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ピーマンの苦味

作者: r-矢

あるところに1人の少年がいました。

彼の名はピーマン。心優しい無垢なピーマンです。

明るくていつも笑顔のピーマンにはひとつだけ悩みがありました。とても悩んでいるのに、なぜだか誰にも言えないような気がしているのです。

その悩みとは、笑顔についてです。

ピーマンは、自分が笑顔になるのは楽しい時ばかりではないことにある時気づきました。もちろん、楽しくて笑うこともたくさんあるけれど、つらい気持ちを隠すように、だれにもわからないように笑うこともまた、たくさんあるのです。

例えば、友達と意見が反対になった時。争いごとが苦手なピーマンは、自分に言いたいことがあってもぐっと飲み込んでしまうのです。そんな時ピーマンの心の中は決まって苦い気持ちになります。そんな気持ちを隠すように笑ってしまうのです。

悪いことをしているわけではないのに、なぜだかとっても暗い気分になるのです。

どこからともなくやってくる涙を、どこに流してあげればいいのかピーマンには分からないのです。

ある日ピーマンは決心してパパに相談することにしました。「パパ、楽しくない時に笑うと涙が出るのはどうして?」

「それはね、心が嘘をつかれて悲しんでいるからだよ。」

「じゃあ、こころに嘘をついている僕は悪い子なの?」

「僕は悪い子なのかな?と思えるピーマンはとても優しい子だよ。」

ピーマンはなぜだか安心しました。パパの言っていることが全部分かったわけではないけれど、なんとなくスっとなりました。

「じゃあ僕はこのままでもいいのかな?」

「もちろん、そうさ。今のままではいけない生き物なんて宇宙を探したって、いやしないよ。」

「宇宙にも?」

「そう、宇宙にも。だから胸を張って、堂々としていればいいんだよ。」

パパがそういうと、ピーマンは泣き出してしまいました。けれど、その涙は不思議と苦いあじはしなかったのでした。

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