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テロリスト編 1/5

俺は部屋の壁掛け時計を見た。


21:40を少し過ぎたようだ。具体的に何分かまでは興味が無かった。


「さて寝るか…」


きっと一般的な高2の学生にしては寝るにはまだ早い時間ではなかろうか?



俺こと「七女(ななめ) 相心(そうし)」の趣味と呼べるかわからないが、ささやかな楽しみは妄想する事だ。



設定や物語を考える。自分が妄想で作り上げた脳内アニメを楽しむのだ。


どことなく人気漫画に設定が似ていたり一体何番煎じなのかわからないようなおきまりの設定や展開が多いので、そんな斬新さの欠片すらない自作の妄想ストーリーを漫画や小説にしてわざわざ他人に見せる必要も無いだろう。


そもそもそんな事を妄想してる事を友達に知られる事自体が恥ずかし過ぎて、それをわざわざ自らカミングアウトするなんて自殺行為に等しい。


だって俺は別にオタクというわけでもない。顔もクラスでの立ち位置も中の中の上、100点満点で65~75点。特に避けられたりするわけでもなく、たまに俺の事を好きと言う女の子の噂も聞く。



だからこそ、そこに「妄想アニメオタク」なんてステータス異常の学園生活を送るなんてゴメンだ。


そんなわけで今日も自分だけの妄想を満喫する事にした。


そう、俺はモテるわけでもモテないわけでもない。だが、そんな俺が誰にも教えて無いが実はなんかよくわからんがもの凄い武術をマスターしている事でクラスのみんなをこの手で救い、気になってるあの子と急接近し付き合う事に!なんならクラス1かわいい子からも告白されたりと引く手あまたになっちまう…




そういうハッピーエンドな妄想……


決まった!!!




『テロリストが学校を占拠するが、最強武術師範代の俺がテロリストを殲滅しクラスのヒロインと付き合う事になった』




あっ、それとストーリーの序盤でクラスでいつも調子に乗ってるバスケ部の奴らはテロリストの銃にビビって漏らしてざまぁの生贄になっていただく事も補足しとこう。



さて…気を取り直して…



俺は妄想世界にダイブした。



――――――――――――――――――――




俺は退屈な補習の授業を子守唄代わりに心地良い日差しが差し込む窓の外を眺めてながらうとうとしていた。


教室から見えるグラウンドでは残念な事に部活動などもやっておらず、グラウンドより先の校門の前をたまに横切る車を眺める程度の情報量しかない。



春休みだってのに30人程度の補習組はこの教室にに集められていた。テストの点数が悪かった者や生活態度が悪かった者、病欠等で出席日数が足りなかった者がいた。ちなみに俺は後者だ。



そんな時だ、校門からグラウンドへと迷彩服を着込んでいる男が6人歩いてくる。なんだありゃ?手に持ってる黒いのは…銃じゃねぇか!



なんかヤバい事になるんじゃね?どうする?気づいているのは俺だけだ。先生に言うか?でもこんなおじいちゃん先生に言ってたところで適切な対応が出来るとも思えない。



こっちは丸腰…こうなれば、奴らの先手を打って出し抜くしかないな。相手は6人。個別に奇襲をかければ…あるいは…。


「すみません。トイレ行ってもいいですか?」


俺は手をあげて先生に気づいてもらったのでトイレに行く事の許可をもらった。



あ、そうそう。俺は窓際の一番後ろの席という事にしよう。


それで教室の後ろのドアから出た。


廊下に出て、左右を確認して「よし!」と小さな声で行った。



あの武装集団は多分テロリストだ。そうだ、そうに違いない。自衛隊の方々なんて有り得ない。そう、テロリスト。以後テロリストと呼ぼう。


そのテロリストは最初にどこへ行くだろう…まずは面倒な教師を制圧するだろうと考え、俺は職員室へ向かった。



職員室の窓からそっと中を見ると、案の定先生達は既にに制圧されていた。中にいるテロリストは3人。


となると残り3人は校内のどこかにいるってのか。職員室の3人は密集していて面倒だな。




すると学内に放送が流れた。


「我々はテロリストだ。この学校は占拠した。もうすぐ警察が来るだろうが、職員と学生諸君らには人質となってもらう。いいか?少しでも長生きしていたかったら我々に従え。従わなければどうなるか教えてやる。おい、連れてこい。」



「はっ!」


「やっ…やめてくれ!頼む!離せ!」



喋っている男の指示で部下と思われるテロリストが連れて来たのは化学の山下先生の声だった。


まぁ、ここらへんはお決まりのパターンで山下先生は殺される。



テロリストの言いぶりだと「学生諸君らは人質」と言っていたので、既に補習組は見つかっているって事か。


放送室には今2人、職員室には3人。


テロリストは6人だったから、補習組の見張りをしているのは1人ということになる。俺の冷静で天才的な推理により導き出された答えだ。まずこの補習組の見張りの1人を倒そう。



山下先生が殺されるくだりは時間短縮の都合上、補習組へ向かいながらのBGM代わりにしとこう。山下先生が死ぬところよりも早く俺が活躍したいのだ。なんたって、補習組の中には俺が好きな城島円華がいる。城島の前で俺強えーしていいカッコするのが今回の妄想のメインなのだ!テロリストはそのためだけに現れたかませ犬だし、山下先生なんて別に殺される必要もないし、なんなら断末魔BGMも聞き逃してしまった。すまんな!化学のテストもう少し簡単にしてくれたら次の妄想の時は先生の待遇の改善はあるかもね!




さて、補習教室まで辿り着いた。



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