとなく不可解だけどお腹が鳴ったので彼女が笑っておにぎりでも買ってくるって外に出かけていった。残った僕はタバコを吸いながら冷めかけたコーヒーを飲んで真っ白な頭の中をひとつひとつの出来事を整理して現実と幻惑の邪念を消し去ろうとした。ただなぜか彼女の部屋の清潔なきれいな部屋が不適切に思えた。



それから友達と彼女も含めて数人でいつものカラオケボックスで話し合いをしたり歌をうたったりゲーセンで遊んだりたわいのない時間を過ごす。まるで学生のように楽しげにつるみながらおかしなことも忘れてしまうような生活が続いた。冬が終わり春になる頃に僕は全ての不可解なことすら忘れ彼女との暮らしにとけ込んでいた。いささか平和ボケの毎日だったが僕には十分に満足できていた。それが友達であり恋の形でもあり償いでもある。ある日同級生の写真の消えかけた顔も元に戻り出してにこやかな子供とのツーショットとなっていた。このまま終わればいいと僕も誰もがそう考えたのに違いはないだろう。僕の携帯電話も鳴ることもなく変な合図もなく時間だけが過ぎていく。その中で僕はノートに書き留めていた過去の記憶の出来事を再び開かないように処分することで苦い思い出から決別をはかることにした。ある日、友達から連絡が入る。同級生の子供がテレビに出ているという電話だった。僕は彼女とテレビを入れチャンネルを合わせるとある同級生の子供が生き生きと歌とダンスを披露している。その子供たちのグループが実名で文にさらされていた悪行の同級生の子供たちだと知って不思議に思った。「助かったの?」ぽつりと彼女が言った。「私たち助かったのね」なぜか涙ぐむ彼女が分からなかったが僕は「子供たちに罪はないから未来は子供たちにあるから僕たちは守らないといけない」「うん」涙を拭う彼女の手を握り僕は「過去は変えられる。やり直せるはずだよ。過ちを繰り返さないようにね」と言った。どこかで誰かが間違ってたら注意すればいい。どこかで誰かが誤ったなら正してあげればいい。お互いに生きている上で共存して共にあるなら助け合えばいい。僕はまだ忘れてはいない。でも過去にこだわるのではなく未来に希望を持つことで強く歩き出せることがある。いつしか子供たちとのキャッチボールを夢見たように一緒にダンスを踊ればいい。僕たち1970年代生まれの過ちはもうとうに償われているはずだから。



すずめの鳴き声で目を覚ますと僕は顔を洗って朝食の準備をする。彼女はスヤスヤと寝息をたてて眠っている。二人の共同生活にもずいぶん慣れたところだ。春のこの季節は何かとやる気が出るのも分かる気がする。僕も病院のデイケアを卒業し作業所へと移行するつもりだった。働く気持ちはあまりないが病人として過ごす生活には嫌気がさしてきている。今日は久しぶりに病院のデイケアに顔を出しに行くところだ。支度をすますと僕は鞄を持って出かけた。外は春の温かな日差しで雪のないアスファルトが歩くスピードをかろやかにさせる。人気はなく犬の散歩する老人とすれ違いながら病院へと向かった。デイケアに着くと変わらない顔ぶれが久ぶりだねと挨拶してくる。僕も自然に振る舞い「おはよう」と挨拶をした。デイケアのデイルームのイスに腰を下ろしたら僕は読みかけの本を広げ読み始めた。しばらくすると担当の職員が現れて僕に最近の近況を聞いてきたので僕は簡単に元気でやっていることを伝えた。顔ぶれともにデイケアは変わらないのだが何となく違和感があったのはみんなの行動が機械的に写りなんとなく精神疾患の悲しさが感じられて嫌な気持ちにもなった。でも僕も同じ立場だろうしどうすることもできない。やがてプログラムが始まり僕はみんなと歌をうたったりトランプして過ごした。昼食の時に僕はなにげなく待合室に行きそこで先生と顔を合わせた。「おはよう、元気かい?」先生は平坦な口調で言った。「ずいぶんと君も良い表情をするようになったね」「いろいろありましたからね」と僕は答えた。普通でごく自然で変哲のない病院だが僕には今はそれで良かったし安心もできた。昼食も食べ終え一服も済ますと僕はデイルームで休んでいると誰かが声をかけてきた。「・・・くん・・・くん」振り返ると見覚えのある女の子がいる。確かに覚えているのだが名前と顔が一致しない。「私のこと忘れたの?まあ一回会っただけだしあなたは話しもしなかったよね」僕は記憶をたどったけどさすがに思い出せず「誰だっけ?」と聞いた。女の子は笑いながら「小松村田の工場にいたこと覚えている?」そこでハッと思ったらそういえば工場に働いてたときに見かけた女の子と一致する。でも名前も知らないし話しすらしてない。なぜその子がここにいるのか不思議だった。「私とオセロでもしない?」僕は断る理由もなかったので承諾した。女の子は年の割に若く見えて清潔感もある。可愛くもみえてちょっとドキドキした。それからはオセロをしながら話をしていた。昔の工場の話しとそれから後の話しを女の子は教えてくれた。やっぱりきちがいは僕も同じせいにされていたらしいい今はもう真面目に働く人ばかりらしい。ただ女の子いわく僕の存在が迷惑だったこともあったという。女の子はオセロに負けると悔しそうに笑ったが愛想笑いなんだとすぐ分かるほど下手くそな笑顔だった。席を立つと女の子は気をつけてねと僕に言ったので「何に?」と返すと「女の子にはね」と今度は本当の笑顔で言った。それからは僕はちょろちょろしながらデイケアの終わりを待った。デイケアは終わりの会の挨拶をしている。僕は少しみんなより遅れて帰ることにした。帰り際にデイケアの職員にしばらく来ないことを伝えると僕は外にでた。外は明るく温かい陽気のままだったしなんの不安も感じはしなかった。途中の公園でいつもの一服をすますと僕は古本屋に立ち寄った。本を眺めながら店内を歩き回る。古本屋の一部コーナーにアダルト雑誌とDVDがおかれているところがあった。何気なく見ていると気になるDVDを目にして手に取ってみる。これは確かに知っている同級生じゃないか?僕はよく内容を確かめてみる。複数の出演者の中に同級生がいる。その子は確かに僕の初恋の人だと驚いた。なぜにしかも今の年でアダルトなんかに?他にもないか探したがそれっぽいものはなかった。僕は値段を見てたいした高くもないので買って帰ることにする。アダルトなんて20代のときに借りた以来に手にしてはなかった。そして彼女との部屋に戻ると一人だったので僕はさっそくDVDを観てみることにした。ナンパの手口でのアダルト内容だったが僕が早送りして初恋の子の場面まで進める。確かに間違いないやっぱり初恋の子だったし年はとってるけど面影は残っている。ただ何故か興奮は隠せず初恋の子がみだらにされていく内容に僕はくぎづけになった。しかし観終わるとパッとしない自分が取り残された感覚だった。僕はそのDVDを隠すと彼女が帰ってくるのを待ちながらラジオを聴いて横になった。そういや何でデイケアにあの工場の女の子がいたんだろ?そんな女の子にちょっとだけ浮気心が走っていた。夕方になって彼女が帰ってきたが浮かない彼女の顔を見て「大丈夫?具合悪そうだよ?」「ごめん、今日はもう寝るね」と彼女は寝込んでしまった。僕は疲れてると思いそのまま静かに寝させることにした。夜になり僕も食事と薬を飲んで眠ろうとしたら彼女の携帯が鳴った。彼女は起きもしないし携帯は鳴り続ける。しかたなく僕は彼女の携帯を手に取りでることにした。出るなり男の声で「ああ、君か?いつものように情報を頼むよ。部屋番号は221号室だからよろしく」そう言うと切れてしまった。僕は分からないが彼女はなんかしていると不安になり携帯を調べると男の写真が何枚も残されている。いったいなんだろか?僕は疑いたくはないが彼女のバックを調べた。バックには何枚の男の名刺と大量の万札が入っている。僕のことを調べているのか?でも男の名刺の名前?あれこれ同級生じゃないか?僕は唖然とした。彼女は同級生相手に何かをしているとしか考えられなかった。裏切りの行為に腹が立ったが僕にはどうしようもできない。僕は部屋を出て夜中の街をさまよい歩いた。いくつかの店に入ろうと思ったが勇気がなく近くのカラオケボックスに入って休むことにした。カラオケボックスは静かで僕はソファーに横になる。店員がコーヒーを持ってきてくれて僕は挨拶すると店員はにこやかに笑った。それからしばらく眠ってしまったのかもしれない。僕の肩をたたき呼ぶ声がする。僕が目を開けると店員が「ここで寝られると困ります」と言った。僕は寝ぼけているのもあって店員の手に万札を渡すとすかさず足を触った。店員は嫌がるようでも逃げはしない。僕はそのまま手をお尻にやり逃げないと確認してから胸へと手を伸ばした。店員は「困ります」と小さく言って出て行ってしまった。僕は何故か無性に吐き気と泣きたくなる感情をこらえるのに必死だった。しばらくしてから普通にカラオケボックスを出て部屋に戻ることにした。部屋に戻ると玄関に鍵がかかっている。彼女はまだ寝ているのか?と静かに鍵を開け入ろうとすると彼女の話し声が聞こえた。僕は耳を疑ったが確かに聞こえる。僕はそっとドアを開け覗いてみる。そこには数人の男と話をしている彼女がいた。彼女は楽しそうにお酒を飲んでいる。僕は男の顔をみたら知ってる同級生たちだ。僕はドアを開け入ると同級生たちは笑って「お前は馬鹿だな。何も知らないんだな」って彼女のほうを見てから僕に近づきこう言った。「終わらないゲームの復讐だよ」僕はためらったが殴りかかろうとした。しかし逆に押し倒されてしまい僕は頭を強く打った。「俺たちの勝ちだ」そう言うと同級生たちは部屋から出ていった。残された彼女と僕はただ黙っているしかなかった。彼女はなぜか泣き崩れだし僕は頭を打ったせいで気が遠くなった。真っ白な中で僕は何かを掴んだ気がした。それが何かはわからないが女性の手のような気がした。



僕は起きると部屋には僕だけ一人ベットで寝ていたらしい。彼女の気配はなく僕は立ち上がると机にメモで「助けて・・・」と彼女の文字が書いてあった。僕はとにかくどうしようできない現状の中で頭を働かせる。とにかく何かしないといけないと思い僕はデイケアに向かった。デイケアであのときの工場の女の子を捜す。あの子が何か知っているかもしれない。女の子はイスに座って誰かとオセロをしていた。僕は近づき「君は何か知っているの?」と聞いた。「突然ね。でも気持ちは分かるわ。どうしたい?」僕は「過去を変えたい」と一言もらした。女の子は笑って「私についてきて?」と病院の待合室に行きそして受付に何か言うと診察の部屋に入っていく。僕も後を追った。そこにはベットがあってモニターがある。モニターには何も写ってない。女の子は少しはにかんだように「さあ私を好きにしてちょうだい?」と言った。僕がためらってると「あなたがしたいことは本当はこういうことでしょ?」とさらに挑発的な態度をとった。僕は冷静を装いながら彼女を止めるようにこう言った。「確かに僕たちは過ちを犯したかもしれない。だけど本当は好きな人を守りたいだけなんだ」「純粋な気持ちもあるってこと」笑いながら彼女は言う。「僕は君たち工場の女の子を助けようと思った。だけど逆に何かに利用された。今でも優しかった可愛い工場の子に恋した感情は覚えているよ」大きなため息とともに「間違えたのね。私たちは」と彼女は吐き出すように言ってうつむき泣き出した。「もう争うのはよそう。お互いに罪は償ったはずだよ」僕は彼女にハンカチを渡すと「今まで迷惑かけてごめんね」と頭を下げた。そもそも僕がとった行動のより世の中をねじ曲げてしまった。僕が何かに犯されたときから僕の妄想と考えが利用されここまでゆがんだ時代を作ってしまったのかもしれない。僕は彼女が泣きやむまでそばで黙って待っていた。彼女はもしかしたら最後のお別れにやってきた子供たちが送った存在かもしれない。いささか僕は過去と記憶にこだわりすぎている。改めて見直さないといけないと考えながら時間が過ぎるのを感じていた。残す頼りは僕が全てを許すか許さないかだ。未来の子供たちは助けを求めていながら大人たちのことを心配してもいると僕は思った。もしかしたらこの統合失調症の未来も変えれるかもしれない。少しの不安と覚悟を決めて僕はあきらめないと誓うことにした。



しばらくした後デイケアに戻ると帰りの掃除の時間の数分前だった。僕はいつもの席に座るとノートに今までのいきさつを書き留めながら過ごしていた。何かが馬鹿げているようで真面目なようでこっけいな自分の人生を振り返りながらペンを走らせる。やがて掃除が始まり帰りの会が始まる。僕は今日は急ぎ足で実家に帰ることにした。実家についたら部屋の中から卒業アルバムを探して思い出を消すかのように処分しようと考えていた。僕たちには苦い過去はいらないしこれから未来のアルバムに変えていけばいい。部屋にはたくさんの間違ったものがあふれている。僕は一つ一つ手にとっては破棄する段ボール箱にしまった。この作業は深夜遅くまでかかったが僕は夢中になって部屋を片づけることに集中していた。ある程度終わったときには僕は汗だくになっていてクタクタに疲れてベットで横になった瞬間寝付いてしまった。友達とサッカーをして遊んでいる。そこには僕たちの子供たちもいる。一緒にボールを蹴ったりキャッチボールをしたり時には語り合ったりしている。僕はその中で光景を見つめながら目から涙があふれる感情に浸っていた。やがて母親がおこしにきていて夢だと分かったが僕の気分は晴れていた。顔を洗い歯を磨き鏡を見るとやけに老けた自分の顔を眺めながらカッコを気にしてた若かりし頃を懐かしく思ったし全ては夢のような気がして何故か寂しくもなった。朝食を済ましてデイケアに向かうと近所の友達が子供を連れて歩いていた。「おはよう、元気かい?」何気なく挨拶を交わしては手を振り別れる。これが僕たちの理想の住まいなんだって思ったら今までわかちあえなかったことを残念に感じた。交通機関の苦手な僕は歩くことで考える時間と頭を覚ますのには十分ことが足りている。途中の公園のベンチで腰を下ろしたらおきまりのタバコをふかし目を閉じた。ずいぶん時間が経ったときがしたときに誰かが僕を呼ぶ声がする。「・・・さん・・・さん」目を開けると殺風景な部屋に僕は寝ていた。「ずいぶんとうなされてたみたいだけど大丈夫かい?」目の前には男性の看護士が心配そうに声をかけてきた。「あれ、僕は?」「覚えてないのかい?」辺りを見回すとどこかで見た部屋に気づいた。「ここは保護室?」「すいぶん混乱してるみたいだね。昨日運ばれてきたばかりだからね」看護士の説明によると昨日に救急車で運ばれて来たらしくかなりの思考の混乱を起こしてたらしい。僕はハッとして「未来の子供たちは?」と言うと「君は幻覚と妄想が強いみたいだね。もうそろそろ先生が来るから話してごらん」と看護士は言った後に保護室の鍵をかけて出て行ってしまった。僕の頭はしばらく真っ白いままだった。やがて鍵が開く音がしたら先生が看護士を連れて入ってきた。「君には今の状況が分かるかい?」と先生は言うと僕は首を横に振っていった。「とりあえず落ち着くまでここの部屋で過ごすといい」と先生は帰りかけたときに「あ、君を心配してたくさんの子供を連れた友達が面会希望に来てたよ。みんなにとって君は大切な仲間なんだね」と言い出ていった。僕には理解がすぐにはできなかったけど頭の中では何かを守れて何かを救えた気がした。少しだけ笑みがこぼれたけどそれ以上に涙が目にあふれ泣き崩れるには僕には十分分かる気がした。統合失調症の未来はどこか複雑で助からなくても誰かをつなげる考え方を持つことはできる。決してハッピーエンドにならなくても今を生きていることを精一杯がんばればいつかはきっとたどり着ける答えと場所に行けると僕は信じたい。1970年代生まれの僕の人生は子供たちと共にあると願って・・・。


この作品は僕の過去のいやらしさが全面に出ておりムカつく作品です。だけど正直な作品なのかもしれませんね。


「恋の歌を忘れた大人達」


ある病院のデイサービスに参加していた僕は静かに本を読んで過ごしていた。 すぐ近くでは世間話に夢中になっている女性グループがいる。 なんせこのデイサービスに通所して5年の月日が経つのだが若い子を見るのは数回しかなくて その子もすぐこなくなってしまう。 どことなく年齢が高くなって そんな僕も47歳になり平均年齢をあげている一人だった。 寂しくはないが 何か物足りない気持ちだったし いつしかこのまま年老いて何もかも忘れて失っていくのかと心配にもなった。 今の時代に大切なものは何なのか? って考えてみても忙しくている自分には答えは見つからなかった 。 いっそのことこの社会を一から壊してしまいたく思たし 一からやり直したくも考えたりした 。 誰かが立ち上がらなければこの状況を変えることはできない。 くだらない人生や生活にも諦め顔で続ける日々を送らないといけない。 本を読むのをやめた後に僕は目を閉じて深い妄想の世界に頭を休めた。 そこにはたくさんの女の子がいてみんなが一番を競いながら誰が一番早く彼氏ができるかなんて話をしている。 そういえば昔恋に恋をして焦がれたあくる日は生き生きと学生服を着て学校に通ったっけ。 時には好きな子と話をしては自分が成長していく気がしてときめいたりもした。 あの頃の純粋な気持ちを今は心の奥底に沈めたまま生きている。 「まっちゃん?」 誰かが名を呼んで目を開けた。 そこには一人の若い女性がいる。 そう言っても30代の子だし彼女は空気のようなデイサービスでの存在だった。「ああ、美紀か?」「どうしたの考えこんだりして?」「いや、ただ昔の事を思い出してたところだよ。」「昔の事?学生の頃の?」「良くわかったね。そう学生時代はもっと楽しく生きてた気がするね。」「私は嫌な思い出ばかりよ。今が一番楽しいかも。」「それは良かったね。ただ一人一人考えも経験も違うからいちがいに今が良いとは言えないかもね。」「まっちゃんは何がしたいの?」「僕は何もする気はないよ。ただ今のこの世の中の役割を考えたりしてそれを果たしたいのかな?」「役割?」「そう自分が生まれた価値と意味を探しているんだ。あまり価値も意味もないかも知れないけどね。」「私達には力があっても何もできないよね。どこか制限されているし押さえ込まれてる感じだし。」「美紀にしてはすごいこと言ったね。そう僕達は何か封じ込められてる力がある。そんな気が僕もずっとしているよ。」「まあ、頑張ってね!」 と僕の肩を叩いて美紀は去っていった。美紀は優しい子だし考え方もしっかりしている。僕の事も好いてくれてるみたいだし僕は悪い気はしてなかった。ただ恋愛対象にはならないのは不思議だったし美紀自体にも守っている距離感があったと思う。 やがてデイサービスも終わりの時間が近づいてきて誰かが掃除の合図をかけた。 くだらない自分と人生に嫌気がさしていても僕は諦めるという考えだけは持つことはない。 だけどあがきもがいてもこの運命に意味も何も感じ取れなくなることがとても心配になっていた。「お疲れー!」と気さくに挨拶を交わしたあと玄関に出ると寒い冬の雪景色へと歩いて帰ろうとした。 今日は何となく少しだけ意味があったことは美紀が言った力あっても役には立てない私達って言葉だろうか? ポケットに手を入れたらタバコが入っている。 だけど今日は吸いたい気持ちにかられなかった。 歩く道ですれ違う学生や子供たちを見るたびに僕は年老いていく錯覚に陥ったして寂しく思える。 部屋に戻ったら昔の音楽を聴いて横になりたいとそう思って帰り道をゆっくりと歩いた。 時折見るカラスがこの世の情けなさを歌うように鳴いている。 僕はそんなカラスを自分が同じ立場で歌う人間なんだと笑って通り過ぎたりした。 部屋に帰るとある程度片付いている空間でストーブをつけた後タバコの箱を机に置いてコーヒーの用意をして本を広げた。 無性に母親の声が聞きたくなって携帯の電話を探してかけてみる。「もしもし」「なにさ、あんた。」「いや、ちょっと話がしたくてさ。」「私は忙しいのよ。」と冷たい声にあきれたが僕は「あのさ、今度の日曜日に実家に戻ってもいいかい?」「お金はあげないからね。帰りたいならいつでも帰って来ていいから来るとき連絡しなよ。」「わかったよ。」と僕は電話を切って天井を眺めた。 人と人とが近くても離れていてもどこかで繋がっていてありがたいけれどその意味は何かしら悲しくも思える。 天井の電球が寂しそうに僕を照らしていて人が生きている位置を教えている気がした。 怖いのは自分が死ぬことではないし死んだように生きることでもない。 華やいだ時代を歩んできたからこそ今の世の中の冷たい空気に泣きたくなるのだ。もういいだろう?って 考えたらとてつもなく大きな寂しいため息が二つほど出て力が抜けていった。 最近は夜遅くまで起きてはいられずに早く寝ては夢を見ない睡眠時間を過ごしている。 壊れかけたラジカセから昔の CD をかけて 目を閉じ横になって昔の歌を口ずさんでみる。 なぜに人は歌を歌って気持ちを詩にするのか? 僕はそれは生きていく上で吐き出さなきゃいけられない人間の愚かさだと考えた。 カラスも小鳥も鳴いては歌って時が経つのを教えている。 いつしか僕たちはうまく歌えない大人になってしまったのだろうか? そのまま僕はその場で少し眠りの世界へと入っていった。 誰かが大きな声で激を飛ばしている。 そこには僕がマスクをつけてキャッチャーとしてバッターボックスの後ろに座って構えている。 バッターは仲間の中で一番の強打者だ。 僕は考えたうえせで内角高めに構えた。 ピッチャーの友達は首を縦に振りモーションに入る。 投げられたボールは構えたミットに向かってバットをかすめキャッチャーフライが上がった。 僕はマスクを取り補給の体制に入り「オーライ!」と大きな声をあげキャッチをする。 これがキャッチャーの醍醐味だと僕は思っている。 「ナイスキャッチ!」とみんなの声で僕は目を覚ました。 目を開けると暗い部屋でラジカセの明かりだけが光っていた。 僕はカラカラになった喉をコップ一杯の水で癒すとトイレを済ましてしばらくぶりのタバコを吸いに玄関の外に出てみた。 外に出ると犬の散歩中の老夫婦がゆっくりと歩いていた。 僕はゆっくりと煙を吐き出し今日に夢見たソフトボールと忘れかけた思い出を振り返っていた。「まっちゃん!」と誰かが呼んだ。そこにはソフトボールの仲間の一人の友達がいた。「どうしてここに?」ときょとんとして僕が言うと「偶然だよ。今ここを通ったらまっちゃんを見かけたからさ。」「ところで最近はどうなの?彼女とかできたかい?」と笑って友達は言った。「彼女?そんなの無理だよ。出会いもないし飽き飽きする毎日を過ごしているよ。」「だろうね。俺も最近はくだらない毎日でさっぱりだよ。」「なあ、俺達って何かできるのかな?」と真剣な顔で聞いてきたので僕は「誰かが立ち上がって今のシステムやルールを変えなきゃ無理だと思うよ。」「なるほどね。まっちゃんがやってくれるのかい?」「僕かい?さあどうだろうね。やる気が起きればいいけど。」「まっちゃんの本気になるところ見てみたいよ。何かやってくれる気がするよ。」首を横に振りながら僕は「無理、無理。力は僕にないよ。」「またソフトボールやりたいね。」「うん、またやりたいよね。」と二人互いに笑ってからその場を解散して友達と別れた。 僕はこの偶然の会話に大切な意味があるとは気にもしてなかった。 部屋に戻ってテレビをつけるとニュースで天気予報を淡々と伝えている。 明日は晴れみたいだと聞いて 明日どこかに行きたいなと考えてみた。 なんとなくどこか遠い場所に行って懐かしい友達と会って話をしたいと思った。 部屋の壁には好きな女優のポスターが貼ってあるがそれを見る度に心の純粋さが失っていく気がして目をそらしてしまう。 そういえばどこかに昔の写真があったかな? 僕は部屋のロフトの上に上がり古い鞄をあさってみる。 写真は出てこなかったが昔に書いた詩がたくさん出てきたので僕は懐かしくそれに目を通した。 詩は恋に焦がれる lovesong にも思えたしあの頃の情熱は本当に素敵に感じられた。 今のこの僕にこんな詩が書けるのかな? って久しぶりに即興で考えてみた。「 人の昔に出会ったあの子は何歳だろう 昔に焦がれたあの子は幸せだろうか 名前を呼ぶたびにときめいた時代も 名前を書いてはときめいた時間も いつしか恋の歌を忘れた大人に育って鳴かない鳥になってカゴの中で目を閉じ眠ったまま羽を傷つけている 僕たち大人は自由を忘れて決められたルールにしたがい夢を見なくなったカラスのように寂しく鳴いてゴミをあさって生きている 誰かがこの強いられたルールを壊し新しい羽を広げてまたあの大空に羽ばたく日を夢見て生きている 夢に見て生きている…」書いた詩を机に置いてペンを止めるとまるで死んだような気がしてきた。 僕たちはこのまま終わっちゃうのかな?…「まっちゃん?」「まっちゃん!」 遠くで僕を呼ぶ声が聞こえる。美紀の声だしもう一人はソフトボールの友達の声だ。「まっちゃん?…」「まっちゃん!…」 声がだんだん小さくなってやがて聞こえなくなった。 しばらくの静寂の後にかすかに何かが聞こえる。「ランランラン ラララ ランラン ラララ♪」 誰かが楽しそうに歌を歌ってるみたいだ。 僕はその曲に合わせて手を叩いてリズムをとった。 それは意志というより無意識の中でとった行動だった。「ランラン ラララ♪」 歌声は気持ち良さそうに大きくなって僕のそばでやんだ。「君は歌が好きなのかい?」と低い声の人物の主が僕に尋ねてきた。 僕は「はい、歌は好きですよ。」「 なぜ人が歌うか分かるかい?」とさらに聞かれとっさに「 歌には人としての生き方や意味や価値が示されています。 僕にとっても歌は気持ちのはけ口になっているし恋の歌ならいくらでも歌えますよ。」少し笑ってから低い声で「 君が恋の歌を歌う? ふざけたらいけないよ。 君は歌を忘れた大人じゃないか?」 少し強い口調だったので僕は一呼吸ついてからこういった。「 僕一人じゃないみんなで歌うから楽しくて確かに大人の僕たちは忘れたのかもしれない。 でも覚えているんだ。 母が父が友達が教えてくれたラブソングをね。」「ほー、その歌とは何だい?」とっさに言ったことだか僕は何を母と父と友達に教わった歌がある? やばい頭が真っ白になってきた。「 やっぱり君は歌う忘れてしまったんだよ。」と残念そうに低い声の主は立ち去ろうとした。 そういえば詩を即興で書いていたっけ。 僕はその子を書いた紙を机から取るとすぐに読んでみた。「 昔に出会ったあの子は何歳だろう 昔に焦がれたあの子は幸せだろうか」「 だめだ歌にならない。 本当に歌を忘れた大人になってしまう。」 諦めかけた時に遠くから歌声が聞こえてきた。「 君が笑うから僕は少し切なくなって 君が気付かない時 顔を見てみる 純粋だとかトキメキの言葉が好きで 好きだとか愛してるの言葉でくくりたくない 君は僕の大切な人…」 その詩は昔に書いた僕のラブソングだった。 でも誰が詩を歌っているんだろうか? やがてその詩の歌声はたくさんの声とまるで合唱団のように響き渡ってきた。「まっちゃん?」美紀の声がした。「私達には力があるよね?」「まっちゃん!」友達の声だ。「まっちゃんの本気みてみたいな?」 ここで負けるくらいならいっそのことルールを壊して一から作り直せば良い事かも。僕は 大きな声で自分なりに歌える曲を歌った。 その曲はデイサービスのクリスマス会の代表の時に歌った「 Get Along Together 」だった。 その瞬間体に電波が走ったと思ったとたん僕は部屋の机に向かって頭をつけて寝ているかの状態で目を開いた。「夢か?」と 僕はほっとしたが目の前に人の気配がする。「誰?」と僕は言った。「 君は素晴らしい恋の詩がかけるのだから 君は素晴らしい恋の歌を歌えるのだから 忘れないで私達未来の子供達はずっと大人達がもう一度恋の歌を聞かせてくれると信じています。」と 低い声の主と子供の声が入り混じって聞こえて気配は消えた。 何か複雑で何か物足りなくて僕は無意識に携帯を持つと美紀に電話をかけた。「もしもし」「まっちゃん、どうしたの?」「今度さ、一緒に食事に行かないかい?」「私と?何でまた急に?」「ただ僕は好きな人を誘っているだけだよ。」「うん、いいよ。一緒に食事に行こうね。」「ありがとう!」 電話を切った後で僕はしばらくぶりに美紀に彼女にとっておきのラブレターを贈ろうかと 机の上のメモ用紙に I love you の文字と美紀の名前を書き ちょっと恋に目覚めた自分をからかってみせた。 もう恋の歌を忘れたりしないよ。 絶対にね。


この作品は令和になってからの僕の考え方が現れてると思います。結末はやや強引だったかもしれませんね。



「作業所音色のお客さん」


僕が今この作業所音色に通所して 一週間が経とうとしている。仕事は創作活動として 各自おのおので色々な作品を作っていたし僕はワイヤーで 音符やツリーを組み立てたり書き物をして仕事としていた。作業場はまだ人も少なくて7~8人くらいで和気あいあいと話をしながらの作業だ。今日も僕は書き物をしてコーヒーを飲みながらペンを走らせては時折ぼんやり外の景色を眺めてみる。 いつもと変わらない日だったが今日に限ってはやけに来客が多い気がした。まずに面接に来た若いスタッフ希望の来客があった。その後には数人の見学の仲間が訪ねてきた。 なんとなく気になったが僕は気にせずに書き物を続け没頭していた。 昼食の時間が近づくと体を休めて片付けてから食事を済ましタバコを吸いに外に出て冷たい空気で目を覚ますと白い煙を吐き出してはぼんやり考え事をしてみたらなんとなくおかしな景色が見えたので僕はハッとした。 歩いて近づいてくるその人影は人ではなくキツネの姿の人間だった。キツネの人間は僕の近くに来ると声をかけてくる。「 ここに音色の作業所はあるのかい?」「そうここですよ。」と返事をするとキツネは嬉しそうに「良かった。僕は見学に来たんだ。友達の紹介でね。」「友達?」と思わず聞いたらキツネは笑ってから「そう友達のカラスからね。」「ここで働くの?」「いや、カラスが人間の仕事を見てこいって言ったからさ。」「でも良かった。少し不安だったけど君が案内してくれるなら助かるよ。キツネの僕だとビックリさせてしまうからね。」 僕は本当に狐に包まれたようだったが 一緒に音色の作業場に入って正直にみんなに話をした。「カラスの紹介で来たキツネさんだよ。人間の仕事場を見たいらしいんだ。」 責任者の人も仕事場のみんなもきょとんとしてこっちを見ていたが僕は簡潔に仕事の内容を説明するとキツネさんは楽しそうに見学して帰って行った。「今度は違う友達が来るかも知れないけど君のことを教えておくよ。」 とそう言って帰ったキツネはどことなく大人に見える人間の姿にも思えて不自然さはなかった。 それよりもこの状況を理解するのにはいささか無理がある。 どう説明しようか考えていたら僕の名を呼ぶ声がする。 振り返ってみると背の低いリスの姿の人間がいる。「私もキツネさんに聞いて見学に来たの。あなたが音色の案内人?」「はい、そうだけど何でまた見学に?」「私たちはちょっと困っていてね。それには人間の知恵とアイデアが必要なのよ。」「ここ音色にそんなアイデアがあるのかな?」と僕はこぼすとリスさんは笑って「同じ立場の人間と私たち動物は一心同体なのよ。助けてくれるよね?」 それを聞いて僕はまた音色の仕事場に入りみんなにリスさんを紹介して仕事場を案内した。 するとリスさんはまた楽しそうに見学して僕に「また来るね。」と言って帰っていた。 その後ろ姿はリスではなく人間の若い女性にも思えた。 僕はしばらくは頭の中が混乱していたが何故か自分の中ではワクワクしてる感情に包まれてきた。仕事場に戻ると誰か一人の仲間が僕に聞いた。「 あの動物の人たちはいったい何?知り合いなの?」「 多分何かしら理由があって動物達が人間の力を借りたがっているらしいよ。 ここの音色に来る理由は分からないけど何かを持って帰ったと思うよ。」 僕はなんとなくつじつまを合わせることに必死だったし僕にも意味がわかるわけもなかった。 ただリスさんが言った動物と人間は一心同体の言葉に少しだけ惹かれている自分がいる。 また次に誰が何の動物が訪ねてくるのか心配でもあったし楽しみでもあった 。また作業に戻りながら今日の出来事を整理してみた。もう仕事場が終わろうとした頃に「すみません、失礼します。」と誰かが訪ねてくる。 それは数人?数頭のウサギの姿の人間で家族連れみたいに中に入ってきた。 僕は「リスさんの紹介ですか?」と聞くとウサギさんは笑ってから「リスちゃんがすごく楽しげに話してたから私たちも案内して欲しいの?」「案内もなにも見ていくだけですよ。役に立つのかな?」 うさぎさんは目を赤くして真剣に「私たちは選ばれた動物だけどまだ力が足りないのよ。ここにアイデアがあるって聞いたからね。」「アイデア?何かあるのかな?作品? まだ何も完成してない作品ばかりだし人も少ないからね。」「あなたにはキツネくんも感謝していたよ。 人間にしては大したもんだってね。」 複雑な気持ちで僕は笑うとウサギさんたちも笑ってくれた。 しばらくの間を見学した後ウサギさん達は帰ったがその後ろ姿はまるで買い物帰りの若い家族の人間と変わりがなかったしむしろ人間らしさを出しているさえ思えた。もうみんな何も言わず仕事を終えると帰り支度をして「お疲れ様。」と挨拶をして帰り始める。 僕もノートをカバンにしまって着替えるとグループホームまでの道へと帰ろうと歩いて行った。 キツネとリスとウサギたち? あれは一体どういう存在なんだろうか?って 考えながらゆっくり歩いてはグループホームの部屋に向かった。 いくつかのカラスとすれ違ったがただのカラスだったし話しかけられることもない。 やがて部屋に着いたら僕は玄関の前でタバコをふかして気持ちを休める。 近くの家の窓からネコが覗いている。 今日は早く休もうか?と 思って部屋に入って着替えると少し横になってからテレビをつけてみる。 テレビはニュースがやっていて今の世の中の状況を伝えている。 そのしばらく後で僕の住んでる近くの動物園の営業停止のニュースが流れた。 そこにはたくさんの動物たちが寂しそうに映し出されている。 中にはキツネもリスもウサギもいた。 インタビューで園長が泣きながらこう話していた。「 私たち人間が守るべきものは何かと思ったらそれは人と動物が共存できる場所を作り上げる事だと思います。それは私たち一人ひとりが一心同体であり動物たちの声を聞くことです。もし理解ある人がいるならこの子たち動物たちを助けてあげてください。」 このインタビューを聞いて僕は今自分にできることを考えてみた。 今日の来客は何かしらのメッセージかもしれない。 ただ音色にある秘密までは分からないが何かヒントはあるはず。その時に玄関でカサッと音がしたので見に行くと手紙が届いていた。 その手紙には宛名はなくて中を読むと子供の字でこう書かれている。「 私はキツネのように美しく化けてリスのように可愛く遊びウサギのように寂しく生きている。 私達はカラスの力によって人の姿になって人が働く場所を見てこれた。 そこには私たちを受け入れてくれた人たちがいてくれた。私たちは人として共存して生きていることを知ってほしい。 案内人の君には本当にありがとう。」 僕は手紙を閉じるとこの世の中には人として生きている動物がいることと助け合い生きたいと願っていること。 この事実は誰にも理解できなくても確かに出会ったことは忘れないだろう。 僕は部屋にあったうさぎのぬいぐるみを抱きかかえると「 今の人の世を助けに来てくれたんだね? 今日の作業所音色のお客さんはまた来てくれるのかな?」って笑ってみせた。「 明日はどんな動物のお客さんが来るのかな?だよね、今日の作業所音色のお客さんたち…。」


作業所で思いつき書いた作品です。とてもユーモアがある気がして僕自身も気に入りました。


「おばあちゃんの色鉛筆」


部屋で二人で遊んでいる子供がいます。 ハキハキしていて何でも持っているあきらくんと大人しくて何も持ってないはるきくんが遊んでいました。あきらくんはゲームにおもちゃに両手いっぱい持って遊んでいました。 でもはるきくんはおばあちゃんが買ってくれた色鉛筆だけしかありません。 ある日にはるきくんはパパとママにゲームやおもちゃを買って欲しいと言おうとしました。でも怒られるのが怖くて言えません。 それでおばあちゃんに泣きながら話したらおばあちゃんは言いました。「 はるきは立派な色鉛筆があるのだからそれで欲しいものをたくさん書いてごらん。」 はるきくんは素直にたくさんの欲しいものを色鉛筆で書くことにしました。 最初はゲームにおもちゃをいっぱい書いていました。 でもはるきくんはそれでも物足りずにパパとママが大金持ちになって旅行する夢をかけ始めました。 それから友達が平等に物を持って仲良くする絵も書きました。 それを見たおばあちゃんが言いました。「 はるきはどの絵が一番欲しいのかい?」 はるきくんにとってはどれも捨てがたく欲しいものばかりです。 迷ってしまい一つの絵が選べません。 それをまた見てたおばあちゃんが言いました。「 たくさんあっても一つを選ぶのに困るのは何でだと思う? それは本当に大切なものじゃないからだよ。」 はるきは正直に書いた欲しい物が大切じゃないと言われて困ってしまいました。おばあちゃんにはるきくんは聞き返しました。「 本当に大切な物って何?」 おばあちゃんは言いました。「 たくさんの欲しいものと夢を書いた春樹の心の中が宝物で一番大切なんだよ。」 それを聞いた春樹君はたくさんの絵を見返しました。 パパとママとの動物園の絵や水族館の絵があります。 遊園地の絵もあり他には友達と遊んでいる絵がたくさん書かれています。 はるきくんは言いました。「 どれも大切だよ。 パパもママも友達も。 でも一番大切なのはおばあちゃんの買ってくれた色鉛筆だよ。」 「何で色鉛筆なんだい?」 とおばあちゃんが聞くと「 だってたくさん大切なものをかける魔法の色鉛筆だからね。」 そう笑ってはるきくんはおばあちゃんの顔を書いて見せてあげました。 おばあちゃんは目を細めて笑ってはるきくんの頭を撫でながら「 はるきはおばあちゃんの大切な宝物だよ。」と言って はるきくんと一緒に魔法の色鉛筆を綺麗に並べてあげました。終わり


夜中の寝る前に思いつき書いた絵本のような作品です。わりとちょっと良かった気がしますね。


「 赤い果物と緑の野菜」


色とりどりの花が咲く庭に綺麗な花壇があってこの片隅には小さな畑が作られています。 赤いりんごの木があってイチゴが植えられてトマトもあります。 それを育てているのがあかねちゃんです。 あかねちゃんはそんなリンゴやイチゴやトマトが大好物です。 隣の家には緑のきれいな木々が植えられる庭にまた片隅に小さな畑があります。 緑のキュウリにピーマンにレタスが植えられていました。 それを育てているのはみどりちゃんです。 みどりちゃんはそんなキュウリやピーマンやレタスが大好物です。 ある日あかねちゃんとみどりちゃんが話をしていました。 あかねちゃんは緑の野菜が大嫌いでした。 みどりちゃんは赤い果物が大嫌いでした。 話をしているうちに二人は次第に仲が悪くなってしまいます。 でも二人は本当は仲良くしたいと思っています。 あかねちゃんはみどりちゃんに赤い果物を好きになって欲しくて考えました。 りんごとトマトとイチゴをジュースにして みどりちゃんに持って行きました。 みどりちゃんは嫌な顔したけど一口飲んでみました。 それは大嫌いなりんごもトマトもイチゴも美味しく飲めました。 みどりちゃんはすごく嬉しくてお礼がしたく考えました。 そこでキュウリとピーマンとレタスでサラダを作りました。 でもこれでは喜んでもらえないと思ったのでサラダにリンゴとトマトを入れて横にイチゴを添えてあかねちゃんに持って行きました。 あかりちゃんはそれを見てとても喜びました。 だってみどりちゃんの作った緑とあかねちゃんの作った赤が一緒になってたからです。 みどりちゃんはこう言いました。「 私たち二人も一緒に仲良くしようね。」 あかねちゃんも嬉しそうに「 一緒に仲良くしようね。」と言って二人は仲直りしました。 それから二人は次の日からお互いの畑を行きして仲良く遊ぶようになりました。終わり


なんとなく作業所で思いついた作品です。好き嫌いはダメですよね。


あとがき

作成した作品を順番に掲載しましたがまだまだ物書きにしては非力だと思っています。その中でも何かしらちょっと良いなや面白いがあればうれしいですね。僕の癖によくタバコとコーヒーが出るのも現実味のひとつだと思っています。最後まで読んでくれたことに深く感謝とありがとうと伝えたいです。本当にありがとうございます。



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[良い点] 日常生活の中での浮世を離れた世界観が貴重だなと思いました。一見すると主題から離れた仔細な描写や家族の会話も、主人公とは別の家族の物語を垣間見るようで二重に楽しめました。 [気になる点] 読…
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